マクロスΔ~銀河を断つ斬艦刀~   作:自己満足です

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今回は短いかつ、展開が早いです(*_*)




ステージ05「新たな舞台へ」

アンノウンを何とか退けたデルタ小隊の面々は、〈ワルキューレ〉の歌により沈静化していくヴァール鎮圧に移っていた。

その中で見つけた。

フォールドレセプター、アクティブ反応が2つが固まって動き──おまけにバルキリーに乗っているならば目立って仕方がない存在を。

それがたとえ、デルタ小隊1優れた電子兵装を持つVFー31E《ジークフリード》で無くともだ。

VFー31F《ジークフリード》を駆るメッサー・イーレフェルトはフォールドレセプターの反応よりも、真紅のVFの動きに驚きを覚えていた。

火器は故障しているのか、徒手空拳による近接戦闘だけを行っているために防戦一方かと思われたが、守りなど知らぬとばかりにヴァール化した兵士が操る《リガード》に怒濤の攻めを見せる。

それもただ破れかぶれに突っ込んでいるだけではない。

動きが制限される地上戦であるにも関わらず弾丸を体捌きだけで躱し、誘導式ミサイルを最小限のピンポイントバリア展開で塞ぎきり、わずかに爆風で装甲表面を削られている程度の損傷しかない。

まさに攻撃こそ最大の防御と言わんばかりの戦いだ。

 

(あの動き・・・・素人ではないな)

 

見るところ機体は《ナイトメア・プラス》ではなく《ナイトメア》であるようだが、計器の反応からエンジンは換装されているようだ。

それにしても、左手に掴んだ少女を庇いながらの戦闘とは思えないどこか余裕さえ感じさせる戦いに、プロフェッショナルのメッサーにしては珍しく意識を戦闘以外に向けていた。

その原因は──まるで本当に人が巨大化して戦場を舞っているかのようなスムーズな回避機動と、繰り出される拳による的確な打撃が《リガード》を次から次へと戦闘不能にしていく武の動きの両方だろう。

 

──回避も攻撃も決してAIサポート化では果たせな機体性能をフルに発揮させた高機動。

 

それが分かる。

乗り手の技量を正確に把握できる──それこそがメッサーが一流と呼ばれるパイロットの何よりの証明である。

 

『デルタ3より各デルタへ。 あの《ナイトメア》のパイロットはどうやら新統合軍じゃないらしいぜ。 民間人らしいぜ』

 

デルタ3──チャック・マスタングがどこか楽しげな口調で通信を入れた。

 

『え? それなら無断で軍用機に乗っているんですか!?』

 

デルタ4──ミラージュ・ファリーナ・ジーナスが怒気をあらわにした。

 

『いや、軍用機じゃないんだよ。 あの《ナイトメア》は個人所有の民間機。 だからライセンスを持っていれば民間人が操縦しても問題ないぜ』

『えっ!? で、でも戦闘区域に入ることは許されていませんよ!!』

『まあ、緊急時における()()()()()()って事だな』

 

新統合軍が定める法において、民間人が非常時であっても勝手に軍用機を使えば罪人として処罰される。

それも当然だろう。

勝手に何百人を簡単に肉塊に変えることの出来る火器を装備する機体を勝手に、しかも戦場の混乱の中で使われたら弾丸やミサイルで一体どれだけの無駄な死人が出ることであろうか。

実際、数十年前に小規模のはぐれゼントラーディとの遭遇戦で、予想された被害の何十倍の被害を受けた移民船団があった。

その移民船団ではちょうど軍事パレード中に襲撃を受け、式典で一般公開されていた《ナイトメア》が運悪くロックを解除した状態であったために、さらに悪いことに武装が積んだ状態であったために、襲撃の際に機体に乗りこんだ一般人が襲撃に動揺して錯乱状態となり、無茶苦茶に操作して弾丸やミサイルを逃げ惑う人々にばらまいてしまったのだ。

その結果──辺り一面に地獄絵図が完成してしまった。

死者は千人を軽く超え、その痛い経験から軍用機の扱いはさらに厳しくなった。

安全設計も見直され、生体認識システムを採用することにより、登録された人間以外には特殊コードを打ち込まない限りエンジンスタートさえ出来ないようになっている。

まあ、それらはあくまで()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()話ではあるが。

 

