さてさて、年も明けて2018年ですね。いやぁ、一年って本当に早いなぁ・・・ということで、今年も投稿を頑張っていきますので、何卒よろしくお願い致します。
ということで、新年一発目は・・・新年に相応しく、お正月に相応しくオールスター出演というか豪華(?)なゲストをたくさん出したお話でございます。何気に、一番最後にはあの大・大・大スターが出ますのでお楽しみに。
では、特別編をどうぞ~
何気ない平和で当たり前の日常。もし、その平和で当たり前の日常に異形の存在「巨影」が現れたなら・・・
―――シュルゥキィイ!!―――
「な、何じゃありゃ!!?」「に、逃げろっ!殺されるぞーーー!!」「た、助けて!誰か・・・たす・・・け・・・て・・・」
本来ならば大勢の人々が行き交い、賑わいを見せるハズの大都市。だが、その大都市のど真ん中に突如として異形の存在が、俗に言う「怪獣」が現れたことで人々は大パニックを起こし、大都市はその機能を失った。
―――シュルゥキィイ!!―――
そんな大パニックを起こした犯人の怪獣、その容姿を一言で言い表すなら「巨大なカマキリ」だった。ただ、その大きさたるや尋常ではなく、全長が60mを超える超ド級のカマキリ、否「カマキリ怪獣」であった。
―――シュルゥキィイ!!―――
件のカマキリ怪獣が一歩踏み出す度に地響きが起こり、羽ばたいて飛べば凄まじい突風が起きて人や車を吹き飛ばし、羽ばたきによって生じた衝撃波で建物の窓ガラスを粉砕し、自慢の鎌を振るえば巨大なビルがまるで紙細工のように切断された。その有り得ない光景の数々を見た人々は口々にこう言った。
「あんなの・・・カマキリじゃない・・・ただの化け物だ」
と。
―――キュキュウ!キュウ!!―――
―――シュ!?シュルゥ・・・キィ・・・イィ・・・―――
カマキリの怪獣が大都市に現れ、破壊の限りを尽くしてから数時間後。今や街は見るも無惨に破壊され、すっかり見る影も無くなっていた。
そんな破壊され尽くされた街の中心地ではあのカマキリの怪獣が・・・死んでいた。全身を黄色い糸でがんじ絡めにされ、体に毒針を撃ち込まれて。突如として地中から現れた「コイツ」に―
―――キュキュウ!キュウ!!―――
大都市を破壊したカマキリの怪獣をいとも容易く屠った「コイツ」を一言で言うなら「巨大なクモ」であった。
全長は60mを超え、頭部には青い八つの複眼、腹部の毒々しい黄色と黒の縞模様を持った有り得ない大きさの超巨大クモだ。
もし、クモが苦手な人が見たら確実に心臓発作を起こして死ぬだろう、と思うほどに気持ち悪くてデカすぎるクモの怪獣だった。
―――キュキュウ!キュウ!!―――
そんなクモの怪獣は屠ったカマキリの怪獣の死体に覆い被さって体液をすすり上げた後、辺り一帯に糸を噴射しまくり、巣作りを始めた。このままではこの地はクモの怪獣の巣になってしまうだろう。
―――ピイイイィィィ!!―――
―――キュ!?キュキュウ・・・キュウ・・・―――
クモの怪獣が大都市のど真ん中で巣作りを始めてから数時間後、大都市は至る所が黄色い糸で覆われたクモの巣へと変貌していた。
そんなクモの怪獣がやっとの思いで作り上げた巣の中央ではあのクモの怪獣が・・・死んでいた。青く美しい八つの複眼は輝きを失い、辺り一面に体液や臓物をぶちまけた無残な死骸になって。突如として空の彼方より飛来し、その圧倒的なスピードでクモの糸に絡まることもなくクモの怪獣を惨殺した「コイツ」に―
―――ピイイイィィィ!!―――
カマキリの怪獣を屠ったクモの怪獣をいとも容易く屠った「コイツ」を一言で言うなら「巨大なトンボ」であった。
ただ、その顔はトンボと言うよりは醜悪な爬虫類のようであり、前脚が巨大なハサミに、尾の先には巨大な針を持った全長60mを超えるトンボの怪獣であった。
―――ピイイイィィィ!!―――
そんなトンボの怪獣は屠ったクモの怪獣の死体に尾の先の針を突き刺して残った体液を全てすすり上げた後、近場にあった川にあろうことか産卵していた。このままではこの地はトンボの怪獣とその子供たちの巣となってしまうだろう。
―――ピキュウウゥゥゥン!キュウゥン!!―――
―――ピィ!?ピイイィィ・・・イィィィ・・・―――
トンボの怪獣が大都市を流れる川に産卵し、その卵から生まれた幼虫、俗に言う「ヤゴ」が川から上陸して街をうろつき始めてから数時間後、今や大都市はすっかりトンボの怪獣とヤゴたちの巣と化していた。
