巨影都市オブ・ジ・エンド   作:銀色の怪獣

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どうも、作者です。

約二週間ぶりの投稿ですね・・・お待たせしてしまいました。

さてさて今回は・・・タイトルからも分かるとおり、実はあの名作映画

『アイアン・ジャイアント(1999年・アメリカ)』

を元ネタにしています―――

あくまでこのお話は《アイアン・ジャイアント・ドラゴン》です。

そう『ドラゴン』です。

つまり『アイアン=鋼鉄』+『ジャイアント=巨大』+『ドラゴン=竜・爬虫類』=『鋼鉄の巨竜』ってことです。

果たして何が出てくるのか・・・?

では、どうぞ


ついでに『アイアン・ジャイアント』みたいに感動系かというと・・・違いますが


第五十話 『巨影』・《アイアン・ジャイアント・ドラゴン》

「約束して、僕たちのことずっと忘れないって」

 

「これは、僕たちと君の友情の物語」

 

「決めるのは自分だ。なりたい自分になればいい」

 

「大好きだよ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ボクガ・・・(ヤル)ンダ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――ドォオオオォォォン!!―――

 

「ぎゃああぁぁぁっ!?何だアレ―――」

 

「助けて・・・!誰か、助けて―――」

 

「逃げろ!早く逃げるんだ―――」

 

―――ドォオオオオオオォォォォォォン!!!―――

 

 

燃え盛る大都市

 

山肌がゴッソリと削り取られ、吹き飛ばされた山々

 

逃げ惑う大勢の人々や動物たち

 

人も、動物も、花も木も、全ての「命」が死に絶えた惨い光景が広がっていた。

 

そして―

 

―――キィオォオォン・・・!!―――

 

自らが破壊し、大都市に発生させた燃え盛る紅蓮の炎の赤を、その純白のボディに映えさせる巨大な鋼鉄の竜が大都市のど真ん中に浮かんでいた(・・・・・・)

 

「「「何で・・・どうして・・・?どうしてこんな事するの・・・ギャラクシードラゴン・・・君は正義の味方じゃなかったの・・・?」」」

 

逃げ惑う人々の中にいた少年たちが大都市を破壊し続ける鋼鉄の竜を見上げながら、呻くように言葉を漏らしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おーい!来たよギャラクシードラゴン!!」

「遊び来たぜー!ギャラクシードラゴン!!」

「今日も色々と教えてやるよギャラクジードラゴン!!」

 

とある、緑豊かで広大な山林が近くに広がる地方都市があった。

 

そんな緑豊かで凄まじく深い山々の奥地に、何故かポッカリと空いた広場のようになっている場所に先の地方都市に住んでいる子供たちが集まっていた。何故なら―

 

『ミンナ・・・オハヨウ・・・今日モ、元気・・・』

 

「おーっ!挨拶がちゃんと出来るようになってるじゃん!!やっぱり賢いな」

 

「本当だ~!やっぱり頭いいねぇギャラクシードラゴンは!!」

 

「だね。これならきっと正義のヒーローになる日も遠くはないね」

 

山奥に子供たちが集まっている理由、それは・・・生い茂る山の木々を隠れ蓑にして山奥に"隠している"純白の鋼鉄製のボディを持つ人型の(・・・)巨竜に会いに来たからだった。

 

 

 

 

「オイ、何だよコレ・・・ロボット・・・か?」

 

「どうしてこんな所にロボットがあるんだろう・・・?」

 

「分からない・・・でも、きっと宇宙から来たんだよ。だって、何日か前に隕石が山に落ちたってニュースが流れてたし・・・きっと、その隕石の中にいたんだよこのロボットが(・・・・・・・)

 

 

時は少し遡り、ある流星群がよく観測できた日の翌日の事だった。

 

その日、地方都市に住む子供たちは山に探検に来ていた―――先日の夜に観察できた流星群の内の一つが地方都市の裏手の山に落下し、ニュースなどで騒がれていたからだ。

だから子供たちは山に落下した流星群もとい隕石を探し出してみんなに自慢してやろうと考えて探検に来て、そして見付けた・・・隕石どころでは無い、もっとスゴい物を。

 

 

「これ見て。これは"石"って言うんだよ。『い・し』ホラ、言ってみて?」

 

『イ・・・(イジ)

 

「そうだ!よく言えたね、やっぱり賢いな君は」

 

「スゲぇ・・・喋ったし、マネしてるぞ」

 

