海鳴のお姫様!!   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回は部活動見学です。きっと面白いと思うのでどうか宜しくお願いします



第10話

第10話

 

「ここから近いのは野球部ですね、ではまずヴィータを見に行きましょう」

 

星花ちゃんに案内されながらグランドに向かう、グランドからは元気の良い男子達の声が聞こえてくる、それに紛れ確かにヴィータ兄の声も聞こえる。

 

家の外でよく素振りとかタオルでの練習……シャドウピッチング?とかいうらしいのは見たことがあるが実際にやるところを見るの始めてだ。

 

「ヴィータはねー左の本格派で結構他校から、マークされてるんだよ?」

 

マーク? どういう意味だろう?

 

「試合や地区試合に甲子園の予選、そう言うときに対決するかもと警戒しておくんですよ、それなりに活躍してますからねヴィータは」

 

「それなり所じゃないでしょ~前の試合だと12奪三振の完封でしょ? 結構凄いと思うけどね」

 

「まあ凄いと言うのは認めましょう。これでシスコンでなければ素直に認めれるんですけどね」

 

そう苦笑する星花ちゃんと雷花ちゃんに連れられ、私はグランドに向かった……

 

 

 

「痛い……」

 

「やーやっぱ無理だって、セイン」

 

今日こそはスライダーを取る! と意気込んでいたセインだが結果は惨敗。今最後の1球が顎に当たり、死んでいる

 

「……ストレートに馴れないととてもじゃないけど取れない。ヴィータ先輩の高速スライダーは充分プロにも通用する」

 

「そりゃ褒めすぎだ、オットー。変化量とスピードは良いが決定的に軽い、当たっただけで飛びすぎる」

 

前に芯を外して当てられたはずなのに外野まで飛んでしまった。つまり球質が軽いと言う弱点がある

 

「それでも大概は空振りを取れる、後はセインが取れるようになれば良い」

 

「無茶言うなー!! あのキレの変化球をそう簡単に取れるかよ!!!」

 

だよなー自分で見ててもそう簡単には取れないと思うしな。やれやれどうしたもんかね? 次の試合で出来たらスライダーを投げたいのだが、まぁ無理なら他の変化球とか制球の練習でもするか

 

「オットーちょっと受けてくれよ」

 

「全力投球は困る。僕は遊撃手だから」

 

小柄ながら優れた反射神経と俊足で1年でベンチしている、オットー・スカリエッティ。名前から判るようにセインの弟に当たるらしいが、実際は血縁関係の無い兄弟らしい何か俺達と龍花の関係に似ている気がする

 

「わーてるよ、ストレートの感じを掴みたいだけだ」

 

試合も近いしなー練習、練習っと、振りかぶりボールを投げようとしたところで

 

「ヴィータ兄~見に来たよ~」

 

「ぶほっ!?」

 

龍花の声に動揺してバランスを崩しボールを落す。

 

「?あれってボークって言うんじゃ?」

 

「ええ、そうですよ。龍花」

 

良く知ってますね、と言いながら龍花の頭を撫でる星花と目が合い。声に出さず口だけで

 

【なんと不様な光景を】

 

ぐぐ……反論したいが事実だから何もいえない、だがそれ以上に今は問題があった

 

「ヴィータ兄?……ヴィータの妹か?」

 

「うはー可愛い子だな。しかも胸大……「死ねッ!!」げはっ!?」

 

龍花の胸を凝視している2年にボールを投げつける。鳩尾に当たり蹲る2年を無視して

 

「どうしたよ? 龍花」

 

もう家に帰っていてもおかしくない時間のはずだが

 

「陽花ちゃんに誘われてヴィータ兄の部活見に来たよ」

 

きっと陽花は気を使ってくれたのだろうが、正直気恥ずかしい……

 

「もう練習終り? それならシグ兄見に行くけど」

 

「いや! 今からだ!!」

 

オットーでは駄目だ。瀕死なのは承知だがセインに捕って貰おう。手を冷やしていたセインに近づき

 

「スライダーは無しでいくから、捕ってくれないか?……んだよ、そのニヤニヤした顔」

 

面白いものを見たとでも言いたげな表情のセインにそう尋ねると

 

「妹に良い格好を……ふぐっ!?」

 

「殴るぞ?」

 

「もう殴ってんじゃねえかよ。捕るのは良いがもうちょい待ってくれ。手が痺れてるから」

 

スライダーの前に投げたストレート20球が効いてるみたいだ

 

「判った。んじゃネットにスライダーでも投げて待ってる」

 

籠にボールを入れてピッチングネットの前に行きスライダーを投げ込む。最近実戦ではロクに使ってないから偶には投げないと変化量が落ちてしまう

 

