巨影都市オブ・ジ・エンド   作:銀色の怪獣

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お久しぶりです。銀色の怪獣です。

読者の方からのご指摘で+自分でも思っておりましたが、ここ最近はどうにも新しいシリーズの怪獣&メジャーどころばかり出していました。

「日の当たらない魅力的なマイナーにスポットライトを当ててあげたい」

というこの作品を投稿する上での基礎を見失って、我を忘れていた自分を反省いたしました・・・

ということで、またマイナーを出すように心がけます。ハイ

ということで、今回もマイナー・・・なんですが、実は相当に恐ろしい&貴重な能力を持った巨影が出ますのでお楽しみ下さい


第三十五話 『巨影』・石の寓話

何気ない平和で当たり前の日常。もし、その平和で当たり前の日常に異形の存在「巨影」が現れたなら・・・

 

 

―――グワァアアアァァァッ!!―――

 

「う、うわあああぁぁぁっ!?また出たぞーーー!!」

「ひぃいいいぃぃぃっ!?に、逃げろーーー!石にされるぞーーー!!」

「い、嫌だーーーっ!死にたくねぇーーー!!」

 

とある山を切り崩し、自然を切り開いて作られた大都市があった。

そんな大都市に資材を提供する採石場のある山で事件が起きていた。それは―

 

 

―――グワァアアアァァァッ!!―――

 

「で、出やがったぞ!出やがったぞーーーっ!!」

 

採石場に響き渡る作業員たちの悲鳴と・・・巨大生物もとい「怪獣」の怒りに満ちた咆哮。

見れば、採石場のど真ん中に地面を砕き割って現れた怪獣が居座って手当たり次第に暴れていた。

 

―――グワァアアアァァァッ!!―――

 

そんな怪獣は四足歩行で一見すればトカゲのようにも見えるが、まるで岩山が生命を持ったかのようにゴツく、頭部に一本の角を持っていた。加えてこの怪獣には「恐ろしい能力」がある。それは―

 

―――グワァアアアァァァッ!!―――

 

「ぎ、ぎゃあああぁぁ!?ああぁ・・・あぁ・・・」

「ひ、ひぃ!?主任が石に・・・!?」

「あ、あれに、あの光線に当たるな!当たったら石にされるぞーーー!!」

 

採石場のど真ん中に現れた怪獣が逃げ惑う作業員たちに向かって口から青く輝く光線を放てば、確かに生きて動いていた作業員たちは物言わぬ「石」へと変貌し、言葉を発するも動くこともなくなった。永遠に。

そう、怪獣の持つ「恐ろしい能力」とは「当たったものを石へ変える光線を吐ける」という能力なのだ。

 

―――グワァアアアァァァッ!!―――

 

その後も目に付くものを手当たり次第に光線で石に変えた怪獣は、石切場が完全に静寂を取り戻すと地底へと戻っていった。

 

 

 

 

 

 

「もう我慢ならねぇ!あのトカゲ野郎、ぶっ殺してやる!!山ごとマイトの発破で吹き飛ばしてやる!!」

 

暴虐の限りを尽くした怪獣が地底に姿を消した採石場のある辺りは静寂そのもだった。

そんな中、作業員が全員逃げ出した採石場に一人の男が、採石場の責任者であり、怪獣の出現による作業の遅れや人的被害による損失で大損を負うハメになった男が鬼の形相で採石場に戻ってきていた。

そんな男は発破用のダイナマイトを採石場のあちこち、はおろか、怪獣の住処と思われる穴、更には採石場のある山の至る所に仕掛けまくっていた。

 

「ふはははっ・・・!ざまあ見やがれトカゲ野郎が!!これで木っ端微塵だっ!!!」

 

突如として現れて自身に大損を負わせた憎き怪獣への復讐に燃える、否、復讐に「狂った」男は凄まじい量のダイナマイトを仕掛け終えると怪獣が吹き飛ぶ姿を想像して笑みを浮かべながら点火した。

 

 

 

 

「た、大変だ!山が崩れるぞーーーっ!!!」

「逃げろ!逃げろーーーっ!!」

「何で、何でこんな事が起きたんだーーーっ!!?」

 

怪獣による惨劇の来た採石場のある山、の麓にある小さな村に響く警鐘の音と村人たちの悲鳴、そして・・・その村めがけて迫り来る土石流や山崩れ、辺り一帯を揺るがす凄まじい地震が突如として起きたのだ。そして、その原因は当然―

 

「ひ、ひぃい!?何でこんな事になっちまったんだ!!?俺はあのトカゲ野郎と始末しようとしただけなのに!!!」

 

そう言って崩れ落ちる山から死に物狂いで逃げ出す男が、あの採石場の責任者にして怪獣のせいで大損を負った男が死に物狂いで逃げていた。

そう、実はいま起きている山崩れも土石流も全てはこの男の、この男が怪獣を殺そうとして至る所に仕掛けまくった相当数のダイナマイトを一斉に発破した事が原因だったのだ。

 

 

 

「あぁ・・・終わりだ、全てが終わりだ・・・」

「こんな・・・こんな死に方なんて嫌だ・・・」

「何で私たちがこんな目に・・・」

 

