巨影都市オブ・ジ・エンド   作:銀色の怪獣

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どうもどうも、銀色の怪獣です~

前回がどうにも平和というかハッピーエンド(?)でしたので、今回はその真逆を、どうあがいても絶望的なお話です。
加えて、今回出るのは平成ウルトラを代表するトラウマ怪獣にして、僕が一番苦手な怪獣です。正直、コイツをリアルタイムで見て夜一人でトイレ行けなくなった記憶が・・・

では、一体どんなトラウマ怪獣が出るのか?是非とも本編をご覧下さいませ・・・

後、最後の方で行われている「あるやり取り」はとあるヒーローが大集合するゲームが元ネタです。

で、後書きの一番最後で実に下らないネタやってますので、よかったらご覧下さい。


第二十話 "トモダチ"を求める『巨影』

何気ない平和で当たり前の日常。もし、その平和で当たり前の日常に異形の存在「巨影」が現れたなら・・・

 

 

―――キュウウウウゥゥゥンオギャアアアァァァ!!―――

 

本来ならば大勢の人々が行き交い、活気に満ち溢れているはずの大都市。そんな大都市は今まさに機能が停止し、人々は大パニックに陥っていた。その原因こそ―

 

―――キュウウウウゥゥゥンオギャアアアァァァ!!―――

 

平和で活気に満ちていた大都市の機能を停止させ、人々をパニックに陥れた原因、それこそが突如として空の彼方より飛来したこの怪獣、直立二足歩行体型で前脚はヒレ状、体付きはペンギンかエイのような扁平体型、そして何よりも・・・とにかく凶悪で凶暴な面構えを、つり上がった瞳のない橙色の目、耳元まで裂けた大口に並ぶ無数の牙を持った赤ん坊のような奇声を発する異形の怪獣であった。そんな怪獣だが、この大都市にやって来たのには理由があった。それは―

 

―――キュウウウウゥゥゥンオギャアアアァァァ!!―――

 

「う、うわあああぁぁぁっ!?や、止めろ!!離せ!!離せーーー!!!」

「に、逃げろっ!捕まったら食い殺されるぞーーー!!」

「た、助けて!誰か・・・たす・・・け・・・て・・・」

 

突如として大都市に降り立った怪獣は・・・あろうことか、逃げ惑う人々を片っ端からそのヒレ状の前足で捕らえると食べていた。そう、この怪獣は大都市に「食事」にやって来たのだ。

そんな怪獣が「食事」を終えた後には怪獣が吐き出した食べカス(・・・・)もとい、怪獣の唾液にまみれて中身(・・)を失った服だけがそこら中に散乱しているのだった・・・

 

 

 

 

 

「どうすればいいんだ!あの怪獣には戦車砲もミサイルも通じない!!このままでは被害が広まるばかりだ!!」

 

「そ、総理・・・落ち着いて下さい―――」

 

「これが落ち着いていられるかっ!!」

 

「ひぃっ!!?」

 

所変わって、ここは日本のお偉いさんが集まっている都内某所。

そんな某所ではこの国のトップの男性総理、俗にいう総理大臣が突如として大都市に現れて街の人々を食い殺し、挙句は出動した自衛隊の各種攻撃を受けてもものともせず、逆に自衛隊にも甚大な被害を出すなど暴虐の限りを尽くす件の怪獣の映像や被害報告を前に、ヒステリーを起こして近くにいる秘書官たちに怒鳴っていた。と、ここで―

 

「総理!総理ーーー!!」

 

「何だね安倍君!?いま私は忙しいんだ―――」

 

突然、総理の元へたれ目でむくんだような顔が特徴の「安倍」なる総理の側近が大慌てて走って来ると―

 

「総理、今こちらに『あの怪獣をどうにか出来る方』と断言するホリイ博士という人物が来ています!!どうかお目通りを―――」

 

「な、何っ!?それが本当ならすぐ会おう!しんぞう・・・安倍くん案内したまえ!!」

 

「はい!どうぞこちらです!!」

 

安倍が総理の下へ大慌てで走ってきた理由、それは総理の頭を悩ませる人食い怪獣を「どうにか出来る」と断言するホリイ博士なる人物が国会に来たので、会って欲しいという事を伝えようとしたが、総理は安倍の言葉だけでホリイ博士に会うことを即決、安倍にホリイ博士の下へ案内させた。

 

 

 

 

「サウンドトランスレーターセット完了・・・よし、これでOKや!!」

 

