再開の予定は今の所はないですが、今度はもっと設定を練りこんで、もっと話にボリュームを持たせることが出来るようになってからですね。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします
第100話
龍花ちゃん達を助けてくれ、そのまま海鳴に滞在していた八神龍也君達なのだが、今日尋ねてきてくれたのでお茶と茶菓子を用意してもらったんだけど、まさかの言葉に少しショックを受けていた。自分で言うのも何だが、この街は人も優しいし、良い街だと胸を張って言える街だからだ。だけど話を聞くと納得した
「そうなのかい……1度帰るんだね」
旅行に来ていてそのまま滞在していたから忘れていたけど、この街の住人ではないのだからこの街を離れるのは当然のことなのだが、少しだけ寂しいと思ってしまった。人のいい龍也君は結構気に入っていたからだ
「ええ。家族も心配しているので、長い事お世話になりました」
それはどっちかと言うと僕じゃなくて時臣のほうになると思うけど、礼儀として挨拶に来てくれたんだろう
「1度と言う事はまた来ることがあるのか?」
アーチャーがそう尋ねる。確かに1度と言っていたのでもう1度来ると言うのは充分に考えられるだろう
「機会があれば今度は家族を連れてこようと思います。ここはいい場所なので」
この海鳴の街は山も海もある。確かに良い場所と言えるだろう
「そうか。じゃあまたこんど会えると良いね」
僕はそう笑い龍也君を見送り、隣にいたアーチャーに
「お茶御代わり貰っても良いかい?あとお饅頭を」
「あんまり食べて夕食を食べられなくなっても知らんぞ」
そう苦笑するアーチャーに子供じゃないから大丈夫だよと返事を返し、ゆっくりと歩き去っていく龍也君の背中を見ながらぬるくなった緑茶を啜るのだった……
(意外と直ぐ会えそうな気もするけどね)
僕の直感では割と近いうちに再会できるような気がする……まぁ僕の直感なんて大したことないんだけどねと心の中で呟き、残っていた羊羹を頬張るのだった……
長かった4日の及ぶテストを終え、昼前に家に向かって歩いているとはやてさんとセッテさんを見かけて
「こんにちわ。お買い物ですか?」
荷物を沢山持っているお2人にそう尋ねる。するとはやてさんが
「買い物は買い物やけどお土産かな?随分長い事家に帰らんかったで多分いじけてるとおもうから」
あははと苦笑しながらそう呟く、その言葉に私は首を傾げながら
「もしかして家に帰られるんですか?」
旅行の最中に立ち寄ったと聞いていたので、もしかすると家に帰るのかな?と思い尋ねると
「ええ。私のお父さんにも心配をかけているんのでそろそろ戻ります」
そうなんだ……もっと早く言ってくれれば何か出来たのに……私がそんな事を考えているとはやてさんは私の頭を撫でながら
「そんな事気にせんでええよ。またこんど来るつもりやで」
にこにこと笑うはやてさんは遠くに見える山を見て、背伸びをしながら
「近くに海があって山がある。こんないい所滅多にないでぁ。また来るで今度は家族と一緒に」
自分の住んでいる街を褒められるとそう悪い気はしない。それにTVとかで取り上げられるくらい海鳴の街は良い街だと言えるし
「んじゃな?兄ちゃんも待ってるし、またなあ」
「あんまり1人で出歩かないほうがいいですよ?貴女はかなり方向音痴なのですから」
にこにこと笑って歩いていくはやてさんと厳しい事を言って歩いていくセッテさんを見送っていると
「「「見つけたぁ!!!」」」
後ろから聞こえてきた王花ちゃん達の声に振り返る。そういえば帰る約束をしていたんでした……うっかり忘れていた
「龍花。探したぞ」
責めるようなその口調と額の汗を見て、私は即座に頭を下げて謝る事にした。自分が悪いのなら謝る。これは当然の事だ