いくら逃げても迫って来続ける土石流や尚も崩壊の止まらない山を前に、必死で逃げていた村人たちは諦めとも観念とも取れる感情を抱き始め、とうとう逃げるのを止めて念仏を唱え始めた。

しかし、当然ながら村人たちがいくら念仏を唱えようが何をしようが土石流や山の崩壊は止まらない・・・本当にもうどうしようもないのか?村人たちの祈りは天に届かないのか?何か「奇跡」は怒らないのか―

 

 

 

 

 

 

―――グワァアアアァァァッ!!―――

 

「「「な、何だっ!!?」」」

 

突如として辺り一帯に轟く「咆哮」があった。

それに驚いた村人が咆哮のした方を見れば・・・何と、あの採石場で暴れていた怪獣が現れたのだ。

 

―――グワァアアアァァァッ!!―――

 

「な、何をする気なんだろう・・・?」

 

そんな怪獣は迫り来る土石流をキッと一睨みすると、あの触れたものを石に変える光線を放ち始めた。

するとどうだろうか、凄まじい勢いで迫り来る土石流がたちまち石となり果ててその勢いを失って制止したのだ―――しかしそれもほんの一瞬、山一つが崩れて発生した土石流を形成する土砂や水、その他諸々を簡単に且つ完全に停止させることは不可能だった。だが、

 

―――グワァアアアァァァッ!!―――

 

怪獣は諦めなかった。怪獣は尚も止まらない土石流に向かって光線を放ち続けた。そのおかげで徐々にではあるが土石流の勢いも量も少なくなっていっていた・・・だが、同時に怪獣の身にも異変が起きていた。

 

―――グワァ・・・アアァァッ・・・!!―――

 

「み、見ろ!怪獣がどんどん石になっていってるぞ!!」

 

誰かの言ったとおり、土石流を止めるために口から光線を放ち続けている怪獣の手足や皮膚などが徐々に徐々だが、確実に石へと変化し始めていた。

実は怪獣の放つ光線は相当にエネルギーを消費し、怪獣の体に負担をかける諸刃の技なのである。そして、そんな諸刃の技を怪獣は土石流を止めるためにずっと使い続けている・・・当然、そんなことをすれば何が起きるかなど言わずもがなだろう。

 

―――グワァ・・・アアァァッ・・・!!―――

 

だが、それでも怪獣は光線を放ち続けるのを止めなかった。

おかげであれだけの勢いと量を保っていた土石流は全て石へと変わり、麓にある村と村人たちの命は助かった。また、怪獣がずっと光線を吐き続けたおかげで土石流だけでなく山崩れも地震も収まったのである。これで万事解決だ―――そう、怪獣の命と引き換えに。

 

―――・・・・・・・・・・・・―――

 

「あぁ、怪獣が完全に石に・・・!!」

 

土石流も山崩れも地震も収まった事で辺は静寂そのものだった。だが、辺りが完全に静寂そのものな理由は他にあった。

本来なら命が助かったことで村人たちが万歳三唱で喜ぶ声がしたり、重労働を終えた怪獣のやりきったり疲弊した鳴き声が聞こえてもおかしくはない、ハズだが辺りは静寂そのもので、村人たちは悲痛な表情をしていた。

何故なら、土石流などを止めて全てを救ってくれた怪獣は完全に石に、物言わぬ石に、命を持たない完全な「ただの石」になってしまったのだ。

そう、怪獣は自分の命と引き換えに土石流や山崩れを止め、全てを救ったのだ。そんな光景を見て村人たちは手放しで喜ぶことなど到底出来なかったのだから。

 

 

 

 

 

 

 

『 むかしむかし あるお山に石の怪獣がいました

 

その怪獣は山にすみ 石を食べる大人しい怪獣でした

 

ですがある日、怪獣の住む山を欲深い人間が荒らしはじめました

 

当然、山を荒らされた怪獣は怒って山を荒らす人間を石にしました

 

ですが、欲深い人間は逆に怪獣を退治してやろうと考え、爆弾を使いました

 

しかし、人間が使った爆弾のせいで山が崩れてしまったのです

 

すると、何と人間が殺そうとした怪獣が自分の体を大きな石に変えて山が崩れるのを防ぎました

 

怪獣のおかげで山が崩れることはなく、大勢の人々や動物の命が助かりました

 

怪獣の命と引き換えに

 

そう、怪獣は自分の命を使って人々やお山を救ったのです

 

後に残されたのは動くこともなく、鳴くこともなく、怒ることもなくなった石だけでした

 

人々はこの事を忘れないように 怪獣の石に『石神様』と名前を付けて大事にしました 』

 

 

これはとある地方都の村とその周辺地域に伝わる民話、それも俗に言う「寓話」だ。

そしてそんな寓話を寓話の伝わる村に住む一人の老人が、家に遊びに来た離れて暮らしている孫に話して聞かせていた。

 

「ねぇ、おじーちゃん。その怪獣さんがなったいしがあのいしなの?」

 

