ゲルググSEED DESTINY   作:BK201

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原作に到達するための話なので本編前と言えます。本編まではさくっと行きます。


プロローグ ゲルググ量産計画

ザクウォーリア、ザクファントム、グフイグナイテッド、ドムトルーパー等と、このようにガンダムSEED DESTINYのザフトではファーストのジオンのオマージュと言われる機体が多数存在している。

理由としてはハイネの声優がグフに乗りたいとか言ったとか何とか……まあ理由はどうでもいい。俺は別にこれらの機体が嫌いなわけじゃない。寧ろ好きだ。

まあ、何でトライアルで量産機として負けたドムが同じ量産機であるにもかかわらず無双出来るんだとか、グフのスペックは高いはずなのにゲームになると酷く弱くなってもの悲しくなったりするものの、概ね好きなのだ。

 

だが、だがしかし!俺はあいつがいないことに絶望した!そう、ゲルググだ!!

 

俺はジオンの兵器で好きなMSと聞かれればゲルググシリーズだと答える。ファーストでこそあまり活躍していなかった機体だが、あらゆるエースパイロットの機体として用意されたりしているし、0083では一話のガトー機やマリーネの活躍に、ポケ戦ではイェーガーがそのカッコよさを魅せていた。量産されるのがあと1か月早ければ一年戦争の行く末が変わっていたかも知れないと言われるハイスペックな機体だ。

にも拘らず、SEED DESTINYでは一切、合切、全く、これっぽちもゲルググが出てこなかった。

 

もう一度言おう、諸君らが愛してくれたゲルググは出なかった、何故だ!

坊やだからさ、とかそんな三大変態をコンプした人の発言はいらない!ゲイツとか、ジンみたいなもどき兵器を望んでるんじゃない!俺は……

 

「ゲルググを量産してみせる」

 

シャトルの窓から映るプラントを見ながら、そう決意を新たにした。

 

 

 

 

 

 

そもそもなぜこんな事態になっているのかを説明しなければならないだろう。俺こと、クラウ・ハーケンは俗に言う転生者という奴だ。それもただの転生者じゃない。なんと、転生して十六回目だ。

まあ、こんだけ転生しているのにも理由がある。よく分かってはいないのだが、神様が何かの実験が如何とかいう理由で転生させられているのだ。条件として転生特典に高い記憶能力と機体の操縦技術、あと死に対する恐怖だとかそういった類に対する感情の抑制を要求した。

一応言っておくが高い記憶能力が完全記憶能力でないことや死に対する感情の抑制にした理由は廃人とか鬱になりたくないからであり、機体の操縦技術もあくまで操縦が巧いだけであってNTだとかSEED持ちだとかではない。

転生させられる世界はロボットモノの世界ばっかりで、つい二回ほど前では一年戦争直後のデラーズフリートに参加して星の屑でガトー少佐と共に艦隊に突っ込んで死んだ。ちなみに前回はマクロスでVF-25やらVF-29の整備員としてマクロス内でひっそりと整備していた。

 

でだ、前置きも長くなったが、現在俺はC.E.の世界に転生した。だからこそ俺はゲルググを量産するという目的を果たしたい。一回目の転生から大分長いこと転生したと思うが、まあ、毎回そんなに歴史を変えてはいなかったと思う。

自由惑星同盟への大規模な侵攻作戦を止めたりしなかったし、警察官になっても特車二課には配属されてないし、さっき言ったようにマクロスなんかじゃただの一整備士に過ぎなかった。そんな俺が今回ばかりは歴史を動かすことを決意した……まあ、そう大層なことじゃないし、自重もするが。

そういうわけで俺はゲルググ量産計画の為に新たなる一歩を踏みしめた。

 

 

 

 

 

 

「フム、この機体でニューミレニアムシリーズの参加か。中々に興味深いね。外観はジンやゲイツに多少似るところがあるが、それを意識したのかな?」

 

「いいえ、そういった意図はないですね。それで、どうでしょう。参加を許可願えますか、デュランダル議長?」

 

 

というわけで早速交渉中。え、展開が早すぎるって?何を言う。この日の為に俺がどれほどの苦労を重ねてきたか。オーブのモルゲンレーテで働いて、そこでこの世界での技術を盗んで、連合のオーブ侵攻作戦の際にザフトに移籍して、ザフトのテストパイロット兼、開発技術者となって(その際にこの世界で問題ない程度の前世等の技術を出した)、ゲルググの開発プランを書いて、アポとって議長に直訴しに来たわけだ。

ついでに言うとテストパイロットを兼任している理由はやっぱゲルググを自分で動かしたいっていうのと、単純にパイロット適性が高かったからだ。まあ、特典の一つなんだから当たり前ともいえるが。

