朝日が窓から差し込む中、俺は起き上がる。今日は月曜。メリル達がこっちの世界に来てから初の高校だ。
まあ、あいつらが高校に来るわけでもない。とくにやることは変わらないのだが。いつも通り7時半に学校に向かおう。
「さて、さっさと朝飯食って準備するか。」
いつも通り布団を片付け、朝食を作るべく厨房へ向かう。が、どうやら先客がいたようだ。
「おはようメリル、ルルーナ。」
「あ、おはよう雅君。」
「おはよ〜ミヤビ。」
「相変わらずルルーナ名前呼び慣れてないようだが……メリルは慣れたのか?」
「まあね。あ、朝ご飯はちょっと待っててね?今魚焼いてるから。」
「わかった。……姫でも料理って出来るんだな。」
「メリルが珍しいだけだよ、普通執事とか使用人に任せればいいのに自分のことは大体自分でやっちゃうんだから……」
「なんか誰かに任せるって言うのが苦手で……つい自分でやっちゃうんだよね……」
「なるほどな。まあ、悪いことでは無いからいいと思うぞ。」
「うん。……はい、お待たせ。」
次々とメリルは料理を置いていく、朝食の為量は控えめだが中々美味しそうだ。並び終えたメリルが椅子に座ると3人で手を合わせる。
「「「いただきます。」」」
「はむ……もぐもぐ……美味いな……。」
俺も旅館で育ってる以上味にはうるさい方だ、だがメリルの料理はそんな俺の舌を満足させるのに申し分無い位の味だった。
「ふふっ、良かった。お口に合わなかったらどうしようかと思っちゃったよ。」
「心配しすぎだよ、メリルの料理は王城の皆も評価してるんだから。」
二人の会話に耳を傾ける中テーブルの隅に置かれている1つの弁当箱に気がついた。
「……ん?メリル、そっちの弁当箱は何だ?」
「あ、これ?ほら、今日からまた学校でしょ?前雅君からいつもお弁当を作ってるって言ってたから作ってみたの。……迷惑だったかな?」
と、少し上目遣いで見てくる。そんな目で見るな、この朝食を作ったメリルの弁当だ迷惑ではない。……と、言いたいのだがいつも昼は眠くならないよう重すぎない中身にしているので少し中身が気になる。
「中身を見てもいいか?」
「あ、うん。どうぞ。」
と、メリルは弁当箱を差し出してくる。中身を見ると先程までしていた心配など吹き飛んだ。
「かなりバランス良くしてるんだな、重すぎないし美味しそうだ。」
「うん、お昼の後も授業?があるみたいだし眠くならないようにと思って重すぎないようにしたよ。」
「わざわざすまんな。……と、御馳走様。美味かったぞ。」
「お粗末様。」
「食べるの早いねぇ……」
「まあいつもこのくらいの時間に出てるからな必然的に食事の速度も上がる。」
「ふ〜ん。」
「洗い物は私がしておくから食器はそのままでいいよ。雅君、気をつけて行ってきてね。」
「何から何まですまないな。明日は俺がやるよ。」
「そう?じゃあ楽しみにしてるね♪」
と、メリルはニコッと微笑んだ。やはり可愛い、さっさと着替えて学校に向かうとしよう。
制服に身を包み家を出る、その際メリルは見送りをしてくれた。ルルーナは何やらパタパタと何か準備をしていたが……まあ、今日もまた何処かに出かけるのだろう。
「………ん?」
何やら今日は様子がおかしい。本来いつもならこの時間帯、この道は全く他の生徒は通らないはずだ。しかし今日は生徒……主に男子生徒が俺の登校後と同じくらい通っている。
「今日はなんかあったか……?いや、無いよな普通の授業ばかりだったはずだ。ま、あとで紅葉にでも聞いてみるか。」
そうして俺は少し通学路を急いだ。
〜五木高校〜
教室に鞄を置いたあと俺はすぐに紅葉の教室、1年C組を訪ねる、そこにはやはりいつも通り他の友人と仲良く話す紅葉の姿があった。
「紅葉。」
俺がそう呼ぶと紅葉は気づいたように友達に一言つげた後俺の元へ来た。
「先輩、何か御用ですか?」
「友達と話してるときにすまんな、紅葉なら今日こんな朝から生徒が多い理由を知ってると思ってな。」
