HIGH SCHOOL FLEET -His Order has Priority-   作:オーバードライヴ

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アストライオスは彷徨う

 

 

「遅くなった! ごめんっ! 変なことってなに?」

 

 岬明乃が艦橋に飛び込んだ。艦長室に居候しているコンスタンツェも一緒だ。舵輪を握っているのは一足先に艦橋に到着し操艦を内田まゆみから引き継いだ知床鈴航海長だ。艦橋には機関科を除く各科長、砲術長の立石志摩、水雷長の西崎芽依、主計長の等松美海に書記の納沙幸子が詰めていた。もえかもましろも間もなくくるはずだと幸子から連絡を受け、明乃は周囲に目を向ける。

 

「速力かなり落としたよね。もしかして艦隊のどこかに異常?」

 

 艦長を示す三本線の入ったヘルメットのあごひもを締めつつ、当直についていた納沙幸子に目線を送る明乃。幸子はタブレットに目を落とす。ましろもこのタイミングで到着。

 

「学徒艦隊は全艦無事を確認しています。舞風の右舷側のガラスが一枚割れた程度です。……12分前に極微弱な救難信号を受信しました」

「救難信号? データリンクで送られてきたってことだよね。他のブルーマーメイドに転送は?」

 

 明乃はそう言ってレーダー画面を見る。レーダーマーカーを確認近隣の艦船の位置をザッピングするが、他に船の反応はない。ピンチアウトで倍率を下げ、広域図に切り替える。

 

「えっと……、そうなんですけど、そうじゃないんです」

「どういうこと?」

 

 すごく言いにくそうに幸子が口を開く。

 

「国V経由で緊急データリンクを受信したんです」

「こんな海のど真ん中で!?」

 

 明乃が素っ頓狂な声を上げて、レーダー画面を操作する。今度は逆方向、ズームだ。

 国Vは国際超短波(V H F)通信を示すスラングであり、超短波は基本的に水平線の向こう側まで届かない。晴風は旧式の駆逐艦ベースであり、通信マストの背も高くないために通信可能範囲は晴天かつ穏やかな海でも精々30海里程度に収まる。

 

 そんな電波を用いて救難信号が飛んできた。

 

「艦隊各艦との位置関係を確認! 全艦通達、全周見張りを厳に、漂流物や小型船舶との接触に警戒! ココちゃん、各艦に異常な振動や衝撃が無かったか確認!」

「はいっ!」

 

 明乃の中で最悪の可能性が頭に浮かぶ。艦内通信に手を掛けた

 

「達する、晴風総員、警備救難行動準備態勢。繰り返す、警備救難行動準備態勢。スキッパー・内火艇展開用意。二五海里以内で救難信号が出ている可能性大! 光源、浮遊物、海面着色剤、なんでもいいからなにかあったらすぐに教えて!」

 

 明乃の顔がどんどん青ざめていく。

 

「タマちゃんごめん。マッチに見張り台に上がるように連絡してくれる?」

「うい!」

 

 志摩がOKサインを出してから艦橋を飛びだしていく。それを見送ってから芽依が神妙な顔で艦長の方を見た。

 

「やっぱり艦長も『轢いた』と思う?」

「……最悪の可能性から潰していこう。VHFで反応が極微弱……たぶんまだ距離があると思うけど、発信元が携帯型無線機(ハンディ機)で長時間使用している可能性もある」

 

 船乗りにとって、海上での衝突事故はもっとも考えたくない悪夢だ。晴風は小型艦といわれるが、それは『軍や法執行機関の外洋運用可能な艦船の中では』という前提が隠れている。プレジャーボートや木造の小型船舶と接触しても、晴風クラスならそれを押し潰しながら航行することも可能だ。

 

 明乃の頭の中を様々な可能性が駆け巡る。伝声管の一つに手をかけた。

 

「つぐちゃん。データの起こしを共有してもらっていい?」

『了解しました』

 

 すぐに全員の携帯が同時に音を立てた。チャットで入ったのは無線の電子情報の書き起こしだろう。それをすぐに見て目を細めたのはましろだ。

 

