鎮守府島の喫茶店   作:ある介

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タイトルからお分かりかと思いますが、今回はあの子達です
ただ、前後半で分かれるので彼女たちが出てくるのは後半になってしまいますが……

その分前半は飯テロ成分マシマシ?でお送りします


二十五皿目:スク水魅惑のマーメイド1

 今日は店の定休日なんだけど、朝から鍋とにらめっこを続けている。むしろ休みだからこそ長時間鍋だけにかかりきりになれるとも言えるけど。

 

 それで、今日は何をしているのかと言うとラーメンスープの仕込みだ。この間の皿うどんの時に中華麺を作って以来、ラーメン欲求が高まり続けていたのでこの休みを利用してスープを仕込んで、明日のランチにでも数量限定で出そうかなと思っている。

 

 今回作っているのはごくごくシンプルな鶏ガラスープだ。昔ながらの醤油ラーメンってのを作ろうと思っている。

 

 軽く下茹でして汚れを取った鶏ガラ・もみじと鶏脂を、うちにある一番でかい寸胴で煮ていく。と言ってもラーメン屋にあるのより二回りくらい小さいものだけれど、それでも二十人前は余裕で作れる。

 

 この寸胴で、何回か丁寧にアクを取りながら煮たら、生姜・ニンニク・玉ねぎを入れてさらに煮る。さらに一・二回アクを取ったら、長ネギの青い部分を入れて一時間ほど煮込んでいく。その後、一晩水につけて戻した、干しシイタケとその戻し汁を鍋に入れて、さらに煮込んでいく。そして今はこの作業中という訳だ。このまま火加減に注意しながら二・三時間くらい煮込めばベースの完成だ。

 

 実際にラーメンのスープとして使うには、これにだし昆布と醤油・酒で作ったかえしと合わせて使う。

 

 さて、これを煮込んでる間にチャーシューも作ろうかね。使うのは豚バラ、これの表面にフォークで何か所か穴を開けたら、フライパンで表面に焼き色を付けて、醤油・酒・みりん・長ネギ・しょうがを入れて煮ていく。うん、今日の昼飯はこれの味見がてらチャーシュー丼にでもしようかな。

 

 チャーシューの方はある程度煮たら火を止めて、味を吸わせる。後は寸胴の火も弱めて、蓋をしたところで

 

「んー!あー……久しぶりにやると肩こるな」

 

 独り言にしては少し大きな声を出して一つ伸びた後、ちょっと外の空気を吸いに店の正面に出てみる。目の前の道路を渡ればそこはもう大海原が広がっている。すると、高く上った太陽に照らされて、キラキラ光る波間に不思議なものを見つけた。

 

「あれは……人か?でもこんな時期に海水浴って訳じゃないよな。となると艦娘なんだろうけど……」

 

 でも、艦娘なら海の上を走るだろうし……遠くて良く見えないけど、色とりどりの髪色をした女の子が泳いでいるように見える。と、しばらくすると潜ってしまったのか姿が見えなくなってしまった。

 

……あれ?全然浮いてこないけど大丈夫なの?沈んだとかじゃないよね。やばい、ちょっと焦ってきた。とりあえず連絡したほうがいいかな。

 

「えっと、さくらの番号は…………あ、もしもし。おう、お疲れさん、ってそれより今店の前の海眺めてたら、人っぽい影が何人か見えて海に沈んでいったんだけど!髪色が派手だったから艦娘だと思うんだけどさ……あぁ……え?そうだけど……そうなの?なんだ、焦って損したわ。うん、休みだけど……あぁ、大丈夫。了解、じゃあまたな」

 

 なんだよ、潜水艦の子だったのか。あんな普通に泳いだり潜ったりするもんなのか。ありゃ初めて見たら他の人もびっくりするだろ、島の人間にも一言言っておいた方がいいんじゃないかな。

 

 っと、思いのほか時間が経ってしまった。店に戻って、鍋の様子を見つつ昼飯にすることにする。さっき思いついた、チャーシュー丼だ。

 

