プリキュアオールスターズ×仮面ライダー b の復活と s の暴走 第2部 作:鈴木遥
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キュアライダーたちが、王妃ロミに遭遇していた頃、
レデュエの呪縛から開放されたラピスは、禿の姿のままで森を疾走していた。
彼の家族は、大昔に一度引き裂かれた。
もう二度と、見たくなかったのだ。
我が子に裏切られ、挙句殺される義姉の、死に際の作り笑顔など。
怒り狂い、我が息子を二人手にかけようとする兄など。
最後の希望は、葛葉紘汰は今ここにいる。
行かなければ。
この思い出の森を壊す者たちに、挑まなければ。
急いで、紘汰に会わなければ。
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その大国が、どの世界にあったのか、もう誰も覚えてはいない。
少なくとも、彼らはもと、人間によく似た種族だった。
フェムシンムは、自然と共に在りながら、当時の、周辺120ヶ国全てを凌ぐ兵力と科学力を誇り、その名は海を越え、メダルの魔人を作り上げた某錬金小国さえ、脅威と見なしていた。
フェムシンム国、東地区のスラム街に、この日、新王ロシュオはお忍びで視察に来た。
職人が丁寧に織った白絹で出来たローブに、彼の威厳を示す、トパーズのネックレス。
白濁色の髪も、道行く人の目を引く珍しいモノだった。
「ロシュオ王陛下、何故この様な所に?」
王の近衛兵は、周りをビクビクしながら見ていた。
ここスラム街は、栄光のフェムシンムに落ちた、たった一つの影。
身寄りのない者、奇病や出で立ちから、村八分にされたもの、罪を犯して、隠れるもの。
様々な者がいるが、いずれもロシュオを食い入る様に見ている。
祭事でもないのに王が王宮から出たり、ましてスラム街を視察するなど、異例中の異例だった。
「王たるもの、治める国の全てを知り、その一つ一つを施策する義務がある。」
「兵隊さんの言う通りだぜ?王様よ……。」
壁にもたれかかり、ボロを着た男が言った。
髪もヒゲもボサボサに伸びた男は、 片手に酒瓶を持ち、鋭い目をしている。どこまでもみずぼらしいその姿は、見ただけでこちらにまで喪失感が漂ってくる。
「貴様!陛下に対しその口ぶりは……!」
男に槍を向けた兵士を、ロシュオは静かに止めた。
「よい。下がれ。男よ、何故私の身を案ずる?」
男は、挑発的な目でロシュオを見ながら話し始めた。
「 王宮やその近くの街頭では、どうか知りませんがね?裏の街じゃもっぱらの噂なんですよ。
恐ろしく身のこなしがよく、鋭い目つきをした二人のガキが、 人から金品を奪ったり、店から食い物を奪ったり、貴族様に襲いかかったなんて話も聞きますぜ。」
「その者達は、なぜ悪事を働く?」
「さぁねェ。御上に何か、恨みでもあるんじゃねえですかィ?だから、 近衛兵さん達の言うとおりに、とっとと王宮にお戻りになられた方が…」
「案内せよ。」
「へ……?」
「その童らがいる場所に案内せよと申したのだ。」
男は、 ロシュオの言葉を理解するまでに、数秒かかってしまった。
「 悪いことは言いませんぜ?王様……およしになった方が……。」
「構うな。 目的を果たせば莫大な恩賞を取らせるぞ。」
スラム街の住人たちは、1日食いつなぐのもやっとの思いだ。国の王に莫大な恩賞と言われれば 、いやでも食いついてしまう。
「途中まで、ご案内しますぜ。」
そこは、スラム街のさらに外れのゴミ置き場だった。
機械やから袋だけではなく、国民の食糧から出た生ゴミなども出てくるため、スラムの者たちの中には、ゴミの中からその日の食料を見つけていくものもある。
