腕試しで一夏達を粉砕した後、
儂は各々の力を伸ばすべく特訓のメニューを考え始める。
磨けば光る原石もおれば、
現時点ではほぼ見込み無しの者。
そのひとりひとりの力を伸ばす為の個別メニューだ。
「東方不敗、質問があるんだが。」
「千冬か、儂に質問とは何だ?」
座りながら作業をしてる儂の隣に千冬は立ちながら
「基本的にISはPICによって空を飛ぶことが出来るのだが、
何故先ほどの腕試しではお前は飛ばなかったんだ?」
「何だその事か。」
千冬の質問に対して、
儂は作業を続けながら、
「飛ぶ気にならんだけよ。」
そう答えた。
無論真実ではない、
飛べぬことには無論理由はあるが、
それを詳しくこやつに言う必要はあるまい。
「…まあ良い、
にしてもやりすぎだ。」
「何がだ?」
「何が、じゃない。
生徒達のISは半損、
アイギスとソーマのISは7割破損、
織斑とセシリアに至っては全損ときた、
これではISを用いた授業が当分行えん。」
「ISの操縦に慣れるというのも無論重要ではあるが、
その乗り手達が未熟では遅かれ早かれそうなっていたとは思うがな。」
「そう言うことじゃない。」
千冬は大きく溜息を付きながら
「全く、その間のあいつ等の授業はどうする?」
そう言ってきた
ふむ、特に気にする事では無いと思うがな。
「知れたことよ、
ISの修理が終わるまで儂があやつらを鍛え上げればよい。」
「お前と言う奴は…!」
再び千冬は青筋を浮かべながら手を震わせている。
そこで急に呼び出し音が鳴り始めた
「っと、すまぬな。
どうやら儂のようだ。」
束から受け取った端末を取り出し、
そこに表示されている名前を見た。
「…儂だ」
「やっほーふーちゃん、元気ー?」
相手は…束だ。
「無論よ、
して、珍しいではないか。
儂に直接連絡してくるなぞ。」
「実は一つ聞きたい事があるんだよねー、
ふーちゃん、今ユニットを作ってるんだけど。
どんなのが良いかなっていう事を聞きたくてねー。」
「武器の類は必要無いと先日言ったはずだが?」
「違う違う、
今ねーISに外付けでユニットを付けた時のデータが欲しいんだけどー、
それを扱えるだけの技量を持った人を探すのが面倒でねー、
色々考えてみてふーちゃんが一番良いかなって思ったのー。」
「成程な、ちなみにそのユニットというのはどんな物でも良いのか?」
「流石に世界をぶっ壊すような物とかは厳しいけどねー。」
「ふむ、であれば馬を頼む。」
「馬ってあのお馬さんの事?」
「その通りだ。」
「オッケー、完成したら届けに行くねー。」
「…誰だ?」
電話の相手が気になるであろう千冬は、
相手の事をそう聞いてきた。
「束よ」
「…貸せ。」
言うが早いか、
千冬は直ぐに儂から端末を奪った。
「おい。」
「お、その声はちーちゃんだねー。
やっほー久しぶりー、元気してるかなー?」
「元気してるかなーじゃない!
お前今どこに居るんだ!!」
「それはちーちゃんでも言えないよー、
あ、そうだ!、
近いうちにだけどそっちに遊びに行くからその時はよろしくぅー!」
「あ、おい!」
プツッという音と共に電話を切られたらしい、
千冬は怒りで手を震わせていた。
「あ、の大馬鹿者が!」
そのまま感情に任せて儂の端末を思いっきり投げる。
「これ、儂の端末を壊すでない。」
端末が壁に激突する直前、
儂はクロスで掴み、そのまま手元に引き寄せた。
「…スマン。」
自分が今しがた行った行動を思い返しているのか、
軽く赤面をしながら謝罪をしてきた。
「フッハッハ!
