プリキュアオールスターズ×仮面ライダー b の復活と s の暴走 第2部 作:鈴木遥
・『デェムシュ』の名を、誰から貰ったのかは分からない。5歳まで彼を育てた爺さんは、トランプ王国民を名乗る女から、彼を託されたそうだ。
女は、「友人が『
それが誰なのか、母親がその女だったのか、今となっては分からない。
そんな事、デェムシュはどうでもよかった。女が爺さんに預けたのは、彼とレデュエの二人。
二人でどうやって生き抜くか、明日の食べ物をどうするか。考えていたのはそれだけだった。
爺さんから教わった事も、たったの二つだ。
『自分を守る方法』と『他人から奪う方法』だけ。どちらも『生き抜く術』だった。
それが一番簡単だったし、正しいと思ってた。でも同時に、ずっと疑問だった。出し抜く事でしか生き抜けないのなら、レデュエはどうだ?生き抜く為だったら、爺さんの下で一緒に育ったレデュエを見捨てるのも、正しい事なのか?
オレは、そうまでして行きたかったのか?
爺さんよ。去年姿を消したアンタが今ココにいたら、なんて答えた?教えてくれよ。イーディスの爺さん。
こんなことを今じっくりと考えてるのは、気の休まらないスラム街から、不自由ながら安全な、王宮の地下牢へ移ったからだろうか?
食事が運ばれるまで待て』と兵士は言ったが、レデュエは相も変わらず、端の方に座り込んで泣きべそ書いている。
「レデュエうるさい!泣くな!」
「だって……王様に逆らったんだもん。僕たち死刑だよ。」
「じゃあお前一人で死ね。オレは気合で逃げる。」
「そんなぁ……ひどいよぅ……。」
冗談を真に受け、マジ泣きし始めた。全く、腕は立つくせに、何でこう気が弱いのか。
「嘘だよ。隙を見てココから、二人で逃げ出そうぜ?」
「やめたほうがいいと思うよ?」
牢屋の外から会話に割って入ったのは、ロシュオと同じく王族のローブをまとった青年だった。
胸元には、ダイヤとサファイアの首飾りをかけている。
「ごめんね突然、僕はラピス。ロシュオ国王の弟だ。」
彼は懐から錆びついたカギを取り出すと、牢屋のカギを開けてつぶやいた。
「とりあえず、そこから出ようか。」
粗末で色気のない廊下を歩きながら、デェムシュはラピスに尋ねた。
「いいのかよ。こんなことして。」
「……何が?」
「何がって、王への反逆じゃねーか、コレ……。」
「ああ。それなら心配無用。君たちを牢から出して部屋に案内しろといったのは他でもない、その
そのままオレたちは、ロシュオの部屋に通された。
壁には絵画も剥製もなく、机の上に異国の花が添えられただけ。とても一国の王の部屋とは思えない。
ロシュオは、机の上の資料に目を向けたまま、不愛想に言った。
「生きていたか。運が良かったな。」
「なめんなよ。殺す気ならそうすりゃ良いだろ?産んだ母親にさえ捨てられる。こんな害獣、死んでも誰も悲しまねえ。」
デェムシュの威嚇に、ロシュオは鼻で笑った。
「ケモノを気取るクセに、愛に飢えてると?格好つけにせよ矛盾が過ぎるな。」
ロシュオが露骨な挑発をした瞬間、突然彼は、羽ペンを走らせていたロシュオに掴みかかった。
「テメエに何が分かんだよ!分かんねぇよな?生ゴミをかっ食らった事も、死体に囲まれて寝た事もねえだろ!?
