IS武闘伝Gガンダム   作:西方有敗

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評価7.29・・・ひぇ・・・


第4話

「ここがIS学園か」

 

束から借り受けた船を漕ぐ事数時間

儂は無事にIS学園の前へと到着することが出来た

なぜ手漕ぎだったかだと?

船を動かす、というのは全身のあらゆる筋肉を使う

鍛錬にとても最適なのだ

もっとも束は完全に呆れておったがな

 

「さて、正門に行けば迎えがいるという話だが」

 

正門につき待つこと数分

中から女が出てきた

 

「ここで何をしている?」

 

「本日より

住み込みの清掃員として雇われたシュウジだ」

 

そう言いつつ

儂は偽造された身分証明書を出す

女は見る事数分

 

「どうやら本人のようだな」

 

そう納得した

 

「世話になるぞ」

 

「こちらもな、私の名前は織斑千冬だ」

 

千冬?

・・・もしや

 

「束の友人の?」

 

「そうだが・・・

もしかして束から連絡があった?」

 

「左様」

 

「・・・アイツめ、

何がゴリラをそっちにぶち込んだからよろしくだ」

 

「・・・」

 

これは束に問い詰めなければならんな

儂はゴリラではない人間だ

それにアレの肉は硬すぎて食事には適さん

 

「とりあえず案内をするからこちらへ」

 

「うむ」

 

そう言って

儂は千冬の後を追うようにIS学園へと足を踏み入れた・・・

 

 

 

 

 

 

「とまあ、大体こんな感じだ」

 

一通り校内を案内された後

最後に儂の住む場所となる部屋の前で千冬は向き直った

 

「長旅で疲れているだろう、

今日は休むといい」

 

「疲労など無い、

それに中々楽しめた」

 

「どのような方法で来たのだ?

普通であれば飛行機や船になるのだが」

 

「手漕ぎ船だ」

 

「・・・すまん、私の聞き間違いか?

もう一度言ってくれないか」

 

「手漕ぎ船だ」

 

「・・・」

 

千冬は頭を抱えている

そんなに非常識か?

 

「ハァ・・・

束の奴が非常識の塊だからまともに相手すると疲れるよ

と言っていた意味が分かった気がする」

 

「失敬な」

 

そもそもその程度の事が出来なくて

なにが流派東方不敗ぞ

 

「とりあえずだ、

ここは見ての通り9割が女生徒だ

邪な事は考えるなよ?」

 

「安心せい、

子供には興味が無い」

 

「だと良いがな」

 

千冬はそう冗談を口にした後に

踵を返して職員室に戻ろうとする

 

「千冬よ」

 

「何だ?」

 

「アリーナを借りても良いか?

少々鍛錬をしたい」

 

「・・・この時間であれば利用者はいないだろう

設備を破壊しなければ別に構わないさ」

 

「そうか、見に来たければ好きにするがいい」

 

「・・・」

 

儂の言葉に千冬は答えず

そのまま去っていった

あの様子であれば恐らく来るであろうな

 

「さて」

 

儂は宛がわれた部屋に荷物を置き、

早速アリーナへと向かった・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほう、中々の広さではないか」

 

アリーナへと入り、

開口一番そう感想を口にした

これであれば余程の事が無い限り壊れる、

という事はあるまい

 

「さて、まずは軽く外周を走りこむか」

 

肉離れなど起こさないように

準備体操をしてから軽く走りこみを開始した

 

走り込みを開始して50周を越えた頃

ふと見ると影に隠れるよう千冬が居るのを見つけた

やはりな、

予想通り来ると思ったぞ

 

「ここで実力を曝け出すことは無いな」

 

そう思い、

あと50周して外周を終えることにした

儂の走り込みを黙ってみている千冬

それに対し儂は特に意に返さずに修行を続ける

 

「ふぅ、

こんなものか」

 

外周百周を終え

今度は適当に拾ってきた石を放り投げる

 

「タタタタタタタタタ!!」

 

布を取り出し、

狙いをつけ放つ

放たれた布は寸分違わず・・・

 

「む」

 

全て命中したかと思ったが、

一つだけ外れてしまっていた

 

「やれやれ、儂も鈍ったか」

 

これだから年は取りたくないと言うもの

仕方があるまい

 

「外周をもう少しやるか」

 

この後は本来は型の確認と

気を循環させる為座禅を組むのだが

まず始めに外してしまった物の埋め合わせをせねばな

そう思い、

再び外周を始めた・・・

 

 

 

 

 

 

 

「・・・ありえん」

 

シュウジからの誘い通り、

丁度受け持ちの授業も無かった為

アリーナへと赴き奴の鍛錬を見ていたが

その全てが常軌を逸していた

 

まず始めに外周

私も良く生徒達にやらせる・・・が

シュウジが行う外周は次元が違っていた

軽く流しで外周50周以上とは聞いた事が無いぞ・・・

次に奴が行ったのは的当て

・・・いや

アレを的当てと呼んでよいものだろうか

奴が放り投げた石のサイズは小石と言って良いほど小さい物

それを布で次々と当てたのだ

・・・しかし

シュウジは納得していなかった

あの反応を見る限りどうやら外したものがあるようだ

それでも次元が違う

ふと見ると

シュウジは再び外周を開始していた

・・・ただし

その速度は先ほどとは変わっていた

 

「は、早すぎる・・・!」

 

土煙を上げながら奴は走っていた

目算になるが、

1周を1分切っているだと・・・!