しかし、束の事になると普段は冷静なお前がそこまで慌てるとはな!」
「…茶化すな。」
流石にバツが悪いのか、
千冬は直ぐにこの場から離れようとしていた。
「束の奴が来たらお主にも連絡を入れるぞ。」
「…ああ、手間をかける。」
「なに、気にする事でもあるまい。」
それだけお互いに言い合った後、
千冬はこの場から離れた。
恐らくはクラスに行き、
あやつらの様子を見るためであろうな。
「…良し、儂も作業の続きを行うとするか。」
儂は儂で、
今まで手を止めていた作業の続きを始めた…。
放課後<アイギス>
「いってえええ!!」
一夏は顔を抑えながら叫んでいる。
まあ、しょうがないといえばしょうがない。
先生のダークネスフィンガーを受けたんだ。
寧ろその程度で済んでいるのが奇跡だろう
「一夏君大丈夫?」
手酷くやられたのは同じなのに、
ソーマは一夏の顔の傷を手当していた。
「そ、そういうソーマこそ大丈夫なのか?」
「まあ、私達は馴れてるし…」
ソーマはそう遠い目をしながら答えた。
うむ、確かに慣れている。
尤も私はまだ叫び声を上げられるほど回復はしていないが…。
「無事といえば、アイギスとセシリアは大丈夫なの?」
自分も完全に回復しているわけではないだろうに、
箒は私とセシリアに声を掛けてきた。
「ぶ、無事ではありませんわ…、
私のブルーティアーズが・・・。」
「久々に先生の技を喰らったからな、
無事とは言い難いが…まあ生きてはいるよ。」
私とセシリアはそれぞれ返答する。
セシリアのISが全損したのは仕方があるまい。
上空から蹴り落とされた上、
更にその上からソーマが落ちてきたのだからな。
ちなみに、
箒はこの中では一番の軽症だ。
殴られて壁に激突しただけだからな。
「ていうか、あのおっちゃんも大人気ねえよ。
普通まだ生徒に対して本気で攻撃してくるか?」
ソーマの手当てを受けつつ、一夏はぼやく様に言った。
「待て、あの程度が先生の本気だと思ってるのか?」
「「「…え?」」」
私が呟いた言葉に、
3人は思わず聞き返してきた。
「だよねぇ、師匠は全然手を抜いてたよ。」
「…ホントに?」
「…残念ながら、な。」
そう、
先生は完全に手を抜いていた。
何故ならば、
先生が本気で攻撃してきたのであれば、
私達のISは全てが完全に破壊しつくされていた、
それ以外でも、流派東方不敗の技をほとんど使用していない。
「…どこまで化け物なんだよ。」
一夏はそう呆れながら言った。
うむ、その気持ちは痛いほど良く分かるぞ。
「そういえば、
朝の話だと2人は東方先生に修行をして貰っていたって言ってたけど、
それってどのくらいやってたの?」
朝の話を覚えていたであろう箒が私達に聞いてきた。
「…3年、だな。」
「かな?」
私が言った年数にソーマは同意してきた。
「どの様な修行をされていたのですか?」
内容が気になるのか、
セシリアは続けてそう言ってきた。
「…すまん、あまり思い出したく無い。」
「アハハ…。」
先生との修行の日々を思い返すが、
正直どれも碌な物ではない
IS抜き、武器抜きで大岩を砕いてみろとか。
素手で崖を登れとか。
私達は無論抗議したが、
先生はその全てを卒なくこなしていた。
……頭が痛くなってきた。
「じゃあ、質問を変えるよ。
お前達とあのおっちゃんってどんな風に出会ったんだ?」
げんなりしている私達の様子を見た一夏は別の提案をしてきた。
先生との出会い…か。
「ごめんね、師匠から他言無用って言われちゃってるんだ。
その内話せるようになると思うから、その時まで待って欲しいな。」
あの時の事を思い出しているのであろうソーマはそう謝罪をした。
確かにな、私達が元々軍に居たという事を言う訳には行かない。
「残念だけど、まあしょうがないか。」
私達の様子を見て、
一夏は直ぐに引いてくれた。
「とりあえず、この後どうする?」
「この後か、ISを直しに行っても良いが。
今は体を動かしたい。」
「私も、かな。
改めて師匠と手合わせをして色々直すべき点が分かったし。」
「分かりましたわ、それではまた明日。」
最後にそう挨拶をし、
私とソーマは教室を後にした…。
日課の鍛錬を終え、
私達は宛がわれている部屋へと戻り、
まずは体を流した。
「ふう…。」
「いやー、師匠は相変わらずだったね。」
ソーマは湯船に浸かりながらそう言ってきた。
「だな、
というか驚いた、先生がまさかこの学園に居るなんてな。」
「だねー、それもまさか清掃員としているとは思わなかったよ。」
「ああ、本当に可笑しな話だ。」
先生があの道着を着たまま学校の整備をする。
うん、とてもシュールだ。
「でも、なんで師匠は教師としてじゃなくて清掃員なんだろうね?」
「そればかりは先生に聞かなければ分からないな、あの方は謎が多い。」
改めて先生の事を思い出す。
まずは扱っている武術。
流派東方不敗なんて聞いたことが無い、
しかもあれ程の手練れであれば噂になってもおかしくない、
しかし、
先生の事で噂になったといえば、
セシリアも言っていた3年前の単独での軍事基地壊滅の時くらいなものだ。
流石に不審に思い、
一度過去を調べてみたが一切全てが謎に包まれていた。
「それにしてもアイギスゥー?」
「…なんだ?」
「また大きくなったんじゃないの?」
「こら、どこを触ってる!!」
「フッフッフー、良いではないかぁ~、良いではないかぁ~」
一度は振り払うものの、
手を妙な動きで動かしながら私に迫ってくる
「アイギスちゃんの大きさを確かめなければー♪」
「何をしておる、この馬鹿者共おおおおおおお!!」
「「!?!?」」
な、何故ここで先生の声が!!?