そう言って、片手に機会を握った白衣を着た小太りで関西弁の男、件のホリイ博士がいまだに暴虐の限りを尽くす怪獣のいる街へやって来た。

そんなホリイ博士の握っている機会こそ「怪獣をどうにか出来る」と断言するホリイ博士の秘密兵器、様々な言語を、それも動物などの言語すら翻訳してコミュニケーションを取ることの出来る万能翻訳機「サウンドトランスレーター」であった。

 

「あれは、あの怪獣は同じ地球に住む仲間や。コミュニケーションさえ取れれば争わずにすむハズや・・・何としても、ワシがコンタクトをとったるで!!」

 

そう言いつつ、サウンドトランスレーター片手に怪獣へと向かって行くホリイ博士。

そう、ホリイ博士は万能翻訳機を使って怪獣とコミュニケーションを取りることで怪獣の暴虐を鎮めようとしているのだ。果たしてホリイ博士の作戦は上手くいくのだろうか?

 

 

 

『トモダチ・・・?』

 

「そや!僕も君も、この星の同じ仲間や!!」

 

『ホリイハトモダチ・・・?』

 

「そや!君と僕は友達や!!そんで、僕以外の人間もみーんな君と友達なんや!!だから、人間を傷付けんといてくれへんか?」

 

『トモ・・・ダチ・・・』

 

 

「まさか!コミュニケーションが成立している・・・」

「信じられない・・・」

「スゴい・・・!!」

 

こうして始まったホリイ博士の作戦もとい試みは・・・何と、見事に成功した。

結果、あれだけ暴れて人を食っていた怪獣は大人しくホリイ博士と向き合い、ちゃんと「会話」までやってのけていた。

その光景に現場の自衛隊員たちはもとより、国会でモニター越しに現場を見ている総理や安倍たちも息を吞んでいた。

 

 

 

「このまま行けば平和に、万事解決だ」

 

怪獣とコミュニケーションと成立させたホリイ博士と、ホリイ博士と会話をやってのけた怪獣を見れば誰もがそう思うだろう。しかし、

 

『トモダチハ・・・ゴチソウ・・・!トモダチハ、ガゾートノタベモノ!!』

 

「「「はっ・・・?」」」

 

不意に・・・本当に不意に、それも何気なく当たり前のように怪獣が言葉を発した。ただ、その内容はあまりにありえない発言であった。人間から(・・・・)すれば(・・・)だが。

 

『トモダチ・・・ホリイハトモダチ・・・!ニンゲンモ・・・トモダチ・・・!!トモダチハ、ゴチソウ・・・!!』

 

「な、ななななな、何を・・・言うてんねん・・・!!?」

 

『トモダチハ、ガゾートノタベモノ・・・!!』

 

「う、嘘やろ・・・!?こ、こんといて・・・こんといてや・・・!!」

 

『ホリイハトモダチ・・・!トモダチハゴチソウ・・・!!ホリイハ・・・ガゾートノタベモノ・・・!!!』

 

「う、うわぁああああぁぁぁぁーーーーっ!!?」

 

 

 

 

 

「友達がごちそうだと!?そんなバカな!?一体どうなっているんだあの怪獣は!?どういうものの考え方してるんだ!!?」

 

「そ、総理・・・落ち着いて下さい―――」

 

「これが落ち着いていられるかっ!!」

 

「ひぃっ!!?」

 

そう言ってヒステリーというかパニックを起こし、なだめようとする秘書官たちにくってかかる総理大臣。

そんな総理大臣がパニックを起こしている原因はたった今の今まで見ていたモニター越しに起きた惨劇、大都市で暴虐の限りを尽くす怪獣による一人の博士の捕食劇と、怪獣に食われた博士が使っていた万能翻訳機から聞こえた怪獣の発言にあった。

 

「友達を食べる・・・総理!ひょっとしてあの怪獣は共食いをする習性があるのではないでしょうか?だから怪獣に『友達だよ』といったホリイ博士は怪獣に食べられたのでは―――」

 

「あのね安倍君!そんな事もうどうだっていいんだよ!!頼みの綱のホリイ博士は怪獣に食われ、また怪獣が暴れ始めた。今は悠長に怪獣の習性なんて考えてる暇はないんだよ!!!」

 

「ひいっ!?も、申し訳ありません!!」

 

主に怪獣の発言と行動が原因でパニックを起こす総理に対し、側近である安倍が納得のいく理由を述べたが総理には「どうでもいい」と一括された。しかし、実は安倍の考察は完全に当たっていたのだ。

