「今日の討伐組が全員集まったので今から70階層のボス攻略を始めます。迷宮区内では6人一組で行動してください」
「はい」
アスナの指示を受け攻略組は迷宮区に入っていった。
「腕がなるぅ」
と腕をグルグル振り回しながらベルは迷宮区に向かう。
「今日は少しは大人しくしとかないと次から参加できないんだぞ」
そういってショウタはベルの後ろを追いかけた。
「んじゃ俺たちも行きましょうか」
と俺は残りのメンバーに言って二人を追いかけていった。
さすがに迷宮区内は攻略組ということもあり苦戦することなく安全にボス部屋の近くまで向かっていた。
「あーあ、全く刺激がたりないなぁ」
愚痴をこぼしながら退屈そうにベルは言った。
「そういえば隊長、今日は今までになくおとなしいですね」
後ろを歩いていた仲間ベルは言われた。
「当たりまえだ。今日ぐらいは大人しくしてもらわないと困る」
とさらに後ろからショウタの声が聞こえた。
「でも、暴れない隊長も珍しくて面白いですよ。これからもそうしてくれたらたすかりますしね」
「嫌だぞ。今日だけだからな」
ハハハハ。と6人は大笑いした。
「賑やかなパーティーだなぁ」
と後ろからクラインがやってきた。
「お、お前さんがあの寝坊のリーダーか」
「ね、寝坊の!?まさか、ショウタ」
「真実を伝えただけです」
怒っているベルをよそにショウタは当然のように言った。
「本当に面白い奴だぜ。よろしくな俺はクラインだ」
クラインは右手を差し出した。
「俺はベルだこちらこそよろしくな」
差し出されたクラインの右手をつかんで握手をした。
「だか、もうすぐボス攻略だ。緊張感は必要だからな」
「分かった。気をつけてるぜ」
とみんなの目の前に大きな扉が見えた。
「あれがボス部屋の扉か」
確かに何か異様なムードが出ている。みんなも静かになる。
「では、今からボス攻略の最後の確認の時間を15分とります。その間に準備をしておいてください」
「俺たちも準備をするぞ」
ショウタが言ってみんなが準備をしようとすると。
「なあ、あの道なんなんだ」
ベルは一本の道を指差した。
「そういや、マップにはかかれてないな」
ショウタは事前に配布されたマップを確認したがなにも書かれていなかった。
「面白そうじゃん。行こうぜ」
「何言ってるんだ。そんなの団長やほかのパーティーが許すはずないだろ」
「ならOKもらえば言っていいんだな」
「え?」
「ちょっとまっとけ」
そういってベルは団長の方に向かっていった。
そして、
「10分だけならいいって」
「「はぁー」」
ベルを除いた残りの五人は絶句した。
「一応冒険者のことを考えたら調べといたほうがいいから頼むって」
「お前なぁ」
呆れながらショウタは溜め息をついた。
「別に俺だけでもいいんだか」
「アホがお前一人だったら誰が動けないお前を助けるんだ。俺も行く。だから残りの奴は残って」
「なに、俺たち抜きで面白そうな事しようとするんだ。俺たちもついていくよ」
俺はそう言った。
そうして、6人でその道をすすんでいった。
「なんで、あの道だけ情報が出てなかったのかしら」
少ししてアスナが不思議そうに言った。
「そういえば、珍しく今回の調査隊の内何人かが迷宮区から出てきてないっていってたな」
ある部隊のプレイヤーがそう呟いた。
「まさか、あの先に罠があるのかも」
アスナは焦った。自分が行きたいところだが攻略のトップとしてここを動くことができない。そのとき、
「俺たちが行くぜ」
後ろからクラインとその仲間達がいた。
「クラインさんお願いします。見つけたらすぐに危険を知らせて戻ってくるよう伝えてください」
アスナは頭を下げた。
「分かった。行くぞ」
その掛け声と共に風林火山のメンバーは走っていった。
「あの人たち大丈夫かなぁ」
「きっと大丈夫だよ」
アスナの横にヒースクリフがたった。
「あのパーティーの隊長は強い。一回は私に勝つと言ってた位の実力者だよ」
「それならいいんですが」
その言葉を聞いてもまだアスナは心配だった。
この時、一人の男がいないのに気づいている人はいなかった。
「なんだよ。特に何もないのかよ」
ため息をこぼしながらベルは落ち込んで戻ろうとした。その時、
「なぁ隊長、こっちに部屋があるぜ」
一人のメンバーが脇の部屋を見つけた。
「おい、よく見たら宝箱もあるじゃないか」
そう言ってみんなはその部屋に入って行った。
その光景は見たことあった気がした。部屋があってその中に宝箱が・・・・。
その瞬間ある光景を思い出した。
「団長ダメ宝箱に触るな」
しかし、一瞬遅かった。団長はもう宝箱を開けてしまっていた。
「ブーブーブー」とアラーム音が響き渡った。
「な、なにが起きた」
いつも落ち着いているショウタもこの時は動揺していた。
「やばい、早くこの部屋から逃げ・・・」
しかし、さっきまであった入り口はなくなっていた。
「何が起きてんだ。シュウ」
さすがにいつも命がけの戦いに慣れているみんなはもう落ち着いていた。
「トラップに引っかかっりました」
俺は小さい声で言った。
「なに、転移結晶を使えばいいじゃないか」
