プリキュアオールスターズ×仮面ライダー b の復活と s の暴走 第2部 作:鈴木遥
・並行世界の境界での戦闘開始から30分。
闇の同盟討伐作戦の発案者、光のクイーンの居城に、帰省した者があった。
「クイーン!ポルン様がお目通り願いたいと。」
「構いません。通しなさい。」
立場上か、特に検閲などされることもなく、クイーンのいる客間へ通されたポルン。
クイーンが最後に目の当たりにした数か月前以上に逞しく見えた。
「久しぶり……。」
「ええ、本当に逞しくなりました。その様子だと、幾度か視線を越えてきたようですね。」
クイーンはテーブルに着き、従者に二人分の紅茶を指示した。
その際、ほんの一瞬、庭の巨大な水晶塔にクイーンの目が行ったのを、ポルンは見逃さなかった。
「キーアイテム5つのうち、3つを確保したとか。戦士たちには頭が上がらないわ。」
「盗られたモンもあるがな。それより、気になんのは第三勢力だ、奴らは得体が知れねー。」
「だから、境界ではなくココへ赴いたと?」
「さっすがクイーン、話が早え。な、何か知らね?」
クイーンは紅茶を置き、首を横に振る。
「残念ですが、私は何も。」
同じ様に、ポルンはも紅茶を置く。
「奴らの目的、何だと思う?」
「さあ…。」
「どっからあの戦力や、ライダーシステムを得たのかな?」
「さあ……。」
これ以上、問いただしても無駄だと判断したポルンは、少し間をおいてから言った。
「じゃあ、最後に聞くけどさ。」
この質問で、どうかボロを出さないでくれと祈りながら尋ねる。
「第三勢力の頭目はクイーン、アンタなんじゃない?」
数秒置いてから、クイーンは答えた。
「何を言っているのでしょう?」
ポルンは、『疑念』を捨てるための一筋の『希望』を諦めた。
ポルンの『疑念』が『確信』に変わってしまったからである。
(残念だがこの人、ウソついてるな……!!)
「最初の違和感は、出発前だ。 必要なキーアイテムのうち、レインボージュエルやメビウス、魔法石コアに関しては、 実例があるから納得できる。 でも、コアミラーや知恵の実に関しては、 光の側のアイテムな上、誰かの意識が入ってる。ブラックホールの 肉体錬成にはむしろ邪魔なんじゃないかと思ってな。」
「……それで、なぜ私が?」
「誰から聞いた訳じゃねー、けど……アンタの指示で、しかも 何か裏があった、とすれば、すべて辻褄が合うんだよ。」
「裏……?」
「今庭にある『アレ』が、 それを裏付けてくれた。」
ポルンは、庭に置かれている水晶塔を指差した。
「あれはタダのオブジェじゃねーよな?あそこから、アンタの……そしてルミナスの気配がする!」
「……!」
「そっから導きだされる答えは一つだよ…… 場合によっちゃビッグバンも、 あんたにまんまと騙されてた。 真の目的はキュアライダー達と闇の同盟を止めることじゃない。 あんた自身の力を取り戻して 同盟もキュアライダーも、 全部あんたの手中に入れることだったんだろう?」
そこまで話した事を、ポルンは少々後悔した。
こんなことが言いたかったわけはない。悠久の時を共に過ごし、この女の弟子として生きてきた妖精である自分が、この女を疑うことを本意としているわけがない。
根拠も理屈も抜きで、この人を信じてやらなきゃいけないのはわかっている。
けれどポルンは気づいでしまった。
ロイヤルポルンになってからの戦いの中で、彼女への敬服や、 なぎさと出会う前の時間の思い出以上に、大切な
人々にであった事を。
それらを何より全力で守りたくなっていたことを。
身勝手ではあっても、ポルン は祈った。
クイーンが必死で疑惑について否定してくれることを。
1分が経過しても、クイーンは黙りこくったまま、何も答えない。
「……どうしたの?図星?んなワケないよね?」
「……。」
「……ねぇ、答えてよ。」
「……。」
「答えろって。」
「……。」
「答えろ!!!クイーン!!」
不安、恐怖、怒り…… 様々な感情が手伝って、ポルンはいつのまにか叫んでいた。
「あなたの言う通り、私が
ポルンの表情は凍りついた。
答えろと怒鳴ったにも関わらず、一番返してほしくなかって答えが返ってきてしまったのだ。
「……いつからだ!?」
「 ブラックホールの復活を感じた時からです。」