そんなトンボの怪獣とヤゴたちの巣と化した大都市の中心地ではあのトンボの怪獣とヤゴたちが・・・死んでいた。体中を啄まれ、貪られ、バラバラの無残な死骸となって。突如として空の彼方より飛来し、トンボの怪獣すら上回る圧倒的なスピードと飛行テクニック、果ては口から吐く紅蓮の熱線を用いてトンボの怪獣とヤゴたちを食べ尽くした「コイツ」に―
―――ピキュウウゥゥゥン!キュウゥン!!―――
カマキリの怪獣を屠ったクモの怪獣を屠ったトンボの怪獣を屠った「コイツ」を一言で言うなら「巨大な鳥」であった。
「鳥じゃありません!羽毛が無く、牙がある。あんな鳥はいません!!」
もし、鳥類の専門家が件の鳥を見ればそう言うだろう。そう、実は大都市に現れた鳥は鳥ではなく空飛ぶハ虫類、俗に言う「翼竜」なのだ。
全長はゆうに100mを超え、翼長に至っては200mを超える圧倒的な大きさ、頭部の二本の角、そして燃えるような赤い体色の翼竜の怪獣であった。
―――ピキュウウゥゥゥン!キュウゥン!!―――
そんなトンボの怪獣とヤゴたちを腹一杯食べ、満足した様子の翼竜の怪獣は辺り一帯に散乱している瓦礫を集め、塚のような巣を作るとなんと産卵した。このままではこの地は翼竜の怪獣の巣となってしまうだろう。
「うおおおぉぉぉっ!!死ね死ね死ね死ね化け物ーーーっ!!!」
「人間様を舐めるなーーーっ!!」
「ローストチキンにしてやるぜーーーっ!!!」
―――ピッ!?ピキュウウゥゥゥン!?キュウゥン!!?―――
翼竜の怪獣が大都市のど真ん中に巣を作って産卵してから数時間後、辺り一帯には爆音と翼竜の怪獣の悲鳴、そして大勢の男達の怒声が響き渡っていた。
見れば、翼竜の怪獣が巣を構えている大都市には自衛隊の戦車大隊や攻撃ヘリコプター部隊、榴弾砲やロケット砲等々が集結し、翼竜の怪獣とその卵を蜂の巣にしていた。
―――ピキュウウゥゥゥン!キュウゥン!!―――
当然、攻撃されている翼竜の怪獣は熱戦や翼を羽ばたかせて生み出す突風などで反撃を試みるが、自衛隊の圧倒的な火力と執拗かつ途切れることのない相当数の攻撃には手も足も出ない状態だった。加えて、
「卵だ!卵を狙え!!そうすれば、親は逃げないし反撃できないぞ!!」
「「「おおーーーっ!!!」」」
自衛隊は攻撃を行う際、翼竜の怪獣の卵を率先して狙っていた。そうすれば「親」である翼竜の怪獣は、大切な我が子である卵を守るためにその場から動くことが出来ず、完全に自衛隊の攻撃の的と化していた。
―――ピキュウウゥゥゥン!キュウゥン!!―――
自衛隊の攻撃に晒され、悲痛な声を上げる翼竜の怪獣。
一見すれば自衛隊のやり方はもの凄く卑怯で卑劣に見える。だが、この翼竜の怪獣とその卵を放置すれば人間に与える被害や経済的損失は図り知れないものとなる。つまり「かわいそう」なんて悠長なこと言ってられないのだ。
―――ピッ・・・キュウウゥゥゥン・・・キュ・・・ウゥン・・・―――
そうこうしている内に、とうとう翼竜の怪獣が自衛隊の攻撃に沈黙した。また翼竜の怪獣が最後まで、自分の体を盾にしてまで守ろうとした卵も自衛隊の攻撃で割れていた。つまり、
「よし、我々の勝利だ!みな、ご苦労だった!!」
完全に沈黙した翼竜の怪獣を前に、現場にいる自衛隊の最高指揮が戦闘終了の合図を出した。そう、自衛隊が怪獣に勝ったのだ。それもひとえに、か弱い人々を怪獣の脅威から守りたいという一心からだった。
「いや、それにしても・・・カマキリの怪獣をクモの怪獣が倒し、そのクモの怪獣をトンボの怪獣が倒し、そのトンボの怪獣を鳥の怪獣が倒した。でも、その鳥の怪獣を最後に倒したのは俺ら人間様だ。つまり、俺たち人間が一番強いんだよな。ははっ、気分がいいな―――」
鳥の怪獣もとい翼竜の怪獣を倒し終えた自衛隊は戦闘の後始末や翼竜の怪獣の死骸の処理、現場の後片付けなどに大忙しであった。そんな中、ふと一人の自衛隊員が何気なくそんなことを言った、その瞬間―
「マ、マズい・・・!これって・・・マズいぞ・・・!!」
「どうした山口、何がマズいんだ?」
ふと、先ほど口を開いた自衛隊員の近くにいた「山口」という名の自衛隊員が持っていた小銃を取り落とし、更には山口は全身に汗が、それも冷や汗が噴き出し、顔からは血の気が引いていた。その際、山口はずっと「マズい・・・マズいぞコレ・・・!!」とひたすら呟いていた。
