巨影都市オブ・ジ・エンド   作:銀色の怪獣

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どうもみな様、相当にお久しぶりです。銀色の怪獣です。

実に半年ぶりの更新―――スランプでしたが、最近やっと調子が戻りました。

なので、久しぶりに投稿&久しぶりなので頑張って、尚且つマイナー気味ながらも名作の怪獣映画のゲストに登場頂きました。

どうぞ、お楽しみ下さい。

また、出来上がっているので

・アウターな『巨影』

・『巨影』ネバーエンディング・ストーリー 悪質宇宙人の謀略

・『巨影』進撃のモノ

があります・・・いずれも名作映画に巨影が絡み、エラい事に・・・どうぞ、お楽しみにです。


第六十話・龍耕(ヨンガ)る『巨影』

何気ない平和で当たり前の日常。もし、その平和で当たり前の日常に異形の存在「巨影」が現れたなら・・・

 

―――ギィヤァオォォォッ!!―――

 

ある平和で麗らかな白昼の大都市、のど真ん中に突如として身長60mの大怪獣(・・・)が出現した。

 

―――ギィヤァオォォォッ!!―――

 

凄まじい咆哮を上げ、手当たり次第にビルや道路、自動車などを破壊する大怪獣。

 

その容姿は頭部に角の生えたオーソドックスな直立二足歩行形態の肉食恐竜のようであるが、背中には剣山の様な一列のヒレを持ち、何よりも―――

 

―――ギィヤァオォォォッ!!―――

 

「目標、巨大怪獣の腹部及び頭部!攻撃開始!」

 

「各部隊、射撃開始!!」

 

白昼の都心に出現した大怪獣を迎え撃つ自衛隊の戦車大隊、あるいは各種武装車両の一斉砲撃が生物共通の弱点である頭部や腹部に炸裂した・・・が、

 

―――ギィヤァオォォォッ!!―――

 

「何っ!?全くの無傷だと!!?」

 

数十発、下手すれば百発近い砲撃等が直撃しても大大怪獣は全くの無傷だった。何故なら、

 

―――ギィヤァオォォォッ!!―――

 

「な、何だあの怪獣!?戦車砲の爆発(・・)を、爆炎(・・)を、熱や炎(・・・)吸ってる(・・・)ぞ!!?」

 

大怪獣が自衛隊の各種砲撃を受けても全く無傷な理由こそ、

 

『"熱エネルギー"ならばどんなものでも問答無用で(・・・・)無効化し(・・・・)、更には吸収して(・・・)自分の(・・・)エネルギー(・・・・・)に変える(・・・・)能力(・・)

 

が備わっており、その能力で戦車砲などの爆発を無効化していたからだった。

 

加えて、この大怪獣は悠久の時を生きた所謂

 

『古代怪獣』

 

という種族に分類されるため、悠久の時を生きて育まれた全身の甲外骨格の固さの前では戦車砲などの近代兵器などほぼ意味を成さなかったのである。

 

と、ここで―――

 

『こちら航空機部隊、目標を視認。攻撃開始します』

 

大怪獣の見せた能力の前に苦戦する陸上自衛隊、の援軍に航空自衛隊の戦闘機部隊が駆け付け、大怪獣を四方八方から取り込むと爆撃を、それも爆発性(・・・)よりも(・・・)貫通性を(・・・)重視した(・・・)ミサイル(・・・・)で大怪獣を攻撃し始めた。

 

―――ギィヤァオォォォッ!?―――

 

「おぉ!効いてるぞ!!」

「いいぞ!やれやれーっ!!」

 

多数の戦闘機に囲まれ、貫通性に優れたミサイル攻撃を無数に浴びせられた大怪獣は流石に悲鳴を上げ、自慢の外骨格に傷が刻まれていた。

 

「このままいけば倒せる」

 

と、陸上自衛隊も攻撃している戦闘機部隊も全員がそう思った。だが―――

 

―――ギィッ・・・ヤァオォォォッ!!―――

 

―――ザンッ!!―――

 

「へっ―――」

 

突然、大怪獣が吠えた―――かと思えば、何と大怪獣の周りを飛んでいた無数の戦闘機がパイロット(・・)ごと(・・)真っ二つ(・・・・)になって(・・・・)墜落していた。

 

更に、

 

『か、回避!怪獣から距離を取るんだ―――』

 

―――ギィヤァオォォォッ!!―――

 

