本編の話の流れとは少し外れているので、『??皿目』としてあります
そしてまだ本編で登場していない艦娘たちが登場するのでご注意ください
お詫びが一つ
タイトルは夕立のセリフですが、今回のメインではありません。
全国の夕立ファンの皆さま、すみません。
そして、今回は特別編という割には
いつもと同じような感じになってしまった気がします
イベント感を出すのって難しいですね
それではどうぞ
??皿目:素敵なパーティーしましょ1
鎮守府が本格稼働し始めてしばらく経ち、所属している艦娘の数も順調に増えているらしく、うちの店にもたくさんの子が来てくれている。そして、お手伝いの方はいつの間にか新規着任艦の研修の一部に組み込むことになったらしく、一、二週間ごとに何人かずつ来るようになっていた。
そんな日々を送っていたある日のこと
「なーなー、てんちょー。もうすぐクリスマスだろ、なんかしようぜぇ!翔鶴さんもそうおもうだろ~?」
「こら、佐渡ちゃん。あんまり店長さんを困らせてはいけませんよ?でも、そうですね……この島に来てから皆さんにはお世話になりっぱなしですし、ちょうどいい機会ですから、お礼の意味も込めて何かできたらいいですね」
今週のお手伝い艦の佐渡ちゃんと翔鶴さんがそんなようなことを言ってきた。
ちなみに、佐渡ちゃんは幼稚園児か小学校低学年くらいの小さな子で、駆逐艦よりも小さい海防艦とかいう艦が元になっているらしい。ちょっぴりヤンチャな元気っ子だ。そして翔鶴さんは加賀さんなんかと同じ正規空母が元になっているお姉さん艦だ。あふれ出るお姉さんオーラが半端ない。
それにしても、クリスマスっぽい何かねぇ……一応さくらとはこないだやったカレーパーティーみたいな感じでパーティーをやろうという話はあるのだけれど、この子達はこの子達で何かやりたいってことだよね。
「佐渡ちゃん、例えばどんなことがやりたい?一応パーティーはやるつもりでそっちの司令官と話はしているけど……」
「ケーキ!ケーキつくろうぜぇ!佐渡様がどでかいのこしらえてやるよ」
試しに佐渡ちゃんに聞いてみたら食い気味に返事をしてきた。そうかケーキね、確かにこれくらいの年頃の女の子は作りたがるよね。『どでかいの』はともかく、翔鶴さんと二人で作ってもらうのもありかもな。
「ケーキかぁ、どうです、翔鶴さん。二人で作ってみませんか?」
「わぁ、いいですね!でも、難しくありませんか?」
翔鶴さんに振ってみれば、やりたいとは思っているようだけれど、チラリと佐渡ちゃんの方を見て不安を漏らした
「そうですね、確かに本格的なものは佐渡ちゃんには難しいかもしれませんが、簡単なもので少しずつバリエーションを変えて何種類か作るのはどうですか?例えば……」
そうして佐渡ちゃんにも手伝えそうで、かつ作っていて楽しそうなものを提案する。
「なるほど、それならばできそうですね。それに色々変えて楽しめそうです」
「いひっ!いいじゃんかそれ、やろうやろう!」
佐渡ちゃんも横で聞いていていいと思ったのか、賛成してくれた。よし、それじゃコレで行こう。
迎えた十二月二十四日。今日はクリスマスイブ、さくらと話していたパーティーは明日貸し切りでやる予定なので、今日は通常営業なのだけれどせっかくなのであるメニューを出すことにした。