けどな、オレ達クズにもプライドがあんだよ!お前なんかにもてあそばれる位なら、お前を殺して死んでやる!」
ロシュオの眼前で喚き散らすデェムシュ。だがロシュオは顔色一つ変えず、逆に彼の首元をつかみ返した。
ロシュオの顔には、確かに『怒り』があった。だがそれは、殺意や憎しみとは違う。
『何かを教えようとする意志』が見えた。生まれてこの方、自分をこんな目で見る他者には会った事のなかったデェムシュ。彼は戸惑い、言葉が出なかった。
「『私を殺して死ぬ』?なめるな小僧。狭いスラム街で自分を守るのに精一杯だった井の中の蛙に出来る物か……私の前で二度と、その様な戯言は許さん!」
そのまま床に放り出されたデェムシュは、恨めし気にロシュオを見た。
「悔しかったら王宮で修行しろ。十年経ったら、お前のケンカを買ってやろう。」
プライドをズタズタにされたまま、向こう十年、王宮に引き取られたデェムシュとレデュエ。
それにしても……。
殺風景な廊下を見ながら、レデュエは不思議に思った。
ロシュオの部屋もそうだったが、壁には剥製もなければ 花一の輪も添えられていなければ、絵画もない。室内を飾ろうとする意図が、微塵も見えてこないのだ。
赤い絨毯はなく、壁に装飾もない。
スラムの大人たちが言っていたような、王族だけが許された楽園は、ここにはないのだ。
(ここが王宮?この城の王様が、 たった一人で莫大な富を享受してきた卑怯者……?)
「殺風景で済まないね。これと言うのも兄が……。」
「ラピス君、その子たちは?」
ラピスが何かを言いかけた時、後ろから透き通った女性の声がした。
「姉上!彼らが兄上が連れて来た子達で……。」
ラピスが姉上と呼んだ彼女は、流れるような黒い髪と、色白の肌が美しく、神話に出てくる双星の女神を、デェムシュは思い出した。
風の星と光の星。2つを司る女神は、 いつの頃からか闇の中に囚われてしまった。しかし彼女達の力が弱まることはなく、今なお光の化身として世界を照らしているという。
「まぁ、そうなの。はじめまして、私はロミ。ロシュオの妻よ。」
不思議な人だった。今しがた会って、話しているだけで、この女性の優しさや愛が、惜しみなく伝わって来る。
逆のパターンは今までいくどとなく出会って来たのに、こんな人は初めてだった。
「……アンタは、オレたちを追い払わないのか?」
「なぜ?今日から一緒に暮らす家族を、追い払ったりしないわよ。さ、ご飯にしましょう。」
ロミの放った言葉の意味が分からないまま、ダイニングへと案内されたデェムシュたち。
その日の夕食は、クリームシチューとキッシュとパン、 そして、木の器に盛られたコンソメスープだった。
スラム街で育った二人にとって、卓の上に並んだものはどれもこれも豪華だった。
だが、スラムで育ちながらも拾った本や古新聞などを読み漁っていたレデュエには、それが不思議で仕方なかった。
王宮には、王族たちだけでは食べきれないほどの食事が並び、あらゆる贅沢な品に舌鼓をうち、それらのほとんどが、毎日たくさんのゴミとなって焼却炉に捨てられると聞いた。ところがこのテーブルの上には無駄な皿など一皿も並んでいない。
同じメニューが同じ皿の数、座っている席の分だけ運ばれてきた。それもメイドなどではなく 調理も食卓へ運ぶのも、全てロミが一人でこなしていた。
「 この城には、使用人はいないのか?」
ロミは、少し困ったような顔をしてから、デェムシュに説明した。
「ロシュオの父上の時代までは沢山いたわ。 けれどあの人がお父上に逆らって、王位を継ぐと同時に、兵士と科学者以外の使用人を皆、町の食堂に転勤させちゃって。おかげで家事は、私が全部一人でやってるの。」
皮肉るような言い回しだが、彼女の顔は笑っていた。
「なぜロシュオ王は、皆を解雇しちゃったの?」
レデュエが少し、遠慮深げに尋ねた。
彼女は、先ほどより困ったような顔をした。
その顔は、何か恥ずかしいことでもあるかのように、紅色に染まっていた。
「 あの人は、『人を使う』のが嫌いなんだと思う。