「アーバレストⅡ、これが船名だな」

「『石弓2号』……強そうな名前ですね。客船ではなさそうですが……」

 

 コンスタンツェがそう感想を述べるが、明乃は黙ってその情報を目で追った。

 

「緯度経度の情報はなし……か」

「多分イーパブじゃなくて、救命ボートとかに積まれてる小型のサブじゃないかな」

 

 芽依がそういう。大型船ならば積んでいるE-PIRB、非常時(Emergency)位置情報(Position Indicate)通報装置(Radio Beacon)ならば位置情報もまとめて送信される。それがないということは、誰かが通信機を国際VHFに会わせて手動で発報した可能性が高い。

 

「つぐちゃん、シーロンス・メーデーを宣言して。当該チャンネルを保護、他の通信に割り込ませないように」

『了解です。シーロンス・メーデーを宣言します』

 

 救難のための沈黙(シーロンス・メーデー)は他の艦船に対して、救難活動終了まで特定のチャンネルの占有を宣言すること――――すなわち救護能力のある船舶が救難活動を開始したことを意味する。

 

「これより本艦及び学徒艦隊は捜索救難(SAR)を……」

「――――ちょっと艦長さん、焦りすぎじゃないですかぁ?」

 

 そういいながら艦橋に顔を出したのは、高峰青葉教官だった。タブレットを片手にどこかひょうきんにパチンとウィンクを送る。その後ろからジャージ姿の知名もえかも苦笑いを浮かべながら現れる。

 

「そういうのは教官に指示を仰ぐのが先です。ま、捜索救難プロトコールの開始はすぐ許可しますし、大いに結構なんですが、もう少し落ち着きましょう。貴女の過去には触れませんが、同一視するのもまた危険です。もか参謀が私を起こしに来てくれたのは納沙さんが知ってますし、納沙さんも止めましょうね。独走が過ぎるのは晴風を危険にさらす」

 

 そういいながら青葉は舵輪のそばにあるコンソールにゆっくりと歩み寄る。

 

「大体の状況は把握してますし、艦長の指示も聞いていましたが、単純な遭難と決めつけるのは早いんじゃないですか? ここは英領バミューダの東南東380キロ、おあつらえ向きにバミューダトライアングルのすぐそば、何が起きても不思議じゃありません」

「ま、まさか亡霊によるものが……!」

「はいはい。亡霊ならまだいいんですけど、それよりもヤバいのは海賊ですかね」

 

 エキサイトしそうになった幸子に青葉は釘をさしつつ、画面を操作。呼び出したのはおそらくデータリンク形式の通信画面だ。それをタブレット端末と連携させる。

 

「アーバレストⅡで艦船登録データベースに検索を掛けました。3隻ヒットで現存は1隻です」

 

 青葉はそう言ってタブレットを放り投げる。慌ててキャッチした明乃が画面を覗く。

 

「英国船籍、ハンディマックスサイズのばら積み貨物船(バルクキャリア)です。積貨重量トン数(D.W.T)は4,200。こんな重量の貨物船にぶつかれば晴風の艦首がへし折れますから、晴風がアーバレストⅡを撃沈せしめた可能性は除外でいいでしょう。問題はこの船が2年前に海賊に襲われており、今の今まで行方不明になっていることでしてね」

「か、海賊……?」

 

 舵輪を握る知床鈴が既に涙目である。

 

「よくあるんですよ。船を中身ごと奪って、船名を書き換えてから闇ルートでパナマかどこかに船籍を移し替える手口。何食わぬ顔で別の船として悠々と港に出入りして、中身が空になったら船自体も鉄くず屋に売り払う。アーバレストⅡはたぶんその手口で2年間姿を消していた。救難信号を出しておけば、のこのこ出てきたお人好しの船に乗り移って船ごと乗っ取るなんてこともできるわけです」

 

 ね、簡単でしょ? と笑う青葉。

 

「相手はこんな大海原の態々国際VHFなんて怪しいものを使っている相手です。なにが飛び出すかわかりませんよ」

「それでも助けないことは許されません。救難信号が出ている以上、それを助けるのはブルーマーメイドの責務です」

「それはその通り。正義の味方の私達は大手を振って助けに行きましょう。ですが、それなりの対策が必要です」

 

