雄英に入学したよ!
治療係になったよ!
オールマイトの秘密知っちゃったよ!
今回は少し長めです
ヒーロー育成高校である雄英も入学式翌日からは普通に授業も始まる
今やっているのはプレゼント・マイクの英語の授業だ。私は“前世”の記憶と知識もあるからそこまで苦労してないけど内容はハイレベルだ
プレゼント・マイクの声を聞きつつ私は皆も気になっているであろう午後の授業の事を考えていた
そう、午後はヒーロー基礎学がある
「(今回も私は見学かな)」
私の“個性”は治癒が主な能力だけど“もう一つの使い方”の方は殺傷能力も高い。流石に生徒同士の訓練で使うことは出来ないものだ(兄との大喧嘩で一度使った位だ。あの時は殺し合いに発展しそうになって両親に怒られた)
膝に丸くなって寝ているシロ君の背中を撫でながら昔の思い出(?)に思いふけた。あ、シロ君に関しては特別許可が出ました。理由は知らん
そしてクラスの皆が待ち望んだヒーロー基礎学の時間が来る
「わーたーしーがー!!!普通にドアからきた!!!」
午後のチャイムと同時にヒーロースーツを着たマッスルフォームのオールマイトが入ってきた。どんな時もインパクト求めるっていつかネタ尽きるでしょう
生でオールマイトを見るからか皆興奮した雰囲気だ。画面越しでしか見てこなかった有名人に会えるんだから当然の反応だよね
皆の雰囲気にあてられたのかシロ君が静かに机の上に出てきて伸びをした
「ヒーロー基礎学!ヒーローの素地をつくる為様々な訓練を行う課目だ!単位数も最も多いぞ!
早速だが今日はコレ!戦闘訓練!!!」
ほら、私やっぱり参加出来ないタイプだった。そりゃ兄と組手とか毎日やってたけど“個性”使われると辛いものがある
……一応オールマイトにお願いしてみるか。私も訓練に参加出来るかどうか
「そしてそいつに伴って……こちら!」
オールマイトが手に持っていたリモコンを壁に向けてボタンを押すとガコンと音がして壁が迫り出した。雄英ハイテクだな。街とか見ても別に近未来的な感じは無いんだけど
「入学前に送ってもらった『個性届』と『要望』に沿ってあつらえた……戦闘服コスチューム!!」
「「「おぉお!!」」」
「着替えたら順次グラウンド・βに集まるんだ!」
「「「はーい!!」」」
皆の要望と夢が詰まったものだよね。私のものはそこまで面白くないけどやっぱり画面越しで見た皆の戦闘服コスチュームを生で見るのとは違うんだろうな
年相応に目を輝かせてコスチュームの入ったケースを受け取っていく皆を見て思わず目を細める。可愛いな〜精神が大人だから皆が近所の子供みたいに思ってしまう
私が一番最後に受け取る事になったのでついでに頼んでみた
「オールマイト。私も戦闘訓練参加して宜しいですか」
「ん!?でも君の“個性”は」
「“個性”無しでもある程度は戦えます。回復役が戦闘出来ないなんて誰も決めてないですよ」
回復役は最後の砦のようなものですし本当は前に出ない方が良いのも分かっているんですけどね。それでも親元を離れて鍛錬が出来なくなってしまったからいい加減身体動かしたいんですよ。分かってくださいな
私の眼を見たオールマイトが若干たじろぎつつ頷いてくれた
「ありがとうございます。オールマイト
それではまた」
私はオールマイトに頭を下げてから更衣室に向かった。場所はそこまで複雑な場所にないからすぐに着くことが出来た
1人遅れて行くと皆まだ制服脱いでるところだった。そこまで遅れてなくて良かった。私の方を見て話しかけてきたのは麗日ちゃんだった
「あれ、卯月ちゃんどないしたん?」
「今回の戦闘訓練参加出来ないかオールマイトに聞いていたの。OKもらえたよ」
「え!?大丈夫なん!?」
「戦えない訳じゃないから」
私は会話しながらもどんどん着替えを進める。ケースの中に入っていたのは巫女服だ。普段から着慣れてるものではなく、素材が軽く丈夫な布で出来てるものだ
千早とか裳は流石に動きに支障をきたすので要望には出さないでおいた
最後に後ろの髪を白紐で緩く結ぶと完成だ
周りを見ると皆やっぱり身体にフィットしたデザインばかりだ。明らか動きづらそうなのは私だけである。緋袴の裾絞れば問題ないけど
「わあ〜!巫女さんや〜」
「実家が神社でね。いつもこの格好なの」
麗日ちゃんがぴっちりスーツの近未来的なコスチュームを着て目を輝かせる。そんなに巫女服珍しいかな?
女子組がグラウンド・βに行くと男子の半数が集まっていた。男子もコスチューム凝ってるな
私は皆からふいっと離れて遠くから皆を見てると青春してるところがちらほらといる。面白くて頬が緩むのを手で隠してると端っこでオールマイトを待つ轟君が居た
……なんで轟君が矢鱈と視界に入るのか不思議だったけど思い出した
前世の反抗期だった時の甥にそっくりなんだよ!!
