巨影都市オブ・ジ・エンド   作:銀色の怪獣

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どうも!作者です。

今回は僕が大好きな奇才・実相寺監督テイストですし、その実相寺監督の関わった回の怪獣が出ますので・・・まぁ、カオスです。

とはいえ、こんなカオスな回もまた見たいなぁ・・・昨今の「悪いヤツを倒すぜヒャッハー!!」ばかりなウルトラさんばかりではなく、それこそ実相寺監督テイストや太田愛さんの書かれた『怪獣の身代金』みたいな愉快なストーリー、あるいは『ゼルダポイントの攻防』みたいな感動ストーリーが見たいなぁ・・・





第三十二話 夢と『巨影』

 

何気ない平和で当たり前の日常。もし、その平和で当たり前の日常に異形の存在「巨影」が現れたなら・・・

 

「よーし、書けたぞ!」

 

どこかの大都市の片隅の公園で子供たちが無邪気に遊んでいた。そんな子供たちは公園の片隅にあった土管にお絵かきをしているのだが、書いているものはとえば―

 

「え~なにコレ?カッコわる~い」

「ほんとうだ~カッコわるいなぁ・・・」

「これのどこが怪獣なんだよ~?」

「ムシバ、おまえってヘタクソだなぁ・・・」

 

「そ、そこまでいわなくていいじゃん!たまにはこんなかわいい怪獣もいいじゃんか!!」

 

そう、子供たちが土管に書いていたのは子供が大好きな怪獣の絵であった・・・が、いま土管に書かれている怪獣は「ムシバ」というあだ名の少年が書いた、何と言うか・・・餃子というか「 (@、)>」みたいな感じのとても怪獣らしさ皆無の、それこそ良く言って「ゆるキャラ」で悪く言えば「ザ・落書き」みたいな絵であった。当然、ムシバ少年の書いた怪獣は友人たちに大不評であった。すると、

 

「やい!お前ら!!この俺さまのなわばりですきかってにあそぶとはいいどきょうじゃねぇか!!かくごはできてるんだろうな?」

 

「「「「!?そ、そのこえは・・・!!」」」」

 

「マズい・・・!ジャ〇アンだ・・・!!」

 

不意に子供たちの元にやたら発育のよい、いかにも「ガキ大将」といった感じの少年が現れ、その少年に気付いた子供たちは明らかに迷惑そう&嫌そう・・・怯えた表情になった。

 

「オイ、おまえら!このこうえんは俺さまのなわばりだってなんかい入ったらわかるんだ!?あそびたいならおかしを俺さまにけんじょうしろ!!じゃないとあそばせないぞ!!」

 

そんなジャ〇イン・・・ガキ大将風の少年は文字通りのガキ大将であり、更には乱暴者&横暴&自己中心的な性格であった。

 

「そ、そんなのメチャクチャだぁ!!」

「そ、そーだそーだ!こうえんはみんなのものだぞ!!」

「そうだ!なんでジャ〇アンにきょかもらわないといけないんだ!!」

 

「うるせぇ!俺さまが俺さまのなわばりだっていったらそうなんだ!!おまえのものは 俺さまのもの 俺さまのものは 俺さまのものなんだ!!くちごたえするとなぐるぞ!!」

 

「「「「「に、にげろーーー!!!」」」」」

 

一方の他の子供たちはガキ大将のあまりの横暴さに反論こそしたものの、ガキ大将が拳を振りかざして襲いかかってきたのでクモの子を散らすように逃げ去っていった。子供たち去りし後、

 

「クソッ、にがしちまったぜ。あとでぜんいんギッタギタにしてやる・・・って、なんだコレ?ヘタクソなえだな。コレ、もしかして怪獣か?」

 

殴ろうとした子供たちが全員逃げてしまったことに舌打ちするガキ大将であったが、不意にムシバ少年が土管に書いたあのゆるキャラ・・・もとい「 (@、)>」みたいな怪獣の絵に気付くと、

 

「まったく、俺さまのなわばりにヘタクソな怪獣をかきやがって。みてろ!俺さまがカッコいいさいきょうの怪獣をかいてやるぜ!!」

 

