嬉しい限りです(^-^)v
サブタイトル決めるの難しいです(涙)
アルシャハル周辺宙域に、突如としてデフォールドして来た6機のVFがアルシャハル守備隊──衛星軌道上の艦隊──を抜けて《アル・シャハル》に降下するコースを取った。
アンノウンのVFは統合軍主力VF──《VFー171 ナイトメアプラス》を軽々と撃破したのだ。
《ナイトメアプラス》は《VFー17 ナイトメア》を改修して扱い易さを増し、かつ戦闘力向上にも成功した機体である。
約10年前に配備された機体であり、高性能であるためにひどく使い手を選ぶ《VFー19 エクスカリバー》とも渡り合えと言われている。
そんな《ナイトメアプラス》を圧倒するアンノウンVFは性能もさることながら、パイロットの技量も凄まじい。
機体性能だけでは、決して練度が低くないアルシャハル艦隊を簡単に突破は出来ない。
「デルタ1からデルタ各位へ。 《エリシオン》より緊急通信だ。 シャハルシティーに間もなくアンノウンが来るぞ」
「アンノウン? ゼントラーディですか?」
ミラージュ・ファリーナ・ジーナスが聞いた。
超古代文明プロトカルチャーによって戦闘特化型ヒューマノイドとして生み出されたゼントラーディ種は、プロトカルチャーが滅んでも、リン・ミンメイの歌により
それにより、移民船団や惑星が滅んだこともある油断ならぬ相手だ。
「いや、敵はVFだ。 《エリシオン》が捉えた結果によると、随伴のゴースト(無人機)を合わせて中隊規模になる」
ゼントラーディは《リガード》や《クァドラン》等のゼントラーディ兵器しか使わない。
否、使えないといっていいだろう。
理性を持たない
「なお、ヴァール特有のフォールド波形は検出されていない」
それが意味するのは──
「テロリスト!」
戦いは次の段階へと移って行く。
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自身の
ハヤテ・インメルマンはその感覚が
理屈ではない。
本能が、魂がそう告げるのだ。
(念動力・・・・そう呼ばれる能力が俺には、ある)
ハヤテの靄のかかっていたような感覚を払うのは、〈ワルキューレ〉の神秘と生命と愛と希望が宿る歌か、死と生が支配する戦場に吹く風か、彼には判断はつかない。
それでも、彼の持つ
(この感覚は、フレイヤ・ヴィオンと──)
ハヤテは、今はまだ点にも見えないアンノウンVFの存在を感知していた。
それから間をおかずしてシャハルシティーに突入してきたアンノウンは、《ナイトメアプラス》や《シャイアンⅡ》を次々に撃破して行く。
戦況が変わる。
〈ワルキューレ〉とデルタ小隊、グリムリーパー中隊の参戦により、ヴァールに対して優位を確保していた新統合軍だが、それが覆り一転して押されだした。
アンノウンとヴァールの対処に戦力が分散され、何よりヴァールに対する最大の援護となる〈ワルキューレ〉の歌の効果が薄くなった。
アンノウンはデルタ小隊を押さえるだけでなく、〈ワルキューレ〉への攻撃も行っている。
そのため、彼女たちは腰に装備したガスジェットクラスターを使い回避行動をとる。
そのためには歌を中断しなければならず、ヴァールへの歌の効果が薄まり出したのだ。
突然現れたアンノウンと動きの増したヴァールへの攻撃に、新統合軍は浮き足立つ。
それでも戦線が崩壊しないのはデルタ小隊とグリムリーパー中隊の働きと、何よりも砲弾とミサイルの嵐の中でも生身で歌い続ける〈ワルキューレ〉のおかげであった。
その光景を前にハヤテは思う。
(何故、俺はここに居る!)
心の奥から湧き出る感情。
それは戦場で傍観者である自分への自責心。
このままでは己の心が押し潰されてしまうほどの強い感情。
──お母さんっ!! しっかりしてっ!!
── いやぁぁぁぁっ!! 貴方っ!! 貴方ぁぁっ!!
──ウソだろっ!! 父ちゃんっ!!
── 痛いっ!! イタィッ!! 腕がああぁっ!!
アンノウンの放った攻撃は〈ワルキューレ〉やデルタ小隊、グリムリーパー中隊だけでなく、非戦闘員にさえも容赦なく浴びせられていた。
今でも凄惨な状況だが、攻撃の規模からして死傷者が少ないのは陸戦部隊グリムリーパーの働きのおかげだろう。
ピンポイントバリア搭載の盾の防御力、歩兵にあるまじき高火力と機動性にアンノウンも戸惑いを覚えているようだ。
的も小さいこともあり、その対処に気をとられている。
だがグリムリーパーも、ヴァールの対処も合わせて行っているため被害を減らすことしか出来ていない。
時間と共にヴァールが活性化するだけでなく、おまけにアンノウンは
(俺が──)
いつの間にか、懐にしまっていたカードキーを右手に握っていた。
カードキーが一瞬、強く輝いたような気がした。
きっとそれは錯覚であったのであろう。
(成すべき事は!!)