「曲がった!? 凄い!凄い」

 

「変化球を見るのは始めて?」

 

「うん! 凄いねーククッって曲がった!」

 

何か……すげえ投げにくい……チラリと横目で龍花を見るとキラキラした目で俺を見てる

 

(龍花の目が痛いし、周りの連中の目も鋭すぎる)

 

嫉妬と羨望の混じった視線にさらされどうにも集中できないが、それでも何度かスライダーを投げる

 

「……龍花? どうしたんですか? そんな真剣な表情をして」

 

「ごめん……ちょっと集中させて」

 

「陽花ちゃん、何秒?」

 

「うーんと2秒くらいかな?」

 

「ん、ありがと……えーと距離と……曲がった距離と」

 

「龍花何してるの?」

 

「さぁ何かを計算してるみたいですけどね?」

 

何だ? 龍花は何をしてるんだ? 声だけしか聞こえないので何をしてるのか良く判らないが何かのタイミングを計ってるようだ

 

「うし、良いぞ! ヴィータ」

 

マスクとプロテクターをしたセインが声を掛けてくる、ピッチングネットの前から離れセインのほうにいき投げ込みを始める。何時も通り小気味良い音を立てて収まる白球……龍花はとても面白いものを見ていると言う表情で俺の投げ込みを見ていた。しかし10球ほど投げたところでトコトコと歩いて来て

 

「ヴィータ兄。あのさっきのギュッて横に曲がるの投げて?」

 

「いや……駄目だ。あれはセインが捕れないから」

 

多分スライダーだよな。龍花が言ってるの、カーブとかは投げたし変化球で投げてないのと言えばスライダーしかない

 

「大丈夫、あの人なら直ぐ捕れる」

 

なんだ? この確信に満ちた声は? 俺が疑問を感じていると龍花はセインのほうに行きぼそぼそと何かを耳打ち知る

 

「うえ? 嘘だー」

 

「捕れます。計算してましたから」

 

「ええ……マジ?」

 

セインもスライダーを捕れるといわれてるのだろう、しかし気になるのが1つ。

 

(計算? 何を計算したって言うんだ?)

 

だが今思えば俺は龍花の頭の良さを見誤っていたのだろう……

 

(とりあえず加減して投げるか)

 

何時ものスライダーの握りを少しずらし、足の位置を少し浅めに踏み出そうとすると

 

「ヴィータ兄! それじゃあ駄目だよ、ちゃんと投げて!」

 

「判った。判った」

 

思いっきり投げるとセインが怪我しかねないから浅く投げるつもりだったんだが……仕方ない。振りかぶり思いっきり腕を振りスライダーを投げる

 

スパーンッ!!

 

「う、嘘だろ? あの子の言う通りだった」

 

俺のスライダーは鋭い音を立ててセインのミットに収まっていた。なんでだ?

 

「セイン、ボールバック。もっかいだ!!」

 

「お、おう!!」

 

驚いた顔でボールを投げ返してきたセインからボールを受け取り、同じ様に振りかぶりスライダーを投げる。ベースの上を通過するかどうかのタイミングで鋭くボール2個分ほど変化する俺の高速スライダーは

 

スパーんッ!!!

 

またもや鋭い音を立ててミットに収まった

 

「凄い!! 凄い!!」

 

パチパチと手を叩く龍花に

 

「なぁ。何を計算したんだ? 何で急にセインは捕れるようになった?」

 

「? 曲がるタイミングの誤差と、腕の振りでえーとあとボールを放す位置? それでそこから予測できる位置を幾つか教えて。そこでミットを構えてくださいって言っただけ」

 

だけって……おいおい、普通無理だろうよ? 俺がその言葉に驚いていると

 

「すっげーッ!!! お前天才だよ!!!」

 

「わわっ!!!」

 

今まで捕れなかったスライダーを捕れるようになったのがよほど嬉しいのか、龍花の手を握ってブンブン振るセイン。ちらりと雷花を見る

 

「……」

 

無言で拳を握りこんでいる、うん、あれが正解だ

 

「馴れ馴れしいです!! この馬鹿ッ!!!」

 

「地獄に落ちなさい」

 

「手ぇ放せッ!!!」

 

「ふぐおうっ!?」

 

雷花がセインの後頭部を、俺がセインの鳩尾を、そして流れるように星花が足払いを仕掛け転倒させる。全く馴れ馴れしいのにも程がある

 

「……ヴィータってシスコン?」

 

「いやーでもあんだけ可愛い子ならシスコンにもなるぞー?」

 

「彼女居ないのはあの子が居るからかー」

 

馬鹿どもが好き勝手言って居るがそんなのは些細な事だ。龍花に惹かれそうな人間を排除するそれがもっとも重要な事だ。あれ? ところで陽花は?

