海鳴のお姫様!!   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです、今回から学園編となります、季節外れですが体育大会に向けての話にするつもりです。それでは今回もどうかよろしくお願いします


第15話

 

 

第15話

 

「転入するって決めたけど、怖いなあ」

 

私はこれから通う学校「私立聖祥大附属高等学校」の前でそう呟いた。つい先日まで隣街の「藍越学園」に通っていたがもう耐えれなかった。 別に苛めとかではなく、例えば卒業と同時に式を挙げ婿養子になると宣言している兄と、そんな兄と仲睦まじい将来義理の姉になる人が休み時間ごとにいちゃいちゃしてるのとか……病的にブラコンな姉がどうやってその婚姻を無効にするかと悪巧みし、黒い笑みを浮かべるのとか。 どうして協力してくれないの? とか言って詰め寄られるのとか。ほらお義姉ちゃんって言ってみて♪ と猫の様に笑う兄の婚約者とかに挟まれるのが辛かっただけだ……もう色々と限界だった、胃は毎日痛むし偶に髪は抜けるし……もうこのまま藍越学園に通うことは出来ないと思ったのだ。そしてその後はお父さんとお母さんに泣きつき、転入させてもらう事にした。正直ストッパーが居なくなった事で姉と義姉になる人の争いが激化するのは必須だったが、もう色々と駄目だった。

 

(もう私は謝り倒さなくて良い!)

 

姉が窓ガラスを粉砕し、和弓を構えるのを必死に止めるのも、それを挑発する義姉(予定)を止めるのも、そしてその2人の激突でボロボロになる教室と、職員室に呼び出され私が悪いわけでもないのに謝るのも疲れた。 そう思えばここはきっと良い所に違いない。早起きは多少辛いがそれも大丈夫、よし、ではまず職員室に……

 

「きゃうっ!」

 

音を立てて誰かが倒れる音と可愛い悲鳴に振り返る。

 

「あいたたた」

 

私と同じ銀髪に私よりも小柄で。そして私よりも胸の大きい女生徒が倒れていた。 彼女はあいたたと頭を振りながら立ち上がる、そんな彼女の足元には引っ掛かるようなものは何も無い

 

(何も無いところでこけたの!?)

 

運動音痴とかそういうレベルじゃない。私が驚いていると

 

「どうも、おはようございます」

 

「え、ああ、おはようございます」

 

ぺこりと頭を下げる彼女に思わず頭を下げ返す

 

「転校生ですか?」

 

「転入です」

 

「じゃあ前の私と同じですね」

 

にこにこと笑う女子はにこやかに手を伸ばし

 

「八神龍花です。貴女のお名前は?」

 

「エリス。エリス・V・アマノミヤ」

 

私はその手を握り返した、その手はやけに小さく柔らかかった

 

「八神さん?」

 

「あ、龍花で良いですよ、1年生だけで八神は5人いますから」

 

「えっとじゃあ龍花さん。職員室の場所判りますか?」

 

私がそう尋ねると龍花さんは判りますと言ってくれ、案内してくれた

 

~数分後~

 

「ここはどこでしょう?」

 

「こっちが聞きたいです……」

 

職員室は1階のはずなのに、現在地は3階。方向音痴にも程がある

 

「リューカ? 何をしている? ん? そこの雑種は何だ?」

 

ざ、雑種!? ナにこの人!? 見た目は抜群に金髪の男子生徒にそう睨まれ、思わず身を竦めると

 

「ギー君。職員室に行きたかったんです。エリスさんを案内しようと思ったんだけど、道を間違えたみたいで」

 

「何処をどう間違えれば、3階に来るのだ……」

 

呆れたように笑う金髪の男子は

 

「仕方ない、この我自らが案内してやろうぞ、雑種。リューカに感謝せよ」

 

「駄目ですよ、ギー君。人の事を雑種なんて言ったら」

 

くすくす笑う龍花さんにむっと顔を顰める金髪の男子はそうか、と形だけで頷き

 

「こっちだ」

 

龍花さんと私を職員室の前まで案内し、

 

「お前1人で教室に帰すのは不安だ。連れて行く」

 

「ありがとうございます。ギー君、それじゃあまたエリスさん」

 

そう笑って歩いていく龍花さんを見ながら職員室に入っていた。

 

「転入生のエリスね、よろしく。私は学級委員のイリヤスフィール・フォン・アインツベルン。イリヤって呼んでくれればいいわ」

 