事情が事情だから同じとは言い難いけど周りと関わらないようにしたり話しかけてもツンツンとした反応しか無かったから皆苦労してたんだよね
まぁ最終的に甥を仲間(二次元オタク)に引きずり込みましたけどね!!
流石に轟君をオタクに引きずり込む訳には……
「始めようか、有精卵共!!戦闘訓練のお時間だ!!」
そう考えてる間にオールマイトが来て説明を始めたのでそちらに意識を向けた……と思うとすぐに飯田君が挙手をした。君質問好きだね
「先生!ここは入試の演習場ですが、また市街地演習を行うのでしょうか!?」
「いいや!もう二歩先に踏み込む!屋内での対人戦闘訓練さ!
敵退治は主に屋外で見られるが、統計で言えば屋内の方が凶悪敵出現率は高いんだ。様々な犯罪が行われてたりする……このヒーロー飽和社会……ゲフン、真に賢しい敵は屋内にひそむ!!
君らにはこれから『
「基礎訓練もなしに?」
オールマイトの説明に蛙吹ちゃんが至って普通の疑問を口にする
まぁ内容聞けば当然そう思うよね。私も最初そう思ったし
「その基礎を知る為の実践さ!ただし、今度はぶっ壊せばオッケーなロボじゃないのがミソだ」
自分の“個性”の力加減を覚えるための対人訓練ってところかな
後ろの方からオールマイトを見てると、皆が次々に声を出す
「勝敗のシステムはどうなります?」
「ブッ飛ばしてもいいんスか」
「また相澤先生みたいな除籍とかあるんですか……?」
「このマントヤバくない?」
「んんん~~~~聖徳太子ィィ!!!」
一気に質問されたら聖徳太子呼びたくなるのも分かるけど、個性が強いこのクラスメート達はまだ自重とかしないだろうし
慣れないでしょうが頑張ってくださいね。
オールマイトは何処から出したのか彼の手に対して小さなメモを取り出した。あれトゥルーフォームの時に書いたのかな。小さいけど
「いいかい!?状況設定は『
コンビ及び対戦相手はくじだ!何処かが3人組になるが、相手の方が人数が多くなる事もあるからその経験も兼ねてで!」
オールマイトの最後の言葉で察した数名がこちらを向く。皆頭の回転早いし分かるよね
私はにっこりと微笑んで口を開く
「今回は私も参加する事にします。手加減は無用なのでご心配なく」
「え、でも卯月さんの“個性”って」
「確かに私の“個性”は回復系だけど……」
あまり“個性”だけ見てると色んなもの見落とすよ?
私は最後の言葉と同時に兄との大喧嘩で覚えた“殺気”をだす
といっても殆ど感覚だからよく分からないけど皆顔引き攣ってるし大丈夫そうだ。
……色んなものをここで失った気もするけどしょうがないよね
流石No.1ヒーローであるオールマイトはすぐに反応して止まった説明をする
「ここにクジがあるからそれぞれ引いて同じ文字のグループを決めてくれ!」
クジか。でも色んな意味で公平な分け方になるから文句も何も無いか。でも何となく嫌な予感がするんだよな……主に私が働かされるような感じで
「Iグループ……」
「あ!私もIグループ!一緒だー!」
引いたくじを見ると“I”と書かれていた。私の呟きを聞いていたのか、近くにいた葉隠ちゃんが手袋onlyの姿で手をブンブンと振ってこっちに来た
その声を聞いたのか道着姿の尾白君もこちらに向かってきた
「ここが3人組だったみたいね」
「みんな見事に近接じゃない?戦い方が」
「そうねぇ……」
“原作”なら多分轟君達とだろうから中距離の戦い方があるかもしれないのを仄めかす位なら良いよね?
私は自問自答しつつ2人に事前に言っておいた
「まだ相手も決まってないのに早とちりかもしれないけど……」
「いや、どんな相手がきたらどうするべきかは考えておいて損はないよ」
「そうそう!」
良かった。2人は取り合ってくれたみたいだ。これが爆豪君とかだったら完璧無視されてただろうな
心の中で安心しつつオールマイトの組み分け発表を待つ
「まず最初の対戦相手はAチームが“ヒーロー組”!Dチームが“
おおぅ……知ってたけど実際に生で見ると殺伐としてるな
どちらかと言うと爆豪君の一方的な敵意だけど、緑谷君からもやや闘志みたいなものが見える
いや〜皆若いね〜。子供の頃までしか出来ない無理無茶をするかもしれないけどその時は“大人”の番ですよね。先生方
そう考えてるうちに最初の組が持ち場についたみたいだ
「それでは、戦闘訓練、開始!」
幾つかのカメラに映る双方はそれぞれ雰囲気が違った
ヒーロー組は作戦を緑谷君が立てて麗日ちゃんが同意しているようだ
一方、敵組は爆豪君が
緑谷君達が入ってからそれ程時間が経たずに爆豪君が特攻を仕掛けた
だが緑谷君はそれが分かっていたようでかなりスピードの乗っていた爆豪君の拳を避けた。動きは単純だから緑谷君も予測しやすかったんだろうな
その後は見事に言い合いをしながらの喧嘩だ。爆豪君の方は殺気も滲み出てるけどね
環境も変わりたてで思春期真っ只中だからな。それに加えてずっと近くにいた幼馴染みが変わってしまえば心も複雑だろうよ
そうして戦闘が苛烈していく中で爆豪君が腕に付けた手榴弾のようなもののピンを外そうとしてるのを見て、オールマイトも爆豪君のやる事に気づいたようだ
「爆豪少年ストップだ やる気か!」
BOOOOM!!!
