やはりマクロスΔの2次創作をやらせていただく上でどうしても歌を入れたかったので、ルール違反をしないためにオリジナル歌詞を作者なりに雰囲気を壊さないように歌詞の代えて書いていますのでご注意下さい。
後ハヤテの使う示現流は実在の剣術をモデルにさせてもらっていますが、『ボス』をイメージして勝手に想像で書いているので実際の剣術とは違いますのでご了承下さい。
あくまで雰囲気で書いています(笑)
「・・・・がはっ!」
ハヤテは口から血を吐いた。
その量はかなりのものだ。
内蔵にかなりのダメージを受けたのだろう。
さらに腹部からドクドクと血が流れ続けている。
(・・・・不覚、をとった・・・・)
最後にもらった一撃は、霊式斬艦刀で威力を受け流すことに失敗したために、ハヤテ・インメルマンは多大なダメージを受けた。
辛うじて意識はあるのは、霊式斬艦刀で少なからずダメージを受け流すことができたからであろう。
けれども出血のせいか、意識は朦朧とし、四肢に力が入らない。
ハヤテは意地で霊式斬艦刀だけは離さずに握っている状態だ。
──ハ、ハヤテッ!!
フレイヤの声が聞こえた、ような気がした。
その声は
何故だろうか、そうハヤテは感じた。
同時に決して膝を着いた状態ではいけない、と強くハヤテは感じた。
その時──
『──もしも 空の境が 見えるなら──』
ハヤテの耳に歌が聞こえた。
この場に歌を歌っている者などいない。
だけど聞こえる。
幻聴か、と彼は苦笑を浮かべた。
『──届けたい 私の声が 響くなら 終わりを迎えるまで 飛び上がれ──』
何故だろう。
幻聴が聞こえだした時から四肢に失われた力が帰って来るようだ。
『──バラバラになった 思いの翼──』
違う。
肉体は限界に達している。
『──いつか 交わしあった事 いつも 語り合えた事──』
けれど肉体は動こうとしている。
限界を越えろと、魂が肉体を引っ張る。
動け、戦え、諦めるな、と。
(・・・・何時までも、寝ている訳には・・・・いかんな)
そう感じた。
その瞳は紅く染まり、念動力のオーラを纏う。
まるでそれを歓迎するかの如く、霊式斬艦刀がカタカタと震えた。
『──抱ける日まで 戦うだけ!──』
歌が聞こえる。
より確かに聞こえる。
この声は、歌は
(迷いは少しは消えたのだな。 ならば、俺も膝を着いてばかりも居れん)
ハヤテは珍しくその顔に一瞬笑みを浮かべ、立ち上がると
示現流の初歩にして奥義である大上段の構え。
刀の切っ先を真っ直ぐ天に伸ばし、防御を捨て、一撃に全てをかける攻撃のみを追求した構え。
ハヤテは再び敵を射ぬかんばかりの鋭い眼光と、闘気を満たして
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
《フェンサー》のスラスター制御が難しく隊長格でなければ使い
おまけに狙いも外れて腹部に命中する始末。
結果、制圧用セーフティ機能が意味を成さないトンでもない威力となってハヤテに襲い掛かってしまった。
盛大に流血してハヤテは吹き飛ばされた。
「・・・・や、やっちまった!!」
予想以上の戦闘力に熱くなり、やり過ぎた事にグリムリーパー02のマイク・ソルダニスは焦った。
壁に叩き付けられたハヤテが何処を負傷したかは不明だが、結構シャレにならないぐらいの出血をしているのが分かるぐらいに彼の周りに夥しい量の血が溢れて池を作っている。
「至急衛生兵を向かわせて下さい。 訓練中に1名重傷を負いました。 詳細は──」
「担架持ってこい!」
慌ただしく同僚たちが動く中、ぼけっとしているマイクにレイニー・ミルメントが話し掛けた。
「インメルマン少尉の負傷は本人も覚悟の上でしょう? 気にし過ぎる必要は無いと思いますよ」
「・・・・ありがとよ」
「それに処置さえ遅れなければ、《ケイオス》の医療技術を持ってすれば1週間とかからずに治ります」
「そうだな」
「まあ、私ならこんな事にはなりませんけどね。 訓練不足ですよ、マイク」