「うん、ただのロボットじゃないよね、やっぱり・・・」

 

そう言って、目の前にあぐらをかいて座っている・・・純白の鋼鉄製のボディを持つ人型の巨竜に対し、落下した隕石を探して山に入った子供たちが色々と教えていた。

 

そう、驚くべき事に・・・子供たちが見付けたのは隕石、どころかもっとスゴい物―――それこそ、今まさに子供たちとコミュニケーションを取っているあの純白の鋼鉄製のボディを持つ人型の巨竜もといロボットであり、このロボットこそが地上に落下した流星群の正体だったのだ。

 

(イジ) (イジ)

 

「いや違う。そっちは"木"って言うんだよ。『い・し』に『き』だよ。分かった?」

 

(イジ) (キー)

 

「そうだ!よく言えたね、エラいエラい!!」

 

「まるで子供だな・・・俺たちが言うこと教えること、何でも覚えるぞ」

 

「うん、でも元々はもっと賢いロボットだったんだろうね。きっとあの頭のヘコみのせいじゃないかな?きっと落ちた時に頭を強く打ったんだよ」

 

相変わらずロボットに色々教える子供たちと、子供たちから教えられた事をあっという間にマスターしていくロボット。

その学習能力の高さに子供たちは驚きつつも、ロボットがまるで子供のように無垢で何も知らない原因を探り当てていた―――その原因こそ、子供たちの言う通り、まるで竜のような形をしたロボットの頭部にある大きなヘコみだった。

そう、このロボットは落下の際に頭部を強く強打して知識も記憶も、あるいは自分が何者かも全てを忘れているのだ・・・それほど強い衝撃を受けてなお、頭が少しヘコんで記憶喪失になった位で済んでいるのだこのロボットは―――果たしてこのロボットは何者なのだろうか?

 

「ところで・・・このロボットどうする?」

 

「どうする、ってどういう事だよ?」

 

「いや・・・どうせなら、テレビとかに言うべきじゃないかな?だって、スゴい発見だし―――」

 

「そ、それはダメだよ!きっと大騒ぎになるって!!」

 

「そうだぜ!特に、大人たちは『悪者だ』とか『危険だ』って決めつけて、処分するとか言い出すぞきっと!!」

 

「うん、間違いなくそうだよ。だから絶対に誰にも言うべきじゃない。このロボットは僕らだけの秘密にしよう」

 

「・・・そうだよな。分かった。じゃあ、俺たち三人だけの秘密な」

 

「「うん!!」」

 

が、子供たちにとってロボットの正体はどうでもよかった。むしろ、子供たちはロボットのことを気遣い、誰にも言うまいと誓い合っていた。

 

「安心してね、ロボット。君は僕たちが守るか―――」

 

「なぁ、その『ロボット』って止めないか?だってそのまんまだし、それに・・・こんなにカッコいいのに、いつまでも『ロボット』ってさぁ・・・どうせなら名前付けようぜ名前!!」

 

「えっ?あぁ、それもそうだね。よし、じゃあ・・・『メタルドラゴン』はどうかな?」

 

「え~っ、何だよそのダサいの。って言うかまんまじゃん。どうせなら・・・『スペースドラゴン』とかどうだ?宇宙から来たドラゴンだし」

 

「えぇ~それも何かカッコ悪いじゃん。」

 

「何だよ、そんなに言うならお前もアイデア出せよ」

 

「そうだよ。僕たちよりカッコいいの出してみせてよ」

 

「えっ・・・う~ん・・・じゃあ、機械の龍で『きりゅう―――」

 

「「パクりじゃん!!」」

 

ロボットのことは誰にも言うまいと誓い合った子供たちは今度はロボットの名前をアレやコレやと考えに考えた後、

 

「よし、じゃあ君の名前は今日から『ギャラクシードラゴン』だよ」

 

『ギャラクシー・・・ドラゴン?』

 

「そう。『宇宙・銀河』って意味の『ギャラクシー』に『ドラゴン』でギャラクシードラゴン」

 

「みんなで話し合って決めたんだぜ。気に入ったか?」

 

「そうそう、色々と悩んだよねぇ・・・どうかな、気に入ってくれた?」

 

『僕・・・ギャラクシードラゴン・・・ギャラクシードラゴン・・・ダヨ。ミンナ、ヨロシクネ』

 

「おぉ、気に入ったみたいだぞ」

 

「だね、やったぁ!!」

 

