HIGH SCHOOL FLEET -His Order has Priority- 作:オーバードライヴ
冬に近づいたドイツは、少し肌寒かった。アルコールで火照った体なら気持ち良いのかもしれないが、未成年の岬明乃はソフトドリンクしか呑んでいないわけで、夜のそよ風が体温を奪っていく。それもあってか、明乃は目の前のフローレンツィア・ゲルテ・フォン・ルックナー中将をただじっと見るしかできなかった。
「そんなに身構えないで頂戴。別に貴女を盗って喰おうなってつもりはないわ」
「はあ……」
軽く上気したルックナー中将の頬を窓越しのシャンデリアが仄明るく照らす。バルコニーの扉は開いているが、一歩外に出るだけで、音もかなり少なくなる。なぜかヴィルヘルミーナの声が賑やかだ。『儂が悪かった』とか『許してくれテア』とか聞こえ、どういう状況なのかとても気になるが、振り返って確認ができない。バルコニーに拵えられた石造りの手すりにルックナー中将は背中を預けた。左手に収まる白ワインのグラスが緩やかに揺れる。
「それで……なんでわざわざ外に……」
「この気温なら他の人もあまり来ないでしょうし、ずっと話し込むこともないでしょうからね。……一度貴女とは話してみたかったの」
その言葉はさっきも聞いた。どうやら本当に話があるらしい。どんな話だろうと思案する。初対面だし、単純になにをしていたのかを知りたいのだろうか……、もしくは
「貴女……今、無理してないかしら」
その言葉で頭の中が真っ白になった。いきなり背中に氷の塊を突っ込まれたような気分になる。
「……えっと、その」
「その反応は、当たりかしらね」
当たってはほしくなかったんだけど、とルックナー中将はワイングラスを煽る。
「どうして……」
「一五歳になったばかりで、英雄なんて呼ばれて、そのプレッシャーが重くないわけないもの。小さな英雄さん?」
ルックナー中将は笑った。それを半ば呆然と明乃は眺める。
「君はまだ幼い。そして幼くていい時期なんだけどねぇ。でも国も世界も待ってはくれないわけだ。一五歳、それも我が祖国になんの関わりもなかった少女を救国の英雄に仕立て上げ、あまつさえ功労騎士として男爵の位を授けるなど、祖国も落ちぶれてしまった。我が国の生徒すら他国に頼らねば守れないなんて」
ルックナー中将は視線を外し、テラスの外を見る。海に向かうこのテラスからは、暗く沈んだ晴風が見えた。
「ルックナー中将は……重くないですか?」
「それは勲章がかい? それとも英雄としての責務がかい?」
明乃の問いに問いで返したルックナー中将は明乃に手招きした。近くに寄ると、ルックナー中将は微笑んでみせた。
「勲章は重くない。これは過去の証明だからね。勲章はいつだって過去のものだから負担に思うことはないよ。だけどやっかいなことに勲章に期待する人が多いことが嫌になるけどね。まるで教皇の勅書みたいに思っている人間の多いことに本当に辟易する。そして我々人魚は勲章によって責務は変わらないということをわかってない人間の多さも理解しがたいよ」
ルックナー中将は少しオーバーに肩をすくめてみせた。
「海に生き、海を守り、海を征く。海上の安全を守ることこそ、我々の責務であり、それを遂行することこそ我々の義務だ。それは水兵も将官もひよっこも英雄も関係なく平等に課せられた義務なんだよ。我々勲章持ちはその義務が表面上に現われやすいけどね。そこを勘違いしていないかい?」
そう言われ、考え込む。できるだけいつも通りを意識していた。
「……勘違い、なんでしょうか」
そう明乃が呟くと、ルックナー中将は辛抱強く続きを待った。
「RATt連続テロ事件が終わってから、周りの私を見る目が変わったんです。晴風のクルーはいつも通り接してくれますけど、他の船の人は『あの』晴風って言うし、私の事を『あの』晴風の艦長って言うんです。怖がられているような、頼られているような……そんな、変な目で見るんです」
