プリキュアオールスターズ×仮面ライダー b の復活と s の暴走 第2部 作:鈴木遥
・ キュアライダーと闇の同盟たちが交戦していたころ、東都の二足歩行型カードモンスターに乗り、木下和真は こころの大樹へ到着した。
「 もうおっぱじまってやがんなァ…… ま〜た『あの人』に叱られちまう。」
怪訝な表情で 屋敷を見つめる和真。
その手には、サソリのフルボトルが握られていた……。
管理室から脱出したライダーたちは、 どういう仕組みなのかプリキュアたちのいる玉座の間へ出てしまった。
「 おやおや。みんな見事に復活してるじゃねーか。よくやったな。」
「ヒビキさん!弦太郎さん!」
「タケルくんと渡くんも!」
「その節は、お世話に…。」
うやうやしく挨拶をしようとしたキリヤを、ヒビキが制止した。
「挨拶は後にすべきだと思うぜ? 幹部が一人、お待ちだからよォ。」
響鬼の視線の先には、満身創痍ながら鬼気迫る目をしたイルクーボがいた。
「貴様ら……無事に帰れると思うなよ!」
「オイオイ兄ちゃん、この状況でまだ自分に勝機があるとでも思ってんのかい?」
「響鬼の言う通りメポ!ジュナとレギーネも倒れた。お前にもう勝ち目はないメポ!」
メップルの言うことを、彼は頭では理解していながら、 クウガの世界での失敗が続いた彼は、もはややけっぱち同然だった。
その時。
ドォン!!
思わず一度が耳をふさぐほどの爆音と共に、 旅人風の格好をした男が現れる。
「……!?誰!?」
「 おやおやァ……おっぱじまってるどころか、やられてんじゃん闇の同盟。」
「貴様は……木下か!ちょうど良い!加勢しろ! 同盟との契約上、貴様に拒否権はないはずだ!」
「それもそうだな。」
彼は右手にフルボトル、左手にトランスチームガンを装備。 トランスチームガンの銃口あたりに、フルボトルをセットした。
『ダークスコーピオン!ミスト!』
「蒸結……★」
ナイトローグやブラッドスタークを彷彿とさせるボディに、紫のマスク。危険度と有毒性を全身から指し示していた。
「名をベノスティング。お見知りおきを。」
「新手かよ!?冗談じゃ……!」
「はいちょっとごめんよ。」
キバットバット三世のつぶやきに割って入り、 スチームガンに『コンプレッサー』のボトルをセット。 そのまま床に向けて発射した。
「……!?」
キリヤが顔を真っ青にしたのを皮切りに、 突然一同は、その場に膝をついた。
体を起こしたくても、起こせないのだ。
真上から襲いくる、体を押さえつける『見えない力』によって。
「何よ……コレ……!」
「重……力!?」
「身体が……動きませんわ!」
ベリー、ダイアモンド、スカーレットも悶絶した。
「
「くそ……身体が!」
タケルが必死に腕を奮い立たせるが、 四つん這いになることすらできない。
「良くやった木下!さぁ、 あの虫けらどもを早くなぶり殺しに……。」
「その事なんだがな、イルクーボ。」
「!?」
イルクーボが異変を感じた時、 彼はすでに心臓部を撃ち抜かれていた。
他でもない、今目の前にいるべノスティングによって。
「わりぃ、お前から死んでくれや。」
「貴ッ……様ァァァァァァ!」
怒り狂って抵抗するイルクーボ。だが、もう遅い。
度重なる死闘によって、すでに闇のエネルギーを使い果たしていた彼は、その拳をベノスティングに届ける前に、 闇の塵となって消え失せた。
「さて……邪魔者も消したっと。」
「アンタ、俺たちの味方なのか……!?」
未だ重力のダメージに悶え苦しんでいるポルンが、ベノスティングに問うた。
「『味方』って言うと微妙だな…… ブラックホール復活阻止の目的は同じでも 俺たちはあんたらと競わなきゃいけない。」
「……!?何を言って……」
「 無駄な質問はよしな 。5G の重力をもう1分以上かけ続けてる……動くと死ぬぜ?」
「ふざ……け……」
「まぁ落ち着けや、オレはな? ちょっとした交渉をしに来たのさ……あんたら光の同盟とな。」
「……!?」
「 ブラックホール復活の鍵、心の大樹。 そして、そこにいる白鎧の野郎共、あとはシャイニールミナス…… 全部置いて帰りな。そしたら命だけ見逃してやるよ。」
(なにが交渉だ!? ふざけやがって!ただの脅迫じゃねえか! YES と言えば こっちのミッションは何から何まで失敗、 No と言えば殺される!)
「どうした?早く答えねーと、骨折れるぜ?」
実力的にはこの中でナンバーワンであろうエターナルも、 コンプレッサーの力には勝てないようだ。
ポルンの痛みも、やがて「麻痺」に変わっていく。身体のどこがどう壊れているのか、 彼自身にも分かっていないのだ。
(くっそおおおお!どうする!?どうする!?)