「よし、名前も決まったし、次は・・・色々と勉強させないと。ギャラクシードラゴンが英雄(ヒーロー)になれるようにね!!」

 

 

色々と話し合い、子供たちはロボットに『ギャラクシードラゴン』という名を与えた。

 

一方で、名を与えられたロボット―――ギャラクシードラゴンはしばし何かを考えるような動作を見せた後、自分の名前を復唱しつつ、立派な名を与えてくれた子供たちに向かって"微笑んだ"―――その赤いライトが光る目の光を調節してまるで目を細めて笑っているかのような動作を、その固く閉じられた口をわずかに開けてニッと笑っているかのような動作を、ギャラクシードラゴンなりに"微笑み"を浮かべたのだった。

 

 

 

 

それからというもの、

 

『?コレハ・・・ナニ?』

 

「あぁ、コレ。コレは・・・危険なヤツだ。宇宙から来た侵略兵器のロボット・・・ヒーローじゃ無くて悪者だ」

 

「君とは違う。君はいいヤツだ。この"ウルトラマン"みたいに」

 

『ウルトラマン?』

 

「そう、君はウルトラマンだ。いいヤツだ、正義のヒーローだ。みんなに愛されている。誰でも知ってるヒーローだ。だから、君もウルトラマンみたいな正義のヒーローになるんだよ」

 

『僕ガ・・・ヒーロー・・・』

 

宇宙から降ってきたロボットもといギャラクシードラゴンと子供たちが出会ったあの日以来、子供たちは毎日欠かさずギャラクシードラゴンの元を訪れ、ギャラクシードラゴンに様々な事を教えたり色々な本を読み聞かせたり見せていた。

 

子供たちが思い描く「正義のヒーロー」に、ギャラクシードラゴンになって欲しくて。

 

一方のギャラクシードラゴンも、毎日かかさず来てくれる子供たちを心待ちにすると同時に、子供たちの「絶対に誰にも見つかるなよ」という言い付けを守り、森の木々を隠れ蓑にして過ごしていた。

 

 

 

そんなある日の事だった。

 

 

 

『ウッ・・・ウゥッ・・・オォ・・・ッ・・・!!』

 

「ど、どうしたんだいギャラクシードラゴン?」

 

「泣いてる・・・の?」

 

「何があったんだろう・・・?」

 

ある日、いつものように学校が終わった後にギャラクシードラゴンの元へやって来た子供たち―――を尻目に、ギャラクシードラゴンがまるで嗚咽を漏らすように呻き、涙こそ流せないが"泣いていた"のだ。

何故なら、

 

コノ子(・・・)、倒レテタ・・・呼ンデモ起キナイ・・・体ツメタイ。ドウシテ・・・?』

 

そう言って、ギャラクシードラゴンは子供たちに手の中に包んでいた―――一頭のシカを、いつもギャラクシードラゴンの元へやって来るても人懐っこいシカだったもの(・・・・・)を子供たちに見せた。

 

そんなシカは目を固く閉じ、四肢を完全に硬直させ、体は冷たく冷え切り・・・胸にある真新しい"銃跡"から血を流していた。

 

「これ・・・ハンターが撃ったんだよね・・・?」

 

「あぁ・・・きっとそうだ。間違いない。猟銃で撃たれたんだ」

 

「コイツ、人懐っこいから簡単に撃ち殺されたんだよきっと・・・」

 

『ハンター・・・?ジュウ・・・?ウチコロサレタ・・・?』

 

ギャラクシードラゴンが見せたシカを一目見た子供たちはシカの死んでいる原因が、どこかのハンターに撃ち殺されたのだと悟った。すると、

 

『ネェ・・・起キテ・・・起キテ・・・シカサン、起キテ・・・』

 

そう言ってギャラクシードラゴンは必死に、健気にシカの体を指でつついてを揺り起こそうとしていた―――だが、当然のようにシカが起き上がるわけも生き返るわけも無かった。

 

「止めろ!もう・・・死んでるんだよ」

 

『ナゼ・・・?』

 

「死んでるんだよ・・・銃で撃たれたんだよ」

 

『ジュウ・・・?』

 

「そう、銃で撃たれたんだよ。銃って言うのは・・・動物や人を撃って殺す"武器"だよ」

 

『・・・ジュウ・・・ブキ・・・動物、人間・・・コロス・・・』

 