 

 

 

 

―――キュウウウウゥゥゥンオギャアアアァァァ!!―――

 

「クソッ!戦車砲もミサイルも本当に効果が無いのか!!?」

「う、うわあああぁぁぁっ!?や、止めろ!!離せ!!離せーーー!!!」

「に、逃げろっ!捕まったら食い殺されるぞーーー!!」

「た、助けて!誰か・・・たす・・・け・・・て・・・」

 

 

戦車大隊やヘリコプター部隊が放った何百発もの弾丸や砲撃をその身に受けても倒れず、本能と食欲のおもむくままに暴れ、逃げ惑う自衛隊員たちを食いまくる怪獣。

そんな怪獣だが、元々は食料の乏しい環境で生きているために仲間を食べる、つまりは共食いして生きる習性がある。そんな怪獣にとって仲間、つまりは「友達(トモダチ)」とは「自分のために身を捧げてくれる都合のいい存在」=「食料」なのだ。

そして、その怪獣に万が一にでも「僕と君は友達」などと言ったならば・・・「僕は君の友達(しょくりょう)だよ」とアピールしたのと同じ事であったのだ。

加えて、最初に怪獣とコミュニケーションを取ったて食われた博士は「人間は君の友達」とも言った・・・つまり、

 

―――キュウウウウゥゥゥンオギャアアアァァァ!!―――

 

『ニンゲンハ・・・ガゾートノトモダチ・・・!ニンゲンハ、ガゾートノタベモノ・・・!!』

 

怪獣の鳴き声を、道ばたに落ちていた怪獣の胃の腑に納められた博士が作った万能翻訳機が通訳していた。

そう、もはや怪獣にとって人間は「トモダチ」であると認識されたため、食われて当然だったのだ。

 

「待てよ・・・友達を食べる習性があるなら・・・そうか!分かったぞ!!」

 

「オイ、ダイゴ!?どこに行くんだ!?戻ってこい!!!」

 

もう打つ手がなくなり、逃げ惑う自衛隊員たちであったが、そんな中で一人の若いダイゴという青年自衛隊員が何か閃いたらしかった。

そんなダイゴ隊員は他の逃げ惑う隊員たちに逆走しつつ、道ばたに落ちていた万能翻訳機を手に取って怪獣の下へ駆けていくと―

 

「オイ!怪獣!!」

 

―――キュウウウウゥゥゥンオギャアアアァァァ?―――

 

「!?オイ、アレ見ろよ!!」

「って、オイ!?何してるんだダイゴの奴!?」

「ダイゴ!逃げろ!!危険だぞ!!!」

 

万能翻訳機片手に怪獣の下へ駆けていったダイゴ隊員は怪獣に向かって怒鳴り、それに気付いた怪獣がダイゴ隊員に向き直った。当然、それを見ていた他の自衛隊員たちはダイゴに向かって逃げろと叫んだが―

 

『ニンゲンハ・・・トモダチ・・・!トモダチハ・・・ゴチソウ・・・!!』

 

「あぁ!あの怪獣、ダイゴを食う気だ!!」

「ダイゴ!早く逃げろーーー!!」

「ダイゴーーーっ!!!」

 

ダイゴが手にした万能翻訳機から聞こえる怪獣の鳴き声の翻訳。そう、怪獣はダイゴを「食料(トモダチ)」と認識したのだ。と、ここで―

 

「違う!僕はお前の友達じゃない!!僕は・・・お前の『敵』だ!!」

 

怪獣に「トモダチ」扱いされたダイゴであったが、ダイゴは怪獣に面と向かって大きな声で「僕はお前の『敵』だ!!」と叫んだ。その瞬間―

 

―――キ、キュウウウウゥゥゥンオギャアアアァァァ・・・?―――

 

「あ、あれ?どうしたんだあの怪獣?何か・・・怯んだぞ?」

「本当だ・・・明らかに戸惑ってるぞ?」

「一体、何がどうなってるんだ?」

 

自衛隊員たちの言う通り、ダイゴが怪獣に向かって「僕はお前の『敵』だ!!」と叫んだ瞬間、それまで嬉しそうにしていた怪獣が明らかに戸惑った様子と鳴き声を見せた。一体、何が起きたのだろうか?

