プリキュアオールスターズ×仮面ライダー b の復活と s の暴走 第2部   作:鈴木遥

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煉獄の武者に感謝を込めて

・海中でも、闇の同盟とキュアライダースの決着が近づく中で、 キュアライダー側につき戦っていた戦士に、予想外のトラブルが起こる。

 

 

 

クイーンの住まう光の宮殿より 白い鎧をまとった騎士が仕向けられたのだ。

 

今しがた、ムーンライトと共に地獄大使を倒さんとしていたナイトオブチェリーに。

 

 

「 いまいちよく状況読めねえんだけど……?」

 

「光の王子と仮面ライダーディケイド、 妖精連合の元締めであるココ王子からのご命令です。 一時我々に拘束されていただきたい。」

 

 

その言葉は冷淡かつ事務的だった。言葉だけならまだしも、彼らは全員腰に差した剣を抜き、ハヤトに刃を向けて取り囲んでいる。

『妙な行動をとれば、こちらにも考えがある』そう言っているように見えた

 

 

「 どういうこと……!? 彼は、今の今まで必死に戦っていた!横にいた私が保証するのだから間違いないわ!」

 

 

「キュアムーンライト、 たとえあなたのご証言と会っても、闇の同盟との交戦が激化している現在においては力をなしません…… この方にはすでに、第三勢力『輝ける帝国(シャイニーキングダム)のスパイである嫌疑がかかってあるのですから。」

 

「 何を言っているの!?確かに彼の力は突発的なものではあったけれど、 それだけ目覚ましい活躍をしていたじゃない!!」

 

 

頭ごなしにハヤトを疑う兵士たち、そして、ほんの一瞬疑念を抱いてしまった自分にはちきれそうな怒りを覚え 思わず声が大きくなるムーンライト。

 

 

 

「…… その嫌疑とやらはどうすれば晴れる?」

 

「 この場で まず地獄大使に勝利していただき なおかつこの地域で 直後にキングダムの犯行が起こらなければ、 クイーンズスクエアによる裁判が開かれます。」

 

「……承知した。」

 

 

何やら内輪もめを始めた敵兵達を、地獄大使は、面白おかしそうに眺めている。

 

 

「 ワシと戦っている最中に犯人探しなどしおって……いやしかし、愉快愉快。 所詮光の同盟の結束もその程度のものか。ククク……」

 

 

「うるせージジイ! てめえを倒さねとスパイの嫌疑が晴れないんだとよ! ぶっ飛ばしてやるから覚悟しろや!」

 

 

「 それは良いが、貴様ら二人がかりでさっきから、何分斬り合っている? 諦めろ!

かたや奇跡的に得た力で 強くなったと思っている生意気な小僧、かたやいつまでたっても過去の呪いから解き放たれず、自分の檻の中に閉じこもる 月の如く弱々しく光しか出せない弱者めが!」

 

 

その時、地獄大使は、桜色の光弾に襲われた。すれすれのところで交わしていなければ、もろにくらっていただろう。

 

「なに……!?」

 

 

「オレは良い、 でもゆり姉ちゃんは笑うなよ…… 姉ちゃんが、今の姉ちゃんになるまで腐るほど 辛く楽しいエピソードの数々があった!

そのひとつさえ理解できないテメーに……この人を笑う資格はねえよ!!」

 

 

『 春の日に咲く桜の如し…… 大いなる 精霊の力に変わり月光の戦姫を守るこの力。友愛を必要とするものがありし今、全力をもってふるわん。』

 

 

ハヤトは チェリータクトをその手に、瞳に怒りと決意を宿し、二重詠唱を開始した。

 

「貴様も本気か、嬉しい、嬉しいぞ!! この興奮は本郷との戦い以来だ!」

 

 

『 黒きカルマ いにしえよりつづく 煉獄の呪いよ

崇高なる闇に反する、 愚かなる戦士と愚劣なる 若輩者共を焼き尽くせ!』

 

光の騎士たちが見守る中、衝突する光と闇の二重詠唱。

 

 

そのあまりに膨大過ぎるエネルギーは、目に見えない光のドームを作り出した。

 

 

熱とまばゆい光のドームの中で、3人の戦士たちは対峙していた。

 

「ククク……相殺したか。 好都合。外からは誰もここでの会話を聞き取れない。」

 

 

と、 地獄大使は突然、自分の腹にサーベルを突き立てた。

 

「!?」

 

「 あなた何のつもりよ!」

 

「 勘違いするなよ?ハンデではない。 同志に疑いをかけられた状態で、剣に迷いが見られては、楽しくないからな……。」

 

「アンタ……。」

 

「貴様らには理解出来ずとも、 我々闇の同盟には、いやショッカーにはショッカーの誇りがある。

本郷猛の永遠のライバルとして、 弱者が行うようなふざけた戦い方はできんのだよ。」

 

 

「……ねぇ、 あなたを見込んで提案なのだけど、その誇り高さで世界を守る、という方向に移転してみない?」

 

「残念ながら、それはできん。一人の戦士として、ここまで這い上がれたのは、ショッカーという組織があったからこそ。

そこに唾を吐いてシンボルを返上するような真似はできんよ。」

 

 

まだ何かを言おうとするムーンライトだったが、それをナイトオブチェリーが止めた。

 

「ハヤト君……。」

 

 

「全く、 あんたほど敵で残念な男はいなかった。せめて全力でやろうぜ。」

 

 

「 かかってこい。これで最後だ。」

 

 

「『 友愛の風 月光の刃!二つを 指し示す双極の力!今こそ刀身に宿らん!』」

 

「『 怨恨と邪悪なれど、士道もつ、悪道の刃!