突如凄まじい程の爆発の光がモニターを覆い尽くした
今程音が届かなくて良かったと思ってる。ここも少し揺れてるから現場では相当の威力だろう
「先生止めた方がいいって!
爆豪あいつ相当クレイジーだせ
殺しちまうぜ!?」
「いや……」
切島君は2人の安全の為に言っているのだろうが、オールマイトは止めることに躊躇いを感じている。私もこのまま続行するべきだと思うし、原作でも続行するだろうけど、ちょっと私も言いたい
「オールマイト、これは続けるべきです」
「正気かよ卯月!!」
「正気だよ。これは戦闘“訓練”だけどただの“訓練”ではない。“ヒーロー育成”の為の訓練だ
ヒーローで有名になりたいなら命のやり取りなんて頻繁に起こること。確かに初めてにしてはやり過ぎな面もあるけど、命をかけたお仕事だということを心に刻むにはこれくらいやらなければならないと私は思う
……それにここでは死ななければ私が治してあげるから」
私がガチトーンで話したせいか皆の雰囲気が若干固くなってしまったので、最後は少しおどける様に言ってみた。
私が笑ったからか皆少し肩の力が抜けたようだ。オールマイトもマイク越しに爆豪君に注意を促していた
爆豪君が舌打ちしたかと思うと近接戦闘スタイルに変えていた。時折爆発の推進力で身体の向きを変えて随分とアクロバティックだ。努力もしてきたんだろうな
それでも目的の違った2人の闘いは終わりを迎えた
「ヒーロー組……WIIIIIN!!」
オールマイトのコールと同時に緑谷君が倒れた。彼は速攻リカバリーガールの所に運ばれたから麗日ちゃんだけあらかた回復させてみても良いかな
降りてきた3人の前に扇子を開きながら出ると爆豪君がこちらを睨んできたけど構いやしない
『痛いの痛いのとんでけ…』
ふんわりした使い方をすると麗日ちゃんが何とも可愛らしい反応を返してくれた。見た感じこれで酔いは治まったようだ
麗日ちゃんに笑いかけてから私は葉隠ちゃん達のところに戻る
「まぁつっても……
今回のベストは飯田少年だけどな!!!」
「なな!!?」
オールマイトの言葉に飯田君が驚く
彼本当にオーバーリアクションするんだな。そこも美点だけど
蛙吹ちゃんが不思議そうに首を傾げる
「勝ったお茶子ちゃんか緑谷ちゃんじゃないの?」
「何故だろうなぁ~~~?
分かる人!!?」
「はい オールマイト先生」
オールマイトの質問に手を挙げたのは八百万ちゃんだ。キリッとした表情をしてるが、格好がド派手である。露出度が高いのだが、個性上仕方ないことなんだろう
「それは飯田さんが一番状況設定に順応していたから
爆豪さんの行動は戦闘を見た限り私怨丸出しの独断
屋内での大規模攻撃は愚策
緑谷さんも同様の理由ですね
麗日さんは中盤の気の緩み。そして最後の攻撃が乱暴すぎたこと
ハリボテを“核”として扱ってたらあんな危険行為出来ませんわ
相手への対策をこなし且つ“『核』の争奪”をきちんと想定していたからこそ飯田さんは最後対応に遅れた
ヒーロー組の勝ちは“訓練”という甘えから生じた反則のようなものですわ」
素晴らしい。流石推薦組だな
他のクラスメイト達も関心したように八百万ちゃんの発言に耳を傾けていた
オールマイトの方を見ると案の定身体をプルプルさせていた。オールマイトまだ新人さんだからね……頑張ってください
「ま、まぁ飯田少年も固すぎる節はあったりするわけだが……まぁ、正解だよ くう……!」
「常に下学上達!一意専心に励まねばトップヒーローになどなれませんので!」
仁王立ちで堂々と言い放つ八百万ちゃんを横目に爆豪君の方をちらりと見る。茫然自失といった顔だが、ここから新しい爆豪君が始まるんだろう
成長には変化が付き物だ。これも彼等にとって必要な事だな
大志を抱け、青少年達よ!……と恰好良く言ってみるが、もどかしい思いである
「では場所を移動して第2回戦を行う!
Bチームが“ヒーロー組”、Iチームが“
「私達の番だね」
「よーし、頑張っちゃうよ〜!」
「頑張ろうか」
相手は“やっぱり”轟君のいるBチームだった
どうやって勝てばいいのかを考えながら私は葉隠ちゃん達と戦闘訓練場所に向かった