レイニーはやれやれとため息をついた。
「・・・・うるせー」
マイクはいくらか気が楽になった。
「まあ、茶菓子でも持って見舞いにでも行ったらどうですか?」
「ああ。 そうだな。 そうすると・・・・・・・・」
「ん? どうしま──」
マイクが不自然に言葉が途切れた。
その目線はレイニーの後方だ。
レイニーが不審に思って振り向くと、その目には立ち上がったハヤテが映った。
彼は霊式斬艦刀を構えるも、未だに傷口からの出血で上半身が染まり続けて明らかに重傷だった。
けれども、それをまったく感じさせぬ覇気満ちる立ち姿に誰も、何も言えなかった。
何とも言えない静寂の中、呆れた声でマイクがそれを破った。
「おいおい・・・・訓練で死ぬまでやるつもりかよ?」
「まだ死ぬ訳にはいかない。 俺は、俺がまだ何者かも知らぬ」
「なら止めようぜ。 ここで無駄に命を磨り減らして戦っても意味ないだろう?」
「否、無駄などではない。 命をかけたからこそ、俺は理解・・・・いや、
「何を、だ?」
「霊式斬艦刀の
「は? どういうことだ?」
「もはや言葉は不要! 刮目せよ!」
ハヤテは柄を強く握り締めた。
彼の念動力が霊式斬艦刀に流れ込む。
その念の力は、先程まで表面に纏っていた弱いものではない。
まるで濁流のように激しくも、力の方向は乱れる事なく内部へと収束していた。
霊式斬艦刀が送られた念に応えるかのように、刀身が激しい電を帯びる。
何かが決定的に違う。
そう誰もが感じ、息を飲んだ次の瞬間──
「「「「・・・・・・・・!!!?」」」」
霊式斬艦刀に
柄と鍔が
形状記憶液体金属ゾル・オリハルコニウムがハヤテの念動力を受けて、霊式斬艦刀の刀身を覆って
日本刀の姿こそ仮初め。
10mを超える超大剣こそが
「・・・・さすがにたまげたぜ。 そいつの
「あえて銘を与えるなら
「なるほどな。 その形状がその刀の本気ってやつなんだな。 そこまで披露したってことはいまさら引く気はサラサラねえよな。 いいぜ! こうなりゃトコトンまで付き合ってやるさ!」
《フェンサー》ユニットの中でマイクは笑っていた。
何と愚直で、何と猛々しく、何と高揚させてくれるのか。
戦いを楽しい、と感じたのはいつ以来か。
(やっぱり俺はロクでもない人間だ)
マイクは己に苦笑しつつも、それも悪くないと思った。
「後で文句は受け付けねえぜ!! 時代錯誤のサムライ!!!」
《フェンサー》が盾を全面に構え、スラスターを全開にして突撃する。
スラスターユニットに組み込まれている小型反応炉は、内部の熱エネルギーで
それが激しく吹き出し、爆発的な加速を《フェンサー》に与える。
「応!! 我が
ハヤテの闘志に感応して高まる念動力。
それは霊式斬艦刀真刃だけでなく、彼の身体へと影響を与える。
地を穿たんばかり踏み込む。
局地的な地震でも起きたかのような揺れ。
同時にハヤテの姿が──消えた。
「と、跳んだーーー!?」
誰が呆けた声を上げるほどの大跳躍。
常人を遥かに超える跳躍力もさることながら、10mを超える超大剣を構えて飛翔したことに誰もが驚いた。
いや、マイクだけは何処か予感がしていたのか、スラスターの勢いのまま迷う事なく背部ジャンプブースターユニットを作動させて跳躍し、迎え打つ。
「おおおおおぉぉぉぉぉっ!!!」
《フェンサー》は
ジャックハンマーはレールガンと同じく電磁力で超高速の打撃を可能とする兵器。
対人制圧モードで威力を抑えてもその打力は、ヴァール化したゼントラディ兵士を一撃でノックアウトできるほどだ。
その脅威的な攻撃がハヤテに迫る。
ハヤテはそれを回避するような素振りなどまったく見せず、というよりも空中に跳んだ時点で、以下にハヤテとてまともな回避行動は出来ない。
それを覚悟で彼は跳んだ。
元々ハヤテは
それは──
「チェェェストォォォォォォォッ!!!!」
霊式斬艦刀真刃による振り下ろし。
