ショウタ達は助けを呼ぶために迷宮区の出口に向かっていた。それを狙う4人のプレイヤーがいた。
四人の内の一番後ろの仲間が四人に捕まった。
「動くなよ。こいつを殺されたくなければな」
男は捕まえた仲間の首元にナイフを構えていた。
ショウタは歯軋りをした。
「すまない、シュウ」
「さすがは隊長さんだな。歯ごたえがあるねぇ」
そういいながらもPOHの攻撃は止まらなかった。なかなか一発を当てることが出来ない。
「余裕そうだな」
「そんなことないぜ。ただ面白いだけだ」
そういって二人の攻防は続いた。
「『無頼のシュウ』とは面白い名前だよな。頼りにならないから、その名前がついたんだろ」
「ああ、俺は頼りにならない隊長だ。でも、今回は違う。あいつらだけでも逃がしたんだからな」
「本当に逃げ切れたと思っているのか」
「何を言ってるんだ」
その時、後ろから足音がした。
「おお、遅かったな。で、捕まえたか」
POHの一言に俺は嫌な予感がした。振り替えって見るとそこにはオレンジプレイヤーに捕まったショウタ達がいた。
「くそがぁー」
俺は怒りをあらわにした。
「いいのか俺を攻撃してお仲間さんがどうなっても」
俺は柄をおもいっきり握って動きをとめた。
「そうだ、いい子だな。お仲間さんを助けたいなら剣を捨てろ」
「やめろシュウ。俺達はいいからそいつを」
「うるせぇぞお前!!」
ショウタは顔を地面に叩きつけられた。
俺は剣を捨てた。
「ほら、剣を捨てた。あいつらは逃がしてくれ」
「大層、優しい隊長さんなんだなぁ。俺達の前で武器を持ってないのなんて殺してくださいってことだぜ」
「それでもいい、彼らを守れるなら」
「そうか分かったよ」
POHは笑った。
「大丈夫だ。寂しくないようにまずはお仲間さんに死んでもらおうか」
「な、やめろ」
「遅いぜ隊長。イッツ・ショーウ・タァーイム」
それを合図にショウタ達を捕まえていた奴らがショウタ達の首に向かっていたダガーを切りつけようとした。
「やめろぉー」
次の瞬間、ポリゴン破片になって消えていく4人の姿が目にうかんだ。
「やっぱり最高だぜぇ。はははははははははっ」
ポリゴン状になった体が砕け散る音を聞きながらPOHは笑っていた。
「どうたいお仲間が死んでいった感想は」
そういって前を見た。そして、目を疑った。
「どういうことだ。なにが起きやがった」
そこにいたのは訳の分からない様子のショウタ達と立っているシュウたけだった。POHに協力していたプレイヤーがいなくなっていた。
あの瞬間、シュウは怒りのあまり無意識にあのスキルを発動したのだ。シュウが作り出した見えない剣は仲間を傷つけることなく拘束していたプレイヤーの首を切ったのだった。
シュウは解毒結晶とポーションを渡すとPOHの方を向いた。
「面白い奴だよ。一体どんなタネが・・」
言い終わる前にPOHの頬に傷が入った。シュウから距離を取った。
「シュウお前」
「いいから」
そう言って俺は転移結晶を発動させ4人を逃がした。そして、シュウはPOHの方を向いた。
「お前は絶対に許さない」
「そんな顔するなよ。武器を持ってない奴がなにするっていうんだ」
POHは笑っていた。
「ああ、確かに武器が無い。いや、必要なかったんだよ」
そう言って俺はOSSを発動させた。
シュウの周りに揺らぐ何か無数に現れた。それがPOHめがけて飛んでいった。それが当たるとダメージが発生いした。
「なんだ、それは」
「なんだ、それはか。そうだな、俺の二つ名にちなんで、剣に頼らないスキル『無刀流』とでもしようなか」
俺は苦笑しながら言った。
「成程、タネが分かれば簡単だ。それに一つ弱点見つけたぜ」
そう言うとけんを刀を構えた。そうして、飛んでくる剣を打ち落とした。
「軽いぜ?こんな剣」
そう、このスキルは数が多い代わりに一撃が弱いのだ。
だから、もうひとつの使い方がある!
俺は想像した。自分の知る最強の武器を。そして、創造した、自分の知るなかの最強の武器を。
「おいおいおい、いくらなんでもその力おかしいだろ」
POHも想定外過ぎて笑っていた。
「この力は一度見た剣を創造が可能だ。つまり、これも作れるんだ」
自分のMPをほぼ使い切って俺は神聖剣を作った。
「さあ、続きを始めようか」
その時、POHの後ろから投げナイフが飛んできた。俺は盾でそれを防ぎつつ、後ろに飛んだ。
「そこまでにしてくれよPOH。寄り道はしないんじゃなかったのか」
「ちっ、邪魔をするな今いい所なんだぞ」
「あんたがいなきゃ次の作戦が始められないんだよ。それより、残りの4人はどうした」
「あいつに殺られた」
乱入した男はシュウを見た。
「ほおKoBか、面白そうな奴だな。だが、いまは作戦が優先だ行くぞ」
「まあいい、このような続きはいつがだ。それまで、首洗って待っとけ」
そう言って二人は俺に背を向けた。
「お、おい逃げんな」
「逃げるんじゃねぇよ、楽しみはとッておくだけた」
POHは俺を睨んだ。あまりの殺気に体が固まる。
「お前は絶対に逃がさないからな」
そう言い残すと二人は消えた。
「そうか、それは大変だったな」
「はい、まさかPOH達がいるなんて思いもよりませんでした」
「なるほどね、少し警戒もしたほうがいいかもね。それで、まだ言いたいことがあるんでしょ」
「・・・・やっぱり分かっちゃいますか」
俺は大きく深呼吸をした。
「俺、退団させてもらいます」
「どうしてだい?一応、君は隊長なんだからそれなりの理由があるんだよね」
「今、俺はPOHに命を狙われいます。そんな奴がいたら、周りにも被害があります。それに、仲間を助けるとはいえ、四人のいのちを奪いました。だから、私はここにはいれません」
「そうか、わかった。君の退団を受理する。だか、一つだけ条件をあげる」
「条件ですか?」
「もし、私たちがピンチの時には助けに来てくれもらいたい。君の力が必要だからね」
「分かりました」
そう言って俺はギルドホールを出て行った。あいつらに会うことなく。会ってしまったら決心が揺らぐと思ったから。
そうして、俺はまた一人になった。