鎮守府島の喫茶店   作:ある介

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昨日の後書きに書いたように
今日は『スク水deラーメン』です

あ、内容は健全ですので悪しからず


二十五皿目:スク水魅惑のマーメイド2

 あまり生足が目に入らないように、どうにか目線を下げないようにしながら――とは言え身長差があるので、下を向かなければならないのが辛いところだが――自己紹介をすると、彼女たちも順番に自己紹介をしてくれた。

 

「はい、潜特型一番艦、伊400です。『しおん』って呼んでくださいね」

 

「伊168よ、『イムヤ』でいいわ、よろしくねっ!」

 

「Guten Abend 伊8です。『はち』と呼んでください」

 

「伊19なの!そう、『イク』って呼んでもいいの!」

 

「こんばんは!伊58です。『ゴーヤ』って呼んでもいいよ。苦くなんかないよ!」

 

「ドイツ海軍所属、U-511です。『ユー』とお呼びください」

 

 みんな正式な名前は数字らしく、特別な愛称みたいなのがあるみたいだ。潜水艦は水上艦以上にわからない俺でもユーちゃん……ドイツのUボートは聞いたことあるな。そして、彼女たちはこの島の鎮守府所属という訳ではなく、ほかの鎮守府から演習のためにやってきたらしい。

 

「じゃあ、とりあえず適当に座ってもらって……今日は店が休みなんで、作れるものも限られてるんだけど、さっきまで仕込んでたラーメンがあるんだ。修行以来久しぶりに作ったんだけど、味見がてら食べてみてくれないかな?喫茶店でラーメンっていうのもアレだけど。」

 

 もちろんほかに食べたいものがあれば作るよ、と付け加えつつ聞いてみると真っ先に手を挙げたのはしおんちゃんだった。

 

「ラーメン!ぜひ食べてみたいです。たまに食堂のメニューに載るのですが、自衛軍の方曰く『なんだか味気ない』ということなので、ちゃんとしたのは食べたことないんです」

 

「ユーも……Japanのラーメン気になります……」

 

 しおんちゃんに続いてユーちゃんもそう言うと、ほかの子達もラーメンで良いということでちょっと安心した。のと同時に、なんだかハードルも上がった気がする……

 

 おまけというわけではないけれど、俺が昼に食べたチャーシュー丼のミニサイズもつけようか?と聞いたら、みんな食べるという事なのでさっそく調理に取り掛かる。

 

 大きめの中華鍋にたっぷりのお湯を沸かし、麺を投入していく。この中華鍋だと、一度に茹でられるのは二玉くらいが限度、それ以上ではうまいこと麺が泳がないからね。グラグラ沸騰しているお湯で三分ほど茹でたら、平ざるに取って湯切りをして、用意しておいたスープの中に入れる。その上に乗せる具はチャーシュー三枚と半分に切った煮卵一個分、なるとにメンマ、海苔という懐かしのラインナップだ。とりあえずこれを……

 

「さくらー、ちょっと手伝って!」

 

 運ぶくらいはできるだろうと、さくらを呼ぶ。「しょうがないにゃー、メンマサービスしてね」なんて言いながら、なんだかんだで手伝ってくれた。あいつ昔からメンマ好きだったもんな。

 

 待たせると申し訳ないので、次々完成させていく。最後にミニチャーシュー丼をまとめて作って持って行けばひと段落だ。

さくらと一緒にミニ丼を持ってホールに行くと、ふぅふぅ、ずるずるとラーメンをすする音が聞こえてくる。

 

「はい、チャーシュー丼おまたせ」

 

「わぉ!待ってました!このチャーシューを使った丼なんて美味しくない訳がないわ!」

 

「ねぇねぇマスター、このラーメンとってもおいしいのね、麺もツルツルシコシコ、お肉もトロトロで、イク幸せなのねー」

 

 持って行ったチャーシュー丼にさっそく取り掛かるイムヤちゃんと、頬に手を当てて、どこか恍惚とした表情で感想を言ってくるイクちゃん。この子はなかなか危険な子のようだ、とある部分も含めてあまり直視できない。

 

