リリカルフルカウンター   作:ハーゼ

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前回のあらすじ:
前にメリオダス、後ろにもメリオダス


05

「ほいっ」

 

ズサァー!

 

土煙を立てながら派手に転がされる者が一人。

すぐさま体勢を立て直そうとするがその動きは止まる。

倒れた首元に剣の切っ先が突き付けられたからだ。

 

「くっ……参りました…」

 

「うしっ、これで俺の28戦中28勝だな」

 

勝者である少年―――メリオダスはニシッと笑って手を差し伸べる。

 

「まったく、主メリオダスには驚かされてばかりです」

 

手を取り立ち上がるはシグナム。

その表情は悔しさが多少あるものの満足気だ。

 

「おーい!ご飯できたぞー・・・ってまたずいぶん派手に暴れてるな…」

 

二人を呼びに来たヴィータはこの場所の惨状を見て呆れる。

地面にはいくつものクレーターに周りには倒れている木々や粉砕されたであろう巨石。

知らないものが見たら腰を抜かしてしまう光景である。

 

「もうそんな時間か?」

 

「いきましょう」

 

「ちゃんと手洗えよな」

 

ヴィータを加えた三人は川に寄ってから残り二人が待つ場所に戻る。

 

「戻った」

 

「あっ!おかえりなさい。もうお夕飯できてますよ」

 

「待たせちまったか?」

 

「いえ、つい先ほどできたところですから。今よそいますね」

 

大きな丸太のテーブルを囲むように座っていく面々。

そこでシグナムを見たザフィーラが呆れ気味に言う。

 

「シグナムまた随分と派手にやっていたようだな」

 

今のシグナムは鎧を解除し綺麗な私服を着ているが少し埃っぽい。

途中の川で最低限は洗ったが嗅覚の鋭いザフィーラには気になるようだ。

 

「奮闘のためだ仕方あるまい」

 

「奮闘、なるほどそれは仕方あるまい。では勝敗は?」

 

意地悪く聞くザフィーラ。

 

「・・・聞くな」

 

「やっぱ負けたのか。毎日よくやるよな」

 

ヴィータの言う通りメリオダスとシグナムの手合わせは、初めて手合わせした日から毎日行われている。

そして今のところメリオダスの全勝である。

 

「ヴィータ、お前もやるか?」

 

「・・・初日に自信無くしたよっ!」

 

「まぁ、確かにあれは…」

 

「ヴィータの気持ちもわかる」

 

シャマルとザフィーラも苦笑いしながら頷く。

 

「なんかしたっけか?」

 

「思いっきりやられたんだよ!思い出してみろ!」

 

 

~シグナムとの手合わせ後~

 

「・・・!」

 

「起きた?」

 

「シャマルっ!なにが起こった!?あ、主メリオダスが!」

 

「お、落ち着いて。それについては私たちもしっかり見たわ。メリオダスちゃんが二人いるのをね。私達も驚いて聞こうとしたんだけど…」

 

「シグナムが起きるまではネタばらししないって言うんだよ。もったいぶっちゃってさ」

 

「ヴィータ、主にも考えがあるのだ」

 

「いや、そんな大層なもんじゃねぇよ。ただ身をもって体験したシグナムが最後に聞くってのは違うと思ってな。それにいっぺんに話した方が楽だろ?」

 

「絶対最後のが一番の理由だろ…」

 

「・・・そんなことねーよ」

 

「じゃあ、その妙な間はなんだ?」

 

目を逸らすメリオダスをジト目で見つめるヴィータ。

そんな光景に苦笑しながらもメリオダスを見たシグナムが気づく。

メリオダスの右頬が手の形に赤くなっている。

 

「主メリオダス、その頬はどうしたのですか?」

 

「これか?これはだな・・・」フニッ

 

「ひゃっ!?///」フニフニッ

 

「こうシグナムの心音を確認していたらだな・・・」フニッ

 

「この変態がぁー‼」

 

バチンッ!

 

ヴィータの振りぬいたビンタがメリオダスの顔に直撃し、シグナムから引き剥がされる。

起き上がったメリオダスの左頬には右頬についている手形とそっくりの跡がある。

 

「こういうことだ」キリッ

 

「かっこつけるところじゃねぇ!」

 

「と、まぁこのようなことが先ほどもあったのだ」

 

追撃を仕掛けようとするヴィータを捕まえながらザフィーラが答える。

 

「な、なるほど…///」

 

「はいはい、ヴィータちゃん落ち着いて~。どうどう~」

 

「アタシは馬か!?」

 

「あっ、やっぱりだめ?」

 

「逆になんでいいと思ったんだよ!」

 

ヴィータを鎮めようとするシャマルだが逆効果。

ヴィータの怒りを大きくする一方だった。

これにはシグナムも呆けてはいられない。

 

「まぁ落ち着けヴィータ。主メリオダスは私の心配をしてしてくれただけで過剰に反応しては失礼だろう?私は気にしてなどいない」

 

ヴィータの頭をなでながら優しく微笑みかけるシグナム。

そんな顔をされてはヴィータもおとなしく従うしかない。

 