死んだシカを揺り起こそうとするギャラクシードラゴンを慌てて止める子供たちと、その子供たちからシカが死んだ原因を、そして「銃」が何なのかを聞かされたギャラクシードラゴンは―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『銃・・・殺ス・・・武器・・・殺ス・・・友達・・・死ンダ・・・』

 

 

あの後からずっとうなだれ続け、ガックリと肩を落としたままのギャラクシードラゴンがそこにいた。すると、

 

「シカが可哀想なのは分かるけど・・・君のせいじゃないんだよ」

 

「そう、君は何も悪くない。悪いのはハンター・・・じゃなくて、銃だよ」

 

「そうだよ。それに殺すのは悪いけど、死ぬのは悪くないんだよ」

 

「うん。生き物は死ぬ。自然の法則さ」

 

そう言って、顔や手、あるいは服を土まみれにした子供たちが手に手にスコップを持ってギャラクシードラゴンの元へ戻ってきた。

 

そんな子供たちが来た方角には・・・土が盛り上がり、花などが供えられたシカの"お墓"が作られていた。

 

と、ここで―

 

『シカ、死ンダ・・・』

 

「そう・・・あのシカは死んだんだ。でも、もう気にするなよ―――」

 

子供たちが戻ってきた事に気付いたギャラクシードラゴンは先程の出来事を蒸し返した。

 

当然、子供たちは即座にフォローを入れようとしたが―

 

『鳥モ・・・花モ・・・虫モ・・・君タチモ・・・ミンナ・・・死ヌ?』

 

「「「えっ・・・?」」」

 

ギャラクシードラゴンは・・・小鳥や野ウサギ、花や蝶々、あるいは子供たちを次々に指さしながら聞いた。

 

「みんな死ぬのか?」

 

と。

 

『生キ物ハ死ヌ・・・自然ノ法則・・・ジャア、君タチモ・・・死ヌ?』

 

「あぁ・・・それは・・・」

 

「・・・いつかね」

 

「だよな・・・」

 

『・・・・・・・・・』

 

ギャラクシードラゴンの質問に対し、子供たちは気まずそうに顔を見合わせてから正直に答えた。すると、

 

『ボク・・・死ヌ?』

 

「「「えっ・・・?」」」

 

子供たちの答えを聞いたギャラクシードラゴンは再び子供たちに尋ねた―――今度は自らを指さしながら。

 

「自分も死ぬのか?」

 

と。

 

 

「さぁ・・・ギャラクシードラゴンは金属、って言うかロボットだし、なぁ?」

 

「うん・・・死ぬっていうか壊れる、かな?」

 

「うん・・・でも、ギャラクシードラゴンには感情があるし、物事を考えられるから生きてるって事だよ。なぁ?」

 

「そ、そうそう!つまりギャラクシードラゴンには魂があるってことだよ」

 

『タマシイ?』

 

「そう、魂だ。いいものの中にはみんな魂が宿ってて、魂は永遠に生き続けるんだって言われてるよ」

 

「そうそう、魂は永遠に生き続けるんだって・・・魂は死なないって」

 

『タマシイ・・・タマシイハ・・・シナナイ・・・』

 

 

ギャラクシードラゴンの質問に子供たちは・・・自分たちが答えられる範囲で最善の答えと"教え"を語った―――その時だった。

 

―――ピーッ!ピィッ!!―――

 

『ナニ・・・!?』

 

「な、何だこの鳴き声!?」

 

「あっ!?あ!あそこ!!鳥の巣にヘビがっ!!」

 

子供たちやギャラクジードラゴンに聞こえたけたたましい鳴き声。

その発生源は・・・近くの木の上にある小鳥の巣、を襲うヘビと、そのヘビを小さな体で追い払おうとしている親鳥の「悲鳴」だった。

 

『ア・・・アァ・・・!』

 

「こりゃマズい・・・!!」

 

「あのままじゃヒナが食べられちゃうよ!!」

 

「よし、助けるぞ!!」

 

目の前で繰り広げられる小鳥とヘビの攻防を見た子供たちは手に手に木の枝などを握り、小鳥の巣がある木に登ってヘビを追い払おうと躍起になっていた。

 

『ミンナ・・・鳥サン、助ケテアゲテ・・・!ガンバッ―――』

 

一方で、自らの体の大きさ故に手出しが出来ないギャラクシードラゴンは子供たちに声援を送りながら見守っていたが、不意に「ある光景」に目を奪われた。それは―

 

『トカゲ・・・食ベテル・・・バッタ・・・!!』

 

