鎮守府島の喫茶店   作:ある介

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『目指せ飯テロ』とか言っておきながら、昼間では大した威力がないことに後々気づいたので、明日予定していたものを前倒しで投下します
(二皿目1~3を予約投稿)

さっきのはほとんど料理描写なかったし、これくらいの時間ならテロになりうるか……?

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二皿目:金剛姉妹と初めての喫茶店1

「いらっしゃい金剛さん、どこでも空いているとこに座ってください」

 

「はい、ヒデトさんどうぞ。開店のお祝いデース!」

 

「こんな立派な花束……ありがとうございます」

 

 カウンター席に腰を下ろしながら、大きな花束を手渡してくる。正直花の名前なんてわからないのだが、色とりどりの花がまとめられていてとてもきれいだ。カウンターの端にでも飾っておいたら店も華やかになるだろう。

 

 確かどこかに花瓶らしきものがあったような……と戸棚を漁っていると、カウンターから声がかかる。

 

「それで、ヒデトさん。今日はMy sisterの一人を連れてきたので、ご紹介するネ。ほかに二人いますが、彼女たちはまだ着任してないノデ……霧島ーCome in!」

 

「失礼いたします」

 

 そう言って入ってきたのは、金剛さんと同じような衣装を身にまとったメガネの女性。スーツが似合いそうな知的美人だ。

 

「どうぞ、いらっしゃいませ。えーっと霧島さん?」

 

「はい。はじめまして、霧島です。よろしくお願いいたします」

 

 これはこれはご丁寧な挨拶を。見た目通り真面目な子のようだ。

 

「とりあえず、飲み物でも用意しようか。なにがいいかな?初めてのお客さんだし、サービスするよ」

 

「そうデスネー、でしたら紅茶が飲みたいネー。霧島もそれでいいデスカ?」

 

 二人とも紅茶でいいとの事なので準備を始める。

 

 実は昨日食材のチェックをしていてこの紅茶の種類も確認したのだが、このご時世でよくもこれだけ多くの産地から集められたものだと驚いた。ヨーロッパからの輸入はあまり回復していないという話だったが、どうやら日本企業がインドやスリランカなどの産地で加工しているようだ。詳しい話は聞いていないのでわからないが、伝手でもあるのだろう。

 

 まさかとは思うが、金剛さんが紅茶好きだからこれだけの種類をそろえたなんてことはないよな。確かにこの店を作るにあたって、さくらと一緒にあれこれ意見を出したらしいから品ぞろえにも口は出せなくないけど……いくら紅茶の本場イギリス生まれだからってねぇ……

 

 まぁ、そんなくだらない考えは置いといて、お茶の用意を続ける。

今回はキャンディという茶葉にしよう。これはスリランカのキャンディ地方で作られている茶葉で、クセがなくスッキリとした味わいでなんにでも合わせやすい種類の茶葉だ。今日はこの後食事も控えているし、金剛さんたちの好みもわからないので渋みも少ないこの茶葉を選んでおこう。

 

 修業で教わった通りの手順で紅茶を入れていく。

 

 カップとポットはしっかり温めておいて、ポットが温まったところでお湯を捨てて茶葉を入れ、しっかり沸騰させたお湯を注ぐ。茶葉が元気に跳ねているのを確認して、ティーコジーをかぶせて砂時計をセットし、しばらく蒸らす。その間にカップのお湯を捨てて、ストレーナーをセット。そうしているうちに砂も落ち切ったので、ティーコジーを外してカップに注いでいく。濃さと量が同じになるように交互に注ぎながら、最後の一滴まで入れたところで二人の前に。

 

「どうぞ、おまたせいたしました」

 

「アリガトゴザイマース。ンー良い香りデース。入れ方も素晴らしかったので、これでおいしくなかったら茶葉のせいデスネ」

 

「確かによい香りです。それに金剛お姉さまがお入れになるときのような手際の良さでした」

 

「それは当然ネ!ヒデトさんはprofessionalですカラ……ワタシの方がまだまだデース」

 

 入れ方を褒められるのはなんだか照れるな。ポイントさえきちんと押さえればさほど難しいものでもないんだが、大事なのは手早くやることなんだよね。ただ、手早くやるためにはきちんと手順を身につけて手際よくやることが大事なんだけど、それを理解してくれるっていうのはやっぱそれだけ紅茶が好きってことだよな。そんな彼女がおいしそうに味わってくれているのを見ると、嬉しくなるね。

 

「さて、お二人さん。まだ、仕入れがしっかりしてないんで、できる物が限られてるんだが、どういたしましょう?ちなみに、これがランチメニューだよ」

 

 そう言って俺はメニューの書かれた一枚の紙を渡す。紙と言っても、それなりにメニューとして見られるようなデザインと装丁にはしてある。応急とは言えしばらくはこれでいく予定だし、ペラ紙一枚渡してハイどうぞってわけにはいかないからね。

 

 メニューを受け取った二人が、さらっと流し見た後にお互いに目を合わせて頷いた後、金剛さんが徐に口を開いた。

 

「ヒデトさん。実は恥ずかしながら、ワタシたちはこういうお店に来るのは初めてなのデス。霧島をはじめ、他の子たちはほとんど鎮守府からは出たことがありません。ワタシも秘書艦としてテートクと一緒に何回か外に出たことはありますが、お仕事でしたのでこういったCoffee ShopやDinerに立ち寄ることもなかったのデス」

 

 えっと今言った英単語は、喫茶店や食堂ってことで良いのかな?それで何を頼んでいいかわからないってとこか……でも、今までいた鎮守府だって食堂はあるって昨日聞いたし、レトルトなんかもあるから食べたこともないってことは無いと思うんだけど。

 

「ハイ。もちろんCanteenにもあって、食べたことがあるMenuも多いデス。デスガ……せっかくなので、ヒデトさんが『これがキッサテンだ!』と思うMenuを教えてほしいネ」

 

「なるほど、そうだったのか。そういう事なら任せてくれ、喫茶店と言えばコレっていうのを用意するよ……では、少々お待ちくださいませ」

 

 そう言ってちょっとわざとらしくお辞儀をして厨房へと引っ込む。さて、一応メニュー表に載ってるのはどれも喫茶店らしいメニューではあるのだが……その中でも特に喫茶店メニューと聞いてイメージするのと言えばこの二つだろう。とあるメニューを思い浮かべながら準備を始めた。

 

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