皆様あけましておめでとうございます。
ゆるりと続けていきますので、お楽しみいただければと思います
「ふむ、平和だな。」
ドモン達が海へと行っている間、
儂は何をしていたると言うと、楯無に稽古をつけている。
元々の強さもあってか、みるみる内に上達しておる。
ここまでの才能を見るのはドモン以来だ。
「ねえシュウジ、一つ聞きたいんだけど」
言いつけていた日課の稽古を終えたであろう楯無が、
「アナタは今のこの世界を見てどう思う?」
そう聞いてきた。
「どう…というのはどういう事だ?」
近付いている気配はしていた為、特に驚かずに楯無に聞き返す。
「そのままの意味よ。」
ふむ、そのまま…か。
「色々と危うい所はあるが、落ち着いているな。」
「…色々と危ういっていうのは?」
「アイギスが拉致られ、ソーマが大怪我をした時の事を知っておるな?」
「…勿論よ。」
少しだけ表情を曇らせながら楯無は言った。
「あんな大胆な行動を取られるとは思わなくて後手に回ったもの。」
「彼奴等の装備…、個人では用意出来る物ではあるまい。
恐らくは表に出ておらぬ組織の物だろうな。」
「…あの子達の関係者だからアナタにも教えておくべきね。」
呼吸を整えながら楯無は話を始める。
「フレイちゃんを洗脳し、
アイギスちゃんを拉致し、
ソーマちゃんに怪我を負わせた、
それを行ったのは勿論軍じゃないわ。」
「そうであろうな。」
「…
「
その名、しかと覚えたぞ。
いつか熨斗を付けて借りを返してくれようぞ。
「して、彼奴等の目的は?」
「…分からないわ。」
「欠片もか?」
「そうよ、
色々な手を駆使して調べてるんだけど全て不明。
それどころかこちらからは尻尾さえも掴む事が出来ない。」
「中々に厄介だな。」
「ええ、3年前だったかしら。
やっとの思いで見つけ出した基地は既に壊滅した後で、
その場所を見つけたのに、既に逃走した後だって言うんだ物。
骨折り損も良い所よ。」
何故か責めるような目で楯無は儂を見てきた。
「災難だったな。」
「アナタねぇ…。」
「儂を引き入れようとしたのは、
彼奴等の次なる一手の情報でも入手したのか?」
「ハァ…、…そうよ。
奴等の次の標的は…一夏君。」
一度溜息をつきながら、
恐らく決して外に漏らしてはならぬ情報を口にする。
「一夏か…、なるほどな。」
「分かったの?」
「確信では無いがな、故に続きを話せ。」
狙いは一夏、
…いや、一夏であって一夏ではない。
より正確に言うと…。
「一夏君のIS…白式のコアを狙っている。
理由は分からないけど、予想はつくわ。」
「フム、まだまだ白式には謎が多い。
故に奴等はそれを欲しておる…ということか。」
「話が早くて助かるわ、
もし奴等がブラックボックス部分の解析に成功して、
適正関係無しに男性がISを扱えるようになれば…。」
「それこそ情勢が一変するであろうな、無論悪い方向に。」
「それだけは避けなくちゃいけないし、
何よりも…彼はIS学園の生徒よ。
生徒会長である私が守らないといけないわ。」
そう決意の表情を持って楯無は言い切った。
あの眼を見る限り、偽りでは無さそうだな。
「…話は分かった、お主はこれからどうするのだ?」
「とりあえず彼にISの手ほどきをしようかなって、
シュウジの稽古のお陰でかなり強くなってきてはいるけど…。」
「儂が行っているのはあくまでもISを用いぬ稽古。
ISを纏っている時とは動きが違うであろうな。」
「そこまで分かっていながら…。」
「儂と一夏達とでは運用方法がまるで違うのでな、
儂が教えても仕方なき事よ。」
この学園において儂と同じ運用方法なのは、
恐らくではあるがドモンのみであろうな。
「自由すぎるでしょ、まったく…。」
楯無は呆れながらそう言った。
「兎に角よ、
奴等にコアを絶対に渡さないわ。
その為に…。」
「無論よ、火急の用がある時は声を掛けよ。」
「心強いわ。」
「さて、儂は用がある故少し離れる。」
「用?」
「お主の手を煩わせる物ではない。」
最後にそれだけ言って、この場を離れた…。
夜
「…この辺りで良かろう。」
儂は1人で砂浜に立つ。
「儂に用があるのだろう、出て来い。」
先ほど楯無と話していた時、気配を感じた。
あの場を離れた後もその気配は感じていた為、
こうして人気の無い場所へと1人で来た。
「…来ないのであればこちらから行くぞ。」
誰も居ない場所に、再び声を発した後気を高める。
「…いつから気付いていた。」
少しの間待つと、ISを纏ったまま姿を表してきた。
「初めからだ。」
「噂に違わない実力を持っているようだ…東方不敗。」
「ほう、儂の名を知っておるか。」
「知らないとでも思ったか?
3年前に生身でIS3機を撃破し、
その後基地を襲撃、一人も殺さずに壊滅させた男の名を。」
「やけに詳しいな?
さては貴様、
僅かに反応を示した。
当たり…ということだろうな。
「何故そう思った。」
「知れた事よ、確かに儂はISで基地を壊滅させた。
しかしな、それ以前に3機のISを撃破した事は公にはしておらん。」
「…誰かが見ていて漏らしたかもしれないぞ?」
「ありえぬ。
その程度の事を看破出来ぬ程儂は衰えてはおらぬ。
用件を話せ、話したくないと言う事であれば…。」
儂はクロスを手に持ち、
「嫌でも話したくなるようにするまでだが?」
殺気を出しながらそう告げた。
常人であれば気絶しかねないほどの強い気。
しかし目の前の女は、
「…凄まじいな、あの男が言っていたことも頷ける。」
「あの男だと?、貴様何を言っておる。」
この世界において、儂の事情を知るものは少ない。
それなのに迷う事無くあの男と言った。
「…まさか!」
「精々足元を掬われないように気をつけることだ。」
女はそれだけ告げて飛び去った。
あの女の意図を読み取る事は出来なかったが、
一つだけハッキリした事がある。
「儂とドモン以外にもこちらに来たものが居る……という事か。
それも
該当する人物は1人しかおらぬ。
第12回ガンダムファイトにて戦い、打ち破った男。
その胸の内に下らぬ野望を秘めた眼をしていた男…。
「…ウルベ・イシカワ。」
儂は迷う事無く、その男の名を口にした。
「…嫌な予感がしおるわ。」
クロスを腰に巻き、
一先ずはドモンの帰りを待つために儂は自らの部屋へと戻った…。