と言って転移結晶を取り出して
「転移」
しかし、結晶は反応しなかった。
「て、転移」
しかし、それでも反応しなかった。
「どうなってんだ。どうして反応しないんだよ」
彼は怒って結晶を投げた。
「まさか、ここは
結晶無効化エリアなのか」
ショウタは真っ青な顔になっていた。
「多分、俺も一回このトラップに引っかかったんで」
その言葉を聞いてみんなは暗い顔になった。
「何みんなあきらめてんだよ」
珍しくベルは怒っていた。
「これがトラップだったとして死ぬとは決まったわけじゃないだろ。現にシュウも今も生きてる」
そう言って今度はニヤッと笑った。
「今まで死にかけたことはあったが死んでねぇ。だから諦めんなよ。それに俺もいるんだからよ」
そのリーダーの鶴の一声にみんなの顔は明るくなった。
「そうだよなぁ、俺達は何回も死線潜り抜けて来たんだ。だったらやってやろうぜ」
すると、壁が上がっていって中のモンスターがやってきた。
「おい、ベル。あの数字なんだと思う」
ショウタは指をさしていた。そこには9854と書かれていた。
「さあ、知らねぇな。それよりさっさとあいつら倒してかえるぞ」
「「はい」」
そうして、パーティーはモンスターの群れに突っ込んでいった。
「はぁはぁはぁ」
俺は息を荒げながらモンスターを切っていた。ふと、上を見ると数字は9435となっていた。
「みんな、あの数字はモンスターの数です」
つまり、あと、9000匹以上もモンスターを倒さないといけないのだ。もう、みんなSPも切れかかっていてHPも黄色ゲージまで来ている。
「しっかりしろ、ヤマト」
パーティーもいつしか小さな円を作りお互いの背中を守っていた。しかし、完全に押されている。
「ヤバイな。このままじゃ全滅じゃねぇか」
「・・・・」ベルは黙っていた。
「おい、どうしたベル」
「シュウ」
いきなりベルは俺の名前を呼んだ。
「なんですか、こんなときに」
「お前が次の隊長だ」
「え!?」
唐突な事にみんなわけがわからなかった。ショウタを除いて。
「おい、あれを使うのか。まて、まだ使うべきじゃ」
「ダメだ。ここでお前たちを失うのは避けないといけねぇ。なら使うしかないんだ。だからよぉ」
ベルは笑った。
「お前は支えてやれこのパーティーを」
「何をいってるんですか隊長」
まだ理解できてない俺たちは尋ねた。
「ここでお別れだ」
そういってベルは突っ込んでいった。
「どこ行くんですか隊長」
隊長の後を追おうする俺をショウタは止めた。
「やめろ。お前が行ったらあいつが今からする行動が無駄になるだろうが」
そう言うショウタは泣いていた。
「さあ、ここから始まるは伝説の始まりだその目でしかと見届けろ。オリジナルソードスキル『無双乱舞』」
ベルのゲージには見たことのないレベルのバフがついていた。たった一つのデバフを除いて。
「なんなんだよあのスキルは」
みんなは唖然としてモンスターの群れを薙ぎ払っていく。
「あれは5分間だけ使うことができる無双スキルだ」
「そんなのなんで今まで使わなかったんだ」
「使用者は5分後に死ぬからだ」
「な」今度こそ俺たちは絶句した。
その間にもベルはモンスターを倒していく。数はもう5000を切っていた。
「うぉりぁぁぁぁぁぁぁぁ」
その姿は最強の剣士だった。
「リーダー。俺たちのために」
みんなも泣いていた。
「俺たちは絶対に生きてかえるんだ。リーダーの為にも」
「ああ」
みんなはうなずいた。
目の前のモンスターを切った瞬間ベルは倒れた。
「リーダー」
そういってみんなは近づいた。
「へへ、すまねぇ。たった9000匹しか倒せなかったわ」
弱々しい声で俺たちに謝った。
「何言ってるんですか。すごすぎですよ」
「お前に託すぜ。このパーティーとそいつを」
そういって時間が0になりベルは死んでしまった。最後までベルは笑っていた。
「あと、少しだ。生きてかえるぞ」
「おう」
そういってみんなはモンスターに突っ込んでいった。
みんなの目にはもう涙はなかった。
「くそっ。あと少しなのに」
悪態をつきながら俺は倒して続ける。
「ぐはぁ」
後ろからショウタの呻き声が聞こえた。
「しっかりしろ。あと少しなんだから」
みんなで固まってモンスターを倒していく。だか
「ダメだ。このままじゃ」
(俺にもベルのような力があれば)
俺の脳裏には沢山のモンスターを倒していくベルの姿が見えた。
(彼女のような力があれば)
俺の脳裏には今度はあの日会った少女の姿が見えた。
「俺達は生きなきゃいけないんだ。ベルの為にも、あの日助けてくれた彼女の為にも!!」
そう俺は吠えた。その時、
「シャキン」剣の音が聞こえた。
「な、なんだ?」周りの仲間は気づいたが自分では気づいていなかった。
「死んでたまるかっ!!」
俺の周りに透明な剣が現れて飛んでいきモンスターを倒していく。
そして、俺は疲れはて倒れてしまった。
「しっかりしろシュウ」
みんなは俺に駆け寄った。その時、誰かが二本の剣を持って残りのモンスターを倒したのはだれも気づかなかった。
結局俺達はボス攻略は辞退したのだった。