それでも、ハヤテの心を決めるには十分なきっかけであった。
その時だ。
フレイヤが──走り出した。
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フレイヤは震えていた。
それは弾丸に貫かれ、ミサイルに木っ端にされる──死への恐怖ではない。
先ほどまであった死への恐怖は消えていた。
その原因ははっきりしている。
〈ワルキューレ〉の歌だ。
どこまでも響き渡るかのように強く──
どこまでも包み込むように優しく──
4つの歌声が自身の中へと驚くように染み渡る。
フレイヤに確かな力を与えていた。
次の瞬間には肉塊へと変わっているかもしれない戦場で、どこか悲壮感を帯びた笑みを浮かべて、彼女は高揚感により震えていたのだ。
彼女は成すべき事を見つけた者の強い笑みを浮かべている。
目映いばかりに輝き、どんな困難さえも捩じ伏せる力のある笑いだ。
「ウィンダミア魂を見せちゃるかんねーーー!!!」
拳を突き上げ、彼女は〈ワルキューレ〉の歌声に合わせて歌い出した。
その時だ。
ハヤテが──走り出した。
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ハヤテは反対方向へと走り出したフレイヤを止めなかった。
否、止められなかった。
彼女の歌から発せられる覚悟に、魂の輝きの強さを見せつけられて。
それが、たとえ戦火へと飛び出して行くのを分かっていてもだ。
(フレイヤ・ヴィオン、君は見つけたのか成すべき事を──)
彼女の駆けて行く先に存在したヴァールたちは鎮静化し、暴徒化した市民や兵士たちが正気に戻って次々に武器を放棄していく。
それがフレイヤの歌による効果だと、誰もが疑いようがない事実であった。
(ならば俺も、己が成すべきと思った事を成すだけだ)
ハヤテはフレイヤの方を振り返りもせず、猛然とエリアを2ブロック進んだ先にあるガレージに駆け付けた。
電力供給が断たれていたため、シャッターがカードキーを通しても開けることは出来なかった。
万事休すかと思われたが、よく見れば何の因果か飛来した砲弾が上手いこと人が通れる程の穴を開けていてくれたおかげで、シャッターを無事に通り抜けられた。
中は個人所有のガレージのため大きさに余裕はあまり無く、ほとんどギリギリで鋼の巨人──《VFー17 ナイトメア》だけが格納されていた。
暗闇の中、バトロイドモードの《ナイトメア》を見つけたハヤテの顔には、彼には珍しく笑みが浮かび上がっていた。
そこから彼の行動は早かった。
膝を付いた状態である《ナイトメア》を軽快に駆け上がると、コックピットに座り、起動スイッチを押す。
各部に電気が伝達され、即座に各種ステータスが自動点検が行われた。
搭載AIが異常が無いことを確認し、エンジンを駆動させ、コックピットを閉鎖する。
『起動完了。 各種ステータスオールグリーン』
AIの知らせを受け、ハヤテはタッチパネルを操作する。
(非武装か)
運送屋等の一般人が、海賊やはぐれゼントラーディ対策として申請さえ行えば武装することは許されているが、親方は専ら港運関係の仕事であり、宇宙へと出る仕事は行っていないため、手続きの面倒さと結構な維持費が掛かるということで武装は積んでいない者がほとんどだ。
今回もその例に漏れなかったようだ。
(否、ピンポイントバリアは搭載されているのか)
それはこの機体の整備履歴を閲覧して知った。
《ナイトメア》は開発されて20年以上経つ代物であり、武骨なフォルムのバトロイド形態から連想できるように扱い辛い機体で、地球や銀河系での配備数は少ないVFである。
だからと言って骨董品としての価値が付くほど少なくもないため、機体の価格が非常に安い。
親方は知り合い経由で故障していたため格安の《ナイトメア》を購入し、気紛れで手入れをしていたようだ。
流通が少ない《ナイトメア》は、もちろん予備パーツの製造数も少ない。
辺境のブリージンガル球状星団なら尚更予備パーツの入手は困難であったため、相互性のある後継機であるVFー171《ナイトメアプラス》のパーツを使用して修理を行っていたようだ。
エンジンも、《ナイトメアプラス》に積まれている新型熱核タービンに換装済みである。
そのため、本来はピンポイントバリアが搭載されていない《ナイトメア》に、ピンポイントバリアが存在しているのだ。
ピンポイントバリアは時空間連続体の歪みを利用したエネルギー盾であるが、防御だけでなく拳や脚に纏わせて各部の装甲を上げて打撃攻撃にも利用できる。
(《ナイトメア》というより、《ナイトメア改》というべきだな)
嬉しい誤算だった。
機体は万全。
武装もある。
ならば、ハヤテがやることは──たった1つ。
ピンポイントバリアを纏わせた拳で瓦礫を吹き飛ばし、《ナイトメア》改め──《ナイトメア改》は悠然と立ち上がった。
立ち込める炎にライトアップされた《ナイトメア改》は、ハヤテの怒りを体現するかのように──
