短いうえに本編とは関係ないので、軽い気持ちで読んでもらえればと思います
「はぁ、今日もなんだかいつもと違いましタ……」
その日の秘書官業務を終えて、家に戻った金剛はリビングで紅茶を飲みながらため息をついていた。
「どうしたのですか?お姉様。ため息などついて……まさか、提督にお叱りを?」
「イイエ、テートクはいつも通りお優しかったですヨ……ただ、最近素っ気ないというか、ソワソワしてる気がするデス」
そんな物憂げな姉に、新しい紅茶を注ぎながら心配する霧島に対して金剛がそう答えたところで、室内に電話のベルが鳴り響いた。
「はい、霧島です……えぇ、居りますが。はい……は、今からですか?…………なるほど、そういう事でしたら喜んで……はい。失礼します」
「テートクでしたか?」
気になって訊ねた金剛に、霧島が無言で笑みだけを返すと、金剛はキョトンとした顔で首をかしげた。姉ながら可愛らしいその仕草に、からかいたくなるのをグッと堪えて、先程の電話の用件だけを簡単に話す。
「ええ、司令からでした。ちょっと相談したいことがあるそうなので、帰ったあとで申し訳ないが、ちょっと来てほしいという事でした」
「ナルホド、了解デス。ではちょっと言って来ます」
行ってらっしゃいませ、と霧島に手を振られて家を出た金剛は、すぐに提督執務室に着いて、その扉を叩いた。
「テートク、お呼びと聞いて来マシタ。どうかしたデス?」
「金剛、君には鎮守府立ち上げから今までずっと世話になっていたからな、その感謝とこれから先もよろしくという事で、コレを受け取ってくれないか?」
金剛の手のひらの上にそっと置かれたのは、ネイビーブルーの上等なベルベットで覆われたリングケースだった。
「テ、テートク……コレって……」
「あぁ、さっき大本営から書類一式と共に届いてな。今までさんざん待たせてしまったから、準備ができた以上いても立っても居られず、君を呼び出してしまったと言う訳さ。自惚れや勘違いでなければ、受け取って貰えると思っているのだが……」
そう言いながら提督が指差した先には、金剛が求めてやまなかった書類一式がそこにあった。そして、必死にこみ上げてくる感情を押さえながら、いよいよ手の中のものを確認する。
両手で大事そうに包み込みながら、その小さな箱をゆっくりと開けて行くと、少しづつ開いていく隙間から強い光が漏れてくる……まるで探照灯のような……
「え?テートク?なんか光が!……テートク!?」
金剛がそう言葉を発した瞬間、彼女の意識が途切れた……
「……さま!金剛お姉さま!そろそろ起きて準備しませんと、今日は店長さんのところに『お雑煮』を食べに行く約束では?」
次に金剛が目を開けたのは、いつもの自分のベッドの上だった……
「あ……夢……でしたカ」
「どうしたのですか?顔が緩んでますが、なにかいい夢でもごらんになりましたか?」
「ハーイ!それはもう……あっ、いえ、忘れでしまったみたいデース」
霧島はそこまで気にしていない様子で「ま、そんなものですわね」と出ていってしまったので、金剛は身支度を整え始めた。ヘアウォーターで髪を湿らせて、頑固な寝ぐせに櫛を通したら、いつもの髪形を作っていく。三面鏡に映る自分の表情は、なるほど霧島の言う通りどことなくにやけている気もする。
そんな自分の表情を見ながら、金剛は一言つぶやいた
「ふふふっ……ヒデト提督ですカ……悪くないですネ」
はい、特別編のおまけ
金剛の初夢です
初夢に出てきた提督って誰なんですかねー(棒)
ホントはもう何人か初夢ネタをやりたかったんですが
残念ながら時間がありませんでした。
すいません
このあと本編として十五皿めその1を投稿いたします
お読みいただきありがとうございました