「それで、
その東方不敗が何故この学園に居るんだ?」
漸く事実を飲み込んだ千冬は儂に聞いてくる。
ふむ、束からは伏せてくれと言われておったな。
で、あれば。
「我が弟子の鍛錬の様子を見に来る為に「嘘だな。」
儂の話の途中で千冬は断言する。
流石にわざとらしかったな。
「その根拠は?」
「その程度の事なら束の奴から連絡が来るはずが無い、
大方アイツが一枚噛んでるんだろう。」
一枚とは言えぬがな。
だが、そこまで言う必要はあるまい。
「概ね正解、とだけ言っておこう。」
「ハァ…あの天災馬鹿め。」
溜息を付きながらも、
千冬のその表情は嬉しそうだ。
「束は元気にやっておるぞ、
お主に会ったらよろしく伝えてくれと言われておる。」
「ならば直接顔を見せに来い、とだけ言っておく。」
そう言いつつも、
「東方不敗よ、
これからどうするつもりだ?」
そう続けてきた。
「どうするつもりと言うのは?。」
意図は理解しているが、
儂は敢えて聞き返した。
「このまま清掃員として、
この学園にいるかと聞いている。」
「ふむ…それはそれで一興だがな。」
「退屈ではないか?」
成程な、
こやつ、儂を教員としてスカウトするつもりか。
「別に退屈などはしておらぬが…。」
そこで一度、
わざとらしく言葉を区切り。
「だが、
今日の一夏を見てあやつを鍛えたくなった。」
「…ならば。」
「うむ、何時まで…とは言えぬが。
ここで教鞭を振るうのもまた一興よ。」
こうして、
儂は清掃員から臨時で教師を行う事になった。
とはいえISについては然程答えられぬ。
なので、
儂の役目は専ら戦闘に関することのみとなった。
「今日はお前等を鍛えてくれる新しい教師を呼んだ。」
早速翌日。
朝のSHRで千冬はそう生徒に宣言した。
すると教室は直ぐにざわつく。
それも当然だろう。
前日に一夏とセシリアの模擬戦があったばかりだ。
そこに乱入してきた道着を着た男。
朝の話題はそれで持ちきりとなっていた。
「入れ。」
そう千冬が促し、
儂は教室へと足を踏み入れた。
「あ…!。」
誰かがそう声を上げる。
そこに居たのは、
紛れも無く今の話題の中心となる人物だったからだ。
「自己紹介を。」
「うむ、儂の名は東方不敗。
縁あって本日より貴様等を鍛える事となった。
短い間ではあるだろうがよろしく頼むぞ。」
「と、東方不敗ですって!?」
儂の名を聞いたセシリアが驚愕の声を上げた。
ほう?
儂の事を知っておるのか。
「セシリア知ってるの?。」
セシリアの隣の生徒がセシリアに聞いた。
「し、知ってるも何も!
世界で一番初めに見つかった男性のIS適合者ですわよ!?」
「「「え…ええええええええええ!?」」」
「五月蝿いぞ。」
セシリアが叫んだ瞬間、
クラスは絶叫した。
それを五月蝿そうにしながら千冬は注意をする。
「3年前に突如として表れ、
たった1人で軍事基地を制圧して以降、
何も音沙汰が無かったので眉唾物だと思っていましたわ…。」
「フッフッフ、儂はこうして此処に居る。
そこに何の不思議があろうか!」
「東方不敗よ、元気だな。」
「無論よ、まだまだ小娘共には遅れは取らん。」
儂はそう言ってからクラスの連中を見回す。
…アイギスとソーマは別のクラスか?。
「千冬よ、
昨日の2人は別のクラスか?。」
「昨日の…ああ、あの2人か。
あの2人ならば…「すいません!、ソーマを起こすのに手間取りました!!」
突如としてドアが勢い良く開かれる。
そこには寝癖全開のソーマと汗だくのアイギスが居た。
「遅いぞ、既にSHRは始まっている。」
「は、はい!、申し訳ござい…ま…せん…。」
アイギスは儂の姿を見て固まる。
「どしたのアイギ…ス…。」
「「あ、ああああああああああああ!!」」
いきなり固まったアイギスを、
不審に思ったソーマは視線の先を辿り、
そこに居た儂を見た瞬間2人で絶叫した。
「ほう、重役出勤とはな。
随分偉くなったものだな?」
「も、もももももも申し訳ございません!!」
修行の時を思い出したであろうソーマは、
先ほどまでの眠気眼はどこに行ったのか。
