「そういえば、今朝うちの前を通った子達が今日は来れないって残念がっていたみたいなんだけど、何か聞いてるかい?やっぱ開店時間が短いかな」
「いえ、開店時間は大丈夫ですが、皆サンこのお店ができるのを楽しみにしていたので、放っておくと開店と同時に押しかけそうだったデス。なので、こちらで空き時間のscheduleを調整して一度にたくさん来ないようにしたデスが……ご迷惑でしたカ?」
そうだったのか。まぁ、もうちょっと来てくれても全然かまわないんだけど、店のキャパより俺のキャパが持つかわからないし、かえってありがたかったかも。一人で店を回すのは初めてだし……そう考えると早めにホール役だけでも雇った方がいいのかな。
「ご迷惑でなければよかったデス」
金剛さんはちょっと気にしていたようで、俺の考えにほっと胸を撫でおろしていた。その横で霧島さんがおずおずと手を挙げて、口を開く。
「あの、マスターさん。そのホール役というのは料理ができなければいけませんか?」
「いや、お客さんの案内と水出し、注文を取って料理を出すって感じかな。後は片付けとか……忙しかったらレジもお願いするかもしれないけど、どうして?」
「えぇ、我々の中から人を出せないかと思いまして……できればローテーションで。いかがですか?お姉さま」
「……なるほど!さすが霧島!艦隊のbrainデス!テートクの許可は必要デスが、大丈夫だと思うネ!」
それはありがたいが、大丈夫なのか?任務とか作戦とかいろいろあるんじゃ……
「No problemネ、ヒデトさん。ワタシたちも常に作戦で海上にいるわけではありません。作戦出撃する艦隊や遠征任務の艦隊、鎮守府でいろいろお勉強する子達も居マース。ほかにもいろいろやることはあるのデスが、その中に組み込みまショウ!」
「えぇ、確か教育カリキュラムの中にも『島内活動』があります。本来は例の実験農場や牧場、養殖施設などが対象ですが、島民の皆さまのお手伝いや一般の方々とのふれあいが趣旨だったはずなので、この件も許可が下りるのではないかと」
なんだか二人の間で盛り上がってて置いてけ堀感もあるが、艦娘の中から人を派遣してくれるって事でいいのかな?
「だったら、一つ来てもらう子にお願いというか提案なんだけど、せっかくだから料理に興味がある子が良いかな。今はできなくてもいいんだけど、空いた時間に料理を教えたり、簡単なことなら手伝ってもらったりもできると思うからさ」
「ほんとデスか!?それはワタシ達としてもありがたいデース!こうしてはいられません!すぐに帰って企画書をまとめなければ……ヒデトさん、ごちそうさまデシタ。霧島、お会計をお願いしマス」
「は、はいお姉さま。ではお会計はこれで……はい、ありがとうございます」
霧島さんにお釣りとレシートを渡す……っとそうだ、もう一つ聞いておくことがあったな。
「今日はこの後誰か艦娘の子が来る予定はあるのかい?」
「はい、今日は夕方四時にfinishする子達が来る予定デース。外の看板を書いてくれた子達と引率のお姉さんたちデス。あとはその間に自衛官の方たちが何人か来るかもしれないネ」
おぉ、あの謎の言葉を書いた子達か。早めにお礼を言いたかったんだよね。引率のお姉さんも気になるが、じゃぁ今日はその子たちで店じまいだな。
「了解。では、二人とも気を付けて」
手を振りながら見送るが早いか、二人は店を飛び出していった。
「今夜テートクが帰ってくる前に、企画書をまとめなければ!霧島、おっそーい!」
「ちょ、お姉さまお待ちください。それに、そのセリフは島風ちゃんの……」
ま、まぁ元気があるのはいいことだよな。途中で転んだりしなければいいが……それにしてもあの二人は歩いてきたのか?いや、あの衣装の時は身体能力も上がるって金剛さんも言ってたし、これくらいの距離なら走っても大したことないのかな。最近年のせいか体力が落ちてきたように感じる身としては、若干うらやましい。
とりあえず、さっさと食器を片付けちまうか。金剛さんの話だと何人か自衛官の人たちも来るような事言ってたし……っと噂をすればさっそく……
「いらっしゃいませ、空いてるお席にどうぞ」
自衛軍の人たちに声をかけながら、お冷とおしぼりを準備していく。今は目の前のお客さんに集中しなくちゃ。
という訳で、二皿目終了です
ちなみに主人公は霧島さんを言葉通りの頭脳派だと思ってます。まさか武闘派なんてこれっぽっちも……
明日以降はこれくらいの時間に三皿目その一を投稿予定です。
以降一日2000~3000文字ずつで小分けに投稿していきますので、よろしくおねがいします。
もし長くて読みずらいorもうちょっと長くてもいい等ありましたら言っていただければと思います
お読みいただきありがとうございました。