アイギスとソーマに修行を着け早3年
儂に遠く及ばないとは言え
3年前に比べて格段に強くなった
中でもアイギスの成長は目を見張る物があった
今では流派東方不敗の技の一つ
酔舞・再現江湖デッドリーウェイブを自在に操る程だ
ソーマについては
正直腕前の方はいまいちだ
だが、
どんなに厳しい修行でも必死についてこようとする気概はある
そして・・・
「IS学園?」
最早お決まりとなった全員での朝食の時
束はおもむろに言ってきた
「そうそう、
そこに私の親友であるちーちゃんがいるんだけど、
その弟君がなんとIS適正があったらしくてね、
今年入学するんだー」
「成程な」
儂がISを乗れるという事を世界に知らしめたとき
あの時は大いに世界は騒がれた
それも当然だろう
今までは女性しか乗れなかったものが実は男性でも乗ることが出来ました
これは今までの価値観を根底より揺るがすのに十分だった
それ以降は男性の適正者は表れなかったが
ここに来て等々2人目が見つかった
その世間の反響たるや想像に容易い
「もしかしてだが篠ノ之「束ちゃん」・・・た、束ちゃん」
アイギスが発言をするが、束は素早く訂正してくる
以前はそのまま呼んでいたがそうすると束の機嫌が明らかに悪くなる為
今では多少無理をしてでも呼んでいた
「なにかなーあーちゃん?」
「う、うむ。
もしかしてだが、その親友の弟君を護衛して欲しい・・・という事だろうか」
未だにあだ名が馴れていないアイギスは確認をすると
「半分当りかなー
まあ簡単に言うとあの子を鍛えて欲しいんだよねー」
「鍛える・・・ですか?」
続いてソーマが発言をした
「そそ、
まー、詳しいことは私からは言えないかなー。
ついでに言うと私から鍛えて欲しいって言われたのも言って欲しくはないかなー」
パンの上に卵を乗せた物を頬張りながら束は事も無げに言った
「で、どーかなー?」
「鍛えて欲しいとはいえ、まだ私達も修行中の身。
先生の許可が無くてはおいそれとは・・・」
そうアイギスは救いを求めて儂に話を振る
「別に良いぞ?
自らの鍛錬を忘れなければ問題はあるまいし、
何よりも同年代のIS適正者達との交流は糧となるやもしれぬしな」
そう
この3年間儂がしてきたことと言えば
ただひたすら肉体修行のみ
無論ISについても多少は修行をしたが
正直言ってしまうとマスターガンダムの仕様が特殊すぎてまるで話にもならん
ISという一点のみの事で言えば
儂の知識量はアイギスとソーマよりも下なのだ
「せ・・・先生まで・・・」
望んでいた救いではない言葉だったため
アイギスは明らかに落胆する
「うーん、私は良いと思うんだけどね」
「理由を聞こうか」
「はい師匠、
まず先ほど師匠から仰られたように
何よりも同年代のIS適正者達との交流は糧となるかも知れないと言う点です
次にIS戦闘での技術です
確かに修行をつけてもらってはいますが
師匠がお乗りになられているマスターガンダムと
私達のISでは仕様がまるで違いすぎますし
実際のIS戦闘では近接戦闘以外の状況が殆どです
その時に己の力を過信し撃墜されては目も当てられません
これまで通りの修行は続けるにしても
ISを使用した様々な状況での鍛錬をするべきかとは思います」
ソーマはそう言った後に
「なので、このタイミングでの束ちゃんの提案はとても魅力的です」
そう締めくくった
「うむ、儂もソーマと同意見だ」
ソーマの回答は100点満点は無い物の
90点程の点数をつけられるものであったため
特に付け足す点はなかった
「どうやら賛成多数みたいだけどどーするー?」
ニヤリと笑いながら束はアイギスに確認した
「・・・確かにソーマが言った事は最もです・・・ですが」
しかし、
なおもアイギスは渋っている
仕方があるまい
「ではアイギスとソーマに命じる
この後何時もの場所へと来い」
「「?」」
2人は疑問を浮かべているが
「返事はどうした?」
「「は、はい!」」
そう返事をした・・・
「「お待たせしました」」
朝食を取り終えた後
いつも修行で使っている広場へと2人は来た
「来たな」
2人の到着を確認した後
儂は目の前に置いた大岩に向き直り
「この様な機会はまたとない、
IS学園へと行け」
言葉のみで2人に言った
ソーマの方は行く気が満々だが
やはりアイギスは渋っていた
「どうせだ、
ただIS学園へと行くだけでは面白くはあるまい。
ここで2人に修行の課題を与える」
「課題・・・ですか?」
「そうだ、
IS学園を卒業するまでにある技を習得せよ」
「ある技・・・もしや!」
アイギスは直ぐに思い至ったらしいが
ソーマは首をかしげている
「見ていろ・・・」
儂は短く言った後
気を集中する
「ハアアアアアアアアアアア」
体内を巡る気を腕に集め、
それを放出する為構えを取る
「流派・東方不敗が最終奥義・・・」
カッ!と目を開き
腕に集めた気を放出するべく腕を突き出した・・・!