モニターカメラは、遥か先で《104式リガード》に銃口を突き付けられたフレイヤを捉えた。
──先ほどまでなら決して助けられなかっただろう。
だが、今ならば。
《ナイトメア改》という剣を手に入れた今ならば。
──可能となる。
「押して参る!!」
バーニアスラスターを全開で吹かし、《ナイトメア改》は疾風迅雷の勢いで駆ける。
旧式機とは思えない加速。
その秘密は《ナイトメアプラス》のエンジンが搭載されているだけでなく、《ナイトメア改》が軍属ではないために簡易なプロテクトだけしかかけられていない
EXギアも付けず、対Gシステムも停止した機体のコックピットには、意識が吹き飛ぶほどの強烈なGが掛かる。
常人なら間ともな操縦が出来ない状態だが、ハヤテは顔色1つ変えること無く機体を操る。
フレイヤに銃口を向ける《104式リガード》との間合いを瞬時に詰め──
「頭を下げろ!」
外部スピーカーで警告を発する。
発せられたハヤテの声に、フレイヤは直ちに反応してその場で屈んだ。
「──!!?」
《ナイトメア改》の登場を《104式リガード》が気がついた時には、ピンポイントバリアを纏った拳を受けた時だった。
アッパーカットをもろにもらい、衝撃と共に打ち上げられた《104式リガード》。
さらに空中で掴まると、そのまま背面から地に叩き付けられた。
機体の各所からスパークが発生し、そのまま沈黙した。
「フレイヤ・ヴィオン、乗れ!」
「ほいな!」
フレイヤは差し出された《ナイトメア改》の左手に乗る。
彼女を掴んだ左手は振り落とされないように握り混み、潰れて仕舞わぬように固定した。
そんな時──ヴァール化して暴れていた《104式リガード》3機がこちらに気付いた。
相手はガンポッドやミサイルの武装をしている。
こちらはピンポイントバリアがあるとはいえ、火器は何も無い。
けれど、ハヤテは何の不安も抱いていなかった。
左手はフレイヤを掴んでいるために攻撃にも、防御にも使えない完全に死んだ状態だ。
彼女を庇わなければならないため、さらに不利な状態であるにも関わらずだ。
むしろ彼は自身の勝利を何の疑いもなく信じていた。
身体が軽い。
思考が染み渡る。
それは──圧倒的な暴力が支配する戦場で、何の身を護る手段を持たず、それでも恐怖により曇らせることも無く歌声を響かせるフレイヤのお陰か。
どこか聞いたことのあるフレーズだが、彼女の歌う歌がどんな歌なのかは知らない。
それでもハヤテは心に響く歌に感動を覚えていた。
「真名は未だ知らず、だがあえて名乗らせてもらおう!」
ハヤテは確かに感じていた。
今が戦士としての目覚めの時だと。
だから宣言するのだ。
この世界に。
そして──理不尽を、憎悪を、砕くために。
「我はハヤテ・インメルマン!
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ヴァール化は、体内に共生するフォールド細菌の異常活性化が原因の1つと考えられている。
そのため、ヴァール化を治すためには
〈ワルキューレ〉のメンバー全員が、高数値の生体フォールド波を発することの出来る
フォールドレセプターはそれなりの数は存在する。
例えばデルタ小隊やグリムリーパー中隊の面々等がそうだ。
だが、自らの身を護るだけでなく、ヴァール化を治すことが可能となる強力な生体フォールド波を発する──アクティブ反応を出せる者は極端に少なくなる。
《ケイオス》の情報網を持ってしても、ブリージンガル球状星団80億人の人口の中から〈ワルキューレ〉メンバーの4人及び過去にメンバーだった2人の計6人だけしか発見されていない。
たからこそ、戦場ライブ中のカナメ・バッカニアは一瞬、手元の計器異常を疑った。
──フォールドレセプター、アクティブ反応。
「私たちの他にも!?」
しかも、その反応が〈ワルキューレ〉のなかでも抜きん出た数値を誇るエースボーカルの美雲・ギンヌメールに迫るものがあったのだ。
さらに驚愕した事がある。
──フォールドレセプター、アクティブ反応。
「もう1人!? けど、この数値は何?」
それも美雲と同等の数値だ。
けれども、この数値は可笑しな所がある。
生体フォールド波は
大なり小なり変動しなければならない。
美雲も、他の〈ワルキューレ〉メンバーも、アクティブ反応までいかない者も例外は無い。
最初のアクティブ反応はきちんと波となっている。
だが、2つ目のアクティブ反応は、高い数値を
「──!!」
「この歌声!」
「胸がチクチクする・・・・!」
美雲、マキナ、レイナもそれぞれ最初のアクティブ反応に感応しているようだ。
カナメもそうであるが、不思議と2つ目のアクティブ反応には計器の反応だけで特に感じる事は無かった。
(やっぱり故障? それとも──。 いえ、ともかくこの戦闘を終わらせないと)
カナメは自らの疑問を一旦忘れ、戦い──ライブ──に集中する。