―――ザンッ!!―――

 

『ぎゃぁああぁっ!!?』

 

目の前で両断され、バラバラと地上に落ちていく戦闘機やパイロットたち、とソレをやった怒り狂う大怪獣を前に、生き残っていた戦闘機部隊は大怪獣から距離を取ろうとしたものの、瞬く間に全機が大怪獣によって両断され、スクラップとなって地上に降り注いでいた。

 

「何だアレ・・・!?あの怪獣が角から(・・・)出した(・・・)光線(・・)で戦闘機が切れていくぞ!!?」

 

一方で、ほんの数分前まで大怪獣相手に優勢だった戦闘機部隊が一瞬で壊滅していく様を見て呆然とする陸上自衛隊、は大怪獣が戦闘機を紙でも切るように切り裂いている原因を見て驚いていた。

 

―――ギィヤァオォォォッ!!―――

 

陸上自衛隊の誰かの言ったとおり、大怪獣は自分の周りを飛び回る戦闘機に向かって、頭部にある角を光らせて出した光線を当てれば、戦闘機は見事に真っ二つ二されていた。

 

そう、実は大怪獣は角から当たれば万物を切断できる

 

『切断光線』

 

を放つことが可能なのである。

 

―――ギィヤァオォォォッ!!―――

 

先の戦闘機部隊の攻撃で怒りに火がついた大怪獣は切断光線を乱射して暴れ始めた。

 

横一文字に両断され、ガラガラと音を立てて崩れ落ちるオフィスビル、

 

袈裟懸けに切り裂かれ、ガラスや破片を雨あられと降らせながら崩壊する高層マンション、

 

唐竹割りにされ、左右に割れながら倒壊した電波塔、

 

と大怪獣必殺の切断光線の威力は凄まじいし、同時に―――

 

―――ギィヤァオォォォッ!!―――

 

「ぎぃやぁあぁぁっ!!?」

 

尚も怒りの収まらぬ大怪獣は、撤退を余儀なくされた陸上自衛隊をギロっと睨んだ後、口から放つ猛烈な火炎放射や巨体を活かした踏みつけ、長い尾で叩き潰す等々で襲い始め、最後は必殺の切断光線まで見舞っていた。

 

だが、不思議な事に大怪獣の放つ切断光線は、逃げる自衛隊員たちが乗っているジープなどを真っ二つにした、かと思えば道路のアスファルトは切れていなかった。

 

「あ、光線は威力が自在なのか!?」

 

真っ二つ二されたジープから這い出て来た、幸運にも生き残った血まみれな自衛隊員が思わず口に出したが、それは当たっていた。

 

そう、何と大怪獣の放つ切断光線は威力が自由自在、つまり大怪獣は光線に使うエネルギー量を調整可能だったり、攻撃対象の特徴を見抜けるほどに賢くて器用なのである。

 

―――ギィヤァオォォォッ!!―――

 

白昼の大都市を襲撃し、退治した自衛隊を壊滅させてもなお暴れ足りないぞ、とばかりに暴れ回る多彩な能力を有した大怪獣にして巨影、その名は

 

『大怪獣 ヨンガリ』

 

という―――果たして、この災厄の化身にして最強の大怪獣を止める術が人類にあるのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

아리랑(アリラン) 아리랑(アリラン) 아라리요(アラリヨ)아리랑고개로(アリランゴゲロ)넘어간다(ノモガンダ)

 

―――ギィヤァオォォォッ!ギィヤァオォォォッ!!―――

 

「な、何してんだあの怪獣・・・?」

 

とあるコリアン(・・・・)タウン(・・・)で流れる"歌"と、それに聴き入る・・・あの大怪獣ヨンガリがそこにいた。

 

―――ギィヤァオォォォッ!!―――

 

白昼の大都市を襲撃し、自衛隊を蹴散らしても暴れ足りないヨンガリは次の暴れる場所を目指して移動していた。

 

「」

 

当然、ニュースやSNS等を通してヨンガリの暴れっぷりや危険性を知っている人々は大慌てで逃げていた―――

 

―――ギィヤァオォォォッ!!―――

 

「き、来た!怪獣がもう来たぞ!!」

 

だが、所詮は人間と怪獣では移動速度も歩幅も、全てが違う。

 

自家用車で、公共機関で、自転車で、徒歩で、走って、と必死で逃げようとした人々をあざ笑うかのようにあっという間に次なる大都市へとやって来たヨンガリはさっそく暴れようとした。

