尚、今回は色んな人の視点での龍花さんの学園生活になりますのでどうか宜しくお願いします
第16話
~あかいあくま絆される~
なにやってるの? あれ。きょろきょろと辺りを見回している龍花を見つけ
「なにやってるの?」
何か心配になりそう声を掛けると
「あ、凛さん。こんにちわ」
「ええ。こんにちわ」
にこにこと笑う龍花につられて笑いながら返事を返し、改めて
「なにやってるのこんな所で? ここ旧校舎前よ?」
旧校舎でやる授業なんて無いし、そもそも1年の龍花がここに居るのはおかしいのでそう尋ねると龍花
「迷子になったんです……」
迷子? 学校で? なんで?
「えーと、どこに行こうとしてたのかしら?」
「2年生の教室です。前の時間が調理実習だったのでクッキーを作ったんです」
あーヴィータとかにあげようと思ったわけね。と私が思っていると
「丁度良かったです、はい、どうぞ」
「え? 私に」
渡されたクッキーの袋を驚きながら受け取る。
「いっつもお世話になっているんでお礼です♪」
お世話って……そういえば不思議とお昼が一緒になったり、迷子になってる時にあったりするわね。そのお礼と言うこと?
「ありがとう。貰っておくわ」
貰ったものを突っぱねるのも何なのでありがたく受け取っておく
「それじゃあ、教室まで案内しましょうか?」
「わぁ。良いんですか? 実は教室の帰り道も判らなくて困ってたんです」
このドジッ子見てたらそりゃシスコンにもなるわ。私は切にそう思った。だって見ていて心配になってくるもの
「本当はエンちゃんとギー君にも上げようと思っていたんですけどね」
「道が判らなくてうろちょろしてる間に旧校舎前に来てしまったと?」
「はい、どこも同じに見えて困っちゃいますよね」
ない、絶対にそれは無い。大体教室の名前の札を見なさいよ。とは思ったが
「凛さんにあえて本当に良かったです♪」
この笑顔を見るとそんな事が言えなくなるから不思議だ……
「そう言えば、前に料理を教えてもらったことがあったじゃない」
「はい、楽しかったですね」
「楽しかったけど、龍花って服地味よね?」
「そうですか?」
龍花が可愛いのでそんなに目立たないが、着ている服は地味なワンピースとか、ちょっとフリル付きのブラウスとかが多いのでそう尋ねると
「おにーちゃんとかが買って来てくれるんですけどね」
「自分で選んだ事無いの?」
「無いですよ?」
あのシスコンどものせいか!!
「じゃあさ、今度一緒に買いに行かない?」
「でも今度の土曜日はシグ兄の剣道の試合が」
「じゃあ、日曜日ならどう?」
「日曜日だったら行きたいですね」
「決まり! じゃあ迎えに行ってあげるから待ってなさいよ」
「はい! 楽しみにしてますね。 あ、あと私のお友達も誘っても良いですか?」
「ええ。構わないわよ、大勢のほうが楽しいだろうしね」
もうちょっと可愛い服とか着た方がいいし、同性ならはやて達もあんまり目くじら立てないだろうし、別にいいだろう
「じゃあね。龍花」
「はい、ありがとうございました」
教室の前で龍花と別れ、私は自分の教室にへと戻っていった……
~天の鎖の憂鬱~
「あの、私と付き合ってください!」
「あのね? 僕は女。判る?」
男装こそしてるが僕はれっきとした女であり、女子からの告白は受け入れられない
「大丈夫です! 私は女の子の方が好きですから!」
「悪いけど、僕にそっちの趣味は無いからね?」
僕にそっちの趣味は無いと説明すること15分。やっとのことで同学年の女生徒は諦めてくれた
「はっはは。相変わらずモテるな? エルキドゥ」
「友よ、からかうのは止めてくれ」