「ごめんなさい。忘れてました」
今日はおにーちゃん達が遅くなるので王花ちゃん達の家に泊まるように言われていたのに、うっかり忘れていた
「もうー探したんだからねー?テストで辛い現実でも見たのかと思ったよ」
「それは雷花でしょう?アホの子」
「ひ、酷い!?」
星花ちゃんと雷花ちゃんのやり取りはずっと変らない。思わず笑みを零していると
「龍花ちゃん。私今日はオムライスがいいなあ」
陽花ちゃんが笑いながらそう言う。オムライスですかあ……確かに良いですね。私は星花ちゃんと雷花ちゃんの口論をいかに止めるかを考えている王花ちゃんに
「今日の夕ご飯はオムライスとコーンスープにしましょうか?」
「うん?ああ、それもいいな」
王花ちゃんがうんうんと頷きながら振り返る。その視線の先では……
「アホのこいううなあああああ」
「アホニョ子オオオ!アホにょおおお」
互いの頬を引っ張り合っている雷花ちゃんと星花ちゃん。学校では冷静とか言われているけどどっちかと言うとこっちの方が素だ。子供のときから皮ってなくて安心する
「いつ間もくだらない事で喧嘩をしているな。たわけ」
ぱんぱんっと軽く2人の頭を叩いた王花ちゃん。2人がジト目で王花ちゃんを見るが
「夕食はいらないのだな?」
の言葉に口笛を吹いて明後日の方向を見る。食事を作っている王花ちゃんを怒らせると不味いと判断したのだろう
「材料を買い足すから荷物を持つように、では行くぞ。龍花、陽花」
私と陽花ちゃんの名前を呼んで歩き出す王花ちゃん。私は陽花ちゃんと手を繋いで
「じゃあいきましょうか」
「だねー」
2人で同時に歩き出し、そして同時に足を滑らせ私の鞄は王花ちゃんの頭へ、陽花ちゃんの鞄は星花ちゃんの顔に突き刺さったのだった……
「「っつう」」
頭を押さえている王花ちゃんと蹲っている星花ちゃん。私と陽花ちゃんは立ち上がり、服の埃を払ってから
「「ごめんなさい」」
王花ちゃんと星花ちゃんに向かって頭を深く下げ謝るのだった……
一通り挨拶回りを済ませ、午前零時私達は海鳴の外れにきていた……ジェイルの言うとおり零時を過ぎてから徐々に魔力が回復してきているのを感じる、特にこの場所は私達が来た場所なので一番良い場所と言えるだろう。
「本当に変な世界やなぁ」
回復してきている魔力に不思議そうな顔をしながら呟くはやて。確かに色んな世界を見てきた私でも、この世界は確かに変な世界としか言いようの無い場所だった。しかし不思議と悪い気はせず、居心地のいい世界といえた
(ある意味理想なのかもしれないな……私にとっては)
家族を戦わせたくないと思いつつ、戦わせる運命に引き込んでしまった。もしも私達に魔力なんてものが存在せず、穏やかな日常を過ごす事ができたのならば……私達の海鳴もこんな街だったのかも知れない
「こうしてはなれるとなると若干名残惜しい気がしますね」
無愛想ながらセッテがそう呟く。この世界の自分が男だったので、何か気に入らない物があったようだが、それでもなおこうして帰るとなると名残惜しいと呟くセッテ
「また今度来て見れば良いさ、今度はチンクとかも連れてきて」
スバルとかのーヴェとかヴィータを連れてくるときっと面白い事になるぞと思いながら言う。なんせこの世界の自分達の性別が逆なのだから混乱するだろうし、焦るだろう。だがきっとこんな世界もあるんだなで終わると思う
「ヴィータとか凄いショックを受けそうやけどな」
「チンク姉様もですけどね」
違いないと笑う。私もまさかの女性。しかも殆ど子供化していてかなりのショックを受けたが、多分ヴィータとかのショックは更に大きいというのは想像するのに容易い
「今度はリィンとかを連れてきてやろうと思うんだがどうだろう?」