 

아리랑(アリラン) 아리랑(アリラン) 아라리요(アラリヨ)아리랑고개로(アリランゴゲロ)넘어간다(ノモガンダ)

 

―――ギィヤァオォォォッ!ギィヤァオォォォッ!!―――

 

しかし、ここで意外な事が起きた。

 

ヨンガリが次にやって来た大都市は有数の観光都市であり、特に世界各国の文化やお土産が揃った大都市であったのだが、偶然にもヨンガリが最初に到達した場所はコリアン(・・・・)タウン(・・・)()であり、そこではコリアンタウンらしく韓国の民謡

 

『アリラン 아리랑』

 

がBGMとして流されていたが、何とそのアラリンの歌をヨンガリは耳にした途端、それまでの暴れっぷりが嘘のように大人しくなっていた。

 

아리랑(アリラン) 아리랑(アリラン) 아라리요(アラリヨ)아리랑고개로(アリランゴゲロ)넘어간다(ノモガンダ)

 

―――・・・ギィヤァ・・・ギィヤァオォォォッ!ギィヤァオォォォッ!!―――

 

ヨンガリはうっとりした表情でコリアンタウンで流れるアラリンに聞き入っていた、かと思えばその場でアラリンに合わせてノリノリで鼻歌交じりに踊る有様だった。

 

「アイツ、音楽が好きなのか?」

「怪獣が音楽に聴き入るって意外・・・」

「アイツ、ちょっと可愛いかも・・・」

 

ヨンガリの見せた意外な一面に、それまで我先にと逃げていた人々は足を止めて見入っていた。

 

それほどに今のヨンガリは、アラリンに聞き入って楽しそうな大怪獣(ヨンガリ)など滅多に見れる光景ではないからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え~みな様~ご覧下さい。あちらが音楽大好きな可愛い怪獣さん・ヨンガリで~す」

 

「おぉ~デカいなぁ~」

「カッコいいなぁ~」

「おーい!ヨンガリ~こっち向いて~!!」

「ママー、ヨンガリさんかわいいね~」

 

手にマイクを持ったバスガイドのお姉さんの引率の元、観光バスからゾロゾロと降りてくる観光客の一団が、手に手に持ったカメラやスマートフォンでバスツアーの目玉を、他では滅多に見られない存在、

 

"音楽好きの可愛い大怪獣・ヨンガリ"

 

を見て大興奮していた。

 

아리랑(アリラン) 아리랑(アリラン) 아라리요(アラリヨ)아리랑고개로(アリランゴゲロ)넘어간다《ノモガンダ》~

 

―――ギィヤァオォォォッ!ギィヤァオォォォッ!!―――

 

「おぉ、本当に踊ってるぞ!面白いなぁ」

「ねぇ~何か可愛い!!」

「意外と怪獣も悪くないなぁ、うん」

 

アラリンの合わせて踊り鼻歌を披露する大怪獣ヨンガリ、を見つめる大勢の観光客、という少し前(・・・)なら(・・)信じられない光景がそこには、コリアンタウンが併設するあの大都市では繰り広げられていた。

 

「いやぁ、相変わらずヨンガリ人気はスゴいですなぁ市長」

 

「うむ、全くだ。最初はどうなるかと思ったが・・・今となっては、ヨンガリ君のおかげで我が街は国内外を問わずに観光客が来て大繁盛だよ!!」

 

「はい、ヨンガリ様様ですね」

 

「コラコラ、ヨンガリじゃなくてヨンガリ"君"を付けんか。彼はもう立派な栄誉市民だぞ?」

 

という会話が、ヨンガリが居座っている大都市で一番高い高層ビルの一室にいる大都市の市長とその秘書がカラカラと笑いつつ、ヨンガリが(・・・・)もたらす(・・・・)経済効果(・・・・)などについて大笑いしていた。

 

そう、何とヨンガリは今やこの大都市の最大の観光の目玉もとい"観光資源"にして名誉市民となっていたのである。

 

加えて、

 

―――アンギャアアアァァァオオオオォォォォン!!―――

―――ピポポ・・・ゼットォーンッ!!―――

―――グルォアアアァァァ!!―――

 

突然、ヨンガリのものとは違う咆哮が轟いた。

 

そう、ヨンガリという"強者"の気配を察した別の怪獣たちが、ヨンガリの縄張りを奪おうと、あるいはヨンガリを討ち取って名を上げようと襲撃してきたのだ。

 