とはいえ、そのおかげで議長に対してアポを取ることが出来たのだし。ちなみに、このアポを取るのが一番苦労したと言ってもいい。相手はプラントのトップだし、当然と言えば当然だ。結果的にどうやってアポを取ったのかはご想像にお任せする。ただ一言いうなら前世の記憶ってすごく便利。

 

「構わんよ。私としてもトライアルに参加する機体は多い方が良い。スペックを見させてもらったが中々の物だ。むしろ私の方から願い出たいところだな」

 

「ありがとうございます。トライアルでは必ず結果を出して見せます」

 

許可をもらった俺は喜びながら退出する。さて、許可をもらったからには早速製作に取り掛からないと。期間は割と短いけど間に合わせて見せる。あ、その前にシンに一時的にテストパイロットを頼んでおこうかな。俺、一人分のデータだけだと色々と足りないだろうし。

一応言っておくと俺とシン・アスカとは友人関係、或いは兄貴的存在にある。オーブにいたころから探して交友を深めていたのだ。まあ、オーブ脱出の際に一緒に行動してたおかげで俺の家族もシンの家族と一緒に死んだ上に、俺自身も大怪我負ったけど。あれだな、高い記憶能力と言っても全部が全部覚えているわけじゃないんだよな。シンの家族がオーブで死ぬことは知ってたけど、どう死ぬのかまでは忘れてたし。フリーダムと三馬鹿めェ……。

とはいえそれ以来、同じ脛に傷持つもの同士って感じで、お互いに仲良くしてはいる。身贔屓みたいで俺が言っても説得力に欠けるがシンは自分に真っ直ぐなだけで、悪い奴じゃないんだよと思ってる。

 

「まあ、シンも訓練で忙しいだろうし聞くのはメールでも構わないか」

 

そう思いながら俺は自分の開発部まで戻っていった。

 

 

 

 

 

 

先程まで私にトライアル参加の許可を取りに来た男の情報を見る。その情報は中々に興味深い。SEED の適性こそないもののエースパイロットクラスの実力に、分野こそ違えど同じ技術者として舌を巻くほどの高い技術力。そして何より―――

 

「新型MSゲルググか―――」

 

理論値のみの資料ではあるものの、使いやすさや整備性の高い機体である上にスペックに関してはトライアルに参加するザクやグフ、ドムは愚か、一部のスペックではセカンドシリーズの機体と同等以上。

 

「クラウ・ハーケン……実に興味深いな、君という存在は」

 

コーディネーターとしての遺伝子の才能において、彼に開発系統の才能はないと見ていたのだがな。とはいえ、彼のような存在は私の計画にとっても有用だ。貴重な駒として働いてもらうとしよう。

 

 

 

 

 

 

その後も、開発資金に苦労したり、前世の技術を出し過ぎて慌てて修正したり、俺自身が乗ったり、シンに乗ってもらってテストしてみたりと、大忙しで色々と難航もあったものの何とか、トライアルまで残すところあと少しって所でようやく完成した。

 

「サンキュー、シン。お前がいなけりゃ確実にアウトだったわ」

 

「何言ってんだよ。クラウの実力だろ。ま、俺も機体に乗る機会を得たわけだし、こっちはこっちで利用させてもらったよ」

 

「まーた、ツンデレなこと言って」

 

こう、シンは子供っぽい所があるせいかからかい易くてしょうがないと思うわけよ。

 

「そ、そんなんじゃねえよ」

 

「ハイハイ、そう言うことにしておきますよ。ついでに聞くけどレイってやつには勝てるようになったか?」

 

「む、次は勝つさ。あいつには絶対負けない」

 

次、ということはまた負けたな。まあ、全成績がトップクラスのレイにそうそう勝てるとは思わないけどシンには勝ってほしい所だよな。

 

「まあ、明日からトライアルだ。自信もってこいつを出してくるよ」

 

「一応期待はしといてやるよ」

 

そうやって自信をもって俺とシンは互いにゲルググがトライアルに残ることを確信しながら笑い合っていた。

 

 

 

 

 

 

新型MSゲルググ―――トライアルの際に優秀な成績をたたき出す。その性能の高さとコストパフォーマンスによって非常に高い評価を得たが、同期新型機であるザクシリーズの汎用性の高さと信頼性によってトライアルに敗北する結果となった。しかし、その性能の高さと成長余地の多さによって、開発部からセカンドシリーズと同様の扱いとして、エースパイロット用の量産機としての開発を求められることとなった。




量産計画は見送られた。一応、エース用、ベテラン用、また適性有のパイロット用に量産されます。準量産機と言った所です。

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