プリキュアオールスターズ×仮面ライダー b の復活と s の暴走 第2部   作:鈴木遥

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絆と愛の到達点

・ フェムシンムの亡き王女、ロミの、フラッシュバックした記憶を見終えたキュアライダー達は、その衝撃の真実に、数秒間言葉が出ないままだった。

 

本来この聖域においては、生身の人間は数分と生きられないが、 闇のエネルギーの壁を越え、見事覚醒した知恵の実の恩恵により一同は変身を解除したまま、ロミと対話していた。

 

「すると……アンタは、『知恵の実』そのものだったって事か?」

 

【正確には、闘病の為、知恵の実の力で生きていた存在。私の体内には、膨大な知恵の実の力が宿っています。】

 

「だから、棺桶の上に知恵の実が……。」

 

【結局生き延びたのは、レデュエとデェムシュとロシュオ、それに、あの日門番をしていた二人の兵のみ。

私の亡骸は『二つの知恵の実』に変化し、一つはこの森に、一つは『ヘビ』に、ヘビの分は今、葛葉紘汰。貴方が持っています。】

 

「……オレが?」

 

ようやく変身を解いた葛葉紘汰が、驚いて自分を指差した。

 

【はい。あなたの持つ七色のロックシードが、私がロシュオに託した実の一部です。けれど、 ラピスは行方をくらまし、ロシュオは私を蘇らせる為に新たな実を探す事に執着し、レデュエとデェムシュはロシュオに愛想を尽かし、徐々に道を違えるようになりました。その結果が、葛葉さん達の知る、レデュエのロシュオ暗殺、その直後レデュエがあなたに敗戦した事で、フェムシンムは滅びたのですが……。】

 

 

「闇の同盟の実験体としてラピスが、兵隊としてデェムシュとレデュエが復活したってことか……。」

 

ロミは黙って頷いた。

 

「それで?フェリーチェは?彼女の中に居る貴方は、これからどうなるの……?」

 

少し心配そうに、ロミの魂を宿したフェリーチェを見つめるマーチ。

 

彼女は、答えに困ったようにカオをし、何かを答えようとした時。

 

 

ドォン!

 

轟音と共に、森の中から赤い弾丸が飛来した。

 

 

「危ない!」

 

 

間一髪、キュアモで変身したミントが『エメラルドソーサー』を盾にし、赤い弾丸を防いだ。

 

瞬時にカブトとハニー、パインがフェリーチェの、いや、攻撃者の前に立ち塞がった。

 

紘汰やマーチが鋭い視線を向けた先には、黒のソフトハットと革ジャン姿の男がいた。

 

「なんで……お前が、ここにいる!シド!」

 

かつて、『ユグドラシルコーポレーション』の社員として、紘汰達にベルトやロックシードを配った錠前ディーラー。

 

大人を気取り、争奪戦で長い事優位に立つも、『人間を超える』という欲望に駆られ、ロシュオに殺されたハズだった。

 

 

「創世王さんとやらに魂を拾われてな、ここでのロックシード回収と、お前さんらの抹殺を仰せ使った訳よ。」

 

その男は、紘汰の知る、大人気取りの錠前ディーラーではなかった。

 

目は胡乱に曇り、顔の血色は失せ、まるで色のない人形の様だ。

 

「お前……一体……!?」

 

「苦しかったぜェ!?あの老いぼれに殺されてから、岩壁に閉じ込められ、生きてるのか死んでるのか自分でも分からねェ!ようやく解放されたと思ったら、オレの体はぺしゃんこ!!カビの生えた文明の長に殺されたなんざ!屈辱の極みだよオイ!!」

 

自らの力へのおごりと、他者を踏みにじる邪悪な思想に満ちた、醜悪な殻に閉じこもったままの怪物としての彼は、何ら変わっていなかった。

 

 

その邪悪で醜悪なシドに、紘汰は哀れみすら覚えた。

 

 

「まァ良い。どうあろうとソイツ(・・・)を殺せば……オレの任務は完了だからよぉ!」

 