明乃の視線が落ちる。ヴィルヘルムスハーフェンの港は良港と言われるだけあって、桟橋に横付けされた晴風は揺れることなくぴたりと静止していた。
「中学の同級生に会っても、みんな呼び捨てだったのに、いつの間にかさん付けになってるし、地元に帰るとこの街の英雄みたいな言われ方をするし、なぜか市長さんから表彰されるし、いつの間にか名誉市民とか肩書きまでついてくるし……ちっちゃい子ぐらいしか、色眼鏡無しじゃ見てくれなくなって……」
「目先の利益に目がくらむ人には、君が金の成る木にしか見えないのだろうさ。捨て置いていんだよそんな人たちは。人の価値は勲章の数や札束の数ではないというのに、わかってない人が多いものだ」
ルックナー中将はそう言ってわずかに残っていた白ワインを飲み干した。
「英雄っていうのは、理不尽で、孤独なものさ。そして英雄は、本人が望む望まぬ関係なく、否応無しに押しつけられるものだ。その英雄もただの人なんだっていうのを忘れがちだ。周りも、自分自身も、ね」
そう言って空のグラスを静かに月明かりにかざした。ガラスの中を水滴がゆっくりと落ちていく。
「……少しばかり、昔話を聞いてくれるかい?」
ルックナー中将は優しく微笑んで、明乃の方を見た。月の光のせいで、アッシュグレーの髪が銀色に光って見える。改めて綺麗な人だと思った。ゆっくりと頷く。
「私が艦隊の指揮をはじめて執ったのは、一八年前だったから君が生まれる前になるのか。地中海海上テロ防止作戦『オペレーション・アクティブ・エンデバー』に参加するフリゲート艦の艦長をしていてね。旗艦が原因不明の爆発により爆沈した結果、序列第二位になっていた私の艦が代行して指揮をとり帰還した。その帰還途中にたまたま戦果を上げてしまってね、そこから一気に祭り上げが始まった。私はラッキーだったから生き残り、たまたま作戦が的中した。それだけだったよ」
それでも、周りは関係なかった。といってルックナー中将は肩をすくめた。
「私はブルーマーメイドであり、軍人だ」
「軍人……」
「あぁ、日本は海軍がないんだったね。我が国では非常時にブルーマーメイド艦船を海軍に組み込む都合上、軍人として扱われている。日本式の『ブルーマーメイドは戦争をしないから女性』という理想をとうの昔に捨ててしまった結果さ」
そう言ってルックナー中将は袖の階級章を撫でた。
「それでも私にとってはいいことだった。わたしは我が国の公僕として、この血と命をかけて国民の盾になることを誓い、前線に立った。そこに海軍も人魚も関係ない。私は……誰かを守れる存在でいたい。自分でも誰かを救えると信じていたい。私の献身が、私の命が、決して無駄ではなかったと、私はここにいていい人間だと思っていたい。……それだけで私は戦い続け、勝ち続けたんだ。たくさんの人を犠牲にしながらね」
「でも中将は……たくさんの部下を生きて返したと……」
それを聞いてうなずく中将。
「あぁ、部下の命だけは守ってきた。任務期間中に死なせてしまった部下は三人、戦闘での死者は一人だった。それはとても驚異的らしいが、私にはよく分らない。私はこの戦い方しか知らないが、その一人の部下を失ったときは、回復にしばらくの時間が必要だった。そのとき初めて、私は青年将校から大人の将校になれた気がする」
ルックナー中将はそう言って自分の掌を覗き込んだ。
「昔の私を間違いだとは今の私も思わない。だけれども、それだけが正義ではない。国家の盾になるだけが私ではない。それでもそれを受け入れることは到底できなかった」
握り込まれる拳。その手は歴戦の将校とは思えなかった。正装の白手袋の上からでもわかるほどほっそりとしていた指が、小さく震えていた。