 青葉はそう言ってポケットを漁る。

 

「救助要員は武装を携行させるように」

 

 ポケットから出てきたのは個人携行用武装保管庫の鍵だ。明乃は一度目を閉じ、静かに息を吐いてから、目を開ける。コンスタンツェは明乃の表情を見て、一瞬びくりと肩を揺らした。これまでの彼女から印象が変わったように見えた。

 明乃はその鍵を受け取ってから口を開く。

 

「これより本艦は捜索救難プロトコールを開始します。海上浮遊物への警戒を厳に。武装勢力による欺瞞信号の可能性も考慮し、威嚇射撃等に備え、架台へ機銃の設置を。対象船舶の救難等の対応については、私が直接指示を出します」

 

 それを聞いたましろが頭を抱えた。武装の話が出るとこれだ。明乃はまた飛びだしていく気だ。

 

艦隊運用管理(スコードロンプロバイディング)担当教官(オフィサー)として承認します。あと、艦橋での指示は私も手伝いますよ。さすがに生徒に犯人を狙撃しろとは言えませんから」

「青葉教官、狙撃できるんですか?」

 

 驚いたように明乃が言えば、指鉄砲を作ってみせる青葉。

 

「これでもバイアスロンで国体出場経験アリの実力者ですよ。さぁ、用意をして迎えに行きましょう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……学徒艦隊が?」

『はい、バミューダ諸島の沖合で英国船籍バルクキャリア、アーバレストⅡ号の救難信号を受信、捜索救難(SAR)プロトコールを開始したようです』

 

 部下からの報告を携帯電話で聞きながら、柳昴三は窓の外を流れるビル群を睨む。

 

『現地の天候は現在回復傾向、捜索救難には問題なく、現在晴風を中心に行動中とのことです』

「現地の高峰教官は?」

『救難信号の発信元が不審なため、個人武装の携行許可を出した、と』

「妥当なところだな。いいだろう、了解した。英国のブルーマーメイドにも通報を入れておけ。やつらにも情報を与えておいた方がいい。後々義務を怠ったと言われても面倒だ」

『はっ、了解いたしました』

 

 それだけ交わした後、通信が途切れた。

 

「……英国も質が落ちたな」

 

 そういった彼はそういって嘯いた後、別の番号をコール、通信回線を開く。

 

『……はい、JLnTグループ、保険デスク窓口です』

「そちらの会長につなげ。私が誰だかわかっているはずだ」

 

 英語で淡々と告げれば、お待ちくださいとだけ返して、電話口の受付嬢の声が消えた。

 

『……君からの連絡は悪い兆候ですね』

「ジェームズ・ボンドのお国が聞いて呆れる。どういうつもりだ」

(ヒーロー)のアクションはフィクションだ、ミスター』

 

 電話口の向こうの男が低い声でクツクツと笑った。

 

『それに007が必要ならハリウッドに聞いていただきたい』

「私の子ども達がアタリを引いたぞ」

 

 笑えもしないジョークを続ける男の話を切り捨て、柳は話を切り出した。

 

『……それはそれは。おめでとうございます』

「どうもありがとう。見事なイギリス人(ローストビーフ)だな、ミスターロイド。それで、どうする気だ」

『どうぞお好きに』

「それは有り難いね」

 

 そう言って柳は小さく笑みを浮かべた。顔だけでも笑っていなければ正気を保てそうになかった。

 

「さすが紳士の国、狐狩りは由緒正しい伝統というわけだ」

「レディーファーストも紳士の国の伝統ですよ。それに、今は狐狩りより鶏投げの方がブームでしてね。皆それに興じています」

 

 レディーファースト、目の端にここにいない女性の影がちらつく。

 

「なるほど、景気よく棍棒をフランス(おんどり)に投げつけるのは楽しそうだ。女王陛下の機嫌を損ねないことを願っているよ」

 

 電話口の向こうで男が笑った。

 

『我々は秘密情報局(MI6)ではありませんよ。我々はあくまで保険請負人(アンダーライター)であって、政府がどう動こうと、軍がどう動こうと関係がない。無論、海洋大国の片翼を担う親愛なる日本国ブルーマーメイドがどう動こうとも、です』

