「『旋車』」
と男はモンスターの集団に突っ込むやソードスキルを発動させた。モンスターは巻き込まれてポリゴンとなり消えていく。しかし、
「やめてくださいよ。それ使ったら隙だらけになるじゃないですか」
と後ろにいた仲間たちが隙だらけの男を援護するように周りの残ったモンスターを倒していく。
「いやぁ、すまねぇなぁ」
と笑いながら持っていた刀を肩にのせる。
「少しは反省してくださいよベル隊長」
と副隊長のショウタは呆れながら言う。
この隊は血盟騎手団に所属している。
そして、俺もこの隊のメンバーだ。
なぜ、こんな攻略組の団に入っているのかというと半年前に遡る
あの事件があった後俺は無理なレベリングは止めた。そして、彼女のようにみんなを守りたいという思いをもっていた。
そして、危ない目にあっているプレイヤーを助けながら、いつか攻略組になりたかった。もちろん菊岡さんの事は忘れていない。
そして、ある転機がおとずれる。
今日もレベリングをしながら上の階層を目指し今は6層にいた。
「ギギギィィィ」とモンスターの声が聞こえた。そちらに向かうと、
「やばいこっちにくんな」と一人の男が襲われていた。
やばいと思って俺は男のほうに向かう。
ソードスキルを発動させ男の周りのモンスターを倒す。
硬直が治った男は立ち上がった。
「すまねぇ、助かったぜ。えっとぉ名前は」
「名乗るほどではないですよ」
と俺はその場を去ろうとしたら足音が聞こえてきた。
新手とおもったらプレイヤーだった。
「いた、隊長勝手に一人でいかないで・・・・」
と言い終わる前に彼と目があう。すると仲間たちが武器を構える。
「おいおい、落ち着けこいつは俺が殺されようとしたのを助けてかれたんだぞ」
と隊長は間に入って止めた。
「そうですかすみません。無作法なことをしてしまって」
と武器をおろした。と彼は隊長の方を向いた。
「なにやってんですか。一人で『300匹』のモンスターと戦うなんて。迷惑をかけたじゃないですか」
その時俺は驚いた。俺が倒したのは10匹程度つまり残りは彼が倒したのだ。
「ところでお名前をお聞きしていいですか」と隊長への説教が終わってたずねてきた。
「名乗るほどではないですよ」と言った。
「なるほど、貴方でしたか『ナナシ』と呼ばれる男がピンチを救ってくれると聞いたことがあります」
「おお、お前だったのか丁度良かった」と男は豪快に笑った。そして、
「なあ、血盟騎手団に入らないか」ととんでもない誘いをうけたのだ。
そこからはトントン拍子だった。というか無理やりだった。拒否する俺の意見を聞かず、引きずりながらギルドホールに連れてこられ、そしてこの団に入団したのだった。
「今日もお疲れぇ」と俺たちは行きつけの酒場でお疲れさん会をしていた。
酒もまわってみんなが元気になってきた時、いきなり隊長は立ち上がった。
「俺がこの団の最強だ!!団長だって1回は絶対たおせるぜ。はっはっはっ」
とまるで酔っ払ったオヤジのように大声で言った。
「隊長、一回しか倒せないってどんな理屈なんですか」
と笑いながら周りの酒も進む。
「うるせぇい!俺は一騎当万のベル隊長だぞ!」
とみんなの反論をはねのけそう語るのだった。とにかくこの隊はとても面白いところだった。
夜風にあたりながら酔いを冷ましている俺の隣にベル隊長が座ってきた。
「何ですか隊長」
「いやぁ、こんな時ぐらいしか聞けないから聞きたいんだか、なぜお前さんはあんなことをしてたんだ」
そのあんなことは多分ピンチの冒険者を助けていたことだ。
「俺は隊長達と会う前。あるダンジョンで自殺にほぼ近いことをしたんですよ」
彼の目にはトラップのドアと大量のモンスターが出現した情景が目に浮かんだ。そしてその大量のモンスターを次々に倒していく少女の姿も。
「そんな時、一人の女性プレイヤーが助けてくれたんです。そんな彼女に憧れたんですよ」
「なるほどそんな理由だったとわな」
と言って隊長はその場に立った。
「そういえば俺をどうしてこのパーティーに入れたんですか」
そう、別に俺じゃなくてももっと高レベルのプレイヤーはいたはずなのだ。
すると男は頭をかきはじめた。ばつが悪そうにしている。
「なに、ただお前を一目見た瞬間こいつだっておもっただけだ」と隊長はその場を去っていった。