今日1日で私と同じ髪の色をした人に2人も会った。何か早く馴染めるかもと思った

 

 

 

 

「どうしましょう? 私競技出れないですけど?」

 

来月の頭に迫った体育大会の競技決め、リューカは身体が弱いので運動不可、ではどうする? と言うのが1組の問題だった

 

「どうする? 王花」

 

「我に無茶振りするな」

 

俺では正直答えの出せない問題だ、ここは王花に任せようとすると王花も首を傾げていた、これは思っていたより深刻な問題だ

 

「はーい! 龍花ちゃんは控え室で応援してくれるといいと思います」

 

陽花の陽気な声、確かにそれが無難だが

 

「問題は絶対他のクラスもパワーアップすることだ」

 

「あー確かに」

 

リューカの応援は絶対他のクラスのメンバーもパワーアップする、特に2組の星花・イリヤ。3組の雷花は間違いなくパワーアップするだろう

 

「?」

 

訳が判らず首をかしげているリューカ、うんそれで良い。きっと変な方向に進めばリューカは魔性とも言えるそのしぐさで男泣かせになるだろう。今の清らかなままのリューカのままでいれば良い

 

「モードレッド。ではこうしよう、名指しで応援」

 

「ああ、それで行くか」

 

名指しで応援、それが1番無難だ、では次に

 

「では、個人競技に出たい者は……馬鹿ばっかりか!!」

 

さっきまで個人競技なんか出たくないと言っていた、男子生徒(一部女子含む)が一斉に挙手。頭痛が……

 

「アホばかりか」

 

王花も頭を押さえている。特に女子が手を上げてることに頭痛を感じてるに違いない。俺が頭痛を感じているとリューカが更に爆弾を投下する

 

「私頑張って応援しますね♪ 競技に参加できない分。皆さんの事一杯応援します」

 

やめてくれええええ!? そのキラキラとした笑顔を全員に向けるなあ!!! 男子(女子)も顔を赤くしてるし! 何か一部女子が「ごめんなさい、お父さん、お母さん。私は道を間違えるかもしれません」とか言ってるし!!

 

「モードレッドさんはあれですよね? 週末の剣道の大会に出るかもしれないんですよね? シグ兄も出るらしいですし、応援しますね」

 

やめてーッ!!! 俺のLPはもう0だ!! 刺すような視線の数々に加え

 

「……」

 

ぐりぐりと踵で俺の足を踏みつける王花。一体俺が何をしたというんだ……

 

(胃薬また買わないと……)

 

リューカが転入してきてから胃薬が手放せない、モードレッドであった。結論で言うと教義決めはくじ引きで決まり、俺も100M走の選手に選ばれた。俺に向けられる殺意が増した……

 

(い、胃が痛い……)

 

俺は猛烈に痛み始めた胃を知らずの内に押さえていた。なおモードレッドがクラスの大半に睨まれている隙にくじを引いたセッテは

 

(ハードル……)

 

個人競技のハードル走と書かれたくじを見つめ、そしてにこにこと笑う龍花を見て。100面相をしているのだがそれに気付いたものはいなかった……

 

 

 

 

 

 

「お昼ですー♪」

 

「ですねー」

 

陽花ちゃんが嬉しそうに笑うのを見ながら鞄からお弁当箱を3つ取り出す。それに気付いた王花ちゃんが

 

「多くないか?」

 

「いえいえ、私のお弁当は別ですよ?」

 

ピンクの包みに包まれた小さなお弁当箱を見せる。

 

「ではそれはなんだ?」

 

「これはですねえ。スバルさん達の分です」

 

ぶふぉっ!? クラスの生徒の大半が噴出すのが聞こえた

 

「喉でも詰まったんですか?」

 

「「「いや、違う」」」

 

そう言う皆さんに首を傾げていると、王花ちゃんが

 

「何故にあいつらに弁当などを作った?」

 

「スバルさんとティアナさんは前にしつこくナンパしてくる人から助けてくれましたし、セッテさんも助けてくれたのでお礼です♪」

 

驚いているスバルさん達にお弁当箱を渡しながら

 

「この前はどうもありがとうございました」

 

もう1度お礼を言って王花ちゃんの所に戻り

 

「じゃあお昼に行きましょう。今日は屋上か、中庭どっちにしましょう?」

 

「む……ああ、陽花はどっちがいい」

 

「良い天気だから! 中庭!」

 

ですねー、良い天気ですから昼寝したら気持ち良さそうですねえ

 

「お前今、昼寝が気持ちいいとか考えただろ?」

 

何で私の考えてる事がわかるんでしょう? 

