巨影都市オブ・ジ・エンド   作:銀色の怪獣

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どうも、作者です。

今回は・・・おそらく、マイナー中のマイナーにして、世間一般では

「コイツ、別に出さなくてよかったんじゃね?」

と言われてしまっている可哀想な巨影が出ます。

まぁ、確かに"コイツ"は出演した作品に出なくても別に問題なかったような・・・

その「出さなくてよかったんじゃね?」と言われていた巨影が何なのか、予想しながら見て下さい。

ちなみに、そのマイナーは後から出て来ます。

では、どうぞ~


第四十六話 持ちつ持たれつな『巨影』

何気ない平和で当たり前の日常。もし、その平和で当たり前の日常に異形の存在「巨影」が現れたなら・・・

 

―――フゥシュゥ・・・―――

 

「な、何アレ・・・?」

 

「か、貝・・・なのか?」

 

ここはとある大都市の近くにある自然公園であり、園内には大勢の人々が訪れて思い思いに過ごしていた・・・が、今は園内にいる人のほとんどが一カ所に集まっていた。そんな人々の視線の先には―

 

―――フゥシュゥ・・・―――

 

「貝・・・だな」

 

「貝・・・だわ。ものすごく大きいけど」

 

「あんな貝、図鑑でも見たことが無いぞ・・・」

 

人々が見つめる先には・・・地面を這いずるように動く一匹の「巻き貝」がいた―――その全長は160cmにも達し、体重に至っては500kgを超す凄まじく大きな貝だった。

当然、そんな貝が突如として現れたために園内にいた人々は驚きつつも、野次馬根性で謎の巨大巻き貝を遠巻きに見つめていたのだ。と、ここで―

 

「何か・・・暑くなってきた・・・」

 

「あ、汗が止まらないわ・・・」

 

「き、今日ってこんなに暑かったけっか?」

 

ふと、巨大巻き貝を見に集まったていた人々が急に猛烈な暑さを感じ、更には滝のように汗をかき始めた。

だが、今日は外気温は30℃以下な事に加え、緑豊かな園内はより涼しいハズ・・・にも関わらず、この場にいる人々は老若男女問わずに全員が猛烈な暑さを感じ、滝のように汗を流していた。と、ここで―

 

―――フゥシュゥ・・・―――

 

「あ、あれ・・・?暑く無くなった・・・?」

 

「ほ、本当だわ・・・急に涼しくなったわね」

 

「な、何がどうなってるんだ・・・?」

 

不意に、本当に不意に何の前触れも無く辺りが涼しくなったのだ。

それまでまるで炎天下のアスファルトの上に立っているか、それ以上の暑さがこの場にいる人々を悶絶させていたのに・・・当然、急に辺りが涼しくなった事に人々は首を傾げてばかりいた。

 

―――フゥシュゥ・・・―――

 

わらわらと自分の周りに集まって何か騒いでいた人間を尻目に、巨大巻き貝は森の奥へと消えていった。

その際、巨大巻き貝は体から蒸気を発しており、巨大巻き貝が通った直後の地面や空気は異常に熱くなるが、巨大巻き貝が通り過ぎると途端に辺り一帯が涼しくなる―――どころか、辺り一帯の熱が全て奪われて急激に冷えていた・・・そう、先程の異常な気温の上昇及び急激な気温の低下は、この巨大巻き貝こと巨影「鉄貝獣 ガストロポッド」が原因だったのだ。

 

 

―――フゥシュゥ・・・―――

―――フゥシュゥ・・・―――

―――フゥシュゥ・・・―――

―――フゥシュゥ・・・―――

―――フゥシュゥ・・・―――

―――フゥシュゥ・・・―――

―――フゥシュゥ・・・―――

―――フゥシュゥ・・・―――

 

『続いてのニュースです。現在、日本全国でガストロポッドが大量発生しています』

 

『ガストロポッドは凄まじい高熱を発します。見付けても絶対に近付いたり、触れたりしないで下さい。火傷の危険があります』

 

『現在、政府はガストロポッドの大量発生の原因、及びガストロポッドたちの行動の目的を調査しています』

 

辺り一帯を覆い尽くす巨大巻き貝、もといガストロポッド、ガストロポッド、ガストロポッド、ガストロポッド、ガストロポッド、ガストロポッド、ガストロポッド、ガストロポッド、ガストロポッド、ガストロポッドストロポッド、ガストロポッド、ガストロポッド、ガストロポッド、ガストロポッド、ガストロポッド、ガストロポッド、ガストロポッド、ガストロポッド、ガストロポッド・・・陸にも海辺にも、山にも森にも、地面にも崖にも道路にも、と今や日本全国にはおびただしい数のガストロポッドが出現し、至る所を這い回っていた。

 

当然、ガストロポッドには「異常な気温の上昇及び急激な気温の低下を招く」という特異な性質があり、その特異な性質を持つガストロポッドが異常発生して日本全国に現れれば・・・その迷惑さは、その性質が引き起こすトラブルは凄まじいものがあった。

 

『ガストロポッドは元々は海底火山付近に生息していると判明しました』

 