そんな山口のただならぬ様子を見た他の自衛隊員たちは、訝しみながらも山口に何がマズいのか問い掛けた。
「同じなんだよ・・・」
「同じ?何が同じなんだよ山口?」
「カマキリをクモが殺した。で、今度はクモをトンボが殺して、更に今度はトンボを鳥が殺した・・・コレ、俺の地元の山口県の昔話の『順巡り』あるいは『因果の小車』って名前の昔話と一緒なんだよ!!」
「・・・何だその『順巡り』とか『因果の小車』って?」
仲間達の問い掛けに対して山口の口から出た答え、それはこの
「『順巡り』も『因果の小車』も内容は同じなんだけど・・・ある日、猟師が山の中でミミズを見付けたんだ。で、そのミミズを見てたらカエルが出てきてミミズを食べたんだ。で、今度はヘビが出てきてカエルを食べたんだ。で、最後にはキジが出てきてヘビを食べた。そんなキジを猟師が撃ち殺そうとしたけど、猟師は『ミミズがカエルに食われて、カエルがヘビに食われて、ヘビがキジに食われて、そのキジを俺が殺したら・・・次に食われるのは俺か!?』ってなって逃げたんだ。そしたら『キジを殺さんでよかったな』って声がどこからか聞こえて、猟師がその声の方を見たら森の奥に化け物がいたんだって。それが『順巡り』や『因果の小車』だよ」
「・・・で?それが今回のと何の関係があるってんだ―――」
「だから!カマキリをクモが殺して、クモをトンボが殺して、トンボを鳥が殺して、その鳥を
山口は仲間達に山口県の昔話『順巡り』や『因果の小車』を説明し終え、その昔話と今回の一連の出来事が全く同じであると仲間達に訴えた。
しかし、仲間たちは明らかに「馬鹿馬鹿しい」といわんばかりの表情を浮かべていた。だが、尚も力説する山口が「次に殺されるのは自分たち人間だ」と言おうとした、次の瞬間!!
―――アンギャアアアァァァオオオオォォォォン!!―――
「「「!?な、何だこれ―――」」」
突如として、辺り一帯に轟く轟音・・・もとい「咆哮」。
その咆哮をひとたび聞けばあらゆる生命は畏怖し、恐れおののくだろう。それほどにその咆哮が秘めている「迫力」と「恐ろしさ」は桁違いだった。そんな咆哮を放った主とは―
―――アンギャアアアァァァオオオオォォォォン!!―――
「何だ・・・アイツは!!?」
件の咆哮の主、それは山一つが命を持ったかのような圧倒的な存在感と威圧感、そして隠しきれない、否、隠す気など微塵も無い程に「殺意」を全身から溢れさせる巨大な漆黒の怪獣であった。
―――アンギャアアアァァァオオオオォォォォン!!―――
「ひ、怯むな!撃て―――」
突如として現れた漆黒の怪獣を前に一瞬我を忘れていた自衛隊員たちであったが、怪獣が三度吠えたことでハッと我に返ると即座に臨戦態勢を整え、漆黒の怪獣を攻撃しようとした。だが―
―――アンギャアアアァァァオオオオォォォォン!!―――
「な、何だアレは―――」
―――ドォオオオオオオォォォォォォンッ!!!―――
目の前で蠢き、小生意気にも自分に向かって銃口を向ける
ただそれだけで目の前にいる
この日、日本のとある都市が崩壊した。そんな都市にはまず巨影「蟷螂怪獣 カマキラス」が現れ、次にカマキラスを屠った巨影「大蜘蛛怪獣 クモンガ」が現れ、その次にはクモンガを屠った巨影「超翔竜 メガギラス」が現れ、更に更にメガギラスを屠った巨影「空の大怪獣 ラドン」が現れて都市を完全に崩壊させた。
だが、最終的に生き残っていたラドンは人間側の知恵と攻撃で見事に屠られた・・・しかし、その人間たちは一人残らず屠られた。
かつて人間たちが行った「愚行」によって、決して癒えることない傷を心身ともに刻まれた巨影「水爆大怪獣 ゴジラ」によって。
―――アンギャアアアァァァオオオオォォォォン!!―――
如何でしたでしょうか?
ちなみに、タイトルの『因果の小車』とは山口県に伝わる民話であり、書籍などによっては『順巡り』や『次はお前だ!!』と表記される場合もあります。
今回は東宝から怪獣たちが多数出演し、最後にはあのゴジラが登場・・・いいですね~お正月らしくたくさんの豪華ゲストが出ましたね・・・まぁ、ほとんど虫だったけど。
ちなみに、ゴジラはまだ出ます。ただ、出るゴジラは毎回違いますのでお楽しみに・・・
ということで、みなさま今年もよろしくお願い致します。銀色の怪獣でした