「私が勝手に師と思っている人がいてね。その人は『失いたくないものを見つけて初めて少年は青年になり、失い絶望し、それを乗り越えて初めて青年は大人になる』って言っていた。……残酷だと思ったけど、私にとっては確かに
ルックナー中将はそう言って明乃の方を見た。
「苦痛は少ない方がいい。だけど、それをちゃんと悲しめて、苦しめる人にならないと大人にはなれないんだ。君は私より早く大人になるかもしれないね」
そう言ってルックナー中将は手の力をふっと抜き、ゆっくりと開いた。
「君の可能性は広い。まだそれを決める必要もない。君は自由でいいんだ。それを知っておきなさい。周りは君に英雄を見出すかもしれない。そしてそれに絶望するかもしれない。そして君は大人にむりやりさせられるかもしれない。でもはっきりと言えることは『英雄でも世界を救うことなんてできない』ってことだよ。だから何かが間違っても、全部を背負う必要は無い。忘れないでね」
明乃はそれを黙って聞いていた。ルックナー中将は不意に声を上げて笑った。
「あーあ、辛気くさくなっちゃった。ごめんね、こんな話しちゃって。英雄にされちゃった者同士どこかシンパシーを感じちゃってさ」
「いえ、大丈夫です。……その人って、大切な人だったんですか?」
「その人……あぁ、死なせちゃった人か。薄情な事に、生きている間の顔をあまり覚えていないんだ。兵長でね。訓示の時ぐらいしか顔を合わせていなかった。二年前の西太平洋経済協力会議に出席した要人の護衛として同行していた。テロリストの攻撃の盾になって死んだらしい。遺影と名前は忘れまいと必死に頭に叩き込んだ。それだけだ」
ルックナー中将は空のグラスを持ったままじっとしていた。
「……私は」
「うん?」
明乃が口を開くと、ルックナー中将が明乃の方を見た。
「人を傷つけてしまったことがあります」
「そう」
「アドミラル・シュペーを助けるとき、私を護って教官は被弾しています。武蔵を止めた時にも、私を護って海に落ちました。今も杖が手放せないそうです」
「そうなんだ」
明乃は必死に言葉を選ぶ。なんとなく、なんとなくだが、この人なら分ってくれるような気がした。
「教官はそれでもいいって言っています。後悔もしていないと言っています。そこまで背負う必要がないと言ってくれます。だけど私は、あの人の言葉を振り切ることができないんです」
「……本当に大切にされてきたのね、その教官に」
「え?」
明乃はその言葉に視線を上げるとルックナー中将は明乃の頭に手を乗せた。
「大切にされて、大切にして。……あなた、その教官のこと大好きでしょ」
「へっ、えっ!?」
一気に顔が茹だつのが自分でもわかる。慌てて飛び退いて距離を取った。ルックナー中将はどこか名残越しそう。
「そ、そんなことな……んて」
「顔をトマトにして何を言うんだか
あっけらかんと笑って見せた彼女は、空中に残された手をゆっくりと下ろして空を見上げた。満月がゆっくりと上っていくところだった。
「普通の好きかどうかは分らないし、その教官への好きはきっと上官として好ましいとか目標になるとか、そういう信頼なんだとは思うけど、その思いは大切だと思うよ。きっと
「えっと……その教官、彼女じゃなくて……彼なんですけど……」
そういった瞬間、ルックナー中将の目がきらりと輝いた。
「……ははーん、そういうこと。悪いこと言わないから、生徒を誑かす教員なんてクソ野郎には見切りをつけて捨て置きなさい」
「なんだかさっき言ったことを矛盾してませんかっ!?」
明乃がその変わり身の早さに驚きそう声を上げると、アルコールの香りをふわりと香らせながらルックナー中将が至近距離に飛び込んできた。