 ラーメンに使う分のチャーシューはバットに取り出して、冷ましておく。タッパーに入れて冷蔵庫にしまっておこう。そして、元々自分で食べる用に作っておいた小さな塊肉を切っていくと、中はほんのりピンク色で表面のタレの茶色とのコントラストがなんとも言えない。丼に白飯を盛り、上からチャーシューのタレを回しかける。その上にスライスしたチャーシューと白髪ねぎをのせたら、ラー油を垂らして完成だ。うん、我ながらうまそうにできた。

 

 コンロの横に丸いパイプ椅子を持ってきて腰を下ろし、鍋を横目にレンゲでチャーシュー丼を掻き込む。あぁ、うまい……トロトロになったチャーシューと、濃い目のタレが絡んだごはん。そこに白髪ねぎのシャキシャキ食感と辛味がアクセントを加える。ラー油も脇でいい仕事してるわ。

 

 半分ほど食べたところで、思い出す……そうだ、卵があった。

 

 煮卵用に作って殻をむいておいた大量のゆで卵を一つ取り出して、ご飯の上で軽くつぶす。すると割れた白身の隙間からトロリと流れ出す半熟の黄身。そこにタレをちょろっと垂らして混ぜて食べれば……もう何も言うまい。

 

 普段の俺からしたら、ちょっと盛りすぎたかなと思った量だったけど軽く平らげてしまい、しばらく食休みを挟んだ後作業に戻る。

 

 ちょっと深めの鍋に大量の半熟ゆで卵を入れ、そこに先ほどチャーシューを煮込んでいたタレを注ぐ。ラップをして冷蔵庫で一晩漬けこめば、最高の煮卵が出来上がるはずだ。

 

 そして、実は先ほどさくらに電話をしたときに、例の潜水艦の子達を連れていくので、何か食べさせてあげて欲しいと言われている。なので、本来であれば後はスープを完成させて、今日の作業は終了の予定なのだが、せっかくだから出来立てのラーメンでも食べてもらおうということで、麺を作ることにする。

 

 作り方自体はこの間と一緒だが、今回は若干太めの平打ち縮れ麺にしよう。捏ねて、踏んで、寝かせて、とやっているうちに、スープの方も良い感じになった。キラキラと脂が輝く、澄んだ黄金色の鶏ガラスープだ。とりあえずこの後使うだろう分を残して、明日の分はこし器にかけながら、いくつかの小さな鍋に移し替えて冷蔵庫に入れておく。

 

 その後、夕方になり寝かせた生地を製麺機にかけて、縮れを出すために揉んでいると店の扉が開けられて、さくら達が入ってきた。

 

「秀人ーきたわよー……さ、みんなも入って入って」

 

「いらっしゃーい……って、おぉぅ。その格好は……」

 

 出迎えるために店の方に出てみれば、さくらと一緒に入ってきた子達の露出度が……。軍人っぽい濃い目のオリーブグレーの服を着た、灰色の女の子以外はみんなスクール水着だったのだ。一応上にパーカーなどを羽織ってはいるけれど、艶めかしいおみ足がなんとも目に毒だ。思わず、さくらに耳打ちしてしまう

 

「ちょっと、あの格好はどうなのさ、もうちょっとほかに無かったのか?」

 

「そう言われても、あれがあの子達の艤装の衣装なのよ。あれで来たから代わりも無くてさ。とりあえず上は羽織らせたし、寒さは感じても艤装の効果で凍えることは無いらしいけど……あんまり見ちゃだめよ」

 

 とりあえずってことは、本来はあのパーカーも無かったって事か。凍えないからいいってもんじゃないと思うけど。

 

 まぁ、いつまでも彼女たちを放っておいて内緒話を続けるわけにはいかないので、まずは俺から自己紹介をしておこうか。

 




目の前で女の子が水に潜ったまま浮かんでこないのを見たら
それはもう慌てると思います
そして容姿描写からわかるかと思いますが
出てくるのはろーちゃんではなくユーちゃんです
うちの子がまだユーちゃんなので……


次回、スク水deラーメン(←わけがわからないよ)


お読みいただきありがとうございました
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