『ガストロポッドは高熱を発するが、ガストロポッド自体は熱に強くて死なないんだ』

 

『海中では熱が中和されるが、陸上では熱を中和するものがない。放置すれば地底のマグマや地殻を刺激し、巨大地震が起きる可能性がある』

 

『一刻も早く、ガストロポッドを駆除すべきだ!!』

 

『今朝、政府はガストロポッド駆除のために自衛隊に出動命令を下し、自衛隊は液体窒素を使った駆除装置を用いてガストロポッド駆除作戦を開始しました』

 

日本全国で大量発生し、人々に多大な迷惑をかけるガストロポッドを人々は、政府は明確な『害獣』及び『駆除対象』と定め、一匹残らず液体窒素を用いて駆除しはじめた。

 

―――フ、フゥシュゥ・・・―――

 

「いいぞー!迷惑な貝は殺せ殺せーーー!!」

「そうだそうだ!俺たちの生活を脅かす害獣は全滅させちまえ!!」

「あの貝がいなくなれば安心できるわ~!!」

 

政府が開発した鋭気態窒素を用いた駆除装置によって次々に凍死し、駆除されるガストロポッドたち。

そんな哀れなガストロポッドを人々はヤジを飛ばしながらあざ笑い、無抵抗なガストロポッドを一方的に殺戮する自衛隊に声援を送っていた。

 

だが、それも当然の事。ガストロポッドは人々に迷惑をかけ、人々の生活を脅かす存在・・・故に、人々から"疎まれて"も"同情される"事は全くなかったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結果、人々は気付けなかった。

 

ガストロポッドがなぜ上陸してきたのかを。

ガストロポッドが果たす「本当の役割」を。

目先の事実らしきもの(・・・・・)を鵜呑みしたために、ガストロポッドたちが果たす「本当の役割」に気付けなかった事"愚かさ"を、人々は身を以て知ることとなる―

 

 

 

 

 

 

 

 

―――クゥバオオオォォォッ!!―――

 

「う、うわああぁぁっ!?何だありゃーーーっ!!?」

 

「か、怪獣だーーーっ!!!」

 

「か、怪獣が出やがったぞーーーっ!!!」

 

辺り一帯に響き渡る人々の悲鳴と、巨大な生物、否、「巨影」の咆哮。

見れば、日本のとある大都市のど真ん中に、突如として巨大な生物が地下から(・・・・)出現し、大暴れしていた。

 

―――クゥバオオオォォォッ!!―――

 

大都市のど真ん中に地中から出現し、破壊の限りを尽くす巨影の姿を一言で言い表すならば・・・「海象(セイウチ)」という他に無かった。

ただし、その全長は50mにも達し、体重は2万5千トンを誇る、文字通りの「巨影」であった。

 

―――クゥバオオオォォォッ!!―――

 

突如として出現し、大都市を大混乱に陥れたセイウチの巨影であるが、よく見ると胴体にあばら骨が浮き出ている、皮膚にハリや艶が無い、耳を澄ませばセイウチの巨影の腹の虫が鳴っている音まで聞こえていた。

そう、このセイウチの巨影は「餓えている」のだ―――人間たちがセイウチの巨影の食料を奪い取ったがために。

だから、このセイウチの巨影は自分から食料を奪い取った人間たちに復讐しに来たのだ。

 

―――クゥバオオオォォォッ!!―――

 

餓えが限界に達し、怒りに身を任せて自分から食料を奪い取った人間たちに復讐するセイウチの巨影。

そんなセイウチの巨影、もといセイウチの主食は・・・『貝』だ。れも特別な貝だ―――巨大なセイウチの巨影の腹を満たせるのは、同じく貝の(・・)巨影(・・)しかいない。

 

―――フゥシュゥ・・・―――

 

そう、セイウチの巨影が食べる貝の巨影とはあのガストロポッドであった。

しかし、ガストロポッドは人間によって全て駆除されてしまった・・・結果、ガストロポッドを食べるセイウチの巨影は食べる物が無くなって餓え、ついには自分からガストロポッドを奪った人間に復讐に現れたのだ。

 

「嫌だ・・・嫌だ!死にたくない―――」

 

「助けて・・・誰か!助けて―――」

 

「来るな・・・!こっちに来るな―――」

 

―――クゥバオオオォォォッ!!―――

 

死に物狂いで逃げ惑う人間たち―――にあっという間に追いつき、その巨体で次々に轢死させるセイウチの巨影。

その目は怒りに、餓えに狂っていた・・・全ては人間たちがこのセイウチの巨影、その実は「爬虫類」である「南極怪獣 マグマ」からガストロポッド(しょくりょう)を奪ってしまった「因果応報」ではあるが。

 

―――クゥバオオオォォォッ!!クゥ・・・バオォ・・・―――

 

不意に、マグマが弱々しく鳴き、そのまま頭から地面に突っ伏して動かなくなった―――もう、マグマは一歩も動けない(・・・・)のだ。空腹が限界に達したから・・・人間に食料を奪われたせいで。

 

―――フ、フゥシュゥ・・・―――

 