木の上で楽しそうに笑うギル。ギルは高い所が好きだ、良くこの様に木の上で昼寝してる
「大体そんなところで何してるんだい? 女子の着替えの覗きかい?」
「馬鹿を言え、馬鹿を。我はリューカにしか興味は無いわ」
「じゃあ、リューカが着替えていたらどうするのさ?」
「む……」
真剣な表情で悩むギル。頭痛が……
「犯罪行為は認められないからね?」
そう言ってから木に回し蹴りを叩き込む
「ぬっ!? うお!?」
木の上から落下し蹲るギル
「な、何をするか」
「あのね? 僕も女だからね、覗き行為は許せないし、ストーカーも認められないからね? 変なことしてると先生に言うよ?」
「変なこととは何だ。ただリューカを見ていただけではないか」
「覗きじゃないか」
頭がいい癖にリューカが絡むと途端に駄目になるギルに溜め息を吐く
「普通に一緒に帰ろうと……その発想は無かったようだね」
驚きに目を見開くギル、こっちが驚きだよ
「その発想は無かった。さすが我が友だ」
本当これで3年生の学年2位だから驚きだ。頭の良さと常識の知識は比例しないと言う事か
「ギー君、エンちゃん」
僕が溜め息を吐いていると昇降口からリューカが顔を見せる
「ん? どうしたリューカ」
さっと立ち上がり髪を整え服の埃を払うギルと共にリューカの方に行くと
「はいどーぞ」
小さな袋に入ったクッキーを差し出される
「これは?」
「調理実習で作ったんです。ギー君とエンちゃんにと思って」
にこにこと笑う龍花からクッキーの袋を受け取る
「感謝するぞ、リューカ」
「お口に合うと良いんですけどね」
「はっはは。リューカの作るものだ。美味いに決まっておろう」
ギー君って面白いですね、と笑うリューカ、残念だな友よ。君の一途な想いは何一つリューカに届いて無いよ
「さてとじゃあ、教室に戻りますね」
そう言って歩いて行くリューカに
「途中まで一緒だから一緒に行くよ」
「では我も」
「ギル、君は次の授業は体育の筈だが。良いのかい? もう移動してるよ」
体育館に移動する生徒を指差すとギルは慌てて3年の教室に戻った
「じゃあ行こうか」
「はい」
2人で1年の教室に向かったのだが……
「あう」
「だ、大丈夫かい?」
何も無いところでこけるリューカ、こう言うところは昔から何も変わって無いなあと苦笑しつつ、リューカの服を払っていると気付いた
(もしかして僕が女子に告白されるのって半分くらい、リューカのせい?)
ふとそんな事を思ったが
「はい、リューカ」
「ありがとうございます」
リューカに手を貸して立ち上がらせる、同性から告白されるのが嫌だからなんてくだらない理由で、友人と縁を切るほど僕は薄情じゃないさ……
(でも結構酷い問題なんだよね、1日に3人くらいから告白されるのは正直きつい)
中には泣く子も居るので凄く困る
(士郎かヴィータ辺りと仲良くすればいいかな? ギルは論外だし)
同性好きの疑惑を解くには男性の友人を増やせば良いと思う。ただし追加条件で僕を異性としてみない人間が必要だ
(今度ゆっくり考えてみよう)
僕はそんな事を考えながら1年の教室の前でリューカと別れ自分のクラスにへと戻った
~雪の妖精と王様は幼馴染が心配です~
放課後、駅前の喫茶店にて
「で。どうなんだ? イリヤ」
「そうねえ。2組では10人くらいリューカの事を気にしてる男子が居るわね。そっちは?」
「男子女子関係なく20人程」
「相変わらずのモテッぷりね」
はあああと深い溜め息を吐く。リューカの転入は嬉しいがどうにも異性同性関係なく惹き付けるリューカのことは頭を悩ませる問題だ
「そう言えば、2年のアルトリアとエンキドゥとも仲が良いぞ?」
「遠坂凛が抜けてるわよ」