「・・・そう、そうだよ。あの大きな石がトカゲ・・・怪獣さんが、ワシらが住むこの村を救ってくれた怪獣さんだった岩だよ」

 

「そうなんだ~でも、ほんとうにあのいわは怪獣さんだったの?」

 

「ああ、本当だよ。ワシはこの目で怪獣さんが石になるところを、自分の命と引き換えに村やみんなの命を救ってくれる所を見たんだよ・・・ワシがやからしたバカを自分の命を犠牲にして止めてくれたところをね・・・」

 

祖父から寓話を聞き終えた孫は祖父の家からも見える、村のすぐ近くに祭られているトカゲのような形の巨石を指さしつつ祖父に向かってあれこれ聞き、孫に質問された祖父はかつて実際に見て、体験して、そしてしでかした(・・・・)()に思いをはせていた。

 

 

 

 

 

 

 

―――グワァアアアァァァッ!!―――

 

時は遡り、一人の男がしでかした大事によって土石流や山崩れが起きた際の事だ。

突然起きた山崩れや迫り来る土石流などに人間たちがパニックを起こして逃げ惑っていた際、その山の地下に住むあの怪獣は頭の上で起きた異変にいち早く気付くと即座にその異変を止めるべく行動を開始した。何故なら、

 

―――グウァアアアァァァッ!!―――

―――グワッ!!―――

―――グワッ!!―――

―――グワッ!!―――

―――グワッ!!―――

 

怪獣は巣穴を出る際、不安そうに鳴く怪獣の(つがい)と子供たちの鳴き声を背に受けながら巣穴を出て行った。そう、実はこの怪獣は「家族」でこの地に住んでいたのだ。

そして、今まさにその大切な家族と住処が危険に晒されている・・・ならば、大事な家族と住処を守るために奮起するのが怪獣の、()の役目だ。だから怪獣は巣穴を出て異変を止めに行ったのだ。

 

そう、実は怪獣は別に人間たちを救おうという気など毛頭なく、あくまで自分の家族と住処を守ろうとしただけだったのだ。

だが、当たり前だがその事を人間たちが知る由もないし、知る術もない。とはいえ、怪獣の行動が偶然(・・)で人間たちを救ったのは事実である。だから人間たちは怪獣の行動を"都合よく"解釈して、その結果で「寓話」として後世に伝えたのだった。

 

 

 

『 むかしむかし あるお山に石の怪獣がいました

 

その怪獣は山にすみ 石を食べる大人しい怪獣でした

 

ですがある日、怪獣の住む山を欲深い人間が荒らしはじめました

 

当然、山を荒らされた怪獣は怒って山を荒らす人間を石にしました

 

ですが、欲深い人間は逆に怪獣を退治してやろうと考え、爆弾を使いました

 

しかし、人間が使った爆弾のせいで山が崩れてしまったのです

 

すると、何と人間が殺そうとした怪獣が自分の体を大きな石に変えて山が崩れるのを防ぎました

 

怪獣のおかげで山が崩れることはなく、大勢の人々や動物の命が助かりました

 

怪獣の命と引き換えに

 

そう、怪獣は自分の命を使って人々やお山を救ったのです

 

後に残されたのは動くこともなく、鳴くこともなく、怒ることもなくなった石だけでした

 

人々はこの事を忘れないように 怪獣の石に『石神様』と名前を付けて大事にしました 』

 

 

この実に都合のよい「寓話」を怪獣もとい巨影「岩石怪獣 ガクマ」が聞いたらどう思うだろうか?

 

おそらく、否、確実に「どうでもいい」と思うだろう。

 

何故か?ガクマにとって大事なのは自分の家族と住処を守ることだけ。他のことはどうでもいいからだ。

 

加えて、そもそもが怪獣と人間では言葉が通じないから伝わる事も無いだろう。

 

だからこれは「寓話」なのだ。そう、所詮は「寓話」なのだから・・・

 

 

 

『寓話:教訓的な内容を他の事柄に"かこつけて"表した、例え話』

 

 

 




如何でしたか?

今回は『ウルトラマンティガ』より『神獣』という別名がバッチリあるガクマが登場です。

ちなみに、二頭のガクマ(ガクマα・β)の関係は「兄弟」や「夫婦」とか色々言われてますが謎らしいです・・・今回はあえて夫婦案を採用しましたが。

何気にガクマの持つ『対象物を石化する能力、それも生物・無機物問わずに石化させる』なんて能力がある怪獣、実はガクマだけだった・・・最近「石化魔獣 ガーゴルゴン」という後輩が出来ましたが。

で、今回のお話は実は作者が幼稚園の頃にリアルタイムでティガを、ガクマの回を見たときに思った「ガクマがもともと悪いわけじゃないじゃん」という思いで作りました。
確かにガクマは人を襲っていたけど、それは人間がガクマの住処を荒らす&ガクマが貯蔵しておいた食料の石を根こそぎ奪う&仲間を殺したティガへの復讐、という実はガクマが一番の被害者じゃないか、という思いを抱き続けていたので作りました。多分、コスモスかギンガ、エックス、ガイさんあたりならガクマ助けるな・・・仲間になったら相当に優秀だよガクマ。

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