しかし、

 

―――ギィヤァオォォォッ!!―――

 

―――ア、アンギャ・・・アァオォォン・・・―――

―――ピポ・・・ゼッ、トォン・・・―――

―――グッ、ルォアァァ・・・―――

 

やる気たっぷりでヨンガリの縄張りに侵入した、

 

放射能を吐く黒い大怪獣

 

1兆度の火球を吐く宇宙恐竜

 

全身からミサイルを吐く超獣

 

は、ヨンガリの強さと能力、特に

 

『"熱エネルギー"ならばどんなものでも問答無用で(・・・・)無効化し(・・・・)、更には吸収して(・・・)自分の(・・・)エネルギー(・・・・・)に変える(・・・・)能力(・・)

 

を前にタジタジ、あっという間にボコボコにされてスゴスゴと引き下がっていったのだった。

 

「おぉ、今回も(・・・)ヨンガリ・・・君が怪獣を追い払いましたぞ、市長」

 

「うむ、やはり彼はよくやってくれるよ。おかげで話が街、どころかこの国は怪獣の脅威から守られてばかりだ」

 

三体の怪獣たちを追い払ったヨンガリ、を見て自分のことのように得意になる市長と秘書、の言う通り、実はヨンガリが他の怪獣を追い払ったのは今回が初ではない。

 

どころか、ヨンガリは今まで幾度も他の怪獣を完封し、追い払って(結果的にだが)大都市ひいてはこの国そのものを怪獣の脅威から守り切っていた。

 

そう、大怪獣ヨンガリはいるだけで他の怪獣がビビって逃げ出して近寄らなくなる、あるいはやって来てもあっという間に追い返す最強の

 

"いるだけマスコット"

ならぬ

"いるだけで超有益なマスコット"

 

でもあったのだ!!

 

同時に、超有益なマスコットだが"最強クラスの大怪獣"であるヨンガリは、大好きなアラリンさえ流しておけば暴れない。

 

これがいかに人間(・・)に"便利な怪獣"で人間(・・)に"都合のいい存在"かお分かり頂けるだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、そんな人間(・・)に"便利な怪獣"で人間(・・)に"都合のいい存在"を放っておく輩がいないわけもないのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「日本よ、ヨンガリは我が国の怪獣です。即刻、我が国に返還しなさい。さもなくば国際問題にします」

 

「はぁ!?そんなムチャクチャな!!」

 

ある日、国のトップが集結する会合でヨンガリが今いる国に対し、こんな事を言ってくる"朝鮮の国"がいた―――そう、実は大怪獣ヨンガリは

 

『용가리・ヨンガリ』

 

が示す通り、

 

『朝鮮語の"龍"=용』+『朝鮮語の"得体の知れない化け物"・"怪獣"=가사』

 

が示す通り、

 

朝鮮の地下で起きた大規模な地殻変動に関わった中東の某国が秘密裏に核実験が影響して目覚めたという調査結果が示す通りの朝鮮の怪獣だったのだ。

 

「あの怪獣、ヨンガリは紛れもなく我が国の怪獣です。つまり、ヨンガリの所有権は我が国にあります。だから、一刻も早く返還しなさい。これは命令です。でなければ国際問題にします」

 

「ぐぬぬ・・・」

 

あらゆる証拠や伝承まで引っ張り出し、ヨンガリを自国の怪獣だという証拠と事実を突き付けてきた朝鮮の国は、今ヨンガリがいる国に

 

「自国の怪獣だから即刻変換しろ。じゃないと国際問題にする」

 

の一点張りだった・・・ただでさえがめつく、

 

「お前の物は俺の物、俺の物は俺の物」

 

が心情の朝鮮の国なら、色々と使えて都合のいいヨンガリを放っておくわけがないので、こうなるのは必然だったのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結果、

 

―――ギィヤァ・・・グォォオォォ・・・スゥスゥ・・・―――

 

高いびきをかき、鼻ちょうちんまで作って熟睡するヨンガリ、

 

「オーライ、オーライ!はい、ストップ!!」

「準備急げ!ヨンガリが眠っている間に終らせるんだ!!」

 

の周りで慌ただしく動く大勢の大勢の自衛隊員たち、は強力な(・・・)麻酔薬(・・・)で眠らさ(・・・・)れている(・・・・)ヨンガリの手足や首、胴体に尻尾などに、

 