 と、そんな彼女から目線を外した先には、ちょっと悪巧みをしているような顔をしながらご飯の上で煮卵を崩しているゴーヤちゃん。その食べ方に気が付くとは流石だ。だがその顔は女の子としてはどうかと思うよ?気持ちはわかるけど。

 

 テーブルを挟んで反対側の席では、箸を使いなれていないユーちゃんにはっちゃんが教えているようだった。

 

「ユーちゃん、フォーク使うかい?」

 

「Danke……でも大丈夫、です。がんばり、ます」

 

「うん、がんばってゆーちゃん。これはお箸の方が美味しく食べられるわよー」

 

 はっちゃんの言う通り、ラーメンは箸の方が美味しいと思うから、頑張って。全然使えない訳じゃないみたいだし、美味しそうに食べてくれているから大丈夫だろう。

 

 みんなの空いたグラスにお冷を注ぎなおして、さくらが座るカウンターに戻る。

 

 さくらと何気ない会話をしていると、不意にさくらがお礼を言ってきた。

 

「休みなのにごめんね。実はこの島のことは他の鎮守府でも話題になっててね、あの子達も鎮守府の外で食べるってことを楽しみにしてたのよ……でもラーメン仕込んでたなんてナイスタイミングだったわ。まだこの島ラーメン屋ないもんね、久しぶりにちゃんとしたラーメン食べた」

 

「話題になってんのか……ま、喜んでもらえて何よりだ。それにしてもあの子達演習で来たって言ったっけ?今日だけか?」

 

 昼間あの子達を見たときは驚いたからね、もし今後も似たようなことがあるなら聞いておきたいし、島のみんなもびっくりするだろう。

 

「そうね、あの子達にはしばらくこの島に滞在してもらいながら協力してもらって、うちの子達の対潜戦闘を鍛えようかと思っててね。どうもこの辺りにも時々敵さんの潜水艦が現れるみたいだから。とりあえず、昼みたいなことにならないように案内流しとくわ」

 

「ふーん、じゃぁ今後も店に来ることがあるって訳だ。今度は喫茶店らしいメニューを食べてもらわなきゃな」

 

「んー、それもそうかもしれないけど、今日は今日で満足してるみたいだし、いいんじゃない?……ほら」

 

 そう言ってさくらが指さした方を見てみればいつの間にか食べ終わっていたらしく、それぞれあれが良かった、これが美味しかったなどと話をしていた。

 

 静かそうに見えたユーちゃんも、はじめて食べたラーメンのおいしさをちょっと興奮気味にはっちゃんに語っているみたいだし、ゴーヤちゃんは椅子の背もたれに体を預けて「ごちそうさまでち……もう、いっぱいでち……」なんてお腹をさすっている。

 

 するとテーブルの端に座っていたしおんちゃんがこっちに気が付いて、お礼を言ってきた。

 

「店長さん、ごちそうさまでした。普段食べるインスタントや食堂のものとは違って、味わい深くとてもおいしかったです!なにより、こんなおいしいものを作ってくれる店長さんの他のお料理も食べたくなりました。また来てもいいですか?」

 

「もちろん、ラーメンはたまにしか出さないけど、他のも自信あるからね。いつでもおいで」

 

 しおんちゃんのお礼に照れながらもそう返すとほかの子達も手を挙げて、自分も自分もとアピールしてきた。そんなみんなの様子を見てさくらは笑みを深めると、この後も予定があるということで、会計をしてみんなを連れて帰っていった。

 

 どれもスープまできれいに飲み干されていたラーメン丼を片付けながら、今度来た時は潜水艦のことをいろいろ聞いてみようかな、なんて思っていた。

 

 

 翌日……昼のランチタイムから数量限定で販売した醤油ラーメンは、一瞬で完売した。いくらこの島にラーメン屋が無いからって、みんなラーメンに飢えすぎだろう……こりゃちょっと迂闊だったかな……

 




水着でラーメン……海の家かな?



とりあえずうちにいる子達を登場させました。
しおんはこないだのイベントで落ちたけど、ほかの子達は全然来てくれません……
まるゆは……今はいません……今は……(意味深)


お読みいただきありがとうございました

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