「矛盾なんてしてないわ、艦長さん。あなたはまだ幼い。幼くていい時期にある人。そんな異性の子に近づかんとする男なんてろくなもんじゃないわ」
そういってしだれかかる中将。明乃は確信する。
「あの、ルックナー中将……? もしかしなくても、酔ってませんか?」
「まっさかー、アルコールには強い方よ、ぬくぬくねーあなたの体温」
「え、ま……ちょっ!」
ルックナー中将の冷えた手が首筋を走る。背筋が別の意味でぞわぞわする。
「オホン」
咳払いの音。救いの神がきたかと弾かれるように振り返れば、セーラー服に身を包み、副官飾緒を提げた宗谷ましろが立っていた。
「うちの艦長に勝手に唾をつけられても困ります」
「しろちゃん!」
力が弱まったのを見て、明乃がましろの後ろに飛び込む。ましろの肩越しに中将の方を見る明乃をみて、件のルックナー中将は笑みを浮かべた。
「あーあ、その様子を見るとそっちが
「
不信感丸出しでそういうましろ。相手のドイツ語にはつきあわず、英語でそういった。クスリと笑ってルックナー中将も英語に切り替える。
「艦長さん大丈夫よー、怖いことしないからー、戻っておいでー」
「あの……えっと」
「艦長は黙ってて大丈夫です」
「えー、副長君がいじめる。なら副長くん、中将の命令でそこをどきなさい」
「命令系統が異なるため承服できかねます」
「なら、治安維持のため致し方なくということで……」
「あーもう!」
後半から額に浮かぶ青筋の数が増えてきたましろがついに声を荒げた。
「とりあえずですね、私の艦長をいじめるのはやめてくださいと言っているんです!」
そう言うとルックナー中将が口笛を吹いた。
「マイ・キャプテンだって、想われてるねぇミサキ艦長」
「 だ か ら ! 」
怒髪天を衝くという雰囲気でましろが詰め寄らんとしたタイミングで、その肩をぽんと叩かれた。そこに立っていたのは小柄な女性だった。真っ白な髪に深いしわ、丸い眼鏡を光らせてニコニコと笑うその女性はとても柔和な空気を纏っていた。ブルーマーメイドの制服に身を包んだ彼女の袖の階級線を確認した明乃とましろが慌てて飛び退いて敬礼。
「失礼いたしました! 大将閣下!」
「気にしないでおくれ、若い子達の場に迷い込んでしまっただけだからの。そしてルックナー、さすがにオイタが過ぎますよ。高血圧と過度な飲酒は体に毒です」
「貴女には言われたくないですー、連邦統合軍総監殿」
「総監っ!?」
ましろが目をむく。連邦統合軍総監と言えばブルーマーメイドはおろかドイツ国防軍も含めた武力行動を行なう全ての組織を統括する役職だ。ということはかるく背を曲げて微笑むこの人の階級は大将ではなく。
「申し遅れましたね。ようこそドイツ国へ。私はディートリンデ・ヴェラースホフ上級大将。改めてドイツ国を代表し晴風ほか日本国横須賀女子海洋学校学徒艦隊の来航を歓迎申し上げます。そして同時にルックナー中将の痴態をお詫び申し上げます」
「痴態とは失礼ですよー、上級大将ぉ」
「ルックナー」
名前を呼ぶだけで、酔っ払ったルックナー中将が黙り込む。
「楽にしておくれ。同じ七つの海を護ってきた仲間で、ここでは船乗りとしての敬意で十分。本当はこられるはずではなかったのが、いとまを得られたので、新しい騎士団の仲間の介添人としても一度顔を合わせたくて来ちゃったわ。はじめまして、岬明乃男爵。明日はよろしくね。私が国王に引き合わせることになるから」
「は、はいっ! よろしくお願いします!」
明乃はそう言って頭を垂れる。
「あぁ、いい。顔を上げなさい。今日は元から挨拶だけのつもりで、これでおいとましますが……」
そう言って明乃に顔を上げさせた上級大将は笑みを浮かべ、明乃の横を通り過ぎる直前に足を止めた。
「海軍にはお気をつけなさい。あなたの艦隊を利用して良からぬことを企てている気配がある」