 

 諜報機関の隠れ蓑(ダミーカンパニー)がぬけぬけと、と思えども、柳は口に出さなかった。

 

「たしかにその通りだ、ミスターロイド。……あぁ、そうだ、ついでに聞いておきたいんだが」

『なんでしょう』

「新橋商店街船の海難保険、再保険の請負人はあなただったようですね」

『まったく、ひどいことになったものです。おかげで私は大損です』

「なるほど、……その財産を目減りさせないことを祈って、一つだけ情報を。……カリビアン・エナジー・グループがもっている海上油田の事故に関する保険契約書(スリップ)が飛び交っているかと思いますが、どうぞお気をつけて」

『どういう意味でしょう』

「保険の調査がしっかりしたものでない可能性があります」

『貴重な意見ですね。どうもありがとう』

 

 そうして通話が切れた。運転席の男の目とルームミラー越しに合う。

 

「泣き別れですか」

「金鵄に丸め込まれてるぞ。情報で出遅れている」

 

 黒い革の座席に背中を預けた柳。朝の通勤ラッシュがそろそろ終わろうかというタイミング、フロート都市を飛び石のように飛び抜ける首都高速の車窓は退屈だ。

 

「英国と日本で海洋国の覇権争いをしてきたわけです。戦っても痛み分けですよ」

「そのはずだったんだがな、どうやら英国に頷かせるなにかがあったらしいな。秘密情報局(SIS)がカストリー公を見失ったのもブラフだろう。おそらくわかってて情報を封鎖した」

「やはりアーバレストⅡ号に乗っているのはアレなんですか?」

「それ以外あるまい。……くそ、否応なく晴風が鉄火場に突っ込むぞ」

 

 頭を掻いた柳は携帯を取り出したが、すぐにしまった。

 

「英国は金鵄寄り、フランスはこちら寄り、……アメリカがどう出るか、か」

「ですね。ドイツ艦隊は元から金鵄側です。今の元帥とチャンネルがあるのが救いですが」

 

 運転主の声に柳はため息をついた。

 

「……アメリカとの戦争は勘弁願いたいがな」

「私もです。急ぎましょうか」

「頼む」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「万里小路さん、ごめんね、よろしくお願い」

「海賊かもしれないとのことですから、用心に用心を重ねますわ」

 

 いつもの制服の下にこれでもかと防弾板を着こんだ岬明乃がそう申し訳なさそうに言えば、同じような恰好をした万里小路楓が笑った気配がした。スキッパーのスロットルを握る明乃は、後部席に座る彼女のその顔をのぞき見ることができない。スポーツ用のサングラスのような情報統合表示装置(インフォメーション・イルミネータ)が目をおおっている。

 スキッパーがエンジンの音高らかに接近する。

 

「こちらはブルーマーメイドです! 大丈夫ですか!」

 

 明乃が拡声器を用いて見つかった救命ボートに接近する。

 

『晴風艦橋より、はれかぜ2号、高峰教官が狙撃できるようにいつでも待機しています。タマさんも機銃銃座で待機中です』

「あれ? タッツェちゃん? タッツェちゃんが無線担当?」

『ココさんが映像とか情報の解析に入っているのでお手伝いしてます』

「わかった。ありがとうね」

 

 スロットルを緩め、一度救命艇の周りを周回する。夜明け前、サーチライトで照らされた救命艇のオレンジの塗料が眩しい。

 

「全天候型の重力落下式の救命艇……」

「中に武装集団がいたら厄介ですね」

 

 万里小路の声を聞いて、明乃はうなずくに止めた。

 

「……いこうか」

「はい、艦長」

 

 入り口のそばにスキッパーを寄せる。

 

「万里小路さん、私がいく」

「でも、艦長……」

「大丈夫。万里小路さんもスキッパーを真っ直ぐ走らせる位はできるでしょ? このために私がこれを持ってるんだし」

 

 そういって腰の横を叩く明乃、腰のベルトに差したのは合成樹脂製のホルスター。中に入っているのは六連装の回転式拳銃だ。

 