『戦闘区域だって、()()()()使()()()()()()()どう動き回ろうがいくらでも言い訳できるしな』

『くっくくく、そうだな。 必死に逃げ回っていただけです──ってな。 だが、あのパイロットがそれを知って火器を使っていなのか、はたまたただ何も考えてないかは知らんがな』

 

デルタ1──アラド・メルダースがチャックの意見に追従する。

 

『まあ、あれほどに冷静に動けている奴だ。 まず前者だろうがな。 ──おっ、データが送ってきたぞ。 操縦者は港運関係者で《ワークロイド》を転がしているらしい。 名は──ハヤテ・インメルマン、か』

「ハヤテ・インメルマン・・・・」

 

メッサーがそう呟いた時には、丁度《ナイトメア改》が暴れていた最後の《リガード》を叩き伏せたところだった。

全てのヴァール反応が無くなったところで──

 

「「「無限の星々に!!」」」

 

カナメ、マキナ、レイナが声を揃え──

 

「女神の祝福を!!」

 

美雲が最後を締めた。

美雲が片手で〈ワルキューレ〉のハンドサインを掲げ、彼女たちの背後に()()()()()()()が映し出された。

 

「「「「わあああああ!!!!」」」」

 

〈ワルキューレ〉の戦場ライブが終了し、人々の割れんばかりの歓声が上がった。

 

 

 

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

 

 

 

「ねえ、よかったの? 援軍出さなくて」

「構わん。 俺たちは()()()()()()は果たした」

「まあ、私たちのおかげで()()()()()()()()()()()が出来たみたいだし。 私としては()()()()()()()()()()のお披露目といきたかったけどね」

「ふん、人形たちの事か。 それよりも、()()の行方は掴めたのか?」

()()()に来てるのは間違いないけど。 まだ行方知らずよ」

「そうか。 しかし、()()ならば何処かで生きているだろうがな」

「フフフ、そうね」

 

 

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

 

 

≪アル・シャハル≫宇宙空港メインターミナルの第1ターミナルは、様々な人が行き来している。

ここから各星に多くのシャトル便が出ている。

その中に、ハヤテとフレイヤも居た。

 

「フレイヤ・ヴィオン、オーディションの合格を祈っている」

 

ヴァールが鎮圧されて2日。

戦闘区域で大立回りをやらかしたハヤテは、新統合軍より事情聴取を受けた。

それでもたったものの二時間程度で解放され、尚且つ厳重注意で済んだのはやはり親方のおかげであろう。

いくら火器を使っていないとはいえ、民間機であっても一般人がVFで逃走行為ではなく、明らかな戦闘行為を行ったのは記録映像を見れば明らかだ。

非常防衛手段としては()()()()()()()()()()()()である。

何らかのペナルティが課せられたり、もっと事情聴取が長引いても可笑しくなかったのだ。

「あんがと! ゴリゴリで頑張るかんね!!」

 

フレイヤは笑顔で答えた。

〈ワルキューレ〉オーディションは30光年先にあるラグナ星で2日後に行われる。

30光年という途方もない距離であるが、フォールド航行の支障になるフォールド断層も両者の間には存在しないためにフォールドを行えばものの3時間程度で着くことが出来る。

 

「悔いの無いようにな。 それと向こうでの生活は──()()()、君が居るならば・・・・問題ないな?」

「何で疑問符なんですか!?」

 

事情聴取が終わった後、フレイヤら故郷以外で唯一の知り合いであるノエル・マリファスと()()()()()出来た。

何故ならノエルは《ケイオス》に属しており、今回の戦場で〈ワルキューレ〉と同様に目立ちまくっていたハヤテとフレイヤの事はすぐに耳に入ってきたからだ。

しかも彼女は、ラグナ星を本拠地とするラグナ星支部の航空隊──ラグナ第二戦闘航空団第二飛行隊イプシロン小隊に属するパイロットであったから尚更であった。

今回はイプシロン小隊は待機を命じられており、直接戦闘に参加はしなかった。

それでもヴァール警報の発令と共に帰艦命令が出て、大勢の中からはぐれたフレイヤを探す手段も無かったため、無事を信じてノエルは泣く泣く《マクロス・エリシオン》に帰艦した。

戦闘終了後、フレイヤの情報を得たノエルが飛んできた、という訳である。

 

「君は確かに優れた能力を持っているが・・・・うっかりから事件が多々あったからな」

「ぐぬぬぬ、いえ! そんな事はもう無いです! フレイヤちゃんの前で無様な姿は見せる訳には行きませんから! 任せて下さい、ハヤテさん!!」

「あ、ははは。 ノエルちゃん、やっぱ昔から変わらんねえ」

 