件の「 (@、)>」みたいな怪獣の絵に呆れたガキ大将は子供たちが落としていったクレヨンを拾い、自分も土管に怪獣を、彼の言う「カッコいいさいきょうの怪獣」の絵を描き始めた。そして―

 

「できた!どうだ!これが俺さまがかいたカッコいいさいきょうの怪獣だ!!よし、コイツはインドぞうを一千万とうもちあげられるパワーをもってるってせってにしよう!われながらホレボレするぜ!!」

 

一心不乱に、そして真剣に「インドぞうを一千万とうもちあげられるカッコいいさいきょうの怪獣」をガキ大将は書き上げた。

そんな怪獣なのだが・・・牙が無いカバのような顔にアンテナのような耳、ゲーセンのクレーンキャッチャーのような長い手、そして妙に色とりどりの腹の模様といった具合の、とてもじゃないが「カッコいいさいきょうの怪獣」にはほど遠い・・・・が、ガキ大将はかなりやりきった顔であった。

 

その後、ガキ大将は気の済むまで自分が書いた怪獣の絵を眺め、心ゆくまで自画自賛した後に怪獣の絵をそのままに帰宅した。これが後の大惨事となるとも知らずに。

ちなみに、ガキ大将は母親に頼まれていた買い物を放置しており、結果でガキ大将は母親に相当怒られたのであった。

 

 

 

「ごめんなさい私、もうイクタさんとは会わない方がいい思うの」

「えっ、どうして・・・?他に好きな人でも出来たのトモコさん・・・?」

「そんなんじゃないの。来月から宣伝部に異動になって。仕事が忙しくて。イクタさんに構ってる余裕が無いのよ。宣伝部で働くのは、入社以来の私の夢だったのよ」

「夢・・・?」

「そういうことだから。じゃあね、さようなら」

 

所変わって、ここは大都市にある高級レストランだ。そんなレストランの中でたった今、一組のカップルが破局を、トモコという女性の方が「仕事が忙しいから」と言ってイクタという男性をフった。

 

 

「う、う、う・・・うわぁあああぁぁぁーーー!トモコさーーートモゴざーん!!何でだよぉ~~~!!!」

 

彼女にフラれ失恋の痛手を負ったイクタは散々やけ酒をあおった後、自宅である大都市の片隅のオンボロアパートの自室へと戻り、涙が枯れるまで泣いて泣いて泣いて・・・そのまま夢へと逃れた。

その直後、イクタの夢が開いたおりに怪しの宇宙線が天より降り注いだ。そんな宇宙線はイクタの夢だけではなく・・・公園の土管に残されていた子供たちが書いた二体の怪獣の絵にも降り注いだ。

 

 

―――アア゛ア゛ア゛ァァァッ!!―――

 

「う、うわあああぁぁぁっ!?な、何だよアレ!!?」

 

「か、怪獣だーーーっ!!」

 

「に、逃げろっ!踏み潰されるぞ!!」

 

草木も眠る丑三つ時の大都市に轟く咆哮。見れば、件の咆哮の主である怪獣が大都市のど真ん中に出現していた・・・が、何故かその体はほぼ透明で、おまけに建物などをすり抜けてしまう、などまるで「実態が無い」かのようであった。

 

―――アア゛ア゛ア゛ァァァッ!!―――

 

そんな謎の怪獣はただひたすら夜の街を練り歩いた後、朝日が昇る頃には掻き消すように消えてしまった。

 

 

―――ギャンゴォウ!!―――

 

―――モギュウ!モギュウ!!―――

 

「う、うわあああぁぁぁっ!?また怪獣が出たぞーーー!!」

 

「しかも今度は二匹も出たぞーーーっ!!」

 

「に、逃げろっ!踏み潰されるぞ!!」

 

深夜の怪獣騒動から解放された人々がホッとしたのもつかの間、朝日が顔を出して辺りを明るく照らし始めると今度は別の怪獣が大都市のど真ん中に現れた。しかも二体も。

 

―――ギャンゴォウ!!―――

 

