プリキュアオールスターズ×仮面ライダー b の復活と s の暴走 第2部 作:鈴木遥
・ヘルヘイムの森にて闇の同盟と対峙したキュアライダー達は、森の至る所で、熾烈極まる戦闘を開始していた。
capture 1
カレハーン v s キュアパイン&ハニー
ダークフォールの元幹部で、枯れ木を司る滅びの怪人、カレハーンは、ヘルヘイムの森に住まう生物たちを、この上なく軽んじていた。
「あ〜鬱陶しい……!何が選別の森、何が知恵の実。
生命の力など皆総じて鬱陶しいのみよ。」
念動力で瞬く間に、植物を枯らせ、周りのインベスを死滅させるカレハーン。
「そんな事はないわ!この森が出来るまでに、幾億もの生命の営みと、懸命な育みのドラマがあったのよ!?」
「そして出来上がった全てが、私達を形作っている!」
パインの必死の説得もまるで通じず、紫の果物を容赦なく踏みつけ、太い木の幹をへし折るカレハーン。
「知った事か。こんな気色悪い木々のドラマなど、関わりたくもないわ。」
「止めなさいっ!」
パインは黄色いカギの妖精、キルンを呼び出し、パインフルートを出現させる。
『癒やせ、祈りのハーモニー!キュアスティック・パインフルート!』
『トリプルダンスハニーバトン!!』
スティックとバトンを使い、黄色い風を巻き起こすパインとハニー。
彼女の目から、先程の穏やかさは消えていた。
「「癒やしの力、見せてあげるわ!」」
capture 2
カブト&マーチ v s コーカサス
彼が天道総司に敗北して、何年が経っただろうか。
闇の恩恵を受けて、パワーアップしたハイパーゼクターを手にした彼は、今再び天道を前にしても、その手に黒い薔薇を携え、余裕な態度を崩さずにいた。
「まさかこんな形で再開するとはな。オレに敗れたのが
そんなに悔しかったのか?」
「私のバラに彩りを加えましょう。幼気な弱者の絶望と奢者の鮮血を……。」
「天道さん!」
「離れてろ、キュアマーチ。オレが加減して勝てる相手じゃない……!」
至って冷静に呟く天道。だが、マーチには、異様なほどはっきりと感じ取れていた。
幾度となく、修羅場を潜ってきた者だけが放つ、強者のプレッシャーを。
マーチがその場を離れようとした時、両者は腰についた装置に手をかけた。
「「クロックアップ。」」
『croc up !』
その瞬間、二人の周りだけ、時間の流れが遅くなった。
見方によっては、二人が神速化したとも言える。
景色から、部分的に滲み出たかのように、躍動する二人のシルエット。
何の前触れもなく、頬をかすめる追い風。
目に見えない力によって折れたり、倒されたりする木周りの木々。
否応なく、彼らの神速の戦場が、どれだけ凄まじいかを思い知らされる。
(これ、私要らなかったんじゃ……!?)
いけないとは思いつつ、マーチは少し思ってしまった。
capture 3
仮面ライダー暗君vsキュアブルーム&イーグレット
「ウオァァァァァァ!」
「「ハァァァァァ!」」
アーマードライダーと化した、ゴーヤーンの鉄拳の嵐を果敢にかいくぐり、一瞬の隙も見せずに反撃のチャンスを狙う。
「ぬん!!」
巨大な腕から放たれる、闇の波動。とっさに二人は精霊の光を放つが、威力を殺しきれず、森の奥まで飛ばされた。
それでも果敢に反撃しようと、体勢を変えるが、二人の全力の拳も、巨大な腕にあっさりガードされ、あっけなく弾き返した。
「くっ!強い……。」
「おやおや、こんなものですかな?」
『ゴーヤエナジーロックシード』の力で格段に変化したパワーを武器に、スプラッシュスターの二人を圧倒したゴーヤーンは、 敢闘するも、遠く及ばない二人を、容赦なく嘲笑う。
「冗談でしょ?何よこの強さ。」
「まるで隙がないわ。一体どうすれば……!」
「どうにも出来ませんよ!!はぁ。こんなに鈍ったあなた方をいたぶるのも興醒めですねぇ。少し
「……!?」