 

「龍花ちゃーん、ジュース買って来たよ~」

 

居ないと思ったらジュース買いに行ってたのか……

 

「んじゃ、そろそろ剣道部見に行こうよ。丁度4時半だからそろそろ練習試合してるはずだよ」

 

あー確かに剣道部は4時半ごろから練習試合を始める、丁度それくらいの時間に見学希望者が多くなる。今から見に行けばシグナムの試合も見れるだろう

 

「それじゃあ、ヴぃータ兄。シグ兄見てくるね」

 

「おう。気をつけてな」

 

狭い学校内で気をつけろと言うのもおかしいがそう言うと龍花はうんと頷き、両手で鞄を持ってくるりと回転しながら

 

「さっきのボール投げてるヴィータ兄、格好よかったよ?」

 

そう笑い陽花達と剣道場に向かう龍花を見ていると。オットーが

 

「ヴィータ先輩、顔真っ赤」

 

「うっ、うっせいやい!!!」

 

くうう……なんで龍花はああ言うこと真顔で言うかね?

 

「ヴィータ、顔にやけて……「死んどけ」へぐつ!? す、スパイクの踵は……だめ……だろ?」

 

動かなくなったセインを無視し、俺はまた投げ込みを始めたボールでも投げてないとにやにやとしてそうでそれが嫌だったからだ……でもそんなに嫌な気分ではなかった

 

 

 

 

 

「お願いします」

 

「お願いします」

 

モードレッドと向かい合い竹刀を構える、1年でもっとも強いモードレッドとの練習試合は私にとっても価値ある物だ。意識を集中させ始めの合図を待っていると

 

「おや、龍花。どうしたのですか?」

 

「アルトリアさん、こんにちは」

 

!?!?この声は龍花!? 横目で剣道場の入り口を見ると龍花と陽花達の姿があり、アルトリアと話し込んでいた

 

「しかし、どうしてここへ?」

 

「シグ兄を見に来たんですけど……シグ兄は?」

 

きょろきょろと辺りを見回す龍花、面で判らないのか

 

「ああ、シグナムならほらあそこでモードレッドと今から試合ですよ」

 

「そうですか! じゃあ、シグ兄も! モードレッドさんも頑張ってくださいねーッ!!」

 

ほほう? モードレッドも? ああ。なるほどアルトリアの家に居たと言って居たな、つまりはモードレッドは龍花を知っている……

 

「良し……殺そう」

 

「何が良しなんですか!?」

 

「気にするなよ。痛みは一瞬だ」

 

こいつは排除すべきだ、ならば手加減無用叩き潰す

 

「始めッ!!!」

 

「まだ始めないで……「面ッ!!!」おおうっ!?」

 

ちっ中々やるな渾身の一撃だったんだが、防がれてしまった

 

「凄いですね!! 全然見えなかったです! シグ兄は何したんですか?」

 

「面から胴へ、素晴らしい体重移動で流れるような二連撃を、普通ならあれで決まるんですけど。防ぐとはさすがモードレッド、私の弟だけはありますね」

 

「そっか! シグ兄も凄いんだけどモードレッドさんも凄いんですね!」

 

嬉しそうな声で笑う龍花の声を聞きながら、踏み込み突きを放つ

 

「うおおッ!?」

 

喉を突くそれを必死で避けるモードレッドに

 

「胴ッ!!」

 

「このっ!!!」

 

全力の一撃を必死で防ぐモードレッドに

 

「面ッ!!胴ッ!!!」

 

とにかく連続で攻撃を叩き込むがその全てを防ぐ

 

「わあ! 2人とも凄いです!!」

 

「おかしいですね? シグナムは打たせてカウンター狙いの筈なんですけど?」

 

そんなまどろっこしいことはしない、とにかくモードレッドを倒す!