フレイヤが苦笑した。

幼なじみだけあって、フレイヤは彼女の()()姿()を知っていた。

ノエル・マリファスは確かに容姿もスタイルも抜群。

運動能力も知能も高い。

けれども、イロイロと残念な行動を時たま起こしてしまう──ポンコツ系美少女である。

例えば──彼女が8歳の頃、身体能力が高いウィンダミア人とかけっこで勝負した。

彼女は正々堂々と勝負して見事に勝った。

だが──駆け抜けた勢いで木に激突して気を失った・・・・。

例えば──彼女が12歳の頃、余裕ぶっこいてテスト中にうたた寝して、残り時間10分となった。

彼女はとてつもない勢いで、しかもかなり綺麗な字で答えを書いていった。

時間ギリギリであったが解答は全て書き、かつ95%以上の正解率であった。

けれども、結果は──0点だった。

名前が書かれていなかったのだ・・・・。

「そんにしても、ノエルちゃんとハヤテが知り合いとは、世の中狭いやねえ」

「そうだね。 私もびっくりしたよ。 フレイヤちゃんとハヤテさんが戦場の真っ只中にいた時は心臓が飛び出そうだったんだから。 ──ハヤテさんは()()()()()()()()()()()ですね」

「ん? そう言えば、ノエルちゃんとハヤテは何処で知り合ったん?」

「ハヤテさんの境遇って、フレイヤちゃんは知ってる?」

「欠けとんところがある記憶喪失何よね?」

「そうだよ。 そして、私の故郷惑星ディバイドで、ハヤテさんが倒れていたところを私の母方のお爺ちゃんとお婆ちゃんであるインメルマン夫婦に助けられたの」

「なるほど、だから知ってたんやね」

「そういう事。で、二人は夫婦で農業をやってるんだけど、ハヤテさんは恩返しにって、免許をとって《ワークロイド》で3ヶ月前までバリバリ働いていたの。 それを見ていたから、ハヤテさんがバトロイドも操縦が上手いことは想像に難しくなかったの」

「へぇ~、ハヤテってそんなに操縦が上手いん?」

「かなり上手いよ。 だって普通の人は武器なしの旧式機のバトロイドで、ヴァール化した《リガード》に囲まれたら数分と持たないし。 そう考えると、本当にフレイヤちゃんは運が良かった。 助けてくれた人が違ったら──たぶん死んでたよ」

「・・・・」

 

一切の誇張は無いと真剣な顔つきのノエルの言葉に、フレイヤは無言で冷や汗をかいた。

 

「だから、()()()()無茶しないでね。 心配で堪らないから・・・・」

「・・・・ほいな」

 

何となく気まずい雰囲気を察してか、ハヤテはわざと咳をして話を切った。

 

「二人ともそろそろ時間だ」

 

ラグナ星行きの大型シャトルに搭乗する時間になっていた。

「行こう、フレイヤちゃん! 間に合わなくなっちゃうよ!」

「ほ、ほいな! そんじゃ、これまでお世話になりました! また会う機会があれば必ず礼すんからね!!」

「助力の件は気にするな。 達者でな、フレイヤ・ヴィオン」

 

慌ただしく搭乗して行った二人を見送ると、ハヤテは第4ターミナルに歩を進めた。

ここはまだ完成度30%であるために、休憩ルームぐらいしか使えない。

そのために第1ターミナルと比べて人はまばらであり、数える程しか人は居ない。

そんな所に来た理由は──

 

「何の用だ」

 

後をつけられていた事に気が付いていたからだ。

具体的に言えば、宇宙空港に着いた時からである。

目的が分からないため、周りに誰もいなくなったタイミングでハヤテは追跡者と対峙することを決めた。

立ち止まり、振り替えって背後の柱に潜む者に声をかけた。

 

「ほう、やはり気配には敏感なようだ」

 

追跡者は呆気なく姿をさらした。

 

「俺はアラド・メルダース。 《ケイオス》ラグナ支部のデルタ小隊の隊長をやっている。 いきなりだが、お前さんの腕を見込んでスカウトに来た。 我が()()()()()()()()()としてな」

「・・・・何?」

 

予想もしない言葉に、ハヤテはアラドが何を言っているのか理解できなかった。

 

 

 




次回《ラグナ編》に突入です

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