プリキュアオールスターズ×仮面ライダー b の復活と s の暴走 第2部   作:鈴木遥

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裏切りと鏡とオーディンの真相

・『それ』が 『ミラモンスター』なのか、あるいはミラーワールドに鎮座する物体なのか、他世界からやってきた物質あるいは動物なのか、かつてこの世界を掌握していた神崎士郎ですら 、その真相を知ることはない。

 

だが 今現在、間違いない事実は 、それが神崎士郎が少年時代を過ごした 神崎邸跡に鎮座していることだった。

 

「ここで、間違いないのね?」

 

ルージュはダークドリームに尋ねた。

 

「ええ。シャドウの鏡にこの屋敷が写っていたわ。」

 

「 広場に残してきた皆さんや、城戸さんが心配です!急ぎましょう!」

 

レモネードに頷き、屋敷に入ろうとした瞬間、 突如彼女たちの周りをゆがんだ鏡が多い尽くした。

それは、どこから現れたのかわからない。

突如を上から降りてきたそれは 、明らかに彼女たちの行く手を阻もうとしていた。

 

鏡が現れると同時に、 頭上から不敵な声がした。

 

「 一歩リードしたとでも、言うつもりかしら?お嬢さんたち……!」

 

「なんて執念深い!」

 

「ルージュ、レモネード、行って!あの女は私が止めるわ!」

 

「でも……!」

 

「いいから行って! あいつらに鏡を奪われたら、それこそ勝利はありえない!」

 

ダークドリームが両手から薄紫色の光線を放つと、周りに浮遊していた姿見はすべて粉々に砕けた。

 

「チッ!小癪な……!」

 

 

 

シャドウが睨みを利かせている間に、ルージュとレモネードが屋敷の中へと走っていった。 それを必死に追わんとするシャドウだが、 それをさせるほどダークドリームものろまではない。

 

背後から、回し蹴りを放ち、シャドウの動きを封じ込める。

 

「形勢逆転……ってとこかしら?」

 

「あの子達、後悔するわよ!屋敷の中にあるコアミラーの正体を知らないまま乗り込んだりして。

一体どうなるかしらねェ。」

 

「……どういう意味!?」

 

 

 

シャドウをダークドリームに任せ、先だって神埼邸に乗り込んだ ルージュとレモネードは、屋敷の中を必死でかきまわしていた。

 

「大きな鏡、鏡……。」

 

「そんな小さくはないんですよね?一体どこに……。」

 

ルージュは押入れから、一冊の分厚い本を取り出した。 アルバムのようで、中には膨大な量の家族写真が入っている。家族写真とはいっても、写っているのは神崎士郎と、その妹と思しき幼い少女ばかり。東京タワーで城戸にあったとき、 何気なく彼ら兄弟についての話を聞いたことがあった 神崎の妹には不思議な力があり、 それを恐れた両親によって監禁されてしまっていたのだそう。

 

仲良く遊ぶ兄弟の写真。それを見ながら、ルージュは、ひとつ違和感を覚えた。

 

「この写真……誰が撮ったんだろう……!?」

 

写真の横にあるタイトルと思しき文字は、どう考えても子供の筆跡ではない。 が、果たして両親がこんな写真をとるだろうか?

城戸の話によれば、 神崎の両親は彼の妹の存在そのものをなかったことにしようとしていたらしい。

 

もう一人、誰かがいたのだろうか?この屋敷に、神崎一家以外の誰かが……?

 

 

様々な推測を始めていた時、玄関からレモネードの声がした。

 

「りんさん、りんさん!来て下さい!早く!」

 

「どうしたの!?」

 

レモネードは、靴箱の近くにある『何か』を見て怯えていた それは大きな姿見だった。

だが当然、ただの姿見ではない。 それはゆがんでいた。

さながら、門矢士が並行世界を渡るために出現させる、世界を掛ける橋のように。

 

「これがコアミラー?言うほど大きく無い様な……。」

 

 

とにもかくにも鏡に触れてみる。

 

 

 

 

 

 

 

その瞬間、ルージュ達の 脳内に全開したダムのように押し寄せてきたのは、ある人物の記憶だった。

 