本当に奴は人間なのか!?

 

何とかシュウジの姿を目で追うことは出来たが

丁度100周を終えた時

奴はその場で座り込んだ

・・・流石に疲れたのか?

そう思い目を凝らしてみると

奴の額には汗など浮かんでいないばかりか

息切れも起こしていなかった

 

「・・・規格外すぎるな」

 

率直な感想はコレだ

束より非常識の塊とは言われていたが

多少なりとも人間的な部分があるとは思った

しかし、

今のを見るだけでそれが大きな間違いであるいう事を悟った

 

「・・・束の奴が教師として入れない訳だ」

 

束も非常識の塊ではあるが

シュウジのソレは遥かに凌駕していた

知識等は見ていない為分からないが

事戦闘力においては私なぞ足元にも及ばないだろう

そんな奴がこの世界に存在していたとは・・・

 

「おっと、そろそろ放課後になるな」

 

ふと時計を見ると

時刻は2時を回ろうとしていた

あと1時間程もすれば

ここには鍛錬をするべく生徒達が溢れるだろう

流石にシュウジの鍛錬の姿を見せるわけには行かないな

 

「シュウジ」

 

そう思い

座禅を組むシュウジに声を掛けた

 

「千冬か」

 

座禅を組んだままシュウジは返答してきた

 

「そろそろ放課後になる、申し訳ないが」

 

「・・・あい分かった、儂も仕事をせねばな」

 

シュウジの鍛錬の姿を見られないのは残念だが

それはそれ、これはこれだ

シュウジは座禅を止め、

立ち上がると同時に

 

「では、儂は校内の清掃作業へと入る」

 

それだけ言い、

先ほどまでの鍛錬の疲れを感じさせない

しっかりとした足取りでアリーナを出て行った

 

「・・・いつか手合わせしてみたいな」

 

恐らくは相手にすらならないだろうが

そう思わずには居られなかった・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日はここの掃除をするか」

 

放課後

早速儂は校庭へと足を踏み入れた

整備自体は行き届いているが

よくよく見ると細かいところがおざなりになっている

近いうちでは問題は無いが

長い目で見たときに必ず何かしらの問題が起きる

・・・仕方が無い

 

ただ黙々と校庭の整備をする

傍から見たらとても面白い光景ではあるな

儂の服装は今は道着だ

道着を来た男が校庭の隅で黙々と整備をする

やれやれ

アイギス達に見られたらなんと言われるかな

 

「・・・このくらいで良いか」

 

休まずにただ黙々と整備をした結果

まるで光を放たんばかりの校庭になった

うむ、儂は満足だ

 

「さて、次に行くとするか」

 

 

 

 

 

 

「・・・アレは?」

 

場所は変わり生徒会室

そこから眺める人影が1つ

その視線の先には東方不敗が居る

 

「清掃活動とは殊勝な心掛けだけど、

・・・我が校の生徒にはとても見えないわ」

 

しかし、何よりも気になるのはその身のこなし

整備をしている姿を見るだけで分かる

動きに一切の無駄が無い

 

「少し、興味が湧いてきたわ」

 

東方不敗との出会いが

この女性のあり方を変えてしまうが

今は、知る由も無かった・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

「まあ、今日は一先ずこんな所か」

 

あれからと言うもの

清掃という目的を忘れてただひたすらあらゆる所の整備をしている

ふむ

お陰でどの場所も見間違えるようになった

 

「シュウジ」

 

「おお、これは千冬ではないか」

 

達成感で身を震わせていると

前から千冬が来た

 

「この学園では先生とつけてくれるとありがたいのだが」

 

「ハッハッハ!