"南の島で見つかった大猿"

 

に使用された

 

『黄色い巨大風船を結んだワイヤーを体に巻き付けて浮かせて運ぶ作戦』

 

を決行し、準備が終ると航空自体所属の航空輸送機がヨンガリを元いた国に運び出すことと相成っていた―――そう、朝鮮の国がうるさいのと国際問題を恐れた国のトップがヨンガリを返還することに決めたのだった。

 

こうして、ヨンガリは眠ったまま元いた国まで空輸される事と相成ったのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、

 

―――ギィ・・・?ギィヤァオォォォッ!?ギィヤァオォォォッ!!―――

 

「うわっ!?ヨンガリが起きたぞ!!」

「麻酔がこんなに早く切れるなんて!!」

「こ、こら!暴れるな!!」

 

本来ならもっと眠っているはずのヨンガリが、空輸中に麻酔が切れて目覚めて暴れ始めた。

 

「気持ちよく寝てたけど、何か風が肌寒くて目覚めたら空を飛んでいた」

 

という状態に置かれているヨンガリ・・・そりゃ、ビックリして暴れて当然だろう。

 

―――ギィヤァオォォォッ!?ギィヤァオォォォッ!!―――

 

「す、すごい力だ!!」

「せ、制御不能!このままでは・・・!!」

「えぇいクソッ!もうすぐ目的地なのに!!」

「音楽を流してもダメです!!」

 

尚もパニックが収まらずに大好きなアラリンが流れていても暴れるヨンガリ、に振り回される航空自衛隊の航空輸送機のパイロットたちはてんやわんやだった。

 

「こうなったら仕方ない・・・各機、ワイヤーを外してヨンガリを海に落せ!!」

「隊長!?そんなことしていいんですか!!?」

「致し方ないだろう。このままでは我々も海の藻屑だ。それに、怪獣ならこの位の高さから海に落ちても死ぬまい」

「ですが、海に落した後はどうやって・・・」

「ヨンガリの好きな音楽で誘導する。多分、上手く行くだろう―――とにかく、早く各機ワイヤーを切るんだ!!」

 

「「「り、了解!!」」

 

全く大人しくならないヨンガリ、によって航空輸送機が海面に墜落するのを避けるため、輸送部隊の隊長がヨンガリを海に落す事を決断し、各機はヨンガリに繋がっているワイヤーを外した。

 

結果、

 

―――ギィヤァオォォォッ!?ギィヤァオォォォッ!!?―――

 

―――ザッ、パァアアァァァンッ!!―――

 

それまで体を支えていたワイヤーが外れ、加えて体を浮かせていた黄色い風船も飛んで行ってしまったために、超重量を誇るヨンガリの巨体は高速で海面に向かって頭から真っ逆さま、最後は巨大な水柱を上げて着水したのだった。

 

「いくら怪獣でも、高所から海面に頭から叩き付けられたら危ないのでは?」

 

と思った方がいたら安心して欲しい。

 

―――ギィヤァオォォォッ!!―――

 

「おぉ、やっぱり無事か!流石は怪獣だ!!」

 

海面に頭から叩き付けられ、水柱を上げながら着水したヨンガリはすぐに海面に顔を出して咆哮を上げ、怪獣らしく怪我一つ無い。

 

「よし、幸いにも目的は近い。後はヨンガリの好きな音楽で誘導しよう―――」

 

海面に顔を、無事な姿を現わしたヨンガリを見てホッと一息つく輸送部隊はヨンガリを大好きなアラリンの音楽で目的地まで誘導しようとした、その瞬間!!

 

―――ギィヤァオォォォッ!?ギィ・・・ヤァオォォォッ!!―――

 

「な、何だ!?一体、どうしたんだアレは!!?」

 

突然、ヨンガリが吠えた―――目をカッと見開き、苦しそうに悶えながら、だ。

 

更に、

 

―――ギィヤァオォォォッ!?ギィ・・・ヤァオォォォッ!!―――

 

「オイオイオイ・・・どうなってるんだ!?何でヨンガリが吐血(・・)出血(・・)してる(・・・)んだ!!?」

 

苦しそうに悶えるヨンガリ、の周囲の海水が突如として真っ赤に染まり始めた・・・全て、ヨンガリの体から流れ出した血液だ。加えて、ヨンガリは口から吐血、鼻からは鼻血、と全身から出血し始めていた。