まず、一体目は牙が無いカバのような顔にアンテナのような耳、ゲーセンのクレーンキャッチャーのような長い手、そして妙に色とりどりの腹の模様といったかなり珍奇というか不格好な怪獣であった。

 

―――モギュウ!モギュウ!!―――

 

そして続く二体目であるが・・・こちらは先の怪獣よりも更に珍奇な姿をしていた。

全身はツヤツヤの真っ白で相当に柔らかそうな皮膚に覆われ、頭部らしき部分にはまん丸な目を持ち、一見すれば足が無いように見えるがよく見れば体の真下に短い足を持つ、まるで餃子というか「 (@、)>」みたいな感じの怪獣であった。

 

―――ギャンゴォウ!!―――

 

―――モギュウ!モギュウ!!―――

 

そんな二体の怪獣の内、不格好な姿の怪獣は「怪獣らしく」街を破壊して回っていたが、一方の餃子か「 (@、)>」みたいな感じの怪獣はただその場でイビキをかいて眠るだけであった。まぁ、そのイビキのうるささは公害レベルであったが。

 

その後、二体の怪獣は日が沈んで夜になると掻き消すように消えてしまった。

 

 

 

―――アア゛ア゛ア゛ァァァッ!!―――

 

「う、うわあああぁぁぁっ!?またまた怪獣が出たぞーーー!!」

 

「しかも昨日の夜に出たヤツだーーーっ!!」

 

「い、いや、今度は少し色が付いてるぞ!?」

 

不格好な怪獣と餃子か「 (@、)>」みたいな感じの怪獣が消えて人々がホッとしたのもつかの間、夜になると昨夜現れたあのほぼ透明な怪獣が大都市のど真ん中に再び現れた。

だが、誰かが言ったように、件のほぼ透明な怪獣は昨夜とは違って体に多少の色が付いて半透明になっている上に、口からはオレンジ色の破壊光線を吐き、建物などを殴ったりして破壊するなど「存在している」のが明らかであった。

 

その後、半透明の怪獣は日が昇ると掻き消すように消えてしまった。

 

 

―――ギャンゴォウ!!―――

 

―――モギュウ!モギュウ!!―――

 

が、日が昇ると不格好な怪獣と餃子か「 (@、)>」みたいな感じの怪獣が再び現れた。そんな二体は日が沈むと掻き消すように消えた。

 

―――アア゛ア゛ア゛ァァァッ!!―――

 

しかし、二体の怪獣が消えた直後、三度あの半透明な怪獣が現れた。そんな半透明な怪獣は日が昇ると掻き消すように消えた。

 

―――ギャンゴォウ!!―――

 

―――モギュウ!モギュウ!!―――

 

―――アア゛ア゛ア゛ァァァッ!!―――

 

その後、日が昇れば半透明の怪獣と入れ替わるように二体の怪獣が現れ、日が沈めば二体の怪獣と入れ替わるように半透明な怪獣が現れる、というのが幾度となく繰り返された。

結果、この一連の怪獣騒動に巻き込まれた大都市およびそこに暮らす人々は著しく疲弊し、追い詰められてくのであった。

 

 

 

「ねぇ、消えた?」

「うん。消えたよ」

「よかった・・・」

「よ、よーし・・・これできえたぞ。これでもう俺さまがかいた怪獣も、ムシバたちがかいた怪獣がでてきてあばれたりはしねぇぞ。ほんとうによかったなぁ・・・」

 

連日の休まることの無い怪獣たちによる大都市襲撃の最中、大都市の片隅の公園の土管の前には子供たちが、あのムシバ少年やガキ大将を含む子供たちの一団がいた。そんな子供たちが何をやっているかと言えば、

 

「でも、まさかぼくたちがかいた怪獣がでてきてあばれたりするなんて・・・」

「うん、しんじられないよね・・・」

「でも、ほんとうにでてきちゃったんだからしかたないよ。だからこうして怪獣をけして、もうでてこないようにしたじゃんか」

「そうだぜ。俺さまたちのせいでまちがこわされて、たくさんひとが死んじゃったんだから・・・俺さまたちがせきにんとって怪獣をけさないとだろ」

 