映像が、記憶が、声が……波のように押し寄せ、彼女達の目と耳、あらゆる情報の受信器官を埋め尽くす。

 

 

 

それは、遠い日の記憶。

 

後に彼がオーディンとなり、壮大なるバトルファイト事件を引き起こす発端となった日の記憶。

 

 

 

神崎士郎はこの日、この屋敷である一人の客を迎えていた彼は、久しぶりに声を荒げた。

 

相手は、カードデッキの開発に五年の間出資してくれた男だった。

 

「ふざけないで下さい!あなたともあろう人が、そんな胡散臭い団体に……!」

 

「私は至って真剣だよ神崎君!我が財団と共に歩めば、君や私の様に、大切な人を失う人をこれ以上増やさずに済むんだ!」

 

「邪悪の神に心酔する財団など、ろくなものでないに決まってる!目を覚まして下さい、✕✕さん!」

 

「その名は捨てた!今の私は灰クグツ!いずれ邪悪の神の眷属となる者だ!」

 

神崎の目に映るその男は、もはや彼の知る善良な科学者ではなかった。

誰の言葉も耳に入れることなく、自分の世界に、自分の殻に閉じこもる醜悪な化け物だった。

こいつが解き放たれれば、世界に何か、重大な異変が起こる。

この時神崎は、すでに感じ取っていた この時彼が男を止めることが出来ていたら…… いや、そんな可能性すら吹き飛ぶほどに、事態は最悪だった。

 

「なるべく平和的に解決したかったが、仕方ない(・・・・)なァ……!」

 

不気味な一言と共に、男の身体を灰色の煙が包み、男は灰色の呪術師の様な風体に変化した。

 

「あなたは……!」

 

「言ッタ筈ダ。私ノ名ハ灰クグツ。大イナル闇ノ眷属ナリ……。」

 

何か言おうとする神崎の口を塞ぎ、懐から1枚のカードを出した。

 

『クリエイトベント』

 

「私のアドベントカード!?なぜあなたが……!」

 

「モハヤコノ技術ハ、君ノ専売特許デハナイ……!」

 

 

クリエイトベントから放たれた黄金の不死鳥は、神崎の身体を貫き、邪悪なる支配欲と、非冷静な思考で満たしていく。

 

フェニックスに貫かれた彼の瞳が黄金に変わると、机の上にあった未完成のカードデッキが、怪しく黄色に光った。

 

「本日ヨリオマエノ名ハ……オーディン!」

 

「オー……ディン……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

ふと気が付くと、ルージュは再び、玄関の姿見の前に立っていた。

 

だが、見たもの聞いたものは何一つ夢ではない。

 

「今の光景って……!?」

 

混乱するレモネードに、ルージュがまだ姿見を見たまま答えた。

 

「信じたくないけど、これがバトルファイトの真相……!!」

 

 

〈その通り。〉

 

『その声』は、上下左右のどこからでもなく、ルージュとレモネードの頭の中(・・・)に直接響いてきた。

 

「あなたは……!?」

 

〈私の名前は神崎優衣。 バトルファイトの主催者、神崎士郎の妹です。いいえ、今は『コアミラー』と名乗った方が良いのでしょうか。〉

 

ルージュとレモネードの全身に、雷に打たれたかのような衝撃が走った。考えられなかった、予想だにしなかった事実を、突然目の前に突きつけられたのだ。

 

「そんな!あなたが……神崎の妹がコアミラー!?」

 

「そんなのおかしいです!城戸さんが言うには、 前回コアミラーが出現したときも、あなたはちゃんとそばにいたそうじゃないですか!?」

 

〈真司の知る神崎優衣は、ミラーワールドの作り出した虚像……とは言え、取り残された兄が気がかりで、鏡を通じて彼女達を見守っていたんです。〉

 

「まだ信じられない。貴方がコアミラーなら、なんで世界を壊す邪神の復活材料になんて……。」

 

〈他のアイテムにも言える事ですが、 どんなものにも初めから悪意など存在していない。 利用する『誰か』に悪意があるからこそ、それは『脅威』になってしまうんです。〉

 