「なるほど……それなら友達が言ってました。……確か……転校生が来るみたいです。それもかなり美人だそうですよ?」
「だから男子が騒いでるのか。」
「そうだと思います。」
「まあ、サンキュな。にしても転校生か……こんな時期に珍しいな。」
「そうですね……でも家の事情とかもありますから。」
「それもそうだな。んじゃ、俺は教室に戻るわ。じゃあな。」
「はい、またお店にも来てくださいね。」
「ああ。」
そう言い残して俺は教室に戻った。
〜2年E組〜
「………にしても騒がしいな……そんな騒ぐことでも無いだろうに。」
やけに教室内がうるさい、本を読みたかったのだが読めそうにないな。
しばらくすると担任である薊先生が入ってきた、何やら教室の外に人影も見えるがそれは恐らく例の転校生だろう。
「はいはい、騒がしくしない。朝僕と会った人には一応教えたかと思いますが今日からうちのクラスに転校生か二人来ます、皆さん仲良くするように。」
二人も来るのか、まあどうせ俺は怖がられて話しかけられすらしないだろうし興味は無いな。
「じゃあ二人共、入っておいで。」
しかし、そんな思いは二人が入ってきたその瞬間音を立てて崩れ落ちた。なぜならそこに居たのは……
「皆さんはじめまして、今日からこの学校に転校してきたメリルです。仲良くしていただけるとうれしいです。」
「じゃあ次は私だね〜、私はルルーナ。気軽にルナって呼んでくれていいよ、よろしくね。」
制服を身に纏ったメリルとルルーナがそこに居た、二人の自己紹介が終わると同時に耳をふさぎたくなるほどの拍手や可愛いなどの褒め言葉が飛び交った。
「あぁ、そうそう。この二人は今風月君の旅館に住んでいるからね。」
余計なことを言ったぞこの人、視線が痛い……
「確かにこの辺りで泊まれるのはあそこくらい……くっ!あんなやつがあの二人と何時でも触れ合えるなんて……なんてうらやま……なんて危ないんだ!」
羨ましいのか、そもそも俺の何処が危ないんだ。ただ少し力が強いくらいでそれ以外は普通なんだがな……ん?……そういやこのクラスの席で空いてるって言ったら俺の両隣だよな……と言うことは……
「よろしくね、雅君。」
「よろしくミヤビ。」
「やっぱこうなるよな……」
左にメリル、右にルルーナと言う形になってしまった。更に視線が痛い……
「おい、今メリルさんとルナさんがあいつの事君付けで呼んでたぞ。しかもあんな仲良さげに……」
「はっ、まさか既にあの二人は風月の魔の手に……!」
ないない、単純にこいつらは俺を怖がらないだけだ。
「どうかした?雅君。」
「どうもしてない、それより二人共。どうやってここに入学してきた?」
「ん〜?なんかミヤビのお父さんが手配してくれたよ〜?」
「親父か原因は……」
「あ、怒らないであげて?頼んだのは私だから……」
「メリルが?」
「そう、雅君と同じような生活をしてみたかったの。……駄目だった?」
またメリルは上目遣いをしてくる、何やら周囲で何名か男子が倒れたがまあ無視しよう。
「まあ、駄目ではない。……ただ学校で俺の周りにいたらそこそこ面倒なことになるぞ。」
「そうなの?ミヤビ、なんかあった?」
「知らん、何か見た目のせいかよく怖がられる。」
「そうなの?私が皆に雅君が安全だって伝えてこよっか?」
「は?いやいや、無理にそんなことしなくても……」
そう言い終えるよりも先にメリルは立ち上がり男子が固まってる場所へ向かっていった。
「大丈夫か……」
俺はそんなメリルの姿を苦笑いしながら眺めていた。
はいども、作者です。3000文字超えてしまった。最後の方適当っぽく見えるなぁ……これでも真面目にやってます!なお今回のあとがきで雅君の出番はありません、疲れたからね。……まあ、とりあえずこれで前々回の話は回収できたかな。てなわけでまた次回、引き続き高校内での話になります。