 

「まぁ良い天気だし判らんでもないな、では行くぞ」

 

「はい」

 

お弁当箱を持ってくれる王花ちゃんと

 

「ジュース買って行こうね」

 

「そうですね」

 

にこにこ笑う陽花ちゃんと教室を出たのですが、その直後ドタドタと騒がしい音が教室の中から響いてきました

 

「一体何が?」

 

「お前は何も気にしなくて良い。行くぞ」

 

てを引かれ私は中庭に向かいましたが、その騒ぎの正体がどうしても気になりました……

 

「ということがあったんです」

 

一緒にお昼を食べている星花ちゃんとイリヤちゃんにそう言うと2人は

 

「1度絞めますか?」

 

「そうね」

 

絞める? 何を? 気にはなりましたが2人が凄く怖い顔をしているので私は尋ねる事ができませんでした

 

「でもさー。もぐもぐ、そんのは……」

 

「食うか喋るかどっちかにしろ、アホの子」

 

「アホの子言うなーッ!!!」

 

怒鳴る雷花ちゃんと呆れる王花ちゃん、うん相変わらず仲良しのようですね

 

「はやてに言えば良いじゃん、皆……殺ってくれるよ」

 

「「「あー納得」」」

 

凄く物騒な響きが……でもきっと大丈夫。おにーちゃんはそんな酷いことをしないと信じています

 

「美味しかったねー」

 

「ですねー」

 

お弁当を食べ終え日陰に寝転ぶとすぐにうとうとと眠気が。既に陽花ちゃんは寝ています、それにつられて眠くなってきます。王花ちゃん達の話し声を聞きながら、私は眠りに落ちたのですが……その時に聞こえてきた

 

「皆殺し」

 

「制裁」

 

「猛獣をたき付ける」

 

という余りに物騒な単語は何かの聞き違いだと信じたいです……

 

 

 

 

 

 

今日は休みなのでのんびりとTVを見ていた時に龍花が帰ってきて、今日あった事を話してくれた

 

「ということがあったんです。 アインス」

 

「皆殺しに賛成だな」

 

龍花に近付く奴は殺す、それが正しいはず

 

「アインス!?」

 

「冗談だ」

 

ほっとした顔をしている龍花、まぁ勿論冗談などでは無いがな

 

「それですね、後は……」

 

ふんふん……クラスメイトにお弁当を

 

「よし、名前を教えるんだ」

 

「何で拳を作っているんです? アインス」

 

「気にするな」

 

とりあえず見つけ出して狩るだけだ

 

「暴力は駄目ですよ?」

 

「話し合いだ(肉体言語)」

 

首を傾げながらも教えてくれた名前を心の中に止めておく。いずれ見つけ出し狩る……

 

「そうそう、アインス」

 

「何だ?」

 

思いだしたように言う龍花はにこりと笑い

 

「夕ご飯の買い物に行くんだけど。一緒に来てくれる?」

 

「勿論だ」

 

龍花に頼まれて断る理由など何一つない

 

「行こ♪」

 

伸ばされる手を掴みソファーから立ち上がり、買い物に出かけたのだが

 

「あ。スバルさん」

 

「おう」

 

ほうこれがスバルか……青い髪の少年とばったり出くわし

 

「うむ。死ね、小僧」

 

「はっ? うおおおおッ!?!? なんだ? 何で俺に殴りかかってくる!?」

 

「何、龍花に近付くのは排除するだけだ」

 

拳を向けた瞬間

 

「アインスの馬鹿ーッ!!!」

 

「ふぐおうっ!?」

 

小銭が入った財布で頭を強打される。尋常じゃなく痛い。しかしそれ以上に

 

「アインスなんか嫌いッ!!」

 

「ごふっ……」

 

の言葉が胸に突き刺さった……

 

「すいません、すいません。私のお兄ちゃんが」

 

「いや、別にいいんだけどさ……血の涙流してるぞ? 龍花の兄貴」

 

「アインス!?」

 

「もう終わりだ……何もかも」

 

もう動く気力もなくなり、私はその場で体育座りをし目を閉じた……

 

5分後、龍花の大好きの言葉が聞こえるまで、私はずっとその場でそうしていた……

 

 

第16話に続く

 







日常? の話でした、こういうのの方が面白いというか私らしいと思います、次回もまた学園編で行こうと思いますので、次回もどうか宜しくお願いします
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