れいなーれさん、それ犯罪です 作:バウよりカッコいいMSはいない
よろしくお願いします。
──ああ。
(なんと、なんと美しいのでしょうか)
白銀の逆立った艶やかな御髪、その宝石のような瞳に女性全てを虜にしてしまう甘い
銀翼をはためかせ降り立つ姿はまさしく比類なき美の化身。
本来であれば、地上に降りたとたんここにいる乙女全てが駆けより、彼の周りを埋め尽くす程のその美貌。
しかし、そうならないのは彼のそのクールな性格がそうさせるからだ。
近寄る女性を牽制するかのように向けられる絶対零度の視線は、もはや抜き身の刃を通り越し、振り下ろされた白刃である。
そして、その言葉通り雑多の女が彼に寄ろうものなら、彼の流す一撃必殺の流し目がその女の心臓を止めてしまうだろう。
──ああ、なんと美しいのでしょう。
「ああ……ヴァーリさまぁ……今日も一段とうつくしいですわ……はあはあ……うへへ」
「おい」
もしあの方の姿を間近で見られたなら……きっと私のこの足は即座に瓦解し使い物にならなくなることでしょう。
なぜなら私にとって、彼は神であり絶対唯一の世界そのものだから……近づけばきっと、その神々しい光で私というミジンコのようなゴミは吹き飛んでしまうのよ。
(ああ、ああヴァーリさま……ヴァーリさまヴァーリさまヴァーリさまヴァーリさま)
「……おい、おい!!」
「うっるさいですわね!!!
誰ですわたくしのヴァーリさまウォッチングを邪魔しやがりますのは!!」
扇風機の首振り機能を200倍くらいにした速度、それで振り返り声を荒くする。
(誰であろうとも邪魔されない、されてはいけないこの神聖な時間に水を指すとは……下らない理由なら許しませんわよ)
私は憤りながら話しかけてきていたであろう、『男』を睨みつけた。
さて、見たくもないが、私のスゥィートタイムを邪魔する敵となりうる存在だ。敵を倒すには敵のデータを知り尽くせ、である。なのでしっかりと確認しておいてやろう。
まずは外見。
じー、じ?ジャパ?の和服?というのだったか、ゆったりとした衣を着流し、ザンバラな黒髪を揺らすちょいワル系とかいう言葉の似合う男だ。
私の言葉に困惑こそしているものの、その驚いた顔は一般的に見て整っていると思われる。(私からしたらヴァーリ様以外はみな平等に石ころだけれど)
そして何より、その身から放つオーラは強者のそれだ。
以上観察終わり。これ以上見ていたら、ヴァーリさまのための目が腐ってしまうわ。
「お?叫んだと思ったら突然熱く見つめてくるとは……ふっ、俺に惚れ「コロシマスよ?」……はないとして」
やつの両目にむけて指を二本むける。通称目潰しというやつである。
あんまりふざけた事言うなら、その口二度と開けないように縫い合わせますから。まじで。
「さっさと要件を言いなさい要件を
この私の貴重な時間を無駄にしないでいただけますか?
それとも何を言いに来たか忘れるほどの鳥頭なのかしら?」
「ぐっ……ま、まあいい俺は寛容だからな許してやる……
……ふう、ふう」
肩で息をしながら青筋を立てる男の滑稽さはまさしく愚者のそれ。
こんなのが私の時間を奪うなどまさしく罪ですわ。
「……さて、本題だが、ここで何をしていた?
先ほどからそこに立って一点を見つめているが何か面白いものでも見えるのか?」
「はあ?」
こいつは何を言っているのかしら。
あそこにいる美の化身が見えないのかしらね、やっぱりそんな腐った目は潰したほうが良いわね……
「まてまてまて、どうして何も言わず指を……やめんか!」
「あなたがあまりにもふざけた事をぬかすからですよ
しかたないから、そのかわいそうな頭にも分かりやすく教えて差し上げますわ」
「なんつー上から目線……まあいい
で?なんだ?
まさかスパ…」
「まずは目を目いっぱい開きなさい
そしてあちら……ほら、美の化身がいるでしょう?
あの方はヴァーリ様といって、この腐った世界において唯一の……」
「……え?お前何が見えてんの?
たしかにこの方角なら帰還陣のある方向だが……俺にすら見えない距離なんですけど?」
「はあ……それはあなたの低能力のせいね
残念ね、あの方の美しさを味わえないなんて」
「(て、低能力?この総督の俺が?
つーか、本当にあの向こうが見えてるのか?いやいやまさか、見えるとか見えないとかの距離じゃねえぞ
た、たしかにこの時間ならあいつも帰ってくる時間だが……まさかな)」
「何か喋ったらどうかし……ああいえ、出来ればそのまま何も話さず口に出さず、息すら止めて死んだらどうかしら?」
「ひでえなおい?!
……とりあえず、お前が何をしていたのかは置いておいて
お前は誰だ?俺はお前みたいなやたは知らんのだが……」
さて、この女性は説明において、全くと使い物にならないので説明することとする。
まずは、言いそびれているものの、この男はこの界隈、組織においてトップを冠する男。名をアザゼルという。
完全にビックネームである。
にも関わらず、その総督である自分を知らないということは──という考えのもと、この女は他種族のスパイでは?と考えたのだ。
そんなこんなでアザゼルに話しかけられたストー……愛の奴隷である
「ふっ、下級堕天使レイナーレ様よっ!」
「ふむふむ、下級……なんでえらそうなの?!」
愛すら凌駕しヴァーリの元へ、影から見守り十数年。
その特殊な思考は他知れど個知らず。
追っかけで得た技能は数知れず。
もはや立派なストーカーと化した……
下級堕天使れいなーれさんである。
そんな彼女の物語。
ハジマリはじまりーー
変態が技術を得たらこうなる。