基本的に屋敷で留守番をさせているリィン達。この世界なら安全だし連れてきて遊ばせるのはどうだろうか?と呟くと
「ドラきちが問題やな」
ぺっとのドラゴンのドラきち。魔法が使えるならステルスとか幻術で誤魔化せるが、この世界は魔法が使えない、そう考えると
「あー確かに問題だな」
この世界では魔法を殆ど使えない。だけど確実にドラきちをこの世界に連れてくると騒ぐだろうリィンたちの事を考えると、何とかして連れてくる方法を考えてやらないといけないだろう。となると今回活躍するのは間違いなく……
「ジェイルに何とかさせるか」
基本的にはトラブルメイカーだが、学者としてはとても優秀だから多分何とかしてくれるだろうと判断する。まぁ今回も多分何とかしてくれるとおもう。幻術を発生させる効果の首輪とか、色々と考えてくれるだろう。
「大分魔力も回復したな、転移の魔法陣を刻んでおくか」
やっと普通に魔法を使えるだけの魔力が回復したので、この丘の上に転移の魔法陣を刻む。この世界は魔力だけじゃなくて気などもかなり不安定なのでこうしておかないと2度とこの世界にくることは出来ないだろう。
「念の為にはやても頼む」
「りょーかい♪」
私の魔力だけでも大丈夫だと思うが、念の為にはやての魔力で更に魔法陣を強化しておく。これでまたこの世界にくることが出来るだろう。
「帰れるのはまた満月の日になりますけどね」
セッテがそう呟く。確かに魔法陣があっても魔力が使えなくては意味がない、基本的には片道切符になると思っておけばいいだろう。満月の夜にしか魔力が使えないんだから、ゆっくりできるとき、もしくは纏まった有給の時に来れば良いだろう。と今度来るときの事を考え予定を組む。今度は絶対にリィン達を連れて来るのは決定だから……あとは私のたまりに溜まった有給を使えばいいなと考えていると
「やぁ、待たせたね。迎えに来たよ」
空間が歪みジェイルが姿を見せるのだが、私達はその姿に絶句し、次の瞬間
「「「なにがあった!?(や!?)(ですか!?)」」」
私とはやてとセッテの悲鳴が重なった。腕と足にはギプス。そして顔色は土気色のジェイルはどう見ても瀕死の状況だった
「はははは……龍也がいないと六課は魔窟なんだよ。早く帰ろうか?皆待っているからね、と言うか早く戻ってくれないと私の命がヤヴァイ」
空ろな目をしているジェイル。これは不味い、私も長いことこいつを見ているがこんな顔をしているのは見た事がない。相当追い詰められているようだ
「はよ帰ろうか?なんか怖いけど」
「私もです」
はやてとセッテが青い顔で呟く。ジェイルでこのざまなら私達も相当やばい可能性がある。ご機嫌取りのお土産を買っておいて正解だったようだ。
「そうだな。戻るか」
取り合えず六課に帰って事情の説明とやばい顔色をしているジェイルの治療。それに機嫌が最悪だろうと容易に想像できるヴィータ達の機嫌取り。それにレジアスにも迷惑をかけているだろうし……そう考えるとやることは山ほどある、ジェイルが作った転移ゲートの中に足を踏み入れながら
(さらば奇妙な海鳴の街よ。またいつか訪れよう)
この奇妙世界と別れを告げ、私達は自分達にとっての日常。再び戦いの中へと戻るのだった……そして戦いに疲れたときはこの世界で再び翼を休めようとおもうのだった……
どうも混沌の魔法使いです。リクエストで始めた海鳴のお姫様ですが、今回の話で1次完結とさせていただきます。正直な話リクエストで始めたので行き当たりばったりで書き進めて来たのですが、正直そろそろ限界だと思ったので、きりの良い100話で完結とさせて頂きます。再開のめどはありませんが、もし再開するとするならば今度はもっと物語の流れを考えて書いてみたいですね
それではここまで付き合っていただき、どうもありがとうございました!