はい、どうも作者です。今回は前回に引き続き過去編となります、ではどうぞ。
私達はお父様に言われたとおり雅を案内していた。
「……案外広いんだな。」
「まあ王城だからね、ところで雅君お腹は減ってない?」
「ん?……まあ減ってな……」
減ってない、そう言おうとした雅の腹から空腹を告げる音が響く。
「あはは、減ってるんだね。じゃあ料理長さんに作ってもらおっか。」
「すまん。」
「いいよいいよ。」
そう言ってメリルは奥の方へ向かう、残された雅と私はなんとも言えない雰囲気になっていた。
「……そ、そういえば雅って何か趣味とかあるの?」
「趣味?」
私はなんとなく、いかにも子供らしい質問を投げかける。
「趣味かぁ……あるとすれば……刀の練習?」
「刀?」
私は聞き慣れない言葉に首を傾げる
「そ、刀。……ってここは日本じゃないから言い方が違うか……言い換えるなら……剣?」
「あ〜。」
私はそれを聞いて納得する。そしてもう一つ聞こえた言葉、日本……?それが雅が元いた世界なのだろうか。
「そういうルルーナ、お前は?」
「私?」
「ああ。ルルーナ、お前の趣味は?」
「ん〜……運動?」
「運動って……結構大雑把だな……」
「あはは……」
そんなことを話していると銀のワゴンを引きながらメリルが戻ってきた。そのワゴンに乗った料理から美味しそうな匂いが立ち上っている。
「お待たせ、色々作ってもらってきたよ〜。」
「うわ、こんなに作ってもらったのか。良いのか?」
「うん、料理長のアルトさんも人の為に料理を作れるなら幸せだってにこやかに言ってくれたし。」
「優しい人多いなこの城……日本とは大違いだ。」
「その日本って言うのは雅がいた世界?」
「まあな。あっちじゃきっとここまで優しくはないよ。俺みたいな子供でもな。」
「それは中々大変な世界だね……」
「まあな……と、折角用意してくれた食事だ。冷めないうちに食べるか。」
そう言って彼は椅子に座りもぐもぐと用意した食事を食べていく、数十分後にはその全てが綺麗に食べ終わっていた。
「ふぅ……ご馳走さま。美味しかったよ。」
「うわぁ…綺麗に全部食べちゃった。そんなにお腹減ってたの?」
「みたいだな。」
「あはは、じゃあ私はワゴンを片付けてくるね。」
「それくらい俺がやるよ、流石に何でもしてもらうのはあれだし……」
「でも雅、場所わかるの?」
「うっ………」
やはり知らないようなので私は少し苦笑してこう提案する。
「じゃあ私が案内してあげる。こっちだよ。」
「すまないな。」
「メリルはどうするの?」
「私はちょっとお手洗いに行ってくるよ。終わったらここで待ってるから。」
「わかった。じゃあ行こっか雅。」
「ああ。」
そう言って私は厨房に向けて歩き出し、その後ろで雅がワゴンを押して付いてきた。
「……にしてもほんと広いなこの城……かくれんぼとかしたら見つからなさそうだ。」
「実際見つけるのに苦労するよ。ちょっと前私とメリルでやったけど全く見つけられなかったから。」
「やっぱりか。」
「まあね。」
と、そんな事を話しながら俺はルルーナに言われた場所にワゴンを起き元の場所へ戻ろうとする。そんな時だった。
「きゃあぁぁっ!!」
つい先程まで一緒にいたメリルの叫び声が離れた俺達の元まで聞こえてきた。
「っ……!メリルっ!」
その声を聞いた途端雅がメリルの名を叫ぶと共に元きた道を人間とは思えない速さで駆け抜けていく。私はそのあとを自分が走れる最大の速さで追いかけていった。
大体3分位だろうか、私がようやく追いつくとそこには先程の声を聞いて集まった使用人の人達と何やら手紙を片手に持った雅が居た。
「はぁ……っ…はぁ……め、メリルは……?」
私は息を切らしながら先に付いていた雅に尋ねる。
「……フードを被った変な奴につれていかれた。あの身のこなし、多分俺側の奴だ。あとこれを残していった。」
そう言って雅は私に一枚の手紙を私に差し出してくる、そこにはこう書かれていた。
諸君らの王女の片割れは預かった、今夜22時に王女の片割れと武人の二人で郊外の廃墟に来ること。約束違えば直ちに王女を殺害する。