一緒に暮らしてて分かったわ。
たとえ王族であっても、人間は人間の上に立ってはいけないと思っている。それはもしかしたら、王様にあるまじき姿勢なのかもしれないけど、それでも私は、そんな彼に惹かれたの。」
デェムシュは、不思議がる様な、バカにする様な顔で、フン!と鼻を鳴らした。
「使用人がどうだろうと、アイツがいけ好かないのは変わんねーよ。オレは絶対、アイツを倒してやる!」
「やめなよ、デェムシュ。」
「うふふ、あなたの将来が楽しみだわ。」
「姉上、とにかく食べましょう。」
デェムシュとレデュエは、黙々と夕食を堪能した。
決して豪勢ではなく、平民とさして変わらない食事。
だが、彼らは生まれて初めて満たされていた。腹はもちろん、ロミがこさえてくれた一品一品には、これ以上ないような、優しい愛にみちていた。
生まれて初めて、腹いっぱい食べた。
生まれて初めて、誰かと笑いあった。
気がつけば、デェムシュは泣いていた。
なぜ涙が出たのか、自分自身わけがわからなかった。
けど、その涙は決して不幸なモノではなく、確かな『幸せ』の証だった。
「あらまぁ、どうしたの?」
「わっがんね……オレ…なんで泣いて……。」
「色々あって疲れたのね。今日はもう休みましょう。」
寝室も、やはり飾り気はなく、前に盗みに入った下町の家と同じだった。
「ねぇ……デェムシュ。ボク、ロシュオ王は悪い人じゃないと思う。」
「どーかな、冷たいし、口は悪いし、上から目線だし、アレはとても良い人とはいえねーよ。」
「ロミ王妃やラピスさんは?」
「あの人たちが居るから、この城はバランス取れてんの!ロシュオ一人じゃ一週間と身が保たねーよ。」
次の日からデェムシュは、己の肉体強化に明け暮れた。
野を駆け、獣を倒し、走り、登り、また走った。
高い科学文明水準を持ちながら、森と一体化し森の中央に存在したフェムシンムの環境は、日々奮闘するデェムシュを日に日に強くして行った。
レデュエは、体力的にはデェムシュに劣りながらも、ラピスやロミ、そして時たま王宮に出入りする研究者たちから様々なことを学び、 ロシュオ率いる王立研究所の者達にも劣らぬ博学を身につけていた。
成長しながら二人は、ロミと城の中で過ごしたり、ラピスと遊戯に興じたり、ロシュオを奇襲しては返り討ちにされたり、様々な体験を通して、王族に少しずつ心を開いていった。
二人にとって、毎日が幸せの連続だった。
5年が経ったある日、事件は起きた。
環境改善のため、下町の町長たちと顔合わせに出かけたロシュオが、胸に大傷を負い、血を流して帰って来たのだ。
王族に恨みをもつ青年が、会合に乗り込んで来たらしい。
「兄上!しっかり!」
「ロシュオ!イヤよ!死んじゃダメ!」
「ロシュオ様!」
医者の診断中、ラピス、レデュエ、ロミの三人が、泣きながら付き添っていた。
デェムシュは帰って早々、医師に掴みかかった。
「テメェ!こいつはなァ、オレにケンカ売ったまま決着ついてねーんだ!死なせようもんなら承知しねーぞ!」
「やめなよデェムシュ!なんてこと……。」
「しかしな、この傷はかなり深い。どうやっても止血せんのだ!唯一方法があるとすれば……。」
「なんだ!?早く言え!!」
「森の奥にのみ生えている紫の果実を煎じて飲ませる事。だが…この方法はまだ実証がなく、その上あの場所には凶暴な獣が……。」
「森の奥の、紫の果実だな!」
「待ちなさい!デェムシュ!」
ロミが止めるのも聞かず、デェムシュは城から飛び出した。走って、走って、ただひたすら走った。
頭の中には、ロシュオの事しかなかった。
門の兵士たちの話によると、 ロシュオは スラム等の環境改善のために、理事達と、日夜必死で話し合っていたらしい。
ロシュオを斬り付けたのは、そのスラム街の少年。
なんだか、昔の自分を思い出していた。
( あの時てめえは、俺をあっさり返り討ちにしたじゃねえかよ……!)
連行されて来た青年の目は、昔の自分そのものだった。
( これまでテメーは、持ってるもの全て俺たちにくれたじゃねえかよ……!)