返す言葉がなかった。そもそも発端は、闇の同盟という組織がこれらのアイテムを悪用し、邪神を復活させようとんだことに起因している。

 

〈 私のお願いはただひとつ。兄が残したミラーワールドの残骸を破壊し私は悪用しようとする組織を止めていただきたいんです。〉

 

「ヤハリココニ来テイタカ、コアミラーヨ……。」

 

頭上から、あのドスの効いた声がした。

 

突如神崎家の屋根に穴が開き、衝撃波が二人を襲う。

 

廊下の奥に吹き飛ばされるルージュとレモネード。

 

彼女たちの前方には、憎むべき強敵がいた。

 

「灰クグツ!アンタ……!!」

 

「見タヨウダナ、キュアルージュ……私ノ過去を!」

 

「ええ見たわよ!!アンタが神崎さんを唆して、オーディンを遣わす様に仕向けたのをね!!」

 

灰クグツはルージュには反応せず、後ろの鏡に向き直り、袖口から触手のようなものを出現させ、コアミラーを突き刺した。

 

〈く……!〉

 

普通のうめき声をあげる、コアミラーの中の優衣。

 

「ちょっと!止めなさいよ!その鏡には、優衣さんの魂が……!」

 

「分カッテイル。我々ノ目的ハ鏡ソノモノ。『中身』ナド、ドウナッテカマワン……!」

 

〈アア……!!〉

 

優衣の悲痛な悲鳴を聞き受け、ルージュは憤慨し、空中からファイヤーフルーレを出現させた。

 

「止めなさいって……!」

 

「りんさん……!?」

 

レモネードが止めるのも聞かず、灰クグツに突進するルージュ。

 

「言ってんでしょうがァァァァァ!」

 

フルーレの赤い刃を素手で受け止めるも、彼女の怒りの篭った押し出しに耐えきれず、 屋敷の外へと吹き飛ばされた。

 

「りんさん……!」

屋根の上からは、接戦だったダークドリームとシャドウが、その様子を見下ろしていた。

 

「新手!?なんて邪悪な気配……!」

 

 

 

「灰クグツ様!?しばしお待ちを!こいつらすぐに片付けますわ!」

 

「シャドウ。構ワン、オ前ハモウ、用済み(・・・)ダ!」

 

「……!?」

 

驚愕と恐怖にその表情を歪ませるシャドウ。だが、彼は冗談など言っていなかった。

なぜなら、神崎を地獄の淵に落とした魔のアドベントカードがその手に握られていたからだ。

 

「お……お待ち下さい!私はまだ、貢献出来ます!」

 

「ナラバ存分ニ働クガ良イ。ミラーワールド『ソノモノ(・・・・)』ヲ破壊スル『兵器』トシテナ……!」

 

灰クグツが投げたカードはシャドウの身体に入り込む。

 

突然、 狂ったように喚き散らすシャドウから、銀色の煙が吹き出し、辺りを高熱と異臭が包み込む。

 

「アアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

ミラワールド前駅に響き渡るシャドウの悲鳴が治まった時、そこに居たのはシャドウでも、ミラーモンスターでもない化け物だった。

 

全身が銀色の巨人に変異し、 顔にはオーディンを彷彿とさせる仮面がつけられ、髪はボサボサ、爪が伸び放題になったそれは、全身から殺意を剥き出しにしていた。

 

「アンタ……アイツに何したワケ!?」

 

ダークドリームや自分たちの分身をひどい目にあわせたシャドウに、もはや同情の余地などないことはわかっている。

だが、心無き兵器同然にされ、理性の吹き飛んだ彼女を見て、ルージュの良心は間違いなく傷んでいたのだ。

 

「モハヤ利用価値ノナイ者に、理性ナド必要ナイ。」

 

「部下を……仲間を、アンタ何だと思ってんのよ!!」

 

「使イ捨テノ駒……ソレ以上デモ、ソレ以下デ…!?」

 

灰クグツのセリフの途中で、 全く隙を作らずにファイアーストライクを発射。

 

「あったまきた!!アンタらが何企もうと、この情熱の炎で絶対に焼き尽くす!!」

 

ミラーワールドのコアミラー争奪戦、いよいよ佳境へ!

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