「 言うこと聞きたくねえみてえだな……そんじゃ仕方無い。二重詠唱を……」
と、その時。
突如乱入した何者かが、ベノスティングの意表をついて奇襲。
スチームガンを蹴り上げ、装填されていたコンプレッサーボトルを弾き出した。
突然、ウソの様に消える身体の重み。
ポルンの目の前には、大人の気品漂う女性が立っていた。
ポルンは、彼女を知っていた。そしてそれは、ベノスティングも同じだった。
「アンタ……」
「良く頑張ったわね。ポルン君。もう大丈夫よ。」
彼女を見たベノスティングは、酷く不機嫌そうに言った。
「なんでアンタが出てきちまうんだ?」
「先日とあるグリードと契約してね。嗅ぎつけやすくなってるのよ……どす黒い欲望の臭いを。」
「人類史最大級の欲望を生んだ女が言うかね。全くとんでもねーのが出て来やがった……なぁ、火野明美!」
「あら、私そんなに有名なのかしら?」
「先日、ウィザードを抱き込んだ直後さ。 張り込んでた別動体が、 全員半殺しにされて帰ってきたよ!」
木下のその言葉には、怒りや憎しみの他に、「焦り」が混じっていた。彼女の驚異的な実力を感じ取っていたのだろうか?
「彼等、準備運動にもならなかったわね。もう少しちゃんと鍛えてあげたら?」
「貴様……ナメるなよ。」
「そう、 じゃあ『仕方ない』わね。」
明美は、懐から三角形のベルトを取り出し、誰かに囁くように呟いた。
「行きましょう。ワント。」
姿なき誰かに囁いた明美。
その瞬間、彼女の体から3枚のコアメダルが現れた。
空中に散布するその3枚を掴み取り、 側面の穴から3枚とも、ベルトに装填。
バックルを思いっきりひねると ベルトからけたたましい効果音がした。
『トキ・スワン・ペンギン!』
『ト〜キワ〜ギン〜!』
首元に白いマントを羽織り、 鳥の頭を模したヘッドを持ち、 背中に白い翼の生えた白いオーズに変身した。
『 有毒色の協奏曲 黒と紫の織りなす混沌の宴で踊ろう
魔王の招待状、死神の手招きに応じ……』
ザンッ!!
ベノスティングが 二重詠唱を唱え終える前に ウィングオーズは 彼を斜め右に切り上げた。
「……!?」
「 遅いわね。少し、響鬼さんをリスペクトなさったらどう?」
圧倒的戦力差を見せつけられたべノスティング。もはやぐうの音も出ない。
「 大人として一応提案させてもらうけど、 そちらの敗北も明らか、こちらも譲るわけにはいかない。ここは一度、退却したらどうかしら?」
「 遅かったな。 戦場と滝沢って俺の部下が、 大樹を今別の場所に移してるよ。」
「……!?」
「 安心しろよ……ルミナスと野郎どもは諦める。 どの道世界を取るのは、俺達『
ちょうどその頃の大樹が 二人の怪しげな仮面ライダーの侵入を許していたことに、キュアライダー達は気付かなかった。
同名の者たちが一斉に姿を消し静寂を取り戻した心の大樹の上で、初めて口を開いたのは明美だった。
「あなたたち、よくここまで耐えたわね。」
「何者なんです?アイツ……。」
「ポルンくんは大体のことをクイーンから聞いていたかもしれないけれど、これまでに暗躍していた第三勢力が ついに頭角を現したみたいね。」
「輝ける帝国……。」
「と、その前に……」
明美は、視線をダークプリキュア5と、エターナルに移した。
「 あなた達にもお礼を言わなくちゃね。」
「必要ない。」
「右に同じよ。」
エターナルとダークルージュが同時につぶやいた。
その数秒後、ダークアクアがこう付け加えた。
「うちのリーダーが話があるみたい……ビューティー、あなたにね。」
「私……?」
なんというわけではなく、ビューティーはジョーカーの顔を見た。
ジョーカーは、微笑み返して彼女に呟いた。
「 行ってくればいいでしょう?あなたも心待ちにしていたはずですよ、彼女に会うのを。」
ダークドリームは、性格的に以前より丸くなったが、 それでもなぜか 面と向かってビューティーと 話すのには照れが生まれているようだ。
「 あなたはドリームと違って頭脳派だからもう気づいているかもしれないけど、 私は実は……。」
「 ドリームのコピーでありつつ、あなたが転生した姿が私なのですね。」
「気づいてたのね…… 気色悪いでしょう?自分の前世が闇の戦士として存在してるなんてね……。」
「いいえ。」
「気なんか使うんじゃないわよ!私が邪魔なら、これで消えるからはっきりと……」
「いいえ。 私が前世のあなたであってもなくても、私には私の、あなたにはあなたの大切な人がいるでしょう。 それがすべて、あなたから始まり、あなたから繋がってくれたなら、私はあなたにも感謝していますよ。」
少なくとも ビューティーの目に嘘はなかった。
ダークドリームがその時に流した涙は、温もりか、安心感か…… 少なくともその時 彼女は自分が何者なのか、 おぼろげながらに理解できたことだろう。
「バカね……でも、ありがとう。」
握手を交わす、ダークドリームとビューティー。
世界を救うという 大きく新たな使命を胸に秘め、彼女達は 再び歩き出した。
「 ところでビューティー。 あんたの彼氏、ファッションセンスどうなの?」
「うぐっ……私に言われても……。」
その日、ジョーカーはほんの一瞬、背中に冷たいものが走ったと言う。