そう、子供たちがこの公園にいる理由は、手に手にバケツや雑巾に洗剤などを持っている理由、それは彼らが土管に書いた怪獣の絵を消すためであった。彼らなりに責任(・・)を感じたから、彼らなりに償い(・・)をしようと決心したから。

 

 

「どうなってるんだアレ!?あの怪獣、ぼくたちがかいた怪獣とおなじだよ!?」

「ほんとうだ・・・どうして怪獣のえがほんものになってるんだ!?」

「なにがおきたんだ・・・?」

 

事の発端は昼夜で入れ替わるように怪獣たちが現れ始めた頃だ。

当然ながら怪獣の出現はテレビや新聞、ラジオなどでも大々的に報道され、人々の目に耳に嫌でも入ることとなった。すると、

 

「どうなってるんだアレ!?あの怪獣、ぼくたちがかいた怪獣とおなじだよ!?」

「ほんとうだ・・・どうして怪獣のえがほんものになってるんだ!?」

「なにがおきたんだ・・・?」

 

先の怪獣たち絡みの情報は当然ながら子供たちにも知れ渡った。そんな中「ある一部の子供たち」は怪獣たち絡みの情報を、その怪獣たちの容姿(・・)を見て呆然と、言い知れない恐怖にかられた。

そんな「一部の子供たち」とは・・・あの大都市の片隅の土管に怪獣の絵を書いた子供たち、あのムシバ少年を含む子供たち、及びガキ大将であった。

 

「ど、どうしよう・・・たいへんだ」

「ぼ、ぼくたちが怪獣をかいたせいで・・・まちがこわされて、ひとがいっぱい死んじゃったんだ・・・」

「ど、どうする・・・!?俺さまのせいだ・・・俺さまのバカバカバカ!!バカヤローーー!!!」

 

ムシバ少年たちやガキ大将たちは大都市で暴れる怪獣のニュースを、あるいは直に怪獣を見た子供たちは悟った。

 

「あの怪獣たちは、自分たちが書いた怪獣と全く同じだ。自分たちが書いた怪獣のせいで街が壊されて、大勢の人々が死んでしまった。自分たちはトンデモナイ事をしでかしたんだ」

 

と。

 

結果、子供たちは激しい後悔や自負の念に苛まれ、同時に責任を感じた。だから子供たちは自分たちなりに責任を取ろうと、自分たちなりにケジメをつけるべく行動した。

結果、子供たちは親や警察、自衛隊の制止を振り切って荒れ果てた大都市へ入って、公園の土管に書いた怪獣の絵を消したのだ。

 

その後、あの不格好な怪獣もとい巨影「脳波怪獣 ギャンゴ」と、餃子か「 (@、)>」みたいな感じの怪獣もとい「二次元怪獣 カヴァドン」が現れることは無くなった。

 

 

 

 

「わははははは!ザマーミロ!僕を騙した報いだ!!みんな苦しめ!みんな死んじゃえばいいんだよーだ!!!」

 

その頃、怪獣たちによる被害が及んでいない大都市の片隅にあるオンボロアパートの一室で、一人の男がテレビのニュースや新聞を見ながらそれはそれは愉快そうに笑っていた。そんな男の正体とは・・・あのイクタであった。

 

 

「まさか・・・この怪獣って!?」

 

時は少し遡り、大都市に昼夜問わずに怪獣が現れ始めた翌日の事だ。

その日、寝ぼけ眼で新聞を読んでいたイクタは新聞の一面にデカデカと載っている記事に、あの夜になると現れる怪獣の写真を見て驚きながらも、枕元に放り投げていたスケッチブックを慌てて手に取った。何故なら、

 

「や、やっぱり・・・!同じだ・・・この怪獣、僕が生み出しちゃったんだ・・・!!」

 

イクタが手にしていたスケッチブックには・・・かなりヘッタクソな絵もとい怪獣の絵が描かれており(ちなみに、このスケッチブックの絵はこのところ体調の悪いイクタがとあるオカm・・・オネェの精神科もといセラピストの元を訪れた際、そのセラピストに問診として書かされた絵である)、その絵は新聞の一面にデカデカと載っている怪獣の写真と全く同じであった。