落下のスピード、霊式斬艦刀真刃の質量、ハヤテの優れた身体能力が合わさった必殺の技──『斬艦刀・
電光石火の一撃は向かってくるジャックハンマーを真っ二つに両断。
激突の衝撃とジャックハンマーが破損した爆発で威力は削がれたが、依然として刃は止まらない。
「止めてやるぜぇぇぇぇっ!!」
《フェンサー》はイオンミラーシールドをオーバーロードさせ、ピンポイントバリアの出力を限界まで高めた。
マイクは本能で理解していた。
霊式斬艦刀真刃とイオンミラーシールドがぶつかり、激しい閃光が迸る。
拮抗したのは一瞬、霊式斬艦刀真刃の破壊力が上回った。
ピンポイントバリアを斬り裂いてシールド本体に到達。
その頃には刃の破壊力は半分に低下。
機動性重視の軽量シールドとはいえ、シールド自体の防御力は決して低くない。
見積り通り防ぎきれる、とマイクが思ったのは一瞬だった。
(クソがっ! なんつー破壊力だよっ!!)
掲げたシールドに霊式斬艦刀真刃があっさりと食い込む。
勢いは一向に止まらず。
《フェンサー》はシールドを破棄し、両腕をクロスして全力でスラスターを吹かして離脱を選んだ。
その間、時間にして1秒も満たないだろう。
ハヤテの一太刀もさることながら、マイクの判断力の高さはいくつも死線を潜り抜けてた戦士らしい見事なものだ。
霊式斬艦刀真刃が完全に振り下ろされ、まるで爆発が起きたかのような振動と音が響いた。
「ぐああああっ!!」
《フェンサー》は刃から完全に逃れることは出来なかったが、各種ユニットの損傷と両腕部ユニット及び吹き飛ばされて壁に叩きつけられた事による背部スラスターユニット及びジャンプブースターユニットの破損だけで被害は済んでいた。
マイクでなければ更に損傷していただろう。
損傷率7割。
だが、もう戦闘力はほとんど奪われたに等しい。
ジャックハンマーもイオンミラーシールドが破壊されただけでなく、予備兵装も腕部ユニットが壊れてしまっては使えない。
さらにスラスターだけでなく、煙を上げる脚部ユニットも損傷が酷い。
こうなってしまっては、人を超人へと変身させる《フェンサー》ユニットもただの身体の自由を縛る鉄屑に過ぎない。
「・・・・手酷くやられましたね」
近付いてきたレイニーが意外そうな顔で言った。
何やかんやと言いつつも、マイクの技量を彼女は認めている。
今回の結末は彼女にしても予想外だった。
「ったく・・・・アイツはバトロイドかよ」
頭部ユニットを外してマイクは苦笑した。
受けた衝撃の大きさは決して誇称ではなく、ヴァール化した市民が操るバトロイドに殴られたことを鮮明にマイクに思い出させるものだった。
あの時は小型シールドのイオンミラーシールドより防御力がある中型シールドを装備していたために、《フェンサー》ユニットへの損傷は軽微であったが。
心情的には今回の方がよほど強烈だ、とマイクは思っていた。
対物ライフルを喰らっても装着者は少しの揺れを感じるだけ、という優れた最新鋭のショックアブソーバーが《フェンサー》には装備されている。
バトロイドならいざ知らず、それでも
マイクは斬激の衝撃によりほとんど意識を刈り取られ、だめ押しの壁に叩きつけられたことにより一時的に意識を失っていたのだ。
「はあ~、負けだ! 完全に負けた! くそー! まさか生身に負けるとは思わなかったぜ」
発言の割には、マイクは顔に笑みを浮かべていた。
「それはどうでしょう?」
「ん? どういうことだ?」
レイニーの言わんとしていることが分からず、マイクは首を傾げた。
「あれを見て下さい」
レイニーが指差す先にマイクが目線を向けた。
そこには彼にとって予想外の光景があった。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
時間を少し遡った〈ワルキューレ〉専属スタジオ。
壁に叩きつけられたハヤテを見たフレイヤ・ヴィオンは血相を変えてスタジオを後にしようとしたが、
──彼は今、自分の戦場で戦っている。あなたの戦場はどこ?