 

「やっぱりだ・・・アイツにとって『トモダチ』は『食べるもの』だ。なら、アイツに僕たちを『敵』と『食べられないもの』だって認識させればいいんだ・・・作戦、成功だ!!」

 

そう言って咄嗟の思いつきが成功した事に喜ぶダイゴ。そう、実はダイゴは怪獣の「友達を食べる」=「共食いをする」という習性を逆手に取り、怪獣に「自分たちをはお前の敵だから食べられないぞ!!」と言ったのだ。

結果、明らかに怪獣は怯んで戸惑った様子を見せた。つまり、ダイゴの読みは当たったのだ。

 

「みんな!もっとアイツに人間は敵だって、食べられないんだってアピールするんだ!!」

 

「お、おう!分かった!!」

「やーい!俺たちはお前の敵だぞ!!食えないぞーーー!!」

「そうだ!人間はお前の敵だ!!敵だから食えないんだぞ!!」

 

ダイゴの読みは見事に的中した。

これにより「怪獣に人間を敵だと認識させれば怪獣が人を食べることは無くなるだろう」と考えた自衛隊員たちはダイゴに混ざって怪獣に向かって自分たちは敵だとアピールし始めた。

 

―――キ、キュウウウウゥゥゥンオギャアアアァァァ・・・―――

 

一方で、今の今まで「トモダチ」だと思っていた人間たちの急な「敵」アピールには怪獣は相当に戸惑い、その場で立ちすくむ様子すら見せた。

このまま怪獣に人間を「敵」だと認識させれば怪獣が人間を襲うことは無くなるだろう―

 

『ニンゲンハ、テキ・・・デモ、タベレル!オイシイ!!』

 

「「「えっ―――」」」

 

 

 

この日、日本のとある都市が崩壊した。そんな都市崩壊を招き、街の人々を食い尽くしたのは巨影「変形怪獣 ガゾート」であった。

そんなガゾートには何と共食いする習性があり、ガゾートにとって「トモダチ」=「食料」という倫理観(ロジック)が存在している。そして、そのガゾートはあろうことか人間を「トモダチ」と認識したために今回の惨劇を招いたのだった。

 

 

「違う!人間はお前の友達じゃない!!人間はお前の『敵』だ!!」

 

そう言って、ガゾートの習性を理解した人々がガゾートに人間は「トモダチ」ではなく「敵」とアピールし、ガゾートによる被害を防ごうとした。

しかし、防げなかった。何故か?ガゾートに、肉食怪獣にとって人間など・・・敵だろうが友達だろうが、所詮は「エサ」でしかないのだから。

 

『ニンゲンハ、タベレル!オイシイ!!』

 

 




如何でしたか?

今回は平成、どころか特撮でも群を抜いてヤバいアイツが、「歴代で唯一ウルトラマンを捕食した怪獣」や「可愛いペンギンさん」とか「可愛い魔王ダンテ」とか言われているガゾートが登場です。可愛くねーよ!!
ちなみに、作中のホリイとかダイゴは言わずもがな『ティガ』の隊員さんです。

で、件の「あるやり取り」もとい「ダイゴ隊員がガゾートに「僕たちは敵だ」といってガゾートが戸惑う」は3DSのゲーム『ロストヒーローズ2』のネタです。

ただね、ガゾートの話は実に素晴らしい。倫理観の違いや「人間の価値観で何でも考えるなよ」というメッセージが実に反映された名(迷)エピソードです。
もうね、是非ともウルトラマンコスモスやウルトラマンギンガ、ウルトラマンエックスのような「怪獣は友達!仲間!!」みたいな作品で出て欲しかった。もし、ガゾートが出たらムサシやダイチがどう反応するのかね?
いやね、例のギンガやエックスにはスペースビートが出ましたよ。けどね、スペースビーストって端っから危険だと、「捕食」と「攻撃」しかない明確に「殺していいヤツ」と分かるじゃないですか?
それじゃ意味が無い。ガゾートのように倫理観が違うだけ、「コミュニケーションとれるけど友達を食べるのが当たり前という点だけがヤバい」みたいなヤツを出して始めてダイチたちの葛藤が描けるでしょうに・・・

以下、どうしてもやりたかったネタ↓

フュージョンライズ!

変形怪獣カゾート

―――キュウウウウゥゥゥンオギャアアアァァァ!!―――

高次元捕食体ボガール

―――ホワァアアアァァァ!プゥギィイイイイィィィィッ!!―――  

健啖なる力、お借りします!!
超合体!高次元変形捕食怪獣ガゾール!!

―――キュウウウウゥゥゥンプゥギィイイイイィィィィッ!!―――  

これがやりたかっただけ・・・

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