 

「もしかして、僕が思い描いた怪獣が何かの切っ掛けで実体化して暴れて・・・だったら大変だ!!」

 

自分が書いた怪獣の絵と、新聞の一面に載っている怪獣を見比べ、更には自分なりに色々と考察して一つの結論に行き着いたイクタは相当慌てていたが、それは紛れもない事実であった。

 

実はあの夜に現れる怪獣であるが、その正体はこのイクタという男が思い描いた『夢』が偶然降り注いだ宇宙線によって実体化した存在であったのだ。

当然、宇宙線うんぬんかんうんはイクタが知る由も無いが、少なくともイクタは「自分が怪獣を出現させてしまった」という事実には気付いた。なので、

 

「なら止める方法は一つだ!!」

 

自分のせいで怪獣が出現したと悟ったイクタの行動は早かった。イクタは上着をひっつかむと部屋を飛び出して「ある場所」に向かった・・・これが彼に悲劇を"二重に"もたらすとも知らずに。

 

 

 

 

「ちくしょう!ちくしょう!ちくしょう!ちくしょーーー!!二股かけやがってぇえええぇぇぇっ!!!」

 

 

走る!走る!イクタは走る!! ランニングマシーンで

 

部屋を飛び出して「ある場所」に向かったイクタは自宅に戻っていた・・・が、その顔は憎悪に狂っており、加えて何かひたすら恨み節を炸裂させながら通販で買ったランニングマシーンで爆走していた。

 

 

「引っ越しの時ねぇ、ニヤついた男が一緒だったけど・・・フィアンセって言ってたわねぇ」

 

「フィアンセ!?そんな・・・バカな!?ちくしょぉおっ!!」

 

再び時は遡り、イクタが怪獣が自分のせいで出現したと知り、その解決のために向かった「とある場所」もといイクタの()彼女であるトモコが住むアパートの一室へやって来たイクタであったが、その部屋にはトモコはおらず、かわりにオバハンがバナナむしゃ食いしながら現れた、ばかりかイクタに衝撃の事実を伝えた。ニヤつきながら。

 

「トモコさん!怪獣騒ぎの原因は、多分僕の夢です!!僕は生まれ変わりますから、もう一度お付き合い願えませんか!?」

 

そう、イクタが怪獣が現れたのが自分に原因があると悟った直後、元彼女であるトモコの元へ向かった理由はヨリを戻してもらうため・・・もとい、トモコにフラれた事が原因で精神的に追い詰められた結果で怪獣を出現させた責任を取るためであった。決してトモコに未練があったわけでは・・・未練アリアリだが。

だがトモコはすでに引っ越していて、かわりにオバハンがいたばかりか、オバハンがニヤつきながら余計な事を言ったせいでトモコの二股がバレてしまい、イクタはブチ切れて「吹っ切れた」のだ。

 

「わははははは!ザマーミロ!僕を騙した報いだ!!みんな苦しめ!みんな死んじゃえばいいんだよーだ!!!」

 

時は戻り、先のオバハンによって告げられた衝撃の事実で「吹っ切れた」イクタは・・・あろうことか、自分の怨念を怪獣に注ぎ込み、より怪獣を強力な存在へと変貌させた。

そうイクタは不実な恋人への復讐を誓い、夢の中で再び怪獣を蘇らせたのだ。イクタの怨念は怪獣をより強力なものへと育て上げた!!