私の知る限りでは2年では剣道部のアルトリア。帰宅部の凛とエルキドゥと仲が良いが
「まぁその3人は大丈夫。アルトリアと凛はお兄ちゃん狙いだから、あとエルキドゥは……百合っぽいから危険?」
「いや違うぞ? エルキドゥは普通に異性が好きらしいぞ?」
「それは意外」
私はガチでエルキドゥは百合だと思っていた。
「しかし良いのか?」
「何が?」
紅茶を飲みながら尋ねると
「お前の兄と言えばブラウニーだろう? それを狙ってるのは嫌いじゃないのか?」
「勿論、嫌い。アルトリアも凛も桜も死ねって思ってる」
そう言うとオーカは苦笑しながらコーヒーを飲み
「ブラコンは中々治らないか?」
「ふん、本当の兄妹じゃないから良いのよ」
お兄ちゃんは養子だから法律的に問題なしだから
「まぁ上手く行くと良いな」
「あら珍しい、普段は変態とか言って馬鹿にする癖に」
私とオーカは基本的に仲が悪いが、間にリューカを仲介するとそれは変わる。昔からそうだ
「別に人それぞれだし。まぁ士郎をどうやって落とすかが重要だと思うがな」
「そう、それが問題」
お兄ちゃんはどこまで行っても俺はイリヤの兄だのスタンスを崩す気は無いだろう、そこをどうするかが問題だ
「最近は何をした?」
「うーん。お風呂に突撃と寝てるときに下着姿で潜り込んで見た」
「攻めてるな」
「でもどれも失敗だった」
お風呂は速攻でお兄ちゃんが出てしまったし、お兄ちゃんは私の気配に気付いて今のソファーで寝てたし、どれも失敗だった
「まぁ地道に頑張れ。勉強教えてとかはどうだ?」
「私の方が頭良いのよね」
「じゃあ、教えてあげるだ、もしくは無邪気な妹を演出してみたらどうだ?」
「あーそれありかもね」
うんうん、攻めるんじゃなくて可愛いらしさアピールと言うのも良いかもしれない
「うん? メールだ」
オーカが携帯を見て
「すまん、陽花が作っておいたカレーを引っ繰り返してしまったらしい、夕飯の材料を買って帰らんと行かんので失礼する。代金は置いて」
「良いわよ、コーヒーとチョコケーキくらい奢るわ」
「今度は我が奢ろう、イリヤ」
「スペシャルのパフェね」
「良いだろう、我もあれは食べたいと思っていた」
そう言って出て行くオーカを見ながら
「さーて、今日はどうやってお兄ちゃんの理性を削ろうかなー」
頼んでいたモンブランを食べ終え。私はそんな事を考えながら喫茶店を後にした
~お爺ちゃん達とお姫様~
「王手」
「む……待ってくれんかの? ユーブス」
「断る、ゾォルケン」
将棋仲間のマキリ・ゾォルケンはうむむむと唸っているのを見ながら緑茶を飲んでいると
「おお、リューカ。こっちにこんか?」
「ユーブスさん、それにゾォルケンさんもこんにちわ」
にこにこと笑うリューカは縁側の将棋の盤を見て
「また負けてるんですか? ゾォルケンさん」
「ほっほ、中々どうして勝てないものじゃよ。これがチェスならワシの勝ちなんじゃがな」
む、確かにその通りか……私はチェスは苦手だからな。と見ていると
「ゾォルケンさん。角をここにおいて、次に銀をここに」
「むっ? おお! 王手を回避できた。流石はリューカじゃのう」
「待て待て、リューカのアドバイスはなしだ」
「む? 御主とてチェスの時にリューカに聞くではないか? ワシが聞いても良いじゃろう?」
むむむそれは確かにそうだが……
「最初からだ! 仕切り直しするぞ」
「良いとも。それなら次はチェスじゃよ?」
良いだろう、チェスでも私の方が上だと証明してやろう。お茶を飲もうとして
「むっ? 空か。どれ淹れて来ようかの」
「あっ、良いですよ。私が入れますよ。台所使って良いですか?」
「ああ、じゃあ頼もうか」