不意に足下を見たギャラクシードラゴンは近くの草むさむらで、トカゲがバッタに噛み付き、バッタを幾度も地面に叩き付けて弱らせ、更には呑み込むのに邪魔な後ろ脚や羽を食い千切っているのに気付いた。

 

 

「よし!やった!ヘビは追い払ったぞ!!」

 

「ヒナも全部無事みたいだ。よかった」

 

「うんうん、よかったなお前ら。親鳥ももう安心していいぞ」

 

子供たちの活躍でヘビは追い払われ、幸いにもヒナ鳥は一羽もヘビには食べられていなかった。

そのことに安堵した子供たちは心配そうに見守っていた親鳥に声をかけつつ、木から下りて来た―――その直後、

 

『ミンナ!大変!!早ク、早ク助ケテアゲテ!!コノママジャ殺サレチャウ!!』

 

「ど、どうしたのギャラクシードラゴン?」

 

「こ、殺されるって何が?」

 

『アレ!アレ!トカゲ襲ッテル!バッタヲ!早ク助ケテアゲテ!!』

 

木から下りた子供たちに大慌てで詰め寄り、足下でバッタを襲っているトカゲと、口などから体液を流しながら弱っているバッタを指さしながら「早くバッタを助けてあげて!!」と必死に訴えるギャラクジードラゴン。

 

 

だが、

 

「あぁ、何だ・・・トカゲがバッタ食ってるだけか」

 

「だね・・・『殺サレル』って言うから何かと思ったよ」

 

「だな。驚かせるなよギャラクジードラゴン」

 

『・・・エ?』

 

ギャラクシードラゴンの必死の訴えに対し、子供たちは・・・それがさも当然であるかのように、先程の小鳥とヘビとは全く違う反応を示した。

 

『何デ・・・バッタ助ケナイノ?』

 

「何で、って・・・トカゲは()を食ってるだけだし。なぁ?」

 

「うん。むしろ、食べるの邪魔しちゃ可哀想だよ。せっかく捕まえたの」

 

「そうだよ。食べ物横取りされるのが動物は一番嫌がるんだぞギャラクジードラゴン」

 

『・・・・・・・・・』

 

その反応が、先程の小鳥のヘビの時に見せた反応とは真逆の反応をした子供たち前にしたギャラクジードラゴンはただひたすら呆然としていた。

 

そうこうしている内にもトカゲはバッタを完全に呑み込み、何処かへと去って行った。

 

『・・・何デ・・・』

 

「えっ?」

 

「なに?」

 

「どうした、ギャラクジードラゴン―――」

 

『小鳥・・・助ケタ・・・シカ、可哀想ッテ言ッタ・・・デモ、バッタ助ケナカッタ。バッタ、可哀想ッテ言ワナカッタ・・・ドウシテ?ミンナ、同ジ"命"ナノニ・・・』

 

「えっ・・・?」

 

「うっ・・・!」

 

「あっ・・・!?」

 

それまで呆然としていたギャラクジードラゴンは言った。

 

「なぜ小鳥は助けたのにバッタは助けなかったのか?」と

 

「なぜ猟銃で撃ち殺されたシカは可哀想と言うのに、トカゲに食べられたバッタは可哀想とは言わないのか?」と

 

「なぜ、小鳥もシカもバッタも同じ動物なのに、同じ"命"なのに・・・バッタだけは小鳥やシカとは扱いが違うのか?」と

 

対して、子供たちは・・・全く、何一つ答えられなかった。

 

『ネエ、ドウシテ・・・?バッタモ、シカヤ小鳥ト同ジ"命"ナノニ、ナンデ可哀想ッテ言ワナイノ?ナンデ助ケテアゲナイノ?ネエ・・・ナンデ?僕ニハ・・・分カラナイ・・・』

 

「えっと・・・それは・・・その・・・」

 

「う~んと・・・あの・・・何て言えばいいんだ・・・」

 

尚も尋ねてくるギャラクジードラゴンに対し、完全に言葉に詰まる子供たち。

 

何故なら、ギャラクジードラゴンの疑問があまりにも「正論」だからだ―――その「正論」に対する答えを、子供には(・・・・)答えられなくて(・・・・・)当然(・・)だ―

 

「あのねギャラクジードラゴン、トカゲがバッタを食べるのは・・・自然の摂理なんだ。生き物が死ぬのと同じでね・・・生き物は生きるために他の生き物を食べる・・・犠牲にするんだよ。それを『食物連鎖』って言うんだ」