武人たる礼儀をもって眼前の宿敵に示さん!』」

 

男二人による、これまた同時の二重詠唱。ムーンライトにはとても割って入れなかった。

 

「うおおおおおおお!」

 

「うらあああああああ!」

 

 

ザンッ!!

 

 

……数秒の沈黙。始めに鳴ったのは、ハヤトが膝をつく音、 続いてムーンライトが息を飲む音。

 

そして…… 地獄大使の刃が砕け散る音だ。

 

タクトによって刃を砕かれ、闇のエネルギーが底をついた地獄大使は、 もはや単なる闇の煙の塊。

 

久しぶりに出会えた愛すべき宿敵に、地獄大使は精一杯の笑みを浮かべながら没していく。

 

「楽しかったぞ……!」

 

「オレもさ。 来世じゃもう二度と、ゆり姉ちゃんを笑うなよ。」

 

「ククク……来世があればな。」

 

「映画村で働けば?売れるかもよ。アンタの顔なら。」

 

「……言ってくれる。そうだ、 貴様スパイの嫌疑をかけられているらしいな。 ひとつ言っておこう。お前は白だよ。 当の組織の元締めから、話を聞いてる。」

 

「元締め……!?誰だ!!」

 

「……☓☓☓だよ。」

 

それが、最後の言葉だった。

 

 

 

闇の煙はどんどん形を失い、跡形もなく消え去った。

 

 

「……また一人、 消えちまったな。」

 

「そうね。 彼が言ってたこと、どう思う?」

 

 

「どうもこうも…… もし奴の言うことが本当なら、この後世界はどうなっちまうんだよ……!?」

 

 

光の騎士たちは、ハヤトに一言詫び、 何やら黄色の宝珠のようなものを持って帰還した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、キュアライダーズは、突然現れた謎の仮面ライダーたちに、レインボージュエルを奪われかけていた。

 

かたや響鬼を彷彿とさせる、赤い鬼の仮面ライダー。

もう片方は 紫色の仮面ライダーデュークに似ている戦士だった。

 

両者とも、クラウンのようなマークがついた金のマントを羽織っている。

 

 

 

 

 

「ちくしょー、何なんだテメーらは!?」

 

「どきなさいよー!!アンタ一体何も……。」

 

キュアプリンセスが言い終わる前に、男は音撃棒を振りかぶり、海中にもかかわらず炎の波を引き起こした。

 

「ワクワクすんなぁ……! キュアライダー達はあの人が思ってたより全然なまっちぁゃいなかった。嬉しいゼェ……!?」

 

「戦場、よせ。 レインボージュエルを徴収したら 帰還せよとのご命令だ。」

 

「まぁ良いじゃねーか。 俺たちの勤労のおかげで時間に余裕ができた 少しぐらい遊ぶ権利はあってもいいと思うぜ?」

電王とブレイド、そして数人のプリキュア達は、 正面にいる敵に全く勝ち目がないことに、薄々気づいていた。

 

「異様な気配……闇の同盟とは違う。確かな目的がある分、余計に恐ろしいじゃないの!」

 

フォーチュンが 絶望する中、 戦場と呼ばれた響鬼を彷彿とさせる仮面ライダーが再び音撃棒を構えた時、 突如、両者の間にデンライナーが割って入った。

 

デンライナーが縦断した後には、光のキュアライダーたちが誰一人残っていなかった。

 

「逃げちまったよ。つまんねーなァ……。」

 

「こちらの実力が 理解できたのだろう。

少しはできる練習のようだが、戦場……貴様というやつは こころの大樹を持ち帰るなり、でかけたいなどと言うから来てみれば、 また振り回されたわ。」

 

「まぁ良いじゃねーか、 レインボージュエルは回収でき……ん!?」

 

 

戦場と呼ばれた鬼の仮面ライダーが後ろを振り返ると シャコ貝の中にあったレインボージュエルは 二つほど穴のようなスペースがある。

 

「 ようやく気づいたか、レインボージュエルは二つで一つの宝玉…… 一つはさっきの連中に持っていかれたようだな。」

 

「マジかよ!?またあの人にどやされらぁ!」

 

 

「 安心しろ。うちの兵隊が先ほど、黄色い方のジュエルを確保したらしい。 俺達も 一旦居城に戻るとしよう。」

 

 

 

 




先日急死された俳優の大杉漣さんを悼み、 涙ながらに一章かきあげさせていただきました。

仮面ライダーディケイドオールライダー対大ショッカー以降 平成映画に登場する地獄大使は全てあのお方が演じていらっしゃいました。

先の劇場版仮面ライダー1号では劇中に本郷猛に体をいたわるよう勧められる地獄大使のシーンがあり 今思えば何かの予兆だったのかもしれません。

日本を代表する名バイプレーヤーの一人、 これをお読みくださったあなた様が いつの日かあの方を思い出してくださいますよう
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