ゲルググSEED DESTINY   作:BK201

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第三十七話 雪原の烽火

デストロイが現れてから戦局は一気に動き出す。同時に現れた五機のデストロイ。それに向かってビームやミサイル、バズーカが放たれていくがその総てがまともに通用しない。

 

『くそ、なんて化け物だ!?』

 

『に、逃げろッ!?』

 

デストロイのアウフプラール・ドライツェーンが猛威を奮う。最前線の艦隊が一気に薙ぎ払われ、空中にいるMSや戦闘機部隊も次々と落とされていく。

結果、部隊の連携は次第に崩れていき、水中での戦いもロゴス有利に進み始める。フォビドゥンヴォーテクスによってグーンやゾノが呆気なく落とされていく。

 

「ハハハ!どうですか!所詮ザフトも寝返った連合の部隊もこの程度のものなんですよ?」

 

「まさかアレを量産していたとはの―――」

 

「驚きじゃわい。だが、痛快じゃのう。儂らを落としいれた罰じゃ」

 

ロゴスの面々は大量に落とされていく敵を見て嗤う。しかし、その場に欠けている人物がいた。防衛を主張したブルーノ・アズラエルである。

 

「―――それにしても、いざというときの為に脱出用のモノを用意するなどと……ましてやそれを私だけに教えるとはどういうつもりだ?」

 

ジブリールは小声でそう呟きながら思案する。ジブリールとアズラエルは意見の対立含め、仲が良好とは言い難い。そんな相手に態々脱出の準備をしていると知らせるなど、勝った際に付け入らせる隙を作るだけではないだろうか?

無論、危険になった際に中心人物であるジブリールが知っているべきだろうなどと言い訳はいくらでも利くが。何にせよ、十分な戦力がある以上、こちらの敗北はありえない。とばかりにジブリールはあざ嗤っていた。

 

 

 

 

 

 

アズラエルが用意していた脱出用のシャトルの一つに一機のMSが運ばれていた。例の青い機体である。一般的なサイズのMSとはいえ、シャトルに詰め込むのは一機が限界だった。

 

「しかし、この戦いで出さなくて本当によろしいのですか?」

 

「当たり前だ。ここにはこれをまともに扱えるパイロットなどいないのだからな。そんなMS一機の介入で戦局が変わるなら、デストロイだけで決着がつくことだろうよ」

 

このMSは宇宙での切札だと言ってシャトルへの詰め込みを急がせる。このシャトル自体は大型のマスドライバーが無くとも宇宙に上がることの出来るものだ。囮としてシャトルに偽装させた飛行艇や本命だと思わせるための潜水艦も用意させている。実際にどれを本命として使うのかは彼自身も戦局を見て判断するしかない。

しかし、ここまで念入りに用意しておいてなんだが、アズラエル自身もヘブンズベースが落とされるとは思っていない。あのベルリンの惨劇を起こしたデストロイが五機もいるのだ。ザフトのエースと言われるミネルバの部隊ですらかなりの苦戦を強いられていた。

 

「とはいえ、ここが敗れようとも、レクイエムさえ成功すれば問題はあるまい。もとよりジブリールはその心算だったらしいしな」

 

アズラエルが囮として用意していた潜水艦以外に、脱出用の潜水艦が用意されていることから明らかにそうする気だったのだろう。尤も、脱出の用意をしているとジブリールに教えた時点でおそらくそれが使われることはないだろうが。

アズラエルがここまで周到な準備を整えたのも、当然情報提供者からの助言だ。脱出のことをジブリールに伝えたのも、まかり間違って内部分裂を引き起こさないようにするため。結局、このヘブンズベース戦での主導権はアズラエルが握っていたと言ってもいい。無論、それは情報提供者によって踊らされたと言っても過言ではないのだが――――――

 

 

 

 

 

 

ミネルバもラー・カイラムも突然の連合の奇襲に騒然としていた。コンディションレッドが発令され、MS隊もすぐに準備を整え始める。

 

『連合軍の突然の攻撃により、前線の艦隊は壊滅状態よ。敵の主力はベルリンに現れた巨大MA―――その同型機が五機確認されているわ』

 

『あれが五機も……』

 

『厄介なこった―――俺が一機抑える。アスラン、残りの分配は任せるぜ』

 

ハイネが、新型のデスティニーに乗り込んだ状態でアスランに指揮を任せる。アスランとしても複数のフェイスメンバーによって指揮系統を混乱させるのは避けたかった為、その申し出はありがたかった。

 

「了解した。シン、お前に一機は任せる。エースの力を見せろよ?」

 

『分かってますよ!やればいいんでしょ?』

 