 

『食物・・・連鎖・・・?』

 

「そう、食物連鎖だ。そして、その食物連鎖は地球ではごく当たり前の"常識"であって、自然の摂理なんだよ。分かるかい?」

 

「おぉ・・・とっても分かりやすい」

 

「スゲぇなお前。もの凄く納得がいく説明だぞ」

 

だが、その疑問を一人の子供がこれまた「正論」で、この地球という"星"において、この"世界"において当たり前(・・・・)の事として説明してみせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、

 

『ジャア・・・ナンデ、ヘビガ小鳥ヲ食ベルノヲ邪魔シタノ?小鳥ガヘビニ食ベラレルノ、食物連鎖・・・デモ君タチ、ソノ食物連鎖ノ邪魔シタ・・・ナンデ?トカゲトバッタノ(・・・・・・・)食物連鎖(・・・・)ジャマ(・・・)シナカッタ(・・・・・)ノニ・・・ドウシテ・・・?』

 

「「「うっ・・・それは・・・その・・・」」」

 

再びギャラクジードラゴンが口にした疑問に、今度こそ子供たちは答えられなかった・・・今度こそ、答えられなくて当然だった。

 

「・・・あぁ~~~!俺、ちょっと用事思い出した!!帰るね!!」

 

「そ、そうだ!僕もママに買い物頼まれてたんだ!!バイバイギャラクジードラゴン!また明日!!」

 

「ちょ!?ズルいよ二人とも!!僕も・・・何か用事があったから帰る!!また明日来るからね、ギャラクジードラゴン!!」

 

今度こそ答えられない、答えられなくて当然の疑問をぶつけてきたギャラクジードラゴンへの返答に困った子供たちは・・・適当な理由を付け、逃げるようにしてその場から去って行ったのだった。

 

『・・・ドウシテ・・・ナノ・・・』

 

後に残されたギャラクジードラゴンは・・・ただひたすらに逃げるようにして去って行く子供たちの背中を、自分の疑問に答えてくれなかった子供たちの背中を寂しそうにいつまでも見つめていたのだった。

 

結局は解決することない"大きな疑問"にモヤモヤとしながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜、

 

『生態系・・・食物連鎖・・・必要ナ犠牲・・・他ノ生キ物ヲ食ベルノガ地球ノ常識・・・ボク、分カラナイ・・・』

 

子供たちが逃げるように去って行った後、ギャラクシードラゴンはたった一人で色々と考えていた。

 

だが、一度ギャラクジードラゴンの頭に、胸に芽生えた謎のモヤモヤはどれだけ考えても解決することも納得することも出来なかった。

 

と、ここで―

 

 

「嫌っ・・・!放してっ!!お願い、止めて下さいっ!!」

 

「へへっ!なに言ってんだよお嬢ちゃん!!こんな時間に一人であんな所をウロついてるなんて・・・"そういう事"して欲しいんだろ?」

 

「ち、違います!私は、塾の帰りで―――」

 

「ヒュウーっ!塾帰りに男を誘ってたの~~~?いいね~俺たち、そういう娘は好きだよ~~~!!」

 

「オイオイ、最近の娘は進んでるな~~~!!」

 

「アレじゃね?勉強ばっかで溜まってる(・・・・・)んだぜきっと!!」

 

「「「なるほどな!ぎゃはははっ!!」」」

 

 

『!?誰カ来タ・・・隠レナイト・・・』

 

不意に、ギャラクジードラゴンが隠れている山の中に複数の男女の声がした。

 

だが、その声はいつもギャラクシードラゴンの所に遊びに来ている子供たちの声とは違ったため、ギャラクシードラゴンは慌てて隠れた。

 

「ってことで・・・俺たちと"イイコト"しようぜお嬢ちゃん?」

 

「そーそー!俺たち、結構"上手い"んだぜ?」

 

「へへっ!俺たちが"溜まってる"のを解消してやるって!!」

 

「だから・・・俺たちにヤラセろよっ!!」

 

「い、いやぁああっ!?誰か助けてーーーっ!!!」

 

見知らぬ声に驚いたギャラクシードラゴンが森の奥に隠れた頃、件の声の主たち―――四人のいかにも不良で、いかにもガラの悪そうな男たちと、その男たちと一緒にいるには不釣り合いすぎる、眼鏡をかけた大人しそうなセーラー服を着た少女がそこにいた―――塾から帰るのが遅くなり、すっかり暗くなった田舎道を通っていた少女を、四人組の男が山の中に連れ込んだ(・・・・・)のだ・・・"そういう事"をするために。