「これは……」
「武人ってのは俺の事だ。……んで、武人の事を知ってるのは武人かそれに関係する誰か……それはまあ置いておこう。とにかくこの指定された時間に俺達は行かなきないけない。使用人さん、すみませんがこの事は内緒でお願いします。」
その場にいた使用人は無言で頷く。
「わ、私達だけで行くの?危なくない?」
「いざとなれば俺が守る、安心しろ。」
「……わかった。」
今となれば何であの時会って間もない雅を信用できたのか不思議だが彼の言葉には信用できる何かがあった。
「……郊外の廃墟って1つだけか?」
「えっと……うん、郊外にある廃墟は1つだけ。ここから30分くらいかな。」
「わかった。……それじゃあその時間まで俺は少し休む、流石に度重なる疲労で眠くてな……」
「じゃあ時間になったら起こすね。」
「ああ、頼む。」
そう言って雅はお父様から言われた部屋へと戻って行った。
それから時間はあっという間に過ぎ、夜。私達はお父様に見つからないよう気をつけ廃墟に来ていた。
「うぅ……廃墟って怖いね……幽霊とか出ない……?」
「出るわけ無いだろ、幽霊なんて基本的には人の恐怖心が作った幻想みたいなものだ。……多分。」
「何で多分っ!?余計怖くなるよっ!」
そんな他愛ない会話をしながら廃墟の中央に来る、すると辺りから私達と同じくらい幼さのある声が聞こえてきた。
「……なんだ、武人と聞いて王女をダシにしては見たがまさか武人か5歳の子供だとは……でも背に腹は変えられないか……納得行かないけどあなたにしましょう。」
「誰だっ!?どこにいるっ!」
「あらあら……短気ね……私はここよ。」
「あ……雅あそこ!」
視線の先、先程まで月が雲に覆われていた為見えづらかった吹き抜けの中央。そこの一番上の瓦礫の上に少女が立っていた。
「お前か、俺たちをここに呼んだのは。メリルはどこだ。」
「王女様ならここに。」
「雅君っ、ルナっ!」
少女が指を鳴らす、するとこちらに倒れ込むように目の前にメリルが現れた。そしてその体を雅が抱きとめた。
「……簡単に解放するんだな。……何が目的だ?」
「私がお願いしたいのは私という存在の抹消。まあ簡単に言えば私を殺してほしいんだけど……流石に5歳の子供には扱えないわよね。」
さらっと危ないことを言いながら少女は1つの刃物を取り出す。それは鞘に収まっていてなお言い表せない何かを感じさせた。
「殺す?……そんなのその呪刀で自害すればいいだろ。」
違うのよ、と少女は心底残念そうに答える。
「この呪刀、原初の呪刀にして最強の切れ味を誇るんだけど……その力の代償として持ち主は死ねないのよ。」
「じゃあどうするんだ?」
雅がそう尋ねると少女は手に持った刀を雅に投げ渡す。そしてそれを受け取るとその刀は雅の体へと溶け込んでいった。
「あなたにその刀を預けます。然るべきとき必ず貴方と私はその刀によって再び会うでしょう。」
「わかった。……でも、それだけか?」
「いいえ、これから……そうね、ルルーナ王女……だったかしら。貴女は目を瞑りなさい、あなたには然るべき歳……16歳になったとき二人が今日の記憶を取り戻す為に記憶は残しておいてあげる。けど残った二人の記憶は消させてもらうわ。……私と言う存在はあまり記憶に残しては行けないからね。」
「……わかった。」
そこで私の視界は暗転した。
「……どう?思い出せた?」
湯船に映る映像を見終えた後私は目を開け二人の方を向く。
「うん、思い出せたよ。…あの日の出来事を鮮明に。」
「ルルーナ、すまないなこんな役目を負わせて。」
「ううん、いいよ。」
「……さて、それじゃああいつとの約束を果たしに行くか。」
「……本当に殺すの?」
「どうだろうな。」
「そう。」
「さて、行くか。場所は俺の中にある刀が教えてくれる。」
そう言って雅は外に向けて歩き出す。その後ろを私とメリルは無言で付いていった。
はい、どうも。作者です。今回長い上に半分適当っぽくてすみません……でもこれでも頑張って書いたほうです……ちなみに次回かその次辺りで最終回です。……早いですね……ではまた次回!