では言い直そう、千冬先生ではないか」

 

儂はあくまでもただの一清掃員

郷に入っては郷に従えという

ここは一つ、千冬の言う事に従おうではないか

 

「・・・私から言っておいてはなんだが、なんだかむず痒いな」

 

「ではこうしようではないか、

生徒達が居る所では付け、居ないところでは付けぬ」

 

「・・・そうして貰えると有り難い」

 

「あい分かった、

では千冬よ、どうしたのだ?」

 

「いや、仕事ぶりを観察していたのだが・・・

シュウジは清掃員だったよな?」

 

「そうだな」

 

「何故整備をしているのだ」

 

うむ、

やはり言われてしまったか

 

「一つ気になると他も気になってしまうのでな、

折角だから全てやっただけの事よ」

 

「それは有り難いのだが・・・」

 

何だ

歯切れが悪いな

 

「申してみろ」

 

「・・・いや、私の思い違いだと思うから今はまだ良い」

 

ふむ、

気になるところではあるが

本人に言う気が無いのならば仕方があるまい

 

「この後どうするんだ?」

 

一通り終わったことは千冬も見ていたのだろう

道具を片付け始める儂に向かって言ってきた

 

「特に決めておらぬ、

このまま鍛錬を再開するのも一つの手だが・・・」

 

「そうか、ならば一杯付き合え」

 

「・・・なに?」

 

千冬から思いもよらない提案が出される

しかし酒か

久しく口にしていないな

 

「どの様な意図がある?」

 

念のため、

千冬の思惑を確認するが

 

「・・・束の事だ、

アイツから連絡が来たという事は何か知っているのだろう?」

 

そう声を潜めながら千冬は言ってきた

 

「ふむ、知っていると言えば知ってはいるが・・・」

 

儂は迷っていた

どの様な事を聞かれるかまでは分からぬが、

本人の居ないところで口にしても良いものだろうか

 

「安心しろ、

別にアイツの居場所どうこうを聞きたいわけではない」

 

「・・・そういう事であれば」

 

だが、

まだ油断は出来ぬ

ブリュンヒルデとも呼ばれた程の女傑だ

一応いつでも対応できるように心構えだけはしておくとするか

そう思ってから

儂と千冬は街へと繰り出した・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・のだが

 

「どうしたシュウジー、もっと飲めー!!」

 

・・・こやつ、絡み酒であったか

やれやれ、

個室がある居酒屋で話したいというから来てみれば

ようは束の事を愚痴りたいだけではないか

 

「これこれ、落ち着かぬか」

 

「私は落ち着いている!

急に姿を消したと思えばたまに一方的に連絡を寄越し、

伝えるだけ伝えた後は直ぐに切る、

まったく、私がどれだけ心配していると思っているんだバカヤロー!」

 

ダメだこりゃ

儂は思わず頭を抱えてしまう

これは長くなりそうだ

今の内に帰り道を確認しておくとするか・・・

 

 

あれから散々喚き散らした千冬は酔いが軽く覚めたのだろう

少し赤くなっていた

 

「・・・スマン」

 

小さい声でそう謝ってきたが

 

「なに、気にする事は無い。

溜め込みすぎるといつか爆発してしまうからな、

儂で良ければいつでも付き合うぞ」

 

「・・・そんなつもりでは無かったのだが」

 

「まあ、良いではないか

少しはスッキリしたのであろう?」

 

「う、うむ・・・」

 

千冬はなおも歯切れが悪い

 

「兎に角、帰り道は問題ないのか?」

 

「ああ、このあたりは良く来る」

 

「承知した、

儂はこれから少し街を把握するべく散歩をする」

 

「あまり遅れるなよ、

シュウジは学生ではないとはいえ

深夜の出歩きを許容していると生徒達に示しがつかない」

 

「承知した」

 

「ではな」

 

そう言って千冬は歩き出した

行く先は恐らく寮であろうな

その背中を見送った後、

儂は千冬とは反対方向を歩き出した

 

「・・・しかし」

 

改めて街並みを見て思う

やはり、ここは儂が居た世界とはまるで違うな

まずは海

儂が居た世界であれほどの透明度は見たことが無い

それに、文明

儂の世界とは異なるベクトルで成長を遂げている

・・・尤も

IS等の兵器については全て束任せになっているがな

だが、

やはりこの世界でも争いが絶えん

ISが兵器として用いられているのが良い証拠だ

あれほどの兵器であれば平和転用など幾らでもできよう物だと言うのに

このIS学園についても

ISについての練度を上げると言うのが目的らしいが

卒業してからは恐らく各国の軍隊に組み込まれるのが殆どであろう

全く持って嘆かわしい

だが、ここで儂が再び動いては以前の二の舞になってしまう

最早どうしようもない事態になったとき

その時に動き出すとしよう

少々遅いかも知れぬが

なに、ここにも流派東方不敗を受け継ぐべく人は居る

そやつ等に任せておくとしよう

 

「・・・少し冷えてきたな」

 

大分気温が下がってきた

さて、そろそろ戻るとしようか

 

「・・・?」

 

瞬間

なにやら視線を感じた

その方角を見てみるが、誰も居らぬ

 

「・・・気のせいか」

 

暫く目を凝らしても何も動きが無い為

儂は大人しく帰路へと着いた・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後日

東方不敗が整備した場所で

授業を行った生徒達は全員揃ってこう口にしたと言う

なんだか凄く使いやすくなってると・・・

 

 

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