 

 

『アメリカンチェリーエナジー!』

 

「変身!!」

 

赤黒い色をした、さくらんぼのロックシードがゲネシスドライバーに装填されると同時に、シドの頭上にクラックが開き、アーマーが降下。

 

『アメリカンチェリーエナジーアームズ!ディストピア・シューター!』

 

銀と黒のアーマーに、マゼンタのラインが入った、新型の仮面ライダーシグルドが完成した。

 

 

彼の構えるソニックアローの矛先は……ロミの魂を宿したフェリーチェ。

 

『チェリーエナジースカッシュ!』

 

「死ねやァ!森の亡霊がァ!」

 

「危ない!」

 

プリキュア達の渾身のガードを容易に貫通し、棺桶の上のフェリーチェに直撃……すると思われた時、何者かが

ロミの前に立ち塞がり、弾丸を全てその身に受けた。

 

 

「!!?」

 

「ぬぉお!!」

 

 

【どうして貴方が……レデュエ!】

 

弾丸の嵐が止み、その場に膝を付いたのは、緑色の怪人と化したレデュエだった。

 

ろくな防御もせずに、文字通り身を挺しての行動。

 

幾らオーバーロードの体と言えども、重症は免れない。

 

文字通り、彼は虫の息だった。

 

「父を裏切り、友を嘲り、ラピス様をも利用し、故郷は取り戻せず……結局貴女との約束は……何一つ、守れなかった。ロシュオ様より貴女を愛したなどと、とんだ戯言を……。」

 

薄れゆく意識の中 ロミの腕の中で レデュエは必死に自分の罪を贖罪し、涙を流した。

 

【ごめんね、レデュエ……!私が貴方の想いに、キチンと向き合えていれば……!】

 

「謝らないで下さい。どうか泣かないで……貴方の優しさに、温もりに、笑顔に触れて、私は

人間になれたから……!」

 

光になり、消えていくレデュエに合わせる様に、フェリーチェも光に変わる。

 

【ごめんなさい。フェリーチェの身体をお返しして、私は逝きます。もう、レデュエを、独りにはできない。】

 

涙を流すロミに誰も苦言は呈さず、ただ静かに頷いた。レデュエが息絶えると、フェリーチェの身体から金色の光が溢れ、天に昇って行った。

 

光が完全に天に登ると、フェリーチェは憑き物が落ちたようにがっくりとうなだれた。

 

だが、敵は感傷に浸る時間など与えてはくれない。

 

それどころか、シドの手には、更なる強化ロックシード『黄金の果実』が握られていた。

 

周りが止めるのも聞かず、シドはゲネシスドライバーに装填。

 

だが、変身する事はなく、 ベルトから出現したヘルヘイムのつたに巻かれ、苦悶の雄叫びをあげるシド。

 

 

そこにいたのはシグルドではなく、燃え盛る火炎を身にまとう、巨大な馬の怪物。額には上半身が生え、かつて紘汰が戦った、コウガネの最終形態そのものだった。

 

 

ヴァァァァァァァ!!

 

「またこのパターンかよ!」

 

「どうする?葛葉!」

 

「オレとプリキュア達で止める!天道さんは、フェリーチェを安全なところへ!」

 

ハイパークロックアップのレバーを下ろしフェリーチェを確保したカブトを確認し、オレンジロックシードのロックを外そうとした時、背後から、聞き覚えのある声がした。

 

 

「お待ちなさい!ワテクシ達も混ぜるのよぉ!」

 

背後から無数のクラックが開き、中からは、かつて紘汰達と戦ったアーマードライダーが 四人と、つい先日、『フレッシュプリキュア』と共闘したばかりのロード・バロンが現れた。

 

「皆……!どうして……!?」

 

シド(あのバカ)を止める様に、貴様の妻に依頼されたまでだ。」

 

「我がコーポレーションも、黙っては居られんからな。」

 

「僕は、貴虎兄さんのお供ってことで。」

 