その一瞬だけ、目の色が変わっていた。明乃はそれに敬礼で答える。
「よろしい。では明日。ぜひゆっくりとお茶でもしながら打ち合わせをしましょう」
「はい、ありがとうございます」
優雅に会釈をするようにして、上級大将はゆっくりと去って行く。明乃とましろがため息。
「さぁ、さすがに冷えてきたし、上級大将にも釘を刺されたからそろそろ中に入るかな」
ルックナー中将もそう言って中に入っていく。ましろは未だ胡乱な目だ。
(海軍に気をつけろ、か……)
明乃はその言葉を噛みしめ、もう一度だけ窓の外の晴風を眺め、中に戻った。
†
「ルックナー」
名字を呼ばれ、ルックナー中将は上気した頬をもてあましたまま振り返る。上官にあたる人物が手招きして、パーティー会場から離脱するようだった。小走りでそこに合流するルックナー中将。
「なんでしょう、上級大将」
「若すぎる英雄は貴女にはどう写ったかしら?」
そう言ったディートリンゲ・ヴェラースホフ上級大将の目は冷え込んでいた。
「すごくいいと思いますよ。使えます」
「それはどういう意味で?」
「とてもキュートだということです。小動物系で、抱きしめたら体温高そうですし、冷房効かせた部屋でしっぽりむふふといきたいものです」
「ルックナー」
あんまりな答えに上級大将が頭を抱えた。暗にお前の趣味は聞いてないといいながら、手の隙間からルックナー中将を睨む。
「能力はまだなんとも、だけど精神は年相応ですね。周囲のサポート体制はありそうなので、ある程度は耐えられると思いますが……海軍に気をつけろ、でしたか?」
それにはため息で返し、外に待たせていた、軍用車両に乗り込んでいく上級大将。ルックナー中将もそれに続き、白く色が乗る革張りの座席に体を預ける。
「どうもいけ好かない噂が流れてきたのよ」
「海軍から?」
「えぇ、セントルシアはわかるかしら」
動き出した車の薄暗い窓越しにホテルの明かりを見ながら、上級大将は端的に問いかけた。
「確かごく最近、クーデターでぼろぼろになった国でしたか。それが晴風に関係すると?」
「与太話のレベルだと思って頂戴」
それは暗に肯定する言葉だ。ルックナー中将はため息をつく。
「治安維持の出動要請にかこつけて晴風を投入し、わが国の貴重な貴族を危険にさらすわけにはということで武力介入を行なう算段ですか。セントルシアは英国連邦に加盟する国家ですし、わが国が係わると英国連邦を敵に回しかねませんが」
「そもそも晴風は日本の管轄で、晴風航洋艦長は日本の英雄よ。私達が口を出すことはできない以上、海軍の品のない冗談だと思いたいわね。……海軍の高官に次々と日本人が接触しているらしいとの情報も上がっているの」
それを聞いてルックナー中将は背を座席に預けた。
「海軍が暴走して火種を抱え込むのも気にくわないですし、それが日本の差し金なら尚更というわけですか」
「形骸化しているドイツ鉄血騎士団への入団も気になるところだけれど、勲章を与えたから死地に飛び込めと言わんばかりの空気になっている。……ルックナー」
「はっ」
上級大将が名前を呼ぶ。
「万が一の時は貴女に動いてもらうわ。大西洋の安寧を、我々が護らねばならない」
「そうせよとご命令ください。かくあれかしとご覧に入れましょう」
「心強いわ。貴女の趣味はともかくとして、その腕は期待しているもの」
「ご安心を、妙齢の女性には敬意しか感じませんから」
「……前言撤回して憲兵隊に突き出してあげようかしら」
車は走る。そのテールランプは夜闇に溶けて消え去った。
……いかがでしたでしょうか。とりあえずここで新キャララッシュは終わりだとは思います。ゆっくりと舞台は大西洋へとシフトしていきます。
次回 招かれざる幸運 招かれた来客
それでは次回もどうぞよろしくお願いします。