 

「なんかすっごい、殺気だってるね。シグナム」

 

「気に入らないんでしょう? 自分だけではなくモードレッドにも龍花の声援があるのが」

 

さすが冷静な星花だ、私の事を良く知ってる

 

「とばっちりだ!!」

 

「頑張ってくださいねー。モードレッドさん」

 

手の中で竹刀が軋む、ついにモードレッドだけに声援が……もう許すことなど出来はしない

 

「その声援を誰かやめさせてくれ!!」

 

「面ッ!!!」

 

渾身の踏み込みと全力で竹刀を振り下ろし、モードレッドの頭を叩く

 

「1本!! 2本目用意!」

 

「佐々木先生止めてください!」

 

「たまには荒ぶる剣と闘うのも良い経験だ、頑張れ」

 

さすが佐々木先生良く判ってる。さてと……一気に片付けるか

 

 

~数分後~

 

「全く1本も取れないとは情けないですね。モードレッド」

 

「姉さん……あれは鬼神だ、人間じゃ勝てない」

 

徹底的に追い回し打ちのめしたモードレッドを見ていると

 

「はい、シグ兄、タオルとジュース」

 

「ああ、ありがとう。龍花」

 

多少醜い感情が表に出てしまったが大丈夫だろう

 

「多分今シグナム、多少醜い感情が出たとか思ってると思うけど」

 

「傍から見れば嫉妬に駆られる人にしか見えませんでしたね」

 

そのような事実は認めない。多少醜い感情が表に出ただけで対して問題は無い。そう思い貰ったジュースを煽ったところで気付く

 

(量が少ない?)

 

満タンではなく、半分ほど減って……

 

「あれ? 龍花ちゃん、買ってあげたジュースは?」

 

「シグ兄が喉渇いてると思ってあげたよ? 半分くらい飲んだけど」

 

ぐふっ!?

 

思わず吐き出しそうになるのを耐える、何でこうも無警戒で自分の飲んだジュースを上げれる!? 関節キスとか考えなかったのか!? 色々言いたい事はあるが今はむせ返るのを押さえるので必死でそんな事を言う余裕は無い

 

「でもそれって関節キスじゃ?」

 

「シグ兄はそんな事気にしないよ、だって私のお兄ちゃんだもん」

 

信頼か!? 信頼の証でこんなに無警戒なのか!? はっ!?

 

「「……」」

 

変態とでも言いたげな表情で私を見る、星花と雷花。ここはジュースのボトルを龍花に返し額の汗を拭う(汗か冷や汗かは触れないで欲しい)

 

「ありがとう、龍花」

 

「んーん、良いよ」

 

受け取ったペットボトルを鞄に仕舞……

 

「ふー喉渇いた」

 

ごふっ!?

 

普通に飲んだ!? おかしいだろ!? それ私が飲んだ奴だぞ?……いや元は龍花のだから飲むのは当然だろうが……いや。しかし……

 

「シグナムさん、顔真っ赤」

 

「はははは……きっと動いたからだ! そうだ、そうに違いない」

 

陽花と龍花の純真無垢な瞳と蔑むような星花と雷花の視線の違いが痛い

 

ちなみにこの時シグナムは顔を赤くしたり青くしたりの繰り返しで、それを見ていた剣道部の面々は

 

((ああ……シスコンだったんだ))

 

と満場一致でシグナムをシスコンと認定していたが。それをシグナムが知らなかったのは救いとなるかどうかは誰にも判らない

 

 

 

 

「じゃあね。シグ兄。そろそろ帰って夕ご飯の準備をするね?」

 

「ああ、そうだな」

 

顔が真っ赤のシグ兄。どうしたんだろう? 風邪かな

 

「んじゃ、途中まで一緒に帰ろっか。龍花」

 

「いえ、途中までとはいわず家まで龍花を送るべきでしょう」

 

心配してくれている星花と雷花の話を聞きながら、正門に向かっていると

 

「ん? 何だまだ居たのか?」

 

「あっ、おにーちゃん」

 

丁度校舎から出てきたおにーちゃんと鉢合わせになる

 

「星花ちゃん、雷花ちゃん。私おにーちゃんと一緒に帰るよ」

 

「そうですか、龍花がそう言うのなら」

 

「じゃあねー龍花また明日」

 

「バイバイ、龍花ちゃん」

 

ひらひらと手を振る陽花ちゃん達と別れおにーちゃんと一緒に家路に着く

 

「あのね! あのね! 今日ねシグ兄とヴィータ兄の部活見てね、2人ともすッごく格好良かったんだよ」

 

「そうか」

 

私の話を聞いてくれるおにーちゃんに

 

「でもね。私が1番格好良いと思うのははやておにーちゃんだよ?」

 

「///ありがとう?///」

 

なぜかまっかになったおにーちゃんと手を繋ぎ、私は家へと向かった……今日はちょっと嫌な事あったけど。それ以上に楽しい事があった、明日もきっと良い日になるよね♪

 

 

第11話に続く

 

 




えーと今回のコンセプトは部活動見学に来た龍花ちゃんの男心ブレーカーに悶絶するはやてさん達でした。どうでしたかね?面白かったですか?もしそうなら良いのですがもう少ししたら海鳴のお姫様バージョンのキャラ設定を乗せるつもりなので楽しみにしていて下さい。
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