いつも八神家ばかりですから偶にはこんなのも良いかなと思いまして。面白いかどうかは不安ですが、どうか宜しくお願いします
第22話
不幸人と厳しい姉
目覚ましできっちり5時に起きて、日課のランニングから帰ると。信じられない光景が俺を待ち構えていた
「おはよう姉貴。朝から何やってるんだ?」
気絶したガウェインずるずると引き摺る姉貴に、そう尋ねると
「ええ、また料理とか言って大量の芋を……「判った。もう言わなくて良いよ」
ガウェインがまた料理とか言う。マッシュポテトを作って、姉貴が憤怒したと言うのが判った。とりあえずシャワーで汗をと思っていると
「という訳でモードレッド。今すぐ朝食を作ってください」
「は?」
なにが。という訳何だ? と色々聞きたかったが。姉貴の目が雄弁に語っている。これ以上聞くなと
「はい……判りました」
「不味かったら判っていますよね?」
にっこりとした笑みに薄ら寒いものを感じながら。家に入ると
「……」
口から血を吐いてぴくぴく痙攣している。ランスロットがいた
「ランスロットーッ!!!!」
一体何があったというんだよ!! 俺がランニングに行った30分の間に何が!? とりあえず介抱をと思ったが
「まだですか? モードレッド」
我が家に君臨する絶対的強者の姉貴の冷たい声に
「はい! 今すぐ用意します!!!」
今の姉貴はあれだ。爆発寸前の爆弾だ、俺はそう判断し。泣く泣くランスロットを見捨てキッチンにと走った……
朝から不幸すぎる我が身に泣きそうになりながら。朝食の準備を始めた。
なお学校から帰った後。何とか復活していたランスロットに何があったのかと尋ねると
「お嬢様の手料理の味見を命じられまして」
どうも姉貴の料理は剣道と同じくらい。一撃必殺らしい。今度マジでリューカに料理を教わったほうがいいんじゃないかと思った……
天然ドジッ子と過保護な皆様
我達全員のお弁当を作り終え。朝食の準備をしていると
「みにー」
お気に入りの着ぐるみパジャマを着て。目を閉じふらふらと歩いてきた陽花に
「顔を洗って来い。お前は何処の星の小動物になる気だ」
「ふに?」
駄目だ。会話が通じていない。お湯で暖めたタオルを絞り
「ほら。シャキッとしろ。シャキッと」
そのタオルで顔を拭きながら言うと
「ふにゅにゅ~」
何故喋っているんだ? 我が従姉妹ながら何を考えているか判らん
「は~めー醒めたー」
「そうか……それは良かったな」
牛乳飲むね~とキッチンに入って来ようとする。陽花に
「STOP! STOPだっ!!」
慌ててそれを止めて。コップに牛乳を入れて手渡す。朝の忙しい時に陽花をキッチンに入れるのは自殺行為に等しい。前は完成したお弁当を引っくり返し、その前は朝食のハムエッグを引っくり返すなど。例を挙げればきりがない
「わーありがとー」
コップを持ってキッチンを出て行く陽花に安堵の溜息を吐き。作っていた味噌汁の火を止めると。リビングからかつんと軽い何かの落ちる音と
「つ、つめたいー!?」
「ご、ごめんね~雷花ちゃん!」
冷たいと叫ぶ雷花と慌てた陽花の声がする。それを聞いた我は
「……どうして我が家はこうも騒がしいのだろうか」
そう呟き。浴室からバスタオルを持ってリビングに向かうと
「……何がどうしてそうなった?」
牛乳まみれの雷花と、何かにこけた陽花の手は星花のスカートを掴み、急にスカートを脱がされた星花は赤面ししゃがみ込み。牛乳まみれになっている
「は。放して下さい! 陽花!」
「冷たいしぐちょぐちょで気持ち悪いー」
「服が絡まって動けない~」
3人が3人同時に動く物だから。余計に身動きが取れなくなり、更に牛乳まみれにとなっている……何というか。そう一言で言うとエロいの一言しか見当たらない
「少し待ってろ。お湯を出してくる……」
遅刻ギリギリの時間になるに違いないが。風呂に入れてやるしかない、我はそう溜息を吐き。風呂にお湯を入れる為にリビングを後にした……
なお風呂の後。慌てて朝食としダッシュで学校に向かっていたのだが
「わきゃっ!?」
「わ!?」
「えっ!?」
「へぶっ!?」
陽花がこけて連鎖的に転んでしまい。我はデコを強打する羽目になった……今度からはもう少し陽花に対する対応を強化すべきだと我は思った……
ブラウニーの悲劇
今朝の食事当番はアーチャーなので珍しく。目覚ましをセットしないでゆっくり眠っていると
「おっにいちゃーん♪」
「へぶうっ!?」
イリヤの全力ダイブによる激痛で強制的に目を覚ませれられる
「あ……ぐ? い、イリヤ?」
「そーだよ? おはよう。お兄ちゃん」
可愛らしく俺の顔を覗き込んでくるイリヤに
「ど、どいてくれ。重い」
「やだ」
何で即答なんだ!? しかも小悪魔の笑みをしているぞ!
「お兄ちゃんは下で私は上。体重や腕力を差し引いても有利!」
大体イリヤが何を考えているのかが判るのが悲しい……
「という訳でいただき「はい。やめようなイリヤ」むっ!? 何て素早い対応。 お兄ちゃん進歩してるね」
覆い被さって来たイリヤの脇に手を入れて高い高いの要領で持ち上げ、真横にゆっくりと降ろしてから。身を起しながら
「あのな? 何回もいうけど、俺とイリヤは兄妹。OK?」
「でも血繋がってないじゃん。キリツグ言ってたよ? お兄ちゃんと私が結婚してくれればなって」
じーさん! お願いだから! イリヤを焚き付けないでくれ! 最近危険域のブラコンになってきてるんだから!
「そろそろ朝食の時間だ。来い」
「アーチャー! ナイスタイミングだ!」
イリヤが再び魔王の笑みになりかけた時に来てくれた。アーチャーは間違いなく俺の救世主だ。偶にこの野郎と思う時もあるが、基本的には良い奴なんだ。とそんな事を考えていると
ピロリン♪
「あれ? お兄ちゃんメール……ねぇ? 何でクロからメール来てるのかな?」
イリヤの顔から全ての感情が抜け落ちた……アーチャーは
「では、居間で待っているぞ」
自分にも飛び火すると判断したのか素早く逃げ出した。何て奴なんだ! 少しは俺を助けようと……
「お兄ちゃん? もう1度聞くよ? 何でクロからメールが来てるのかな?」
クロと言うのは。イリヤの従姉妹の同い年の女の子で。クロエ・フォン・アインツベルンと言って、ドイツの