美雲・ギンガメールにそう問われフレイヤは、はっと立ち止まった。
ハヤテは勝つことを諦めていない。
戦いを止めていない。
それはボロボロになりながらも決して刀から手を離さず、倒れ込むことをしない姿勢からもはっきりと分かる。
──そっか、ハヤテも戦って・・・・!
それが分かった時、フレイヤのルンが輝いた。
それまで精彩をかいていた歌に、意志が、想いが、感情が重なり合う。
フレイヤが歌えば歌うほどに、フォールドレセプター数値が高まりを見せる。
生体フォールド波は彼女の気持ちと同じく、どんどん高まっていく。
すぐにフォールドレセプター数値は規定以上となり、それに
「ハヤハヤのフォールドレセプターがアクティブレベルの規定値を大幅に越えている!!」
マキナ・中島は、携帯端末を操作して目の前に投影された疑似3Dモニターに表示されたデータに驚いていた。
「・・・・ビリビリ、伝わってくる!」
レイナ・プラウラーもマキナと同じであった。
「フレイヤとハヤテくんのフォールドレセプター同士の共鳴? えっ!? ハヤテくんは美雲と同レベルまで上昇してるの!? 」
フォールドレセプターとして、〈ワルキューレ〉の中で突出して高い数値を持つ美雲。
彼女と数値が並んだ事は新たに加入したフレイヤを含めても1度もない。
ウィンダミア人のフレイヤは、ルンに微量の生体フォールドクォーツと体内にフォールドレセプターを宿している。
どの種族よりも平均的に高いフォールドレセプター数値を持つウィンダミア人の中でも、彼女は特に数値が高い。
それでも美雲には届かない。
「もしかして・・・・
この場において、〈ワルキューレ〉というよりもハヤテだけが持つ特別な才能──念動力──を持っていることを知るカナメ・バッカニアは、それが理由ではないかと推測した。
「これは・・・・」
美雲が珍しく困惑する表情を見せた。
彼女も思うところがあるようだ。
「──君は 君は そこに居ますか──」
そんな中、フレイヤは歌う。
他のメンバーたちが困惑する中でも、フレイヤは己の成すべき事をやっていた。
歌う。
歌い続ける。
彼女の歌に導かれるように、モニター内のハヤテは霊式斬艦刀真刃を開放した。
『チェェェストォォォォォォォッ!!!!』
雲燿の太刀をハヤテは放った。
凄まじい一刀は設置されたカメラの映像が乱れる程の衝撃だ。 砂煙が舞い上がり、《フェンサー》が吹き飛ばされた様子が彼女たちにも辛うじて分かった。
「──奇跡を手繰り寄せ 閉ざされた空へ──」
フレイヤは『僕らの戦場』を歌い終えた。
それと同時に砂煙が晴れ、モニターには倒れ込む《フェンサー》と霊式斬艦刀を鞘に戻したハヤテが映っていた。
勝負は決した。
ハヤテの勝利。
〈ワルキューレ〉の誰もがそう思った。
しかし──
「・・・・・・・・」
ハヤテはまるで1人スローモーションになったかのように、膝からゆっくりと崩れ落ちた。
カラン、と霊式斬艦刀が彼の手から放れて落下した音がモニターからやけにはっきりと聞こえた。
ハヤテは今度こそ立ち上がれず、ピクリともせずに自らの血で出来た池に沈んでいる。
遅れて事態に気が付いた衛生たちが大慌てで駆け寄った。
「・・・・これってマズイんじゃない?」
「・・・・ヤバヤバ」
マキナとレイナは、緊急処置を施されているハヤテを心配そうにしていた。
一方、美雲はどこか興味を失ったように気のない表情だった
リーダーのカナメは内心を見せる事なく、落ち着かないフレイヤに声をかけた。
「フレイヤ、今日のレッスンは終了よ?」
「お、お疲れ様でしたっ!!」
フレイヤは慌てて頭を下げると、レッスン場を大急ぎで後にした。