「何をしておる、この馬鹿者共おおおおおおお!!」
「も、申し訳ございません!
ソーマの奴が…!!」
私はつい条件反射で頭を垂れて謝罪してしまう
「何をしておる、この馬鹿者共おおおおおおお!!」
「あ、ごめん。
これ私の電話の着信音。」
「な…!!」
な、なんていう物を設定しているんだ…!!
「ハァ……出てくれ、心臓に悪い。」
「はいはー…い……」
電話を手に取ったソーマは固まっている。
「どうした?」
ソーマの奴が此処まで固まるなんて、
相手は余程の人物に違いない。
「あ…アハハ……、あながち間違いじゃなかったかも。」
「…まさか。」
「も…もしもし……」
「遅いぞ、この馬鹿者があああああ!!」
「ヒイイイイ、申し訳ございません!!」
…ああ、やはりな。
怒声がここまで聞こえた。
電話の相手は間違いなく先生だ。
「はい、はい、えぇ!、今からですか!?
…いえ文句など滅相ございません!」
…なんだ?
不穏な気配しかしない。
「わ、分かりました!
可及的速やかに向かいます!!」
そこまで言った後にソーマは電話を切った。
「どうした?」
「アイギス!、
今すぐお風呂から出て訓練場まで行くよ!!」
「なんだと!?」
先ほどの電話、
そうすると先生からの呼び出しか!!
「急ぐよ!
一秒でも遅れたら何されるか分かったものじゃないよ!!」
「う、うむ!、了解した!!」
そう返事をして、
髪を乾かすこともせず、
私達は先生が待つ訓練場へと急ぎ向かった…
マスターガンダムが飛べないことにはちゃんと理由があります
登場人物紹介
名前 東方不敗(シュウジ・クロス)
性別 男
年齢 49→52
IS マスターガンダム
説明
ランタオ島でのドモンとの死闘の後、
命を落としたハズだが気が付いたら篠ノ之束の隠れ家の近くで倒れていた。
直ぐ後に襲撃者が来るがこれを難なく撃破し、
束よりマスターガンダムを受け取り軍事基地を襲撃、
一夜の内に壊滅させた。
その後アイギスとソーマを引き取り修行をつける。
現在は束からの依頼でIS学園に清掃員として潜入するが、
千冬からのスカウトにより戦闘における教師を受ける。
現在は清掃員として活動するときはシュウジ・クロス、
教師として活動するときは東方不敗と名前を使い分けている。
名前 アイギス
性別 女
年齢 16
IS 打鉄・改
説明
束を攫うべく隠れ家を襲撃したが東方不敗により捕らえられ、
軍のISを奪われたばかりかコアを摘出されてしまう。
所属していた基地は壊滅し路頭に迷いそうだったところ、
東方不敗の提案により東方不敗の元で修行を開始する。
性格は男勝りで男性のような口調で話す。
腕前はソーマよりも上で近接戦闘に置いては東方不敗すら一目置いている。
全体を見ての戦略よりも局所的な戦術の方が得意。
3年後、束からの依頼により一夏を鍛えるべくIS学園へと入学。
束の手回しにより同じクラスになる。
プロポーションはかなりの物で、
その事に対してソーマに良く触られている。
流派東方不敗の酔舞・再現江湖デッドリーウェイブを扱える。
なお、3年間の修行はトラウマになっているようだ。
名前 ソーマ
性別 女
年齢 16
IS 打鉄・改
説明
束を攫うべく隠れ家を襲撃したが東方不敗により捕らえられ、
軍のISを奪われたばかりかコアを摘出されてしまう。
所属していた基地は壊滅し路頭に迷いそうだったところ、
東方不敗の提案により東方不敗の元で修行を開始する。
性格はアイギスとは違い明るく人懐っこいが、
頭の中では常に状況を冷静に把握している。
腕前はアイギスよりも劣る物の、
味方の力量を把握し適材適所で人員を配置する事が出来るため、
後方指揮官の役職が向いている。
3年後、束からの依頼により一夏を鍛えるべくIS学園へと入学。
プロポーションについてはスレンダー気味の体質ではあるが、
本人はほとんど気にしていないばかりか、
「大きいだけが価値じゃないんだよ!」
と半ば開き直っている。
アイギス同様、3年間の修行はトラウマになっているようだ。