「石破ぁ!天驚拳!!」
放たれる気は大きな手形となり
目の前の大岩を粉みじんに粉砕した
「あ、あれが・・・!」
「この技はお主等には初めて見せたな」
技の発動を終えた儂は2人へと向き直り
「流派東方不敗最終奥義、石破天驚拳。
これを習得せよ」
「す・・・凄い・・・」
ソーマは今の光景を目に焼き付けているようだった
「この技は心技体全て極限まで高めなければ会得することは叶わぬ
儂が鍛えられるのは技と体のみ、
IS学園へと入学し、心を鍛えよ。
さすれば必ず扱えるようになる」
儂の言葉を2人は静かに聞いている
「そして、
この技の会得を持って流派東方不敗の免許皆伝とする」
「・・・はい!」
儂が示せるのはここまでだ
後はこやつ等2人の心の持ちようになる
「・・・分かりましたよ、
ええ、やってやりますよ・・・!」
アイギスは身震いをしながらも力強く答えてきた
「うむ、良い返事だ。
ならば直ぐにIS学園へと入学する準備をせい!」
「「はい!」」
こうして
儂達の修行の生活は終了を迎え、
翌日直ぐに2人はIS学園へと発った・・・
「あ、そうそうふーちゃん」
「なんだ」
少し寂しくなった隠れ家で
儂達は3年前と同じように椅子に座りながら話をする
「あの2人は生徒として行って貰ったけど、
勿論ふーちゃんもだからね?」
「そんなことだろうと思ったわ」
何となく予想はついていた
あの2人は生徒として交流を深め鍛え上げる
「あれ、予想ついてた?」
「当然だ、儂を誰と心得る」
そして
儂の役目は
教師、もしくはそれに近しい者として
あやつ等を守護する・・・という所だろう
「それなら話は早いねー、はいコレ」
そう言って束はある物を儂に渡してきた
これは・・・
「ふーちゃんが教師になったら
軍も真っ青な戦闘集団になっちゃいそうだから
特別に清掃員として潜入できるように手配したよ☆」
「よ、よりによって清掃員か・・・」
思わず儂はずっこけてしまう
これは流石に予想できんかったわ
「下手に騒がれるよりは良いでしょ?
一応名前はまだ登録してないけどどんな名前にする?」
確かに
見れば名前の所は空白になっていた
3年前に東方不敗と名乗ってしまっているから
素性を隠す意味でも別の名前を使用したほうが良いな
「ならば、シュウジ・クロスで頼む」
「シュウジ・クロス?」
「うむ、儂の本名よ」
長年使っていなかった本名を久方ぶりに口にした
「へぇー、東方不敗が本名かと思ったよ」
「この名は儂の決意の名だ、
決して敗北をしないという為のな」
「成程ねー、
何かそのうち東西南北中央不敗とか名乗っちゃいそうだね」
「ゴッホゴッホ!!」
「・・・まさかぁ?」
儂の反応を見て束は意地が悪い笑みを浮かべる
「・・・やめい」
先ほどの反応で取り繕う事も最早意味を成さない為
そう小声で言った
「ふーちゃんの意外な一面を見れて束ちゃんは満足満足!」
満面の笑みを浮かべながら
儂が先ほど名乗った名前を直ぐに入力していく
「これで・・・良しっと!
ちーちゃんにも話は通してるよー」
そう言って束は親友の名を口にした
聞けばそのちーちゃんとやら
かつてISを用いた世界大会で優勝し
世界最強のIS乗りの称号であるブリュンヒルデとなったらしい
可能であれば一度手合わせを願いたいものだ
「了解した、
ならば明日にでも向かうとする」
渡されたパスを受け取ってから直ぐに椅子から立つ
「束、お主はどうする?」
「私も行きたいのは山々なんだけどねー、
ちょっと今やってる事の手が離せなくてねー」
「分かった、
色々と世話になった」
束が手が離せないと言うのだ
それは相当なものだろう
無論それについて言及したりはせぬ
「良いって事ー、
中々面白い話を一杯聞けたからね」
そう言ってから
再び束は作業に集中を始めた
「では、行って参るぞ」
「はいよー、いってらっしゃーい☆」
最後にお互い軽い挨拶を交わした後
儂はIS学園へと向かう為の準備を始めた・・・
こうして
アイギスとソーマにも内密に
儂はIS学園に住み込みの清掃員として潜入することになる
だが、
この行動の結果がよもや面倒な事になるということを知ったのは
もう少し後の話である・・・