 

「じゃあ、一番は俺な」

 

「はぁ?お前ズルいぞ!!」

 

「そうだぜ!この間も(・・・・・)お前が一番乗りだっただろ!!」

 

「そうだそうだ!不公平だぞ!!」

 

「っるせーな!車出してるのは俺なんだぜ?だから俺が一番なのは当然・・・だっ!!」

 

「!?ぎっ―――いやぁああぁぁっ!?痛い痛い痛い痛い痛いっ!!?」

 

泣き叫ぶ少女を四人の男が地面に押さえつけ、服を破いて好き放題に嬲る・・・何とも悲惨で凄惨な光景だが、こんな山奥には少女を助ける者も、男たちを制裁する者もいなかった。

だから男たちはわざわざこんな山奥へ少女を無理矢理(・・・・)連れて来たのだ―――「ただこの少女が目に付いたから」と「"そういう事"がしたかったから」という最低で最悪な理由で。

 

「かっ・・・ヒューっ・・・ひゅーっ・・・」

 

「んん~っ?お~い、どうしたの~~~?」

 

「あっはっはっはっ!アレじゃね?"初めて"があんまり激しかったからじゃね?」

 

「かもな。だって俺たち四人から次々に、休む間もなくだもんな」

 

「だな~そのせいでガバガバのユルユルだもんなぁ」

 

あれから何時間も、休む間もなく代わる代わる四人の男たちに嬲られた少女は完全に気をやっていた―――ばかりか、男たちに嬲られた肉体的なショックと精神的なショック、そして男たちのあまりに乱暴な行為によって・・・少女はそのまま息を引き取ってしまった。

 

(アレモ食物連鎖・・・?アレモ必要ナ犠牲・・・?)

 

そんな凄惨で、惨い光景をギャラクシードラゴンは見ていた・・・不意に芽生えた"どす黒い何か"を胸に。

 

「あーあ、どうするよコレ・・・ケーサツに捕まるの嫌だぜ?」

 

「ケッ、ったく弱っちぃなぁ。別に殺す気は無かったのによぉ・・・」

 

「って言うか、勝手に死んだだけだろ?俺たち悪くなくね?」

 

「そうは言うけど、バレたら俺たちが犯人扱いだぜ?・・・しゃーねーな、テキトーにその辺に埋めるか」

 

「だな。こんな山奥だ。そう簡単に見つからねぇって」

 

暴漢に襲われて汚された挙句、殺されて山中に遺棄される少女―――を、悪びれる様子も無く山中の冷たい土の中に埋め始める男たち。

 

(アレガ・・・アレガ・・・!必要ナ犠牲・・・!?)

 

(アレガ・・・食物連鎖・・・違ウ!アレガ・・・必要ナ犠牲・・・違ウ!アレハ、アレハ・・・!!)

 

そんな男たちを、恐怖の表情を浮かべたまま息絶えた少女だったもの(・・・・)を改めて見た時、ギャラクシードラゴンは―――覚醒した(・・・・)

 

「奇機械改竜」から「公平なる(シビル)|審判を下す者(ジャッジメンター)」へと。

 

その瞬間、ギャラクシードラゴンのヘコんでいた頭部が元に戻り、ギャラクシードラゴンは元に戻った(・・・・・)

 

「んっ?何だ―――」

 

「どうした―――」

 

うっかり手にかけてしまった少女を遺棄しようとしていた男たちが、不意に後から聞こえた音につられて振り向けば―

 

「「「「・・・は?何だ、コレ―――」

 

振り向いた男たちの目に映った物、それは―――巨大な銃口もとい砲門だった。

 

そう、今の今まで隠れていたギャラクシードラゴンが男たちの元へ歩み寄り、右手にある砲塔の砲門を男たちに向けていた―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――ドォオオオォォォン!!―――

 

「ぎゃああぁぁぁっ!?何だアレ―――」

 

「助けて・・・!誰か、助けて―――」

 

「逃げろ!早く逃げるんだ―――」

 

―――ドォオオオオオオォォォォォォン!!!―――

 

 

 

燃え盛る大都市

 

山肌がゴッソリと削り取られ、吹き飛ばされた山々

 

逃げ惑う大勢の人々や動物たち

 