それはもう見事な土下座を披露していた。
「え、と?」
ソーマのあまりの豹変振りに、
クラスメイトは困惑している。
ふむ、
ここは一応儂達関係を明かしておくか。
「こやつ等はな、
儂の元で修行をしていたのだ。」
「「な、なんだってー!?」」
何度目か分からないクラス中からの絶叫。
それに対して千冬が雷を落としたのは言うまでもなかった…。
「さて、今日はまずは貴様等の腕前を儂に見せてみろ。」
記念すべき初授業の日。
儂はまずは全員の腕前を見るべく、
ISを装備させた。
「これから模擬戦ですか?。」
生徒の1人が疑問に思ったらしく、
そう聞いてきた
「模擬戦は模擬戦だ。
ただし、相手は儂対ここに居る貴様等全員だ。」
儂の発言を聞いた一同はしきりに困惑していた。
…否、
アイギスとソーマは分かり易く体を震えさせていた。
「お2人共、どうしたのですか?」
2人の態度を不審に思ったセシリアは2人に聞いた。
「い、以前こんな事があったんだ…。
私達の初修行の日、
先生が腕前を見たいと言って私達2人を相手に戦った…。」
「…結果は?」
「せ、先生はISを使用していなかったと言うのに私達は惨敗。
それ以降…地獄すら生温い修行が…!」
「は、ははははは。
そ、そんな事もあ…あったね…。」
恐らくクラスでも上位の実力を持つ2人の言葉だ。
それ以外にもあの態度。
アイギスが話した言葉が真実なことは想像に難くない。
「今回は人数も多い故、
儂もISを使わせてもらうぞ。」
「ほ…、本気ですか…!!」
「当然よ!、
さあ、我が体と一体になれ!!」
儂がそう叫ぶと。
左腕に装着していたブレスレットが光を放ち、
儂の体に装甲が装着される。
「さあ、どこからでも掛かって来い!」
光が収まり、そこに姿を表したのは。
儂が居た世界での愛機、マスターガンダムだ。
「…どうやら、本気のご様子ですね…師匠!」
まずやる気を出したのはソーマだ。
「アイギス!、
師匠に私達の腕前を見せるチャンスだと思うんだよ!」
「う、うむ。
た、確かにその通りだ…!」
そして、
2人の言葉に触発された他のメンバーも次々とISを装着する。
「さあ、行きますよ…師匠!」
「御託は不要!、
次々と掛かってこんか!!」
儂のその言葉を皮切りに、
メンバー達は攻撃を開始した…!
10分後。
「あ、ありえない…。」
「つ、強すぎる…。」
20名程居たこやつ等は、
既に5名までその人数を減らしていた。
1人は千冬の弟の織斑一夏、
次に先日その一夏と戦ったセシリア、
アイギスとソーマも居る。
そして、…最後の1人は。
「無事か、箒!」
束の妹である、篠ノ之箒。
「な、何とか!」
息も絶え絶え、
装備しているISも全身ボロボロであるが、
何とか倒れずには居る。
他の者共は専用機持ちの為耐えるのは当然として、
汎用機であるあのISで残っておるとは、
中々やるではないか。
「どうした、貴様等の実力はその程度か!」
「くっそ、爺さんの癖に張り切りすぎだろ!」
一夏は儂に対してそう毒を吐くが。
「何を言うか!
儂はこれでもまだ52だ!」
「嘘付け!、
というかアンタみたいな50代がどこに居るんだよ!!」
「一夏君、師匠に常識を求めちゃダメだよ…。」
「というか規格外すぎますわよ!
なんですか、私のブルーティアーズを足場にして攻撃してくるなんて!!」
そう、
儂のマスターガンダムは空を飛ぶことは出来ぬ。
跳躍で持って短期間飛ぶことは出来るが、
それでもあやつらの様な飛翔とは違う。
ならばどうすれば良いか?
簡単な事よ。
やつ等の実弾攻撃を足場にしてしまえば良い!
「あれには驚いたね…。
先生が常識外れって認識はしてたけど。
まさかあそこまで滅茶苦茶だとは思わなかった…。」
先ほどの光景を思い出したのか。
アイギスはげんなりしていた。
「儂を前にお喋りとは随分余裕だな!」
「クッ!」
儂の攻撃を一夏は辛うじてガードする。
「一夏!」
鍔迫り合い押し込まれている一夏をフォローすべく、
箒はすぐさまに横から儂に斬りかかって来るが。
「ダメだ!