 

「隊長、やっぱりさっき落したせいでヨンガリは怪我をしたのでは・・・?」

「マ、マズいですよ隊長!これじゃ大問題ですよ!!」

「そ、そんなこと言われたって仕方ないだろう!?ああする他、我々が助かる道はなかったのだぞ!!」

 

眼下で全身から血を流し、海原を赤く染めながら悶え苦しむヨンガリを見て冷や汗を掻いたり慌てふためく輸送部隊はどうしていいか分からず、あるいはどうしようもなく右往左往するしかなかった。

 

―――ギィヤァオォォォッ!?ギィ・・・ヤァオォォォッ!!―――

 

一方で、尚も出血や悶え苦しむのが止まらないヨンガリ・・・の全身はかぶれて(・・・・)いた(・・)

 

そう「かぶれていた」のだ―――そう、実はヨンガリが悶え苦しんでいるのも、出血しているのも、別に原因は海面への落下もとい怪我などが原因ではない。

 

では、原因は何か?

 

「!?もしかして・・・ヨンガリは海水が弱点なのか!?水に弱い怪獣がいるように、ヨンガリは海水が弱点なのか!!?」

 

ふと、輸送部隊の誰かがそう言った・・・が、それは半分正しいが半分間違っていた。

 

確かに怪獣、特にヨンガリのような陸地に住む怪獣には水や海水に触れると弱ったり、中には細胞が溶けて死んでしまう怪獣もいるものの、ヨンガリは別にそんなことはないない。

 

が、今のヨンガリは全身が海水によってかぶれ、出血までしていた。ならば、その原因は何か―――実は、ヨンガリを苦しめている原因はこの海域(・・・・)の海水(・・・)、に多く含まれるように(・・・)なった(・・・)"ある物質"だった。それは、

 

『中国・韓国の生活排水の量は1日に数十億トンに達する。その多くが処理もされず垂れ流し』

『韓国の重金属工場からの排水は、意図的に河川に排水されていた模様。付近や河口・海洋の汚染が深刻化』

『中国・朝鮮半島のし尿不処理問題は深刻。日本や周辺海域への汚染が深刻化』

 

連日連夜、こんなニュースにして"事実"が報道されている―――地球上でも有数の人口を誇りつつも、その裏では下水処理などの技術がいまだに発達していない東アジアの国々が海に垂れ流す生活排水、特に人間や家畜なら必ず排出する

 

「アンモニア」

 

による海洋汚染は深刻だった。

 

それこそ身長60mを誇り、他の怪獣が対峙しただけでビビって逃げ出すほどの強者である大怪獣・ヨンガリを苦しめる程に。

 

そう、実はヨンガリはアンモニアが弱点だったのである・・・加えて不幸なことに、ヨンガリが落ちたのは先の東アジアの国々が海に垂れ流す生活排水、の中に含まれるアンモニアや重金属汚染が深刻な海域だった。

 

―――ギィヤァオォォォッ!?ギィ・・・ヤァオォォ・・・ォ・・・―――

 

「あぁ、ヨンガリが・・・!!」

 

全身がヒドくかぶれ、体中を強くかきむしりながら出血や吐血し続けるヨンガリは息も絶え絶えで、ようやく近くの小島に上陸すると・・・そのままバッタリと地にひれ伏し、2度度起き上がることは無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全く!何ということだ!あの怪獣のせいで!!」

 

「はい、全く仰るとおりです・・・」

 

あれから、大怪獣ヨンガリが死んでから数日後の、

 

"ヨンガリを返せと言ってきた国"

 

では、国のお偉いさんたちがてんてこ舞いだった。

 

『怪獣を殺すほどに汚染された海の恐怖!!』

『海洋汚染の原因は生活排水の垂れ流し!!』

『人間の欲望に振り回された哀れな怪獣!!』

 

といった具合に、先日の大怪獣ヨンガリの死とその真相や原因が世界各地で報道される度、この国のイメージは悪くなる一方だった。

 

「な、何とかして我が国のイメージをよくしないとですね・・・如何しましょう?」

 

「・・・手は考えてある」

 

「な、何と!して、その手とは?」

 

「新しいヨンガリを呼び寄せ、イメージアップに繋げる」

 

大怪獣ヨンガリの死と、それにともなう自国のイメージの悪化を重く見た国のトップは、あろうことか新しいヨンガリを呼び寄せてイメージアップを図ろうと言い出した―――かの国にとって、