毛ほども気に留めていないように淡々と、クイーンは答えた。
「……ずっと騙してたのかよ。」
「 あなたの言うとおり、将来の目的は私が完全な力を取り戻すこと。でも私と、キュアライダー達との間には、 根本的な思想の違いがあった。 」
「何の話だよ……?」
「キュアライダー達は統治する事が目的ではない。 世界を救った後はその後の 世の中の運営に口を出さない場合がほとんどです。
けれど私は、 我々シャイニーキングダムが 世界を統治し正しく導くべきだと考えている。」
「どうでも良い…… ルミナスをあの変な装置に組み込んだ目的はやはり、 あんたの肉体を前に戻すことか。」
「ならどうするんです?」
「決まってんだろ。 あんたのことはココ王子に伝えて、
この場でルミナス連れて帰る。」
ポルンのその言葉を聞いたクイーンは、面白くて仕方がないと言うようにクスクス笑い始めた。
「何がおかしい!!」
「何がおかしい……ですって? 私が第三勢力の親玉だと認識していながら、ノコノコ一人でやってきたというのが愚かしいと分からないのですか?」
ポルンは黙りこくってしまった。彼女の言うとおり、彼女が敵である可能性が1%でもあったというのに、ここに一人でやってきたのはあまりに 無謀だと言える。
「 あなたのことだから 仲間を巻き込むまいと一人で来たのでしょうけど その無謀さで 果たしてルミナスを抱えてここから脱出できますか?」
「やってみなきゃ……わかんねーだろ!」
ポルンはスマホとカードを構えると レッツ ロイヤルコンテンツを詠唱することなく ロイヤルポルンに変身。
刃を構えクイーンのもとに飛び上がる。
「 詠唱破棄ですか やはり死線をくぐり抜けてきたようですね……でも……。」
突如斬撃の波が、背後からポルンに斬りかかった。
「ってェ……!」
「普通『痛え』じゃ済まねーよ。 クイーンの言う通り、バケモンだなこいつ。」
ポルンの背後には いつのまにか灰色の仮面ライダーと ふたりのイマジン、 そして四方に これまでの仮面ライダーの異世界にはあり得なかった戦士たちが、ポルンに武器を向けて囲んでいた。
「ベノムスティングに戦鬼…… 知らねえ奴もいるな。
そんであんたが零電王、片桐慶か。 何だ、何もかも報告のまんまじゃねーか。」
「 ご無沙汰、光の王子殿。 火野明美がいなかったら お前さんも無事確保できてたんだが、そうも言ってられなくなったんで、今捕まってもらうぜ?」
「テメーら満足かよ。 クイーンの絵空事に尻尾振って、そんな得体の知れねぇライダーにしてもらって満足か」
怒りと呆れも待ち合わせたポルンの言葉に、零電王が反論した。
「 お前にとって絵空事でも、オレたちにとっちゃ正義の計画だ。 邪魔をするなら容赦はしねー。」
「そうかい。んじゃ……。」
ポルンはまたしても、スマホにカードをかざす。
「片桐、止めろや!」
ベノムスティングが 叫んだ時にはもう遅く、『Smoke』の カードをかざしたポルンは スマホの画面から濃い煙を発生させ、全員の視界を撹乱した。
「 皆急げ! やつの目的は庭のルミナスだ!」
ルークの指示に従い 全員が庭を目指すが もともと結成したばかりでチームワークはほぼ皆無な一同。
武器を乱射するが、煙で視界が塞がれているため、流れ弾は全て味方に当たる。
予想通り、 水晶塔の中に ルミナスは磔にされていた。
『BREAK』のカードで水晶を破壊し、拘束を解き、肩に担ぐ。
「待たせたな。」
催眠によって気を失っているため、 呼びかけても本当はない。
「そこだァ。」
ベノムスティングが ポルンの足を狙って狙撃した。
「ぐぁあ!」
「諦めな、大人しく。」
彼の声を頼りに、他のライダー達がポルンを取り囲もうとしたその時。
「止めなさい!貴方達!」
焦りに満ちたクイーンの声と共に、 全員が武器を納めて クイーンの玉座を見る。
クイーンは玉座の前に立ちふさがる女を見て 焦りの表情を浮かべていた。
「よりによって、またあなたですか……!?火野明美さん!」
「最近ずっと若いコ達と一緒だったから、どうも感情移入しちゃってね。」
火野明美は、クイーンに禍々しい黒い卵の様なモノを差し出して言った。
「『闇の卵』……それをどこで!?」
「さあね。教える義理はない、けど、ココで割ればどうなるか、お判りでしょう。光のクイーン。」