「 一人寂しく店番してるより こっちに混ざった方が百倍楽しそうだからな。」

 

 

 

「皆……!」

 

 

「紘汰!」

 

森の中から現れた青年、ラピスは、紘汰が出会った頃より、ずっと逞しくなっていた。

 

 

「僕達の、フェムシンムの過去を知ったんだね。」

 

紘汰は黙って頷いた。

 

「僕は姉上を慕っていたのに、あの日起こった数々の悲劇を何一つ止められなかった……だから今度こそ、あの人との約束を、僕達の故郷を守る。あいつを止めよう…みんなで!」

 

「応!」

 

 

『ロックオン!シルバーアームズ!白銀・new stage!』

 

ラピスが禿に変身したのを皮切りに、他の者達も続々と変身。

 

プリキュア達と共に、一列に並び、 醜悪な怪物と化したジグルドを迎え撃つ準備は整った。

 

 

『シルバースカッシュ!』

 

 

戦極ドライバーにシルバーロックシードのエネルギーが

溜め込まれ、禿は青のエナジーボールに変化。

 

 

 

コウガネジグルドも11の分身を召喚し、鎧武のキックオフと共に、最後の一ゲームが始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

湘南乃風 Your Song

 

 

 

 

 

振り向けばそこに何が見えただろう?追いかけた幻か

 

終わったら 兵どもが夢の跡                

 その中に見えるだろう

 

鎧武からパルフェへと パルフェからミントへと

 

ゴールへ続くその一球  それが唯一無二の戦果だ

 

ミントからパイン経てハニーから

終わり知らない風速のマーチへと

 

そして音速の甲虫へ 渡るだけからの龍玄      

 

そして魂は斬月の元へ

 

君は今もう         孤独じゃない

    

  誰かときっと  つながってる

 

(終わらぬ思いはグリドンの元へ そしてまた ブラーボへ)

 

君の願いは叶うだろう 遥か彼方の 戦士たちと

 

(信じてやるから見ていてやるから強くなれ 強くなれ)

 

孤独に戦うラピスにエールを This is your song ×2

 

 

This is your song……!

 

 

 

歌に紡がれた通りにボールはバトンを繋ぎ、 やがて鎧武の元に戻ると極みスカッシュが発動。

鎧武の足は虹色に輝き、上空からボールを蹴ったままジャンプキックを放った。

 

コウガネに衝突する直前、青い玉はラピスの姿を取り戻し、手に持つ槍をコウガネの体に突き立てた。

 

 

『セイハァァァァァァァァァ!』

 

鎧武の咆哮と共に、シドの中にあった闇のエネルギーを宿した『アメリカンチェリーエナジー』と、ゴールデンロックシードは形を失って崩壊し コウガネジグルドは爆発四散した。

 

 

 

 

 

数分の静寂の後、ラピスが変身を解くと、 半霊体と化したロミが 再びキュアライダー達の前に現れた。

 

【ありがとう。皆さんのおかげで、闇の陰謀を止める事ができました。】

 

「あなた、これからどうするの?」

 

マーチが問うと、ロミは少し寂しそうに返した。

 

【誰かに力を継承する役目を終えた今、私に出来る事はフェリーチェに全てを託すのみ。ごめんなさいね、フェリーチェ。貴女を 苦難の道に巻き込んでしまった。】

 

 

「いえ、紘汰さんの奥さんも、ロシュオ様から頂いた力で、星一つを命で満たした。私も頑張って見ます!」

 

表情から曇りは晴れ、ロミの笑顔は戻っていた。

 

 

【あなた方と会えて良かった……もし、また……生まれ変われたら……あなた達に……】

 

光の粒子に変わり、声が徐々に遠くなり、朧げに消えて行く彼女の隣には、青い鎧の青年と、白髪の王、赤と緑の髪を持つ、二人の息子。

 

四人の『家族』がいた。

 

 

ーこれからは、ずっと一緒よ。

 

 

死して、再び幸せを掴んだロミの声が、空の彼方からきこえた気がした。

 

 

 

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