 

「悪くなったイメージを払拭するには都合の悪いことは塗り潰して揉み潰し、上書きしてしまえばいい」

 

という思考があるので当然だった。

 

「あ、新しいヨンガリですか・・・?ですが、一体どうやって呼び寄せるのですか?」

 

「うむ、そのために祈祷師を呼んである」

 

「き、祈祷師ですか・・・?」

 

で、肝心の"新しいヨンガリを呼び寄せる手立て"であるが、何と祈祷師に呼び寄せて貰うというかなり非現実的なやり方だった・・・果たして本当に上手く行くのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~見つけた化石はほじくるな 私の妻のように恐ろしい

見つけた化石はほじくるな 私の妻のように恐ろしい

ミサイルしゃがんでよけちまえ 危なくなったら消えちまえ

子供のバスなら大丈夫だ おじけづくなら出てくるな

水銀コバルトカドミウム ロケットしょったら出撃だ~

 

「う、うさんくさい・・・」

 

何ともまぁ、珍奇な歌と供に白装束の「ザ・祈祷師」といった風体のオヤジが祈祷をしていた―――かの国のお偉いさんが直々に呼んだ

 

「私なら新たなヨンガリを呼べる!!」

 

と豪語する祈祷師だった・・・果たして本当に大丈夫もとい新しいヨンガリを呼び寄せることなど可能なのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結論から言って、件のうさんくさい祈祷師は確かに新しいヨンガリを呼び寄せることは出来た。

 

出来たが、だ・・・ヨンガリという、古代の大怪獣にして"伝説の怪獣"にちっぽけな人間ごときが軽々しく関われば恐ろしい事になると、祈祷師もかの国のお偉いさんたちも身をもって知ることと相成った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――ゴォギィヤァオォォォッ!!―――

 

「な、何だアレは!!?」

 

ある日なんの前触れも無く、東アジアのある国の大都市に怪獣が、それも身長152.4mという超ド級のサイズを誇り、頭頂部には巨大な角と額には水晶体を、両肩には巨大なトゲを、全身が筋骨隆々とした筋肉を持つ大怪獣が出現した。

 

「オイ、アレってまさか!?」

「えぇ、まさかとは思うけど・・・!」

「オイオイ、マジかよ・・・!?」

 

そんな謎の大怪獣を見て、逃げ惑う人々はハッとした。

 

何故なら、その大怪獣は一応は(・・)似ていた(・・・・)|のだ―――あの死んでしまった大怪獣ヨンガリに。

 

―――ゴォギィヤァオォォォッ!!―――

 

ただ、その迫力も、大きさも、そして凶暴さと強さは人々が知っているヨンガリとは大違いだった。

 

特に、その見た目は直立二足歩行体系の恐竜のようであるが、全体的なプロポーションはまるで人間・・・のようでやはり爬虫類、といった感じをした、言わば

 

『爬虫類人 レプティリアン』

 

だった。

 

―――ゴォギィヤァオォォォッ!!―――

 

「な、何故だ!?何故アラリンで大人しくならないんだ!!?」

 

白昼の大都市のど真ん中に姿を現わした新たなヨンガリ、は力の限りに暴れまくっていたため、即座に前のヨンガリが大好きだった音楽・アラリンを大ボリュームで流した。

 

だが、どれだけアラリンを流しても新たなヨンガリは大人しくなることは無かった。

 

どころか、ずっと流れるアラリンに苛立っているかのような仕草すら見せて、

 

太い槍のような形状の火球を乱射し、

 

あらゆる物理・遠距離・光線などを完全に防ぎきる破壊不可能なエネルギーシールドを展開し、

 

前に現れたヨンガリとは比較にならない規模と威力の切断光線を乱射して、

 

テレポーテーション能力で長距離を移動し、逃げ惑う民衆の行く手に先回りして襲いかかる、

 

と、とにかく力の限りにやりたい放題で暴れまくっていた。

 

―――ゴォギィヤァオォォォッ!!―――

 

「う、うわぁああぁぁーーーっ!!?」

 

逃げ惑う民衆を吹き飛ばし、そびえ立つビル群や民家なども全て破壊し尽す巨影

 

『レプティリアンヨンガリ』

 

により、かの国はあっという間に焦土と化してしまったのだった・・・全て、ちっぽけな人間ごときには手に余りすぎるほどの"力"を"命"を"存在"を誇る巨影にして大怪獣を利用しようと思った人間への天罰だったのかも知れない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ~成る程なぁ・・・ハイハイ、そういう事ですか」