暗君は、召喚したソニックアローを右手に装備し、ベルトの ゴーヤエナジーロックシードをソニックアローに付け替え、ヘルヘイ厶の曇り空に向けて乱射した。
『ゴーヤエナジースカッシュ!!』
緑色の何発もの光弾は、上に登ると同時に、ゆっくりと下降し始めた。
「何を……!?」
「 ゴーヤエナジーロックシードの出力を最高精度まで高めた技です。あの光弾は、光のエネルギーを感知して降下する。森の中にいるあなたがたのお仲間は、根こそぎやられることでしょう。」
「そんな……。」
絶望のあまり表情に影が差す、Splash Starのふたり。
彼の言葉通り緑色の閃光の雨は森のあちこちに降り注いでいた。
カブトサイド
それまで 単なる神速のぶつかり合いに過ぎなかった2人の戦闘は、突然降り注いだ緑の閃光を回避しながらの物となり、至難を極めていた。
閃光の雨はカブトにしか降らない分、戦闘はコーカサスがやや有利と言える。
「ハァ……ハァ……!」
「どうしました?息が上がってますよ……?」
「気のせいだろ?驕るなよ雇われ狼……ぐぁっ!」
挑発し返すカブトの背後からクナイを突き立て、背中に大ダメージを負わせる。
「 強がっても無駄ですよ。
クロックアップのバージョン違いはもとより、ゼクターの基本性能の戦力差も、本人の基礎体力で埋めるにはあまりに広すぎる。従ってこの状況で、あなたが私に勝てる可能性はゼロに等しい。」
「……!」
ゆっくりとカブトに迫り、クナイを構え、着実にとどめを刺そうとするコーカサス。
マーチは、恐怖と当惑に見を竦ませ、動けないでいた。
「バカ!早く逃げろ!」
「……そんな……!?」
自分がとどめを刺されそうな状況にあってなお、マーチの身を案ずるカブト。
だが、「逃げろ」と言われて、自分だけおめおめと逃げ出すほど 、マーチは臆病でも卑怯でもなかった。
「構いませんが……ムダですよ? あなたにとどめを刺した後は、彼女の番ですからね。」
「耳を貸すな! 君だけでも先に入って、知恵の実を勝ち取れば、こっちの勝ちだ!!」
波のように流れ込んでくる二人の言葉を聞いて、マーチは次にどうするべきか、ますます分からなくなる。コーカサスは、ますますカブトと距離を縮め、今にもクナイを振り下ろさんばかりだ。
(くそっ……!どうすれば……!?)
「 黒い薔薇の花言葉は永遠の死……久遠の闇に、沈みたまえ!」
カブトが目前に迫った時、コーカサスは手首のゼクターを180℃回転させ、エネルギーをクナイに流動。
(どうすれば……どうすれば……!)
マーチは切羽詰まり、汗を吹き出した。
『Rider Sting !』
刃が黄金に発光すると、思いっきりカブトに振り下ろそうとした。
「うわぁあああああああああ!!」
詠唱破棄、とでも言うべきか、いつもは必要とするハズの必殺技を、何の準備もなしに放った。
風のエネルギーで形作られた豪速球は、マーチの強靭な足に蹴り上げられ、コーカサスに直撃。
黄金のボディも、さすがの風圧に負かされ、数歩後ろへと吹き飛んだ。
「意外でしたね。見るからに聡明な貴女は、目の前の敵が格上か否か、理解できるかと……。」
「戦っている仲間を置いて、逃げられるもんか!」
冷静なコーカサス。だが、無機質な青い瞳には、とてつもない怒りが浮かんでいた。
「もう、手加減なしで宜しいですね?」
「それはこっちのセリフだ……!」
「……!?」
『HYPER CAST OF!』
腰に【ハイパーゼクター】を装着し、『ハイパーキャストオフ』を完了。仮面ライダーカブトハイパーフォームに変貌した天道は、それまでとは比べ物にならない気迫を放っていた。
カブトの強化変身に合わせ、マーチも【プリンセスキャンドル】を召喚。 プリンセスマーチへと強化変身を果たした。
「覚悟してね……!」
「オレたちはもう、手加減出来んぞ……!」
『プリキュア・プリンセスマーチ……シュート!』
『ハイパー・キック!』