動きが単調すぎる、それでは…!」
その行動をアイギスは止めようとして来るがもう遅い。
「未熟、未熟なりヒヨッコがぁ!!」
「キャアアアアアア!」
「ほ、箒いいいい!」
箒の一撃を半身ズラす事で回避し、
そのまま右の拳で一撃。
儂の攻撃を受けた箒は叫び声を上げ、
アリーナの壁まで吹き飛ばされてそのまま気絶した。
「さあ、残りは貴様等だ。」
その様子を一瞥してから、
すぐさま残りの4人に向き直る。
「…一夏君」
肩で息をしながら、
隣に居る一夏に対してアイギスは声を掛けた
「何だ…?」
恐らくは作戦を伝えておるのであろうな。
平時であれば待っても良いが。
生憎、その様な時間は…。
「師匠の相手は私達です!」
2人に対して攻撃を仕掛けようとしたが。
直ぐにセシリアとソーマがフォローに入ってきた。
「ええい、鬱陶しいわ!」
ソーマの剣をクロスで受けとめ、
そのまま弾き飛ばした後に、
今度はソーマに撒きつける。
「ま、マズイ!!」
何とか拘束を外そうとソーマは足掻いておるが、
所詮無駄な事よ!。
「そらそらそらそらそら!!」
ソーマを拘束したまま遠心力を付け回転させる
「クッ…!!」
回転の速度がかなり速くなってきている為、
ソーマは意識を飛ばすまいと何とか踏み止まっていた。
「吹き飛べ!!」
最後に一層力を込め、
投げ飛ばした先はセシリアが居る上空。
「え!?」
余りにも奇想天外な攻撃にセシリアの動きが止まる。
セシリアの弱点よ、
自分の想定外の事が起きた時、
それを解決する為に動きが止まってしまうと言うのがな!
「キャッ!」
結果は、
思い切り投げ飛ばされたソーマがぶつかり、
セシリアは空中で体勢を崩し、
僅かに高度が下がる。
「フン!!」
その高度ならば、儂の射程距離よ!
素早く跳躍し、
セシリアに肉薄する!。
「しまっ!」
「もう遅い!」
セシリアの目の前まで到着した瞬間、
蹴りをお見舞いし、セシリアを地面に叩き落した。
「貴様もついでに落ちよ!!」
先ほどセシリアにぶつけたソーマを再びクロスで拘束し、
手元まで引き寄せた瞬間蹴りをお見舞いする
「ぐっは!!」
引き寄せの力が残ったまま、
別のベクトルの力で蹴り飛ばされたソーマは、
肺の中の空気を出した後に気絶した。
無論丁寧にセシリアの上に蹴り落とした故、
セシリアも同様に気絶した。
「さあ、残りは貴様等2人のみだ。」
瞬く間に3人を片付けた儂は、
残る2人にゆっくりと歩きながら近付く
「…出来る?」
「…やらなきゃやられるだけだな。」
アイギスから作戦を伝えられた一夏は覚悟を決めている、
ふむ、良い目をしておる。
将来的にはこの儂すら超えられるやも知れぬ。
だが今は、負けてやるつもりなど毛頭無いわ!
「行きますよ、先生!!」
「行くぜぇ、東方不敗!!」
「来い、ヒヨッコ共ぉ!!」
まず駆け出すはアイギス。
成程、アイギスが囮役をし。
一夏が必殺の一撃を入れる…という所か。
ならば甘い!、
ヒヨッコのアイギスがこの儂相手に囮等できようハズも無し!
「流派東方不敗、秘技!」
「その構えは…!」
「酔舞・再現江湖デッドリーウェイブ!!」
「ならば、同じ技で引導を渡してくれようぞ!!」
「酔舞・再現江湖デッドリーウェイブ!!」
アイギスの酔舞・再現江湖デッドリーウェイブと
儂の酔舞・再現江湖デッドリーウェイブがぶつかる。
同じ技同士、
最後に勝るは、より威力が強いほうよ!!
「ばぁく発!!」
「クッ…!!」
アイギスのデッドリーウェイブを真正面から打ち破った儂は、
そのままアイギスを戦闘不能まで追い込む
「後は頼んだ…」
辛うじて意識を失わなかったアイギスは、
爆炎の向こう側に居ると思われる一夏に向けて。
「一夏…!」
「オオオオオオオオオオオオ!!」
そう全てを託した
「小癪、小癪小癪小癪小癪小癪!!」
すぐさま迎撃を行うべく身を動かそうとするが、
酔舞・再現江湖デッドリーウェイブの余波で体が動かん!
「貰ったああああああああああ!」
後先を考えない全力の突撃、
これは…まともに受ければ儂とてただでは済むまい
「見事なり、だがな…」
正しく一夏の一撃を受ける直前、
回避は不可能と判断した儂は両手を最短で動かし。
「まだまだ修行不足よ!!」
「し、真剣白羽取りぃ!?」
迫る一撃を両腕でしっかりと掴んだ。
「貴様のその心意気に免じて、
儂の奥義をくれてやる!」
儂は右手に気を集め始める。
発動するは、我が奥義!
「ダアアアアクネス、フィンガアアアアア!!」
「グ、グアアアアアアアアアア!!」
ダークネスフィンガーだ、
まともに受けた一夏は吹き飛び、
そのまま倒れた…………
「…ふむ、今の貴様等の実力は分かった。
これから先の特訓を楽しみにしておれ!」
最後に儂はそう叫んだ後、
アリーナを後にした………
引き続いての東方不敗ワールド
これくらいは余裕でやらないとやっぱり師匠じゃないと思うんですよ私は