 

某国が自分たちで呼び出した呼び出したレプティリアンヨンガリにより焦土と化していた頃、最初のヨンガリが現れた方の国、にある研究所の一室で研究員の男が独り言を呟いていた。

 

そんな研究員の男は研究、というよりも調査をしていた、

 

『元々は某国に、海を隔てた某国に住んでいるはずのヨンガリがどうして海を越えてこの島国にやって来たのか』

 

を・・・ついでに、ヨンガリがどうやって海を越えてきたのかもだ。

 

そして、その答えを見付けていた―――

 

「成る程なぁ、アイツは地底を移動して日本まで来たのか・・・自分の故郷がアンモニアに汚染されて住めなくなったから、安全な場所に亡命してきてたんだなぁ」

 

調査結果を記したノート片手に、研究室の窓を開けて空を仰ぐ研究員は複雑そうな、もの悲しそうな表情で独りごちっていた。

 

研究員が言ったとおり、実はヨンガリは島国に"亡命"していたのだ、ヨンガリが生息していた古代に比べて増えまくった、人間という

 

"ちっぽけながらも地球上で最も繁栄・繁殖しつつ、地球を最も汚染する生物"

 

によって汚染され、住めなくなった故郷を捨てて―――そのために、固い岩盤に覆われた海底、の遙か下の地底を掘り進んで掘り進んでわざわざ島国までやって来ていたのだ。

 

「ところがどっこい、やっと見付けた亡命先から連れ戻される、途中でアンモニア汚染のヒデぇ海にドボーン、か・・・可哀想になぁ」

 

頑張って亡命しても結局は連れ戻される、その途中で不慮の事故で死んでしまったヨンガリ、に心底同情する研究員、

 

「まぁ、そんな怪獣が頼ってやって来てくれた日本は誇るべき、って言いたいけど・・・日本も日本で汚染とかヒドくなっているし、次にまたヨンガリが来てくれるかは分からないなぁ」

 

が言った通り、ヨンガリが頼って来てくれた島国も、やれ海洋汚染物質(マイクロプラスチック)だ土壌汚染だ不法投棄だ、と問題が増えてきている。

 

その一方で、

 

「最近の日本では環境保全、安全対策が万全だから環境汚染や怪獣が出現するなんて事はありえない」

 

「産業廃棄物を食べたぐらいで動物が怪獣になったりするなんてありえない。そんなの昔の考えだ」

 

という、実に"天狗になった考え"を持つ人々・・・如何に奢り昂ぶった事であろうか。

 

これでは、本当に次に別のヨンガリが現れても亡命してやって来てくれるとは限らないであろう―――

 

―――ゴォギィヤァオォォォッ!!―――

 

まぁ、やって来るのがレプティリアンヨンガリみたいなのならば、来ない方がいいかもしれないが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フフン、出て来た怪獣が利用価値があれば有り難がって、迷惑なら即座にぶっ殺したがる・・・人間って身勝手だねぇ」

 

 

誰に言ったのか、何に言ったのか分からないが、研究員は鼻で笑いながらそう言った―――所詮、そんなモンなのだろう。




はい、如何でしたか?

今回は

『コリアンゴジラ(韓国ゴジラ)』とか『怪獣史上最も悲惨に死に方をした怪獣』とか言われる韓国の怪獣映画、

『大怪獣ヨンガリ』

から大怪獣ヨンガリ、及びそのリメイク作である米韓合同の映画作品

『レプティリアン版 ヨンガリ』

から大怪獣ヨンガリ(レプティリアンVer)の登場です。

で、テーマとしては

「"人間"に有益なら動物も怪獣も保護して活用するが、役に立たないなら即駆除する人間のエゴ」

ですかね・・・まぁ、仮に怪獣を観光資源化しても、得られる収入<出費 だと思いますが。

汚れた故郷から亡命する怪獣は美しい日本を頼ってきてくれた・・・字面だけ聞けば何か素敵ですが、実際は被害とか尋常じゃないだろうし(苦笑)

また、今回ヨンガリを空輸する際の黄色い風船、は

『キングコング対ゴジラ』

のアレです―――最初は「古代怪獣ゴモラ」の空輸法で行こうと思いましたが、キングコングの風船の方が面白いと思ったので其方に変えました。


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