二人同時に放った風と神速の一撃は、黄金甲虫を模した神速の戦士に、確実に致命傷を与えた。
ハニー&パインサイド
「ひゃあっはっはー!!アタタタタタタタタタタ!!」
薄暗い森にこだまする、カレハーンの狂気の笑い声と、 畳み掛ける打撃の連鎖。彼が大地を踏めば、土がぬかるみ、 樹木をつかめばボロボロになる。
それでも果敢に挑んでいくうち、黄キュア二人は一つ、 彼の弱点に気づいた。
土壌の質を変え、植物の生命力を奪うカレハーンは、 一見この戦いに有利なように見える。
だが彼は、森にある生命の状態を、『無理やり切り替えている』だけ。一部のプリキュアと 違い、『森と意思疎通している』わけではないのだ。
(いちかばちか、『あの手』を……。)
そう言ってハニーは、右手のバトンをマイクに変更。
マイクを口元に近づけ、身体の底から出てくるメロディーを歌いだした。
葉末の露がきらめく朝に 何を見つめる 子鹿の瞳
全てのものが 日々新しい そんな世界を私は信じる
己がための争いの先に 何を見つめる開くの眷属
全てのものが等しく笑う そんな世界を我らは求める
ハニーの一度限りのセッションに、耳を傾けたカレハーンは動きを止め、パインはせめて同じように歌い出し、心ないはずの森の木々は生命力を取り戻し、一斉にざわつき始めた。
信じることは生きる源 信じることは光照らすよ
lalala lalala lalalala lala lalalala lalalala lalala lala
lalalala lalalalala……
私は 信じる
歌い終えたハニーは、一連のアクションを行うことなく、ハピネスチャージプリキュアイノセントフォームへと変身。
「何のつもりだ!?小娘がァ!!」
奪った生命力を更に吸収、強化変身する カレハーンの一撃を難なく受け止め、 森の奥へと投げ飛ばす。反動で戻ってくるも、その体はだいぶ痛手を負っていた。
「オノレェ……オノレオノレ!」
ダメージが災いし、半狂乱状態になるカレハーン。
だが、ネズミがネコを噛むような悪あがきも、今の彼女達には通じなかった。
ヘルヘイムの森から受け入れられ、イノセントフォームへと覚醒したキュアハニーの恩恵を受け、 キュアエンジェル状態となった キュアパインも加勢。
わずかに開いたネズミの穴は、彼を敗北へとまっ逆さまに突き落とそうとしている。
「こんなちんけな森ィ……チリも残さず消し去ってくれるゥゥゥゥ!!」
暴走し、さらに理性を捨て、力のコントロールをやめ、無造作に暴れまわるだけのカレハーンを見て、ふたりのプリキュアはここが潮時と判断した。
『癒やせ、祈りのハーモニー!』
『命よ、天に還れ!』
『プリキュア・ダブルイエロー・バースト!!』
キュアスティックと、トリプルダンスハニーバトンから放たれる、二つの黄色い光弾が、 聖なる詠唱の中で共鳴し合い、一つの技となる。
「クソぉぉお!オレは大いなる闇の眷属、カレハーン様だぞ!?こんなところで……認めたくない!認めてなるものか!!……しかし……何という……温…か…い…」
光の側の力でありながら、全てのものを、分け隔てなく癒す力を持つ 攻撃は 闇のものであるカレハーンを、安楽のうちに光に変えた。
やがて静寂を取り戻した森の中でパインとハニーはお互いを見つめ合い、笑っていた。
「さすが先輩プリキュア!勉強になります。」
「いえいえ、ハニーの歌声があったからこそ、彼にかてたんだもの。」
微笑ましい評価の最中にも、森に巣食う野生のインベスたちの襲撃は止まない。
幼体型のインベスが、次々と森の奥から迫る。
「マズイわね。」
「ええ、誰かが知恵の実を手に入れるまで勝負は終わらないんですもの……!」
ガイムサイド
かつて攻略した相手にもかかわらず、やはり闇の力の恩恵を受け、以前の何倍も強くなっている仮面ライダーマルスに、鎧武は劣勢だった。
ザン!ザン!ザン!ドゴ!