森の奥地に差し掛かり、紫の果実を実らせたいばら形の植物と王宮の生物図鑑に『ツチグモ』と書かれていた生物が見えてきた。
森のこの辺りにのみ、太古の昔の文明の遺跡が見つかっているという。
その全貌を明らかにされていないが現在のフェムシンムより、はるかに高度な文明水準を誇っていたと言う。
デェムシュの頭には、そんなこと気にかかっていなかった。
考えていたのは、目の前の生物をなぎ倒し、紫の果実を持ち帰ることのみ。
「そこどけ化け物!オレは今日、機嫌が悪いぜ……!」
王宮から持ち出してきた大剣を抜き、その刃を、巨大なマダラグモに向ける。
「うおおおおおおおおおおおおおお!!」
いきり立って衝突猛進するデェムシュ。目の前には怪物を相手にしていながらも、心の中では、生死の境をさまよう 育ての父親に対して叫んでいた。
(オレたちのケンカは終わってねーだろ!?死ぬなよ!なぁ!ロシュオぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!)
数時間後、目を覚ましたロシュオの横には、うたた寝から覚めたロミ、 すぐそばで見守っていた医者とレデュエそれにラピスが、心配そうに見守っていた。
彼らだけではなく、傷だらけになったボロボロのデェムシュも、剣を立てかけて壁にもたれかかって寝ていた。
「私は一体……。」
「陛下!ご容体は……!?」
「兄上!」
「ロシュオ様!」
「ロシュオ!分かる!私よ!?」
どうやら、気が付かないうちに、気を失っていたらしいロシュオに、医師から事の説明がなされた。
「デェムシュが……!?」
「ええ、陛下。 あの坊ちゃんが頑張らにゃ、あんたも今頃死んどったでしょう。」
ラピスとレデュエの二人がかりで、寝室に運ばれていくデェムシュを見ながら、ロシュオは顔に手を覆った。
「フ……ハハハハハ!ロミよ、彼奴め、強くなったと思わないか?」
声では笑いながらも、頬に涙が落ちている。
ロミは何も言わず、夫にハンカチを手渡した。
「そうね、本当に強くなった……。」
「ケンカはお預けだと?バカ者め、お前の勝ちに決まっておるだろうが……。」
強くなった我が子の 思いやりに、涙を流すロシュオ。
王宮の窓から彼を覗く白服の男になど、気付くはずもなかった。
・はい、 ヘルヘイム回想編次回で終了です。
今回のあとがきコーナーは、ダークレモネードさんと仮面ライダーイクサこと名護さんに来て頂いております。
名「 おいなんだこれは。適当なメンバーがいないからとりあえず私を見繕ったみたいじゃないか!」
作「 キャラクター的には イクサはイクサでも 紅音也パパを呼びたかったんだけど、今グリスで活躍中だし、 かといってキバット君を呼んじゃうとダークレモネードさんと 引き合わせた時に声優さん的に大変なことになるから。」
レ「そうそう。 ここにもしスマプリの妖精ポップ君まで加わったら 万事屋三人組揃ってしまうアルよ。」
作「コラァァァァ!アルって言うなァァァ!何のための配慮だ! 今の一瞬で全部無駄にしやがって!」
レ「えへへ〜、イタズラしてみました〜!」
作「 シャレにならないから!もういいや、 とっとと今日の企画を始めましょう。」
バンッ!!
『イクサがデートしたいプリキュア、ダークレモネードがデートしたい仮面ライダーは?』
作「 今回は質問コーナーです。では早速、ボードに書いてもらいましょう。」
レ「書けた〜!」
名「おなじく。」
作「はい、じゃダークレモネードから。」
『仮面ライダージョーカー/左翔太郎』
作「ほうほう、なぜ?」
レ「ラーメンおごって欲しいんだよね〜。カオもカッコカワイイから、落書きのしがいがありそう。」
作「カッコカワイイかアイツ……?てかラーメンアイツじゃなくても奢ってくれるよ!ハイ次、名護さん!」
『キュアスカーレット/赤城トワ』
名「何となくだが、縁があるような……。」
レ「あ!わかった。スカーレットちゃんキバーラ……。」
作「やめろぉぉぉぉぉ!何っだそのわかりやすい中の人ネタ。私の配慮は?どーなるんだよ。」
レ「無駄な抵抗❤」
ダークレモネードコノヤロー!また次回!!