 

―――アア゛ア゛ア゛ァァァッ!!―――

 

こうしてイクタが怨念を注いで強化した怪獣、鬼のような顔に両手には指では無く不気味な動物の顔、下半身にはタコの足が絡みついたかのようなメチャクチャな姿の怪獣が、ついに実体を得て夜の街で大暴れを始めた。

 

「いいぞ!いいぞ!壊せ!!殺せ!!僕を騙すようなヤツらなんてみーんな死んじゃえばいいんだよーだ!!!」

 

自身が生み出し、強化した怪獣の暴れっぷりを夢の中から眺めるイクタはご満悦であった。恐ろしいかな、人間とは一度狂ってしまうともう後戻りは出来ないのだ・・・「止めてくれる人」がいれば別だが。

 

「イクタ!開けろイクタ!!」

「イクタ!開けろイクタ!!いるのは分かってるんだぞ!!」

 

「!?う、う~ん・・・だ、誰ですか・・・?」

 

不意に、イクタの部屋のドアを誰かが激しくノックした。その結果でイクタは目を覚ました。その直後―

 

―――バキッ・・・バキバキッ!!―――

 

「「あ゛あーーーっ!!?」」

 

なんと、いきなりイクタの部屋の玄関の扉をぶち破られ、更には誰かがイクタの部屋に乱入してきた。

 

「ちょっと!何するんですか!?」

 

「親分これやり過ぎですよ!?」

 

「親分じゃない!刑事(デカ)長と呼べ―――イクタ!君が怪獣出現に関わっていることはお見通しだ!!よって、君の身柄を拘束する!!」

 

当然、イクタは自分の部屋の扉をぶち破った人物たちに抗議したが、ぶち破った人物はそんな事お構いなしといわんばかりにイクタを捕らえ、手錠をかけた。

 

ちなみに、イクタを捕らえたのは怪獣や怪奇事件を調査・担当・解決する特殊部隊の精鋭であり、実は彼らは連日起きている怪獣出現の原因を特殊な機器を使って調査しており、その結果でイクタの元へたどり着いたのであった。

 

「や、止めて下さいよ!何するんですか!?」

 

「抵抗するな!イクタ、君がこのところの怪獣出現に関わっているのはお見通しなんだ!!神妙にしやがれ!!」

 

「ホラ!大人しくしろ!!」

 

「っつ・・・夢ぐらい見させて下さいよ・・・せめて夢ぐらい・・・」

 

自宅の玄関のドアを蹴破られ、手錠をかけられ、挙句は怪獣出現の犯人だと特定されたイクタは御用となった。

 

だが、それは当然のことだ。どんな事情があるにせよ、自分の勝手で他人を巻き込み、多大な迷惑をかけた挙句で責任も取らずいれば、いずれ絶対に「ツケ」が回ってくるものなのだから。

 

―――アア゛ア゛ア゛ァァァッ・・・アア゛・・・ア゛ア゛ァ・・・アァ・・・――――――

 

その頃、イクタがしょっ引かれてブタ箱行きと相成った結果、意気消沈した創造主(イクタ)の気持ちに呼応するようにしてあのメチャクチャな姿の怪獣もとい巨影「夢幻怪獣 バクゴン」は掻き消すように消えてしまった。

 

こうして、大都市を昼夜問わずに騒がせた怪獣騒動は幕を閉じたのだった。

 

 

人は、誰しも夢を見る 

 

老いも若きも 大人も子供も

 

夢に逃れる

 

夢に遊ぶ

 

「何故?」って、

 

現よりも夢にこそ確かな世界が広がっているからだ。

 

だが、夢と違って現は「責任」を持って生きなければならない

 

だから人は誰しも夢に逃れ、夢に遊びたいのだ。

 

 




如何でしたか?

今回は「萌えキャラ」・「カオス」・「おふざけ」がほどよくミッスされている回に出た怪獣たち、ギャンゴ、カヴァドン、バクゴンが一同に登場しました。

何気に、カヴァドンとバクゴンの回は実相寺監督が担当しているし。

思うのは、やはりストーリーの要は脚本家さんや監督さんもですが、一番は「怪獣の個性」だと思いますね。だって、特撮はあくまで「怪獣」(かヒーロー)が主人公なんだから。

最近の怪獣は見た目はカッコし何かスゴい能力持ちが多いけど、鳴き声に特徴が無く、個性的な、キャラクターとして成り立ってないですよね。「とにかく喋らせばいいや」ってのも・・・ナンセンス。

もっとこう、特徴的で、何度出て来ても納得出来るような怪獣を出して欲しいですね。

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