それは『クリスマス限定 艦娘特製ケーキセット』だ。昨日試しに作ってみたら、十分形になっていたので急遽メニューに加えることにした。翔鶴さんもこの島の人たちに何かお礼をしたいと言っていたので、島民限定のお値打ち価格でご提供だ。
そして現在厨房では、二人の艦娘が急ピッチでそのケーキを作成中である。
まずは翔鶴さん。彼女は現在ひたすらクレープ生地を焼いている。小麦粉・卵・砂糖・牛乳・ベーキングパウダー・バターを混ぜた生地をフライパンに落とし広げて焼いていくのだが、すでに数十枚焼いているにも関わらず、翔鶴さんは疲れた様子も見せずに楽しそうに作業を続けている。
途中で変わろうかと聞いてみたが、やんわりと断られてしまった。作るのが本当に楽しいのと、みんなに食べてもらえるのが嬉しいのだそうだ。
一方佐渡ちゃんはと言えば、ひたすらクリームをホイップしている。もちろん、ホイッパーでは大変なので電動ハンドミキサーを使わせているが、「いひひっ」と楽しそうにやっている。時折跳ねたクリームが顔についたり、味見と称して何度も舐めたりしているのはご愛敬だろう。
そしてこのクリーム、今回は何種類か用意している。まずは普通のホイップクリーム、そして苺ジャムを混ぜた苺ホイップとココアパウダーを混ぜ込んだココアホイップ、甘さを抑えてクリームチーズを入れたチーズホイップも作ってある。
と、ここまでくればわかるように今回二人が作っているのは『ミルクレープ』である。クリスマスと言えばブッシュドノエルや定番のショートケーキなのかもしれないけれど、さすがに佐渡ちゃんには難しいだろうし、苺を乗せただけで『一緒に作った』っていうのは……さすがに納得いかないだろうからね。
一通り準備を終えたところで、クレープ生地の熱を取るため一旦休憩を挟む。この間に朝ご飯だ。
メニューは当然というかなんというかクレープである。さすがにこれだけの枚数を焼いていると失敗して破けてしまう物もそれなりに出てくるからね、それらを使って食事系のクレープを作っておいた。
一つはレタス・チーズ・トマト・ハムを乗せてマヨネーズをかけて巻いたサラダクレープ。もう一つはレタス・スクランブルエッグ・スライスして軽く焼いたソーセージを乗せてケチャップをかけて巻いたボリュームたっぷりのクレープの二種類だ。
「これは……甘くないクレープもあるのですね」
翔鶴さんが不思議そうに聞いてきたが、生地の甘さと具材のしょっぱさが意外とマッチして美味しいんだよね。このタイプは手で持って食べるより、お皿に乗せてナイフとフォークで食べたほうがいいかもしれない。
あぁそうだ、今思いついたけど、手巻き寿司ならぬ手巻きクレープパーティーなんかも面白いかもしれない。少し小さめに焼いた生地を用意しておいて、ホイップクリームやカットフルーツのほかにも今使ったような野菜や卵、ソーセージやベーコン・ハンバーグなんかを用意して好き勝手に巻いて食べてもらう。今回のパーティーはもう別の企画を考えているので出来ないけど、次回はそれにしてみようかな。
「お!これうまいぜ!翔鶴さんも食べてみなよ」
そんなことを考えていたら、佐渡ちゃんはさっそく食べ始めていたようで、口の横にケチャップをつけて翔鶴さんに勧めている。それを「あらあら」と言いながら拭いてあげている翔鶴さんはほんと『お姉ちゃん』だ。
実際彼女には『瑞鶴さん』っていう妹がいるらしいのだけれど、その子といる時もこんな感じなのだろうか?