相変わらず反骨精神を見せてくるというか、子供っぽい所があるなと思いながらアスランは他のメンバーにも指示をする。

 

「ルナマリアはフォースシルエットの状態でエクスカリバーを用意しておけ。一本はレイに渡して構わない」

 

『ビームサーベルも通用しなかったですもんね。インパルス、シンみたいに使いこなせるかな……』

 

『ルナならやれるさ。俺達と同じ赤だろ?』

 

『それ励ましてくれてるつもり?―――でもありがと、シン』

 

「俺、シン、レイの三人でそれぞれ一機ずつ抑える。ルナマリアとショーンも連携して一機を抑えてくれ。デストロイ以外の敵部隊はマーレ達が抑えてくれる筈だ。各員、落とされるなよ。アスラン・ザラ―――セイバー、出撃する!」

 

一番最初にアスランのセイバーとルナマリアのコアスプレンダー、ショーンのゲルググJG型が出撃する。続く様にハイネのオレンジカラーのデスティニーが出撃し、レイのレジェンドが、そして最後にシンのトリコロールカラーのデスティニーが出撃した。

それとほぼ同時にラー・カイラムからも出撃していた。リゲルグに乗ったクラウを中心としてルドルフのギャンとアレックのガルバルディαが、マーレのゲルググC型を中心としてゲルググG型の三機の二チーム編成で展開していく。

 

『アスラン、あのデカブツは任せた!俺達は足元の奴らを蹴散らす』

 

「ああ、わかった!」

 

『まあ、結局まだしばらくはお前さんと一緒ってわけだ。よろしく頼むぜ、相棒』

 

新たな任務に就き、新型の配備される予定だったマーレだが、本人の希望によりラー・カイラム配属で乗機をゲルググのままに戦場を共にするマーレ。

彼はデストロイの対応をアスラン達に任せ、MS部隊や艦隊、デストロイ以外のMAを潰しにかかる。新型MAであるユークリッドが現れたが、陽電子リフレクターを起動させる前にマーレのゲルググC型のバズーカ、ライフル、ミサイル、キャノンなどのフルバーストで撃ち抜かれた。

ラー・カイラムのMS隊の目を惹かせるための先制攻撃としては十分なものだったのだろう。敵MSやMAはすぐさま彼らに攻撃を仕掛け始める。金色の目立つ機体がいることも引き寄せられている理由の一つだろう。

 

『ロゴスの面々め!不意打ちとは騎士の美学に反するものだぞ!』

 

ザムザザーの砲撃を躱しながら一気に距離を詰め、クローをシールドで受け止めてそのまま専用ビームサーベルで突きの連撃を浴びせる。ザムザザーは陽電子リフレクターを展開させるが無意味とばかりに出力の高いギャンのビームサーベルが貫く。

 

『悪いが、落とさせて貰おう!』

 

アレックもルドルフのギャンに向かっていく敵を牽制しながらビームライフルでウィンダムやダガーの敵を撃ち落としていく。MA系統を狙わず、周りにいる敵MSを相手に一機ずつ、確実に倒していった。

 

『ただのMSやMAでこのリゲルグに追いつけると思わないで欲しいな』

 

フレキシブルバインダーを参考に設計されたリゲルグはその強力な推進力によって圧倒的なまでの機動力を誇り、敵に対して一撃離脱を繰り返していく。それを辛うじて防いだ一機のユークリッドもそのままリゲルグが接近し、ビームサーベルを引き抜いて切り倒した。

ウィンダムですら追いつくことが出来ず、その機動力に圧倒される。しかし、圧倒的な機動力を誇っているのはリゲルグだけではない。

 

『終わらせる、俺たちの手で!』

 

シンのデスティニーが光の翼を展開して一気にデストロイに向かっていく。それらを止めようとするMS隊が現れるがマーレの援護射撃によって道が開かれる。

アロンダイトを構え、光の翼が幻影を作りながらデストロイの攻撃を躱し、コックピットを貫く。パイロットはきっと、彼女が救ってやってくれと願った彼のような存在なのだろう。それを感じ、操縦桿を握る力が強くなる。彼らは被害者なのだ。この戦争の為にロゴスの非道によって作られた―――

 

『許すもんか、こんなことをさせる奴等、ロゴス―――お前たちなんかがいるから世界はッ!!』

 

「シンの奴、あの機体をあっさりと……シン!前方の対空兵器を潰せ!後ろの敵は俺が止める!」

 

アスランはシンにそう指示を出し、後ろから追いすがるデストロイに砲撃を仕掛ける。しかし、当然のように搭載されていたIフィールドによってビームは通じない。だが、注意は引けた。デストロイはセイバーに向き直り、攻撃を開始してくる。五連装スプレットビームガンを撃ってくるがセイバーはそれを躱す。