「スキッパーの上で待機して」

「わかりました」

 

 明乃がそう言ってスキッパーから救命艇に乗り移る。

 

「大丈夫ですか! ブルーマーメイドです! 助けにきました!」

 

 英語で叫ぶようにそう言って、どんどんと救命艇の扉を叩く。

 

 耳を救命艇の壁に寄せようとして気がついた。救命艇にはあるはずのないものが入り口につけられている。

 

「……こちら明乃、救命艇外側に南京錠、扉が封鎖されてます」

「どういうこと……でしょうか?」

 

 万里小路が戸惑ったような声を上げた。救命艇は文字通り命がけの時に使われるものだ。いたずら防止ということで施錠する可能性はなきにしもあらずだが、海上に降りているということは、中に人がいるはずなのだ。外側から施錠されていることは通常ならあり得まい。

 

「……」

 

 明乃がホルスターから拳銃を取り出す。

 

「錠前を破壊してドアを開放します。総員警戒」

『こちら艦橋青葉、錠前の破壊のための発砲を許可します』

「許可確認しました、発砲します」

 

 明乃がドアを撃ち抜かないように、ドアの横から拳銃を向ける。ドアの前にスキッパーがいないことを確認、射線上の安全を確認し、引きがねにゆっくりと力を掛ける。

ドン、という大きな音と共に錠前が吹き飛んだ。間髪入れずに外開きのドアを引き開けた。

 

「わっ」

 

 中から小さな悲鳴が聞こえる。子どもの、声。

 ハッとして明乃はホルスターに拳銃を叩き込む。

 

「そのまま待機!」

 

 通信にそう残して中に飛び込んだ。中の様子を見て、息を呑む。

 様々な体液で饐えた湿度の高い空気の中、メイド服のような恰好をした女性の頭を抱く、小学生くらいの少年。もともとは仕立てが良かったであろう白い襟付きのシャツ、真冬だというのに、ベージュ色の半ズボンをサスペンダーで吊っている。短く切りそろえた金髪も薄汚れて見える。その怯えた蒼い目が明乃を見ていた。

 

「来るなっ!」

 

 その男の子の手にあったのは子どもにはあまりに大きい拳銃だった。

 

「大丈夫、なにもしないよ」

 

 笑ってから明乃は両手を上に上げる。

 

「誰だアンタは」

「ブルーマーメイドの岬明乃といいます。日本から航海中にこの救命艇を見つけたので助けに来ました。……シャワーも暖かい食事もベッドも用意してる。できればその女の人の手当もしたいんだけど、いいかな?」

 

 落ち着いてそう言う。インフォメーション・イルミネーター越しに、皆にも情報は共有されているはずだ。

 

「武器を持ってるか?」

「持ってるよ。左の腰のホルスターにピストルが一つ」

 

 そう言ってホルスターが見えるようにする。

 

「外そうか?」

「……」

「大丈夫、味方になるよ」

 

 男の子はそれを聞いても黙っていた。しばらくして、男の子が拳銃を下ろした。

 

「……変なことをしたらぶっ殺す」

「おっけー、じゃあ、ついてきて」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……まぁ、こうなりますか」

 

 青葉はそう言って狙撃銃にセーフティをかけて姿勢を解いた。

 

「シーロンス・メーデー収束を宣言。晴風以外の警備救難体制を解除。晴風は要救助者2名を収容、警戒はまだ解かないようにね。納沙さん、至急風呂の手配と医療室の用意」

「わかりました」

「やれやれですよ、とりあえず事後処理に入ります」

 

 青葉はそれだけ宣言して艦橋の外に出る。もえかの横を通るとき、わずかに口を開いた。

 

 

 

――――――最悪の展開ですよ。

 

 

 

 夜明けまではまだしばらく時間がかかりそうだった。

 

 

 




物の見事にインフルエンザの熱の間に原稿を一つ間違えて消し飛ばしてた作者です。あわてて書き直しました。

……いかがでしたでしょうか

さて、怪しいショタが来ました。晴風の命運はいかに。


次回から新章、カリブ編です。

これからもどうぞよろしくお願いいたします。

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