―――クゥ・・・バオォ・・・―――

 

人間によって駆逐されたガストロポッドと、そのガストロポッドを主食にしているがために、飢え死にしてしまったマグマという二つの巨影。その最期は実に悲惨であった―――

 

 

 

 

 

 

 

本来、ガストロポッドとマグマは「被食者・捕食者」の関係にあるが、同時に「共生関係」にもある。

 

―――クゥバオオオォォォッ!!―――

 

この「南極怪獣 マグマ」という怪獣は、その巨体と有り余るパワーによって地震を引き起こす事すらある怪獣である。

 

―――フゥシュゥ・・・―――

 

一方で、この「鉄貝獣 ガストロポッド」という貝獣は高熱を発するため、放置すれば地底のマグマや地殻を刺激し、巨大地震が起きる可能性がある―――というのは、人間たちがしていた"誤解"であった。

実のところ、ガストロポッドは地震などを引き起こす「熱エネルギー」を食べ、地震などの自然災害を防ぐのだ。

その際、熱エネルギーを体内に取り込むためにガストロポッドは体温が高くなってしまうだけなのだ・・・そう、人間たちはガストロポッドの事を大いに誤解していたのだ。

 

―――クゥバオオオォォォッ!!―――

 

―――フゥシュゥ・・・―――

 

そして、奇妙というか"よく出来ている"というべきか、マグマとガストロポッドの間には切っても切れない縁がある。

 

―――クゥバオオオォォォッ!!―――

 

まず、マグマはその巨体と余りあるパワーで地震を起こす。

 

―――フゥシュゥ・・・―――

 

だが、そこに地震を防ぐガストロポッドが大挙して押し寄せる。すると、

 

―――クゥバオオオォォォッ!!―――

 

―――フ、フゥシュゥ・・・―――

 

何と、マグマは自分が引き起こした地震を防ごうと集まったガストロポッドを食べてしまうのだ―――が、ガストロポッドは「貝」故に個体数も産卵数も多く、流石のマグマでもガストロポッドを全て食べ尽くす事は出来ない。

それどころかガストロポッドからすればマグマが頻繁に起こしてくれる地震により、安定して熱エネルギーを食べガストロポッドは繁殖することが出来る。

そして、その繁殖したガストロポッドをマグマが食べ、体力と力をつけて地震を引き起こし、その地震の熱エネルギーによってまたガストロポッドが繁殖して、といった具合でマグマとガストロポッドは持ちつ持たれず、互いにある種の共生関係を築いているのだ―――

 

『ガストロポッドは元々は海底火山付近に生息していると判明しました』

 

『ガストロポッドは高熱を発するが、ガストロポッド自体は熱に強くて死なないんだ』

 

『海中では熱が中和されるが、陸上では熱を中和するものがない。放置すれば地底のマグマや地殻を刺激し、巨大地震が起きる可能性がある』

 

『一刻も早く、ガストロポッドを駆除すべきだ!!』

 

『今朝、政府はガストロポッド駆除のために自衛隊に出動命令を下し、自衛隊は液体窒素を使った駆除装置を用いてガストロポッド駆除作戦を開始しました』

 

「いいぞー!迷惑な貝は殺せ殺せーーー!!」

「そうだそうだ!俺たちの生活を脅かす害獣は全滅させちまえ!!」

「あの貝がいなくなれば安心できるわ~!!」

 

だが、その見事な共生関係を、持ちつ持たれずな関係を、目先の事実らしきもの(・・・・・)を鵜呑みした愚か者(にんげん)どもが崩してしまった。

 

結果、ガストロポッドもマグマも共倒れしてしまったのだった・・・唯一の救い(?)は、ガストロポッドとマグマを共倒れさせた愚か者(にんげん)どもがマグマによって大勢"粛正"され、数々の自然災害を防いできたガストロポッドがいなくなっために、近い将来に恐ろしい災害が起こることは確実だ―

 

―――ドォオオオオオオォォォォォォン!!―――

 




如何でしたか?

今回は「コイツ、マジでいらねーだろ」と言われる怪獣の代表格・マグマに登場してもらいました・・・ぶっちゃけ、マグマの使いにくさったらもう。

最初は「どうにかしてマグマを暴れさせたい」
→「いや、でも・・・マグマってどうやって暴れさせるよ?」
→「マグマ・・・セイウチで何か出来ないかな?」
→セイウチを調べたら、セイウチの主食は貝&マグマは地震を発生させる
→「『貝』で『地震を防ぐ』のがいた=ガストロポッドだ!!」

という発想で今回のお話は作られています・・・うん、やっぱマグマは

「コイツ、マジでいらねーだろ」

ですな・・・?

余談ですが、マグマは元々は『恐"龍"』だったらしく、マグマの出演した『妖星ゴラスの準備稿では単に「恐龍」と記されていて、爬虫類という設定はその名残だとか。
※マグマは見た目はセイウチですが、設定上は爬虫類です。

まぁ、地味だからこそ、使いにくいからこそ、活躍させて出番を与えるためのアイデアを考えるのは楽しかったですが。

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