森の中に響き渡る、激しい斬り合いの音。
劣勢にもかかわらず、鎧武の思いは、なぜか高まっていた。懐かしさとも、喜びとも、待ちわびていた『何』かが目覚める感覚ともとれる。この気分の高揚は一体何なのだろう。
以前、極ロックシードをこの手に掴んだ時と、同じ感覚だった。
『火縄橙 DJ 銃』(大剣モード)と『無双セイバー』の二刀流で応戦するも、マルスはそれらを軽くしのぐほどに、金のリンゴの大盾と、無双セイバーを上手く操っていた。
「驕ったな。かつて私を倒したとて、その戦績も今では無意味!」
「だとしても、知恵の実はお前らには渡さない!」
「貴様らは知らぬのだ! 知恵の実を手にし、王家の歴史を紐解き、その真実をその目に焼き付ける本当の意味を!その重みと重要性を!」
「元より知るかそんなもん!オレたちの目的は最初から、平行世界の未来を守る事……それだけだァ!」
『火縄橙 DJ 銃』をマシンガンモードに切り替え 200を超える弾丸を連射するが、マルスのボディに当たる直前に、弾丸は空中で止まり、マルスは何やら剣を空中に掲げて、弾丸を操りそのまま鎧武の元へと弾き返した。
跳ね返された弾丸は、鎧武(極アームズ)の装甲をも打ち砕き、紘汰はその場に倒れ込んだ。
「 あの時から成長し、新しい能力を得たのは、自分だけだとでも思ったか?『始まりの男』よ……!」
「念動力……!?」
「 人工的に作られた黄金の果実であった私には、生物としての限界というものがあった。
だが、闇の力によって肉体を複製された私は、その生物としての限界が取り払われたのだよ。その成果がこの念動力……!」
(マジかよ……もう……身体が……!)
「私の勝ちだ!死ね!フェムシンムの遺物が!』
先の攻撃で、体の感覚が麻痺しかけている鎧武に向かい、マルスが『無双セイバー』を突き立てようとしたその時。
「
罵倒とともに、突如何者かが、真横からマルスに斬りかかった。
黒のアーマーに赤い装飾が施され、頭頂部に描かれた、炎のような模様が、男の残虐性と強さを演出しているように見える。手には 電子機械的な剣を持っている。紘汰は、以前電王に見せてもらった、『デンガッシャー』と呼ばれる武器を思い出した。
よく見ると、ベルトも電王のそれに近い。
「仮面ライダー……!?」
「葛葉紘汰さんよ……少し待ってな。いまコイツを、斬り殺すからよ!」
謎のライダーに向かって、マルスは狂ったように喚き散らした
「片桐キサマぁ!同盟に離反するか!?いや、ヴォルテと呼んだほうがいいかな!?」
「好きにしな。 他のメンバーにも伝えたが、俺はブラックホールに忠誠を誓った覚えもねえし、闇の同盟の意思に従うと言った覚えもねぇ。金の切れ目が縁の切れ目。
俺も過去に十字架背負ってる難儀な男でね。 自分を抑えるのに必死だったんだが……。」
片桐と呼ばれた男、仮面ライダー零電王は、そこで言葉を切り、懐からライナーパスを取り出した。
『full CHAGE!』
「何のつもりだ……オイ!待て、辞めろ!」
「レデュエはルークのバカが斬り損ねたらしいな。とは言え助かるよ。
「ま……待てヴォルテ!取引をしよう!私がこの作戦の成果で幹部になれば、お前に莫大な……。」
「殺意を抑える、手間が省けるぜ!」
この期に及んで往生際の悪いマルスの命乞いを無視し、 電王ベルトから発生したエネルギーをデンガッシャーの刃に移り莫大なエネルギーをチャージ。
エネルギーから分裂した、もう一本のデンガッシャーを両手に二刀流で持ち、 まるで巨大な獣をかっさばくかのように、大仰に真下へ振り下ろした。
奇怪な悲鳴をあげて爆散するマルスを見ながら、紘汰は呆然と腰を抜かしていた。
「何してる。もう時間はねーぞ。」
「え……!?」
「 始まりの男だってんならわかるだろ?新しい知恵の実が目覚め、『始まりの女』を選ぼうとしてる。男は不在のままでな 早くしねーと残ってる同盟の連中に取られるぞ。」
鎧武はその時、やっと合点がいった。 先ほどからの気分の高揚は、目覚めた知恵の実の恩恵と祝福を、自分が、いや、極ロックシードが感じ取り、共鳴していたのだ。
「行かなきゃ!知恵の実を守る!アンタ、ありがとな。名前は……?」
「仮面ライダー零電王、だが、オレは味方じゃねー。
今お前をかばったのは、オレの利益の為さ。わかったら早く行け。」
謎の仮面ライダーに促され、鎧武は先を急いだ。自分の感覚のまま、知恵の実が存在すると思われる場所へ。
振り返った時、もう彼はそこにはいなかった。
本文が長くなりすぎましたので後書コーナーお休みいたします その代わりに次回からはキュアライダー両方から1名ずつお呼びしています。
お楽しみに!