人も、動物も、花も木も、全ての「命」が死に絶えた惨い光景が広がっていた。

 

そして―

 

―――キィオォオォン・・・!!―――

 

自らが破壊し、大都市に発生させた燃え盛る紅蓮の炎の赤を、その純白のボディに映えさせる巨大な鋼鉄の竜が大都市のど真ん中に浮かんでいた(・・・・・・)

 

「「「何で・・・どうして・・・?どうしてこんな事するの・・・ギャラクシードラゴン・・・君は正義の味方じゃなかったの・・・?」」」

 

逃げ惑う人々の中にいた少年たちが、あのギャラクシードラゴンと友達だった少年たちが、山も大都市も、何もかもを破壊し、殺し続けるギャラクシードラゴン―――否、

 

『人間の文明から争いが無くならないのはこの星の残虐な生態系を模倣しているからだ』

 

『宇宙にはあり余るエネルギーがあるから、別の生物からエネルギーを奪わなくても済むのに、自分の命を永らえさせるために他の命を奪う食物連鎖という間違った進化を選んだ』

 

『だから・・・全ての争いを止める。即ち、この世界をリセットする。それが我が使命、我が正義、それが・・・我、ギャラクトロンの使命なりっ!!!』

 

そう言って、後頭部から辮髪のように伸びる巨大アーム『ギャラクトロンシャフト』を天に伸ばし、そのまま上空に浮かび上がった後、エネルギーを充填して胸部から発射する破壊光線『ギャラクトロンスパーク』で全てを"リセット"するのは、「奇機械改竜」から「シビルジャッジメンター」へと"覚醒"した巨影「ギャラクトロン」だった。

 

『確かに君たちは死ぬ・・・だが、安心してくれ。生き物の中にはみんな魂が宿っている。魂は永遠に生き続けるのだ。そして、死ねばなにも奪わなくていい・・・だから、死ねば誰かから奪わずとも永遠に生き続けられるのだ。何と素晴らしいのだろうか・・・』

 

人も動物も植物も、あらゆる「命」を"リセット"するギャラクトロンはそう言った。

 

彼が記憶を、使命を失っていたときに出会い、自分に色々と教えてくれた少年たちが教えてくれた中でも一番印象的で、最も都合のいい(・・・・)"人間の考え"を口にしながら―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これはスゴいです・・・!見たこと無い巨大ロボットですよ!!」

 

「何なのコレ・・・?」

 

「この高貴な色!竜人って感じが最高です!!」

 

「じゃあさ『ギャラクシードラゴン』って名前にしようよ!!」

 

「ギャラクシー?宇宙から来たとは限らないのにですか?彼の名前は『サルバトロン』です!ちなみにイタリア語の『救世主』からの発想です」

 

「・・・その『いかにもオシャレでしょ?』みたいな感じで全然、気に入らない」

 

「はいぃ!?見当違いのネーミングよりマシです!!」

 

「はぁ!?ギャラクジードラゴンいいだろうがよっ!!」

 

「ちょっと!どうでもいいことで喧嘩なんてしないでよ!!」

 

ある日、突如として何処かの世界(・・・・・)の地球に、純白のボディを持った巨大な龍人のようなロボットが、あの「シビルジャッジメンター ギャラクトロン」が送り込まれた(・・・・・)

 

そんなギャラクトロンを「救世主だ」や「正義の味方だ」と一方的に決めつけた"無知な人間たち"がのんきに騒いでいた。

 

『この世界にも・・・食物連鎖は・・・アル・・・リセットせねバ・・・それが我が使命・・・!!』

 

このギャラクトロンが「公平なる(シビル)審判を下す者(ジャッジメンター)」だとも知らずに―




如何でしたか?

件の『鋼鉄の巨竜・アイアンジャイアントドラゴン』とは、大人気のロボット・ギャラクトロンでした。

そしてストーリーも感動系・・・ではない、僕らしく捻くれた感じでした。

劇中、特に後半で過激な描写を入れましたが

「優しかったギャラクトロンが冷酷なシビルジャッジメンターになるにはそれ相応の出来事が必要だろう」

という考えの元です・・・

が、ギャラクロトンは公式で

「『巨大人工頭脳 ギルバリス』によって作り出された、知的生命体の抹殺用の破壊兵器である」

と明言されてますから・・・

まぁ、あくまでIF展開ってことで。

ちなみに『アイアン・ジャイアント』はとても素晴らしい映画です。マジで名作です。誤解なきように・・・

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