「この辺りでよく見かけますがね。 奴ら何分恐ろしく強いもんでね。
特に赤い髪の毛のガキは、まるで悪魔みたいな目つきで 誰も近寄りたがりませんよ。
あっしもなるべくなら関わりたくないのでね。案内できるのはここまででさぁ。」
「ご苦労。正門の兵士から金貨を受け取るがよい。」
「毎度どうも。」
上機嫌で去ってゆく男を尻目に、近衛兵はロシュオに尋ねた。
「陛下!なぜこの様な所に! お言葉ですが、この視察は王政に何ら関係がありません。むやみにその 御身を危険にさらすような行動は謹んで頂きたく……。」
「 お前は、幼少のみぎりから人から物を盗む者の気持ちを考えたことがあるか?」
「い……いえ。めっそうもございません!」
「だろう。国の全てを見届け聞き届けるのが私の役目。
ならば聞き届けようではないか。何を考えているのかわからぬ者たちの声を。」
近衛兵は、頭をかきむしった。
幼少より彼を見てきた教育係が、常々言っていたことがあった。
この男の思考回路は、『異常』であると。
歴代の王たちが、誰一人として持っていなかった道徳や思想を持っている。
このまま育っていくと、どんな人間になるか、わかったものではないと。
当初彼は、 その言葉を大げさだと嘲笑った。
だが、今ならわかる。
きっと何年何十年と仕えていようと、この男の心を読み解くことだけはできないだろう。
その時。突然、王に掴みかかった者がある。
あまりに俊敏すぎて、近づく様子すら見られなかった。
小柄だが体格が良く、 かと思えば顔が青白い。
前髪だけが赤く、 その目は悪魔のように鋭かった。
とっさに槍を構えて捕縛しようとするが、またもやレデュエはその兵士を止めた。
「手を出すな!黙っていろ!」
「しかし!」
ロシュオの判断は正しかった。
兵たちが手を下すまでもなく、彼に馬乗りになり、喉元にナイフを突きつけた少年は、突如呼吸を荒げながら、真横に倒れてしまった。
倒れて顔を真っ赤にしてなお その澄んだ瞳は色を失っていなかった。
色といっても 毎日を生き生きと生活している国民のとは違い 、その鋭い目の色は、灰色だった。
ロシュオの後ろにはもう一人、緑の前髪の少年がいた。
こちらは打って変わって、弱々しく半べそをかいたままで、戦意など微塵も見せない。
「殺せよ……。」
「小僧。なぜ死にたがる?」
「オレは 親の顔を知らない。スラムで育ってきたから。誰も信じない。情けも受けない。 お前ら王族に助けられるぐらいなら潔く殺される!」
「なぜ王族を憎む?」
「 スラム街にはな、凍え死んだりうえ死んだり するやつがたくさんいるんだ。一生懸命働いたのにだよ!
お前ら王族はどうだ?臣民に命令するばかりで、労働などしたこともない。
なのに、誰より豊かに暮らしてる。そんな理不尽な事ってあるか!だから俺はお前たちが嫌いなんだ!」
貴族や商人たちが、耳障りだとばかりに 耳を塞いだ、王への反感や 国への不満 、富める者達への憎しみを、 冷静に静かな声で、だが瞳に怒りの炎を燃やして語る少年の言葉一つ一つを、ロシュオはただ黙って聞いていた。
少年の方も、初めて自分と向き合ってくれる、身分の良いものに出会い、戸惑いつつも、何か言葉にできない、期待のようなものを抱いていた。
「小僧…… 名は何と言う?」
「デェムシュ。 あんたの後ろにいるピクピクしてるのが 弟分のレデュエだ。」
二人の少年を交互に見比べ、ロシュオはぼそりと呟いた。
「王宮に来るが良い。この二人、私が引き取る。」
作者の都合で申し訳ありませんがこの章ではあとがきコーナーお休みさせていただきます 2次会は ダークレモネードに起こしいただこうと思っておりますご期待下さい