「あの……店長さん。もう一つずつ……よろしいですか?」
楽しそうに話しながら食べている二人を微笑ましく見ていると、翔鶴さんが伏し目がちに、こちらを窺いながらお皿をさしだしてきた。佐渡ちゃんはもう十分なようだが、流石に正規空母娘さんには足りなかったようだ。幸か不幸か、まだ失敗クレープもあるので手早く作ってあげる。残りの失敗作はあとでクリームの残りを使っておやつにしようか。
朝ご飯休憩を終えて、さっそく作業に戻る。翔鶴さんが焼いたクレープ生地に佐渡ちゃんがクリームを塗っては生地を重ね、塗っては重ねと層にしていく。時々塗りすぎてはみ出したりしてしまっているが、とても楽しそうに作業を続けていく。ここでもやはり、ちょいちょいクリームを舐めているのは……まぁいいか。
その後無事に開店までに作り終えて、販売を開始できた。最初に来たのは、なんとうちの母親だった。というのもこの母親、休みなのをいいことに近所の奥様方と開店早々お茶しに来たそうだ。もっともこの人は、島に戻ってきてからしょっちゅう来店しているので今さらなのだが。
そしてその母親を皮切りに、一緒に来ていた奥様方や別の女性客の方々が注文してくれた分を翔鶴さんと佐渡ちゃんが準備している。
その彼女たちが厨房から出てきた時だった。
「きゃー、佐渡ちゃんかわいいー!」
「おぉ、翔鶴さん……来てよかった……」
うちの母親と来ていた奥様方や、遅番で出勤前のモーニングを食べに来たおっさんから黄色い?歓声が上がった。というのも今日の彼女たちはクリスマス衣装、所謂サンタコスというやつなのだ。これがまた良く似合っていてかわいい。
さくらに話を聞いた時には、なんでこんな衣装が?と思ったのだが、これは本土の自衛軍本部から送られてくるそうで、普段大変な任務をこなしている艦娘たちにせめてかわいい衣装で楽しんでもらおうという一種の福利厚生らしい。
クリスマス以外にも季節のイベントごとに様々な衣装が用意されているらしく、艦娘たちも楽しみにしているようだ。そして、この衣装のままでも通常の衣装と同じような機能が備えられているらしく、さくらはいろいろ説明してくれたけれど正直半分も理解できなかった。だから、一般人に話すことじゃないっての……ただ、最後に言っていた「かわいいからいいよね」という言葉には全面的に同意だ。
その後もキャーキャー言われながら、二人は給仕を続けていた。佐渡ちゃんは可愛い格好とは裏腹にやんちゃな言葉遣いがご婦人方にウケていたし、翔鶴さんは予想通り男連中に大人気だ。
そして、いつも以上に忙しい――多分彼女たちのクリスマス衣装が口コミで広がったせいだろう――ランチタイムが終わり、二人にはつかの間の休憩時間。
「いやー、おつかれさま。二人ともどうだった?」
「本当に疲れましたね。でも佐渡ちゃんも頑張ってくれましたし、何より島の皆さまが喜んでくれたみたいで、私も嬉しいです!」
「いひっ、翔鶴さんの言うとおりみんな喜んでくれたみたいだったぜ!おばちゃんたちになでられまくったのは勘弁だぜ……」
普段の落ち着いた感じではなく、少しテンション高めに話す翔鶴さんといろんな人にかわいがられて少しお疲れ気味の佐渡ちゃんが答える。
「でもさー、やっぱ自分が作ったものをおいしいって言ってくれるのはうれしーよな!てんちょーの気持ちがわかったぜ!」
普段佐渡ちゃんは運ぶ専門だからね、初めてお客さんに食べてもらったから余計に嬉しいらしい。これをきっかけに料理に興味を持ってくれたら嬉しいな。
そんな感じで休憩中楽しそうに喋る佐渡ちゃんと、彼女の話を優しく聞く翔鶴さんの姿にほっこりしつつ、二人にお茶を入れる。接客はしばらく任せてもらって、二人にはもう少し休憩を取ってもらおう。
まだまだ午後も頑張ってもらわなきゃね。
はい、特別編その一は翔鶴姉ぇと佐渡様が
島の人たちをサンタコスでおもてなしです
色々とクリスマスネタは考えたのですが
結局無難に今回のクリスマスmode 2017艦から選んで彼女たちにしました
佐渡様かわいい
明日は特別編その2、艦娘たちのパーティーです
前回のカレーパーティー的な感じでいく予定ですが
今度のメニューは何でしょうかね
お読みいただきありがとうございます