はいと言って縁側から家の中に入るリューカを見て居るとゾォルケンが
「今時珍しい良い子じゃのう」
「だな」
娘のアイリが駆け落ちしてしまいそれを追って日本に着て、何だかんだでそのまま住み着いたが。リューカとの出会いも大きなファクターになっていると思う
「ユーブスさーん。お茶請けって何かありますかー」
「確か居間の方にキリツグが買って来た羊羹があるぞ」
暫く待つとリューカが羊羹を切って緑茶と共に持って来てくれる
「どうぞ」
「ありがとう」
それを受け取り緑茶を飲む
「ほっほ、リューカ。きっと良いお嫁さんになれるぞ」
「ふふ、まだ早いですよ、ゾォルケンさん。好きな人もいないのに」
やだなあと笑うリューカはちょこんと座り私とゾォルケンのチェスを見始めた
「チェックじゃ」
「む。ぐぬぬぬ」
「クスクス。ユーブスさんはチェスが本当に苦手ですね」
楽しそうに笑うリューカに
「しかしゾォルケンは将棋では私に勝てんぞ?」
「何を言うか。御主とてチェスではワシに勝てんではないか」
互いに得意なゲームでしか勝てないのだが
「クスクス。喧嘩は駄目ですよ」
そう笑うリューカに
「喧嘩をしてるわけではない。昔からゾォルケンと私はこうなんだ」
「その通りじゃ」
喧嘩するほど仲が良いとはきっと私とヴォルケンの様な関係を言うのだろう
「アハト翁、むっ? それにマキリの翁も一緒か?」
アーチャーが買い物袋を提げてくる。もうそんな時間か。夕食を作りに来てくれたのだろう
「こんにちわ。アーチャーさん」
「龍花、何をしてるんだ?」
「2人の将棋を見てたんですよ」
そうかと返事を返すアーチャーを見ているとゾォルケンが帽子を被り杖を取る
「食べていかんのか?」
「なに、今日はの、雁夜が久方ぶりに家に帰ってくると連絡を寄越しおったのでな。偶には出迎えてやろうとな」
ゾォルケンの息子の間桐雁夜は戦場カメラマンで滅多に帰ってこない。だから嬉しいのだろう
「……そうか、良し。アーチャーよ」
「なんでしょう?」
「今日はアイリの家で夕食を馳走になろう。偶にはあの2人にもお爺ちゃんらしい事をしてやりたいしのう」
士郎とイリヤの顔も見たいしな。少々遠いので1人では行こうとは思えないし、アーチャーと共に行くとしよう
「リューカも来るか?」
「いえいえ、おにーちゃんが待っているので」
そうか……ふむ。
「アーチャーよ」
「なにか?」
嫌な予感がすると言う顔をしているアーチャーに
「バーベキューなんてどうだ? リューカ達の家族も呼べるぞ?」
「駄目と言ってもやるのでしょう?」
良く判っているではないかアーチャー
「今日はキリツグの家でバーベキューをする。リューカも兄達を連れてこぬか?」
「良いんですか? ご迷惑じゃ?」
アーチャーに目配せをする
「偶には良いじゃないか。龍花」
むむむと唸るリューカ、後一押しかのう
「大勢で食べたほうが楽しいからのう。私の我侭を聞いてくれぬか?」
ん? と言いながらリューカを見ると
「判りました、じゃあ。おにーちゃんと一緒に夜にお邪魔させてもらいます」
「うむ、それが良かろう。夕食は7時ごろでどうじゃ?」
「いまから準備ですのでそれぐらいですね」
やれやれ材料を買い足さなければと肩を竦めるアーチャー
「それじゃあ、私も何か持って行きますね」
「うむ、楽しみにしておるぞ。リューカ」
家の前でリューカと別れアーチャーと共にキリツグの家に向かって歩き出す。 久方ぶりに楽しい食事になりそうだな
第17話に続く
お爺ちゃんです。原作では両方とも狂人でしたが、お姫様ではどこにでも居るお爺ちゃんです。次回は衛宮家の話にしようと思います。それでは次回の更新もどうか宜しくお願いします