卵、とあるがその実態は核弾頭級の危険兵器。光のエネルギー反応して大爆発を起こす。
無論、ここで割りでもすれば、クイーンは宮殿や部下もろとも木端微塵だ。
「……何が望みです」
「ポルン君を逃がす事、かしら?王宮の外まで」
「それならもう叶っています。今頃とうに王宮の外でしょう。ただ……。」
クイーンは何やら、明美を嘲笑う様に言った。
「王宮の外が安全かどうかは、別問題ですが。」
王宮を出るなりポルンを襲ったのは、巨大なプラモンスター、ゴーレムだった。
ただし、相馬晴人/ウィザードの操るそれと違い、色は白かった。
「マジかよおい……。」
ルミナスを担いでいる以上、あまり派手には動けない。かといって、今や宮殿に味方はいない。
床に降ろして戦うのは、あまりに危険だ。
そうこう考えている内、ゴーレムの重い拳が迫る。
「くっそお!」
「アーマーゾォン!」
「アマゾンッ!」
背後から響く二人の掛け声。
気が付けば、コアになっている巨大なウィザードリングを破壊され、ゴーレムは粉々になっていた。
たった二人のライダーによって。
ポルンの前にいたのは、仮面ライダーアマゾンオメガと、彼によく似た見知らぬライダー。
「無事かい、ポルン君!」
「水澤さん!?えっと、こっちは……。」
「仮面ライダーアマゾン。大先輩さ。」
「まさか、あの昭和の初代アマゾン!?」
アマゾンは頷くと、指で友好のポーズを作った。
「ハルカ、ポルン、トモダチ。」
ポルンが照れ臭そうに笑いながら、礼を言った。
と、その時。
宮殿から、甲冑の兵団が迫って来た。
「どうやら時間もない様だね。ポルン君、彼らは僕らに任せ、行くんだ!」
「でも、二人であの大軍を……。」
「君がルミナスを守って、僕らが兵団を抑える、良いかい?僕達は誰もが、最もベストなポジションで戦うべきだ。」
ポルンは頷き、二人に背を向け走った。
行く当てなどなくても、生傷が痛んでも、彼らの明日は、死地で歯を食いしばって生き抜いた先にしかないのだから……。
明美は、二人がポルンを逃がしたと確信した後、卵に力を加えた。
少しずつエネルギーを抜くことで、卵はしぼんで消えた。
「これから、この組織は何をする気?」
「今に分かりますよ。そこに座っていれば。」
「……!?」
玉座の吹き抜けから見える空は、まるで穴でも空けた様に、部分的に黒かった。
そう。まるで、ブラックホールのように。
「ブラックホールとは、首領の名であると同時に、その領域の名を指す。」
「領域……!?まさか!!」
「そう。あれこそが闇の同盟の総本部。宇宙を不規則に移動する居城です。」
「これを狙って、吹き抜けを!?」
「ええ。
クイーンの狙い、それは、今この場で闇の同盟と接触、あわよくば壊滅させることだった。
「今そんな事をすれどうなるか……!」
「両者この規模でそんな事態になれば、どちらが勝っても多大な影響が出る。だからこそ、キュアライダー達は本部への攻撃を避けていた。ですがもう、どうでもいい。」
クイーンの合図に合わせる様に、その場のライダー達が空へ武器を構える。
「勝てばいい。違う意見は、闇を潰してから中和すればそれで……。」
「クイーン!あなたは……!」
明美が叫んだその時。
「……!!!」
怒号、爆音、断末魔……!世界を一つ破壊しかねない大戦が、今幕を開けた。
一方、境界では……。
『HYPER CRITICAL SPARKING!!』
『SPARKLING FINISH シュワッとハジケル!!』
「はああああああああああああああああああああああ!!」
「おのれ貴様らァ!私を消しても闇は消えんぞ!」
灰クグツの呪いの宣言にも、新世代のホープたちは動じない。
「何度やられても立ち上がり!」
「闇から世界を守り抜く!!」
「それが私達プリキュアで!」
ホイップに続き、ビルドとエグゼイドが叫ぶ。
「「僕/俺たち仮面ライダーだ!」」
二人の決意のこもったWライダーキックに、灰クグツは為すすべなく爆発四散。
境界での決着に歓喜する一同は、新たなる終末の足音に、きずく術もなかった……。
・また枠移動ですいません!!
理由としては、はぐっとプリキュアの参戦、及び伏線を残したサブライダーさん方と、映画公開を控えた皆さんの調整、というわけで第三部、明後日スタートです。