「・・・わかったよ」

 

「うむ、いい子だ」ナデナデ

 

「こ、こども扱いすんな!///」

 

そっぽを向き悪態をつくヴィータだが赤くなった耳をみれば満更ではないことはバレバレだった。

シグナム以外にはだが・・・

 

「おっとすまない。そうだな、お前は立派な騎士だからな」

 

「あっ…」

 

シグナムの手が頭から離れた瞬間名残惜しそうな声がぽつりと零れた。

 

「ヴィータ?」

 

「べ、別になんでもねーよ!///」

 

「あらあら、ヴィータちゃんたら素直じゃないんだから」

 

「全くだな」

 

「ガキだな」ニシシッ

 

「う、うるさいうるさいうるさーい!/// シグナム起きたんだから早く話せよ!」

 

「いや、どういうことだ?私にも説明してほしい」

 

「なんでもねーから!?メリオダス!いいから早くさっきの増える技について説明してほしいなアタシ!」

 

「・・・たしかに先ほどの技について早く知りたいですね」

 

「なんとかそらせた…」

 

ぼそりと安堵の息をはくヴィータ。

それをみて十分楽しめたメリオダスも話を切りだしていく。

 

「因みにあれは俺の技じゃなく、このロストヴェインの能力【実像分身】だ」

 

そう言って剣を抜くとメリオダスが五人に増える。

 

「今度は五人になっちゃいましたね。一体何人まで増えられるんですか?」

 

「人数に制限はほぼねぇな」

 

「ほぼ、ですか?」

 

「正確にいえば、限界はあるがまずそこまで増やすことはない」

 

「なんでだ?いっぱいいればそれだけ戦力が増すのに?」

 

「いや、そうもいかんようだ」

 

「なるほど、先程から感じていた違和感の正体はそういう事か」

 

増えたメリオダスを見比べザフィーラが気づく。

それにつづきシグナムも納得する。

 

「どうやら気づいたみてぇだな」

 

「えっ、えっ、何がですか?ヴィータちゃんも分かるの?」

 

「いや、まったく。ザフィーラどういうこと?」

 

「主達のそれぞれの魔力量に集中してみろ」

 

「?・・・・・あっ!」

 

「本物のメリオダスちゃん以外魔力量が随分と低いですね」

 

「つまり分身は分身という事だ。その実力は本物には遠く及ばない」

 

「ご明察!さすがザフィーラとシグナムは鋭いな。まぁ、簡単にまとめるとこうだな」

 

・ロストヴェインの実像分身に人数制限はほぼない

・分身は本体の実力には及ばず、数が増えるほど実力はさがる

本体の実力を1000とすると

分身一体ならば半分の500、四体ならばその四分の一の125となる

 

「それってあんま強くなくね?分身の強さ合計が実力の半分ってことだろ?増やす利点ないじゃん」

 

「数値的に見ればそうだが、主メリオダスが使うと圧倒的凶悪さがある。なにせ0の力で魔力攻撃を跳ね返すことができるんだからな」

 

「あっ、そっか。じゃあどんなに攻撃が来ようと魔力攻撃に関しては絶対捌けるってことじゃん」

 

「まさにメリオダスちゃんにうってつけってやつですね!」

 

「そういうこと」

 

「でも結局アタシやシグナムみたいなタイプには初見殺し以外使えなさそうだよなー」

 

「そうでもねぇさ。使い方はいろいろある」

 

「例えば?」

 

「そーだな、組み手をすんなら二人同時までだったら相手できる」

 

メリオダスの言葉は暗に分身でも互角もしくは勝てると言っている。

そしてその言葉がヴィータの心に火をつけた。

 

「・・・へぇー、じゃあ試してやるよ」

 

グラーフアイゼンを構え、鎧を展開するヴィータ。

その目には闘志が満ちていく。

騎士としてあのような言葉を聞き逃すわけにはいかないのだ。

 

「一応聞いとくけど、分身が攻撃くらっても本体には何も影響しないんだよな?」

 

「あぁ、あくまで分身だからな」

 

「なら・・・・心置きなく叩きつけられるな!」

 

 

「あぁ、それで俺が勝ったな」

 

「そうだよ…あたしはカートリッジまで使ったってのにさ……」

 

「まぁまぁ元気出せよ」

 

「お前のせいだからな!?くそぉ、腹立つなぁ。やっぱりアタシもやろうかな…?」

 

笑いかけるメリオダスに頬を膨らませるヴィータ。

実力を認めているものの悔しいものは悔しいのだ。

 

「でもほんとメリオダスちゃんの実力は底が知れないですよね」

 

「にししっ、その方が魅力的だろ?」

 

その言葉に全員自然と笑みがこぼれた。

これが彼らの日常。

 

「さっ、冷めないうちに食おうぜ」

 

「そうですね」

 

・・・

 

「「「「まずい」」」」

 

「そんな~(泣)」

 

・・・ここまでが日常。

 

 

 

 

 

 

 

 

荷物を入れたバック内でその本は一瞬淡く光る。

白紙のページに文字を刻みながら……

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