一気に近づき、ヴァジュラビームサーベルを連結させ、斬りかかる。しかし、デストロイは陽電子リフレクターを展開して防御する。だが、その程度のことはわかっていた。

 

「ウオォォォ―――!」

 

シールドのビームクローを展開させる。Iフィールドのせいでエネルギーの消費は激しいが、展開自体は可能であり、右手で持って斬りかかっているビームサーベルと同じ部分を狙う。予想通り、陽電子リフレクターが限度を超え、そのままビームクローは突破し、陽電子リフレクターの発生装置である腕のひし形の部品を貫く。

そのまま右足を持ち上げるように動かし、ビームサーベルを腕に刺し、反対の左足で踵落としをするようにビームで腕を断ち切った。腕が使い物にならなくなりデストロイは取り外す。そして、セイバーに向かってツォーンmk2とイーゲルシュテルンを放ち続ける。

距離を取るセイバー。もう一方の腕を断てば倒せる、と思い動き続けるが隙が出来ない。アスランのセイバー一機に狙いを定めたせいで敵の注意をそらすことも出来なかった。

 

『ヤアァァァッ―――!』

 

一方でルナマリアのインパルスやショーンのゲルググも苦戦を強いられる。衝撃を与えるためにバズーカを装備しているゲルググだが、VPS装甲が存在するせいでほとんどの攻撃が通用しない。決定打を与える装備であるインパルスのエクスカリバーも近づけなければ無用の長物だ。

今一度とばかりに近づこうとするが、ミサイルの猛攻とスーパースキュラの砲撃で近づけない。とはいえ、敵を釘づけにすることは出来ており、このままなら上陸部隊もシンのデスティニーを中心に可能かと思われた。

 

『落ちなッ!』

 

ハイネのデスティニーも光の翼による幻影とその機動力によってデストロイを翻弄し、背面の円盤を破壊する。ビームブーメランも投げつけ、Iフィールドによって威力は減衰するものの、損傷を増やし続ける。

 

『グフとは違うんだよ、グフとはッ!』

 

その圧倒的機動力を見せつけるかのように高速で移動し、グフに乗っていた頃には要求されたスペックに応えてくれなかったレベルの機動を見せる。無論、グフを軽んじているわけではないが、流石の性能にハイネも舌を巻きながらそういう。

 

『ハアッ!!』

 

レジェンドがドラグーンの砲頭を前面にむけて一斉に発射する。しかしながらビームは弾かれてしまい、ビーム兵器が中心のレジェンドでは突破は困難かと思われる。だが、腰部にジョイントされていたフリーダムのレール砲のような武装を外し、攻撃を仕掛けた。

 

『ゆけッ、ドラグーン!』

 

カオスのポッドのように地上であっても浮遊するドラグーン。推力とサイズの関係上、持続時間はごくわずかだが、二基とはいえ攪乱には十分だった。その隙に接近し、ビームサーベルとインパルスから渡されたエクスカリバーで一気に切り裂く。

しかし、デストロイは攻撃を受けながらも沈黙することはなく、反撃を開始する。次々と放たれていくミサイルの弾幕、スーパースキュラやツォーンmk2の高火力。一度距離を取りなおせば、デストロイは反撃を許さないとばかりに猛攻を開始しだした。

 

「不味いな、のせられているぞ……」

 

デストロイの高火力部隊は暴れまわるだけで流れ弾が一方的にこちらに被害を与える。今はミネルバの部隊が抑え込んでいるが時間がたてば自然とこちらが不利になっていくだろう。戦局を変えるには宇宙からの援護、つまり降下部隊による内陸からの攻撃が必須だ。

 

「シン、頼むぞ―――あの対空兵器を一刻も早く……」

 

デストロイを相手にしながらセイバーは動き続ける。どのデストロイも損傷こそ負っているものの、それはどれも大して能力は下がっていない。寧ろ敵の警戒力を高め、こちらが攻めあぐねるような状況だった。

戦闘は続いていく。ヘブンズベースに集まったロゴスによる軍勢は徹底抗戦をし、戦線を維持し続けていた。

 




ヘブンズベースの戦いが始まりました。各々大活躍中です。え、ゲルググの描写が少ない?そんな馬鹿な……アレ?
といった恒例のタイトル詐欺兼主人公違うんじゃね疑惑はともかくとしてデストロイが苦戦しながらもいい勝負しています。シンにはあっさり落とされましたが、それ以外の面々は意外と苦戦中。シンは強襲に成功して懐に潜り込めたというのもありますし仕方ありません。
そしてロゴスの謎の青い機体(笑)は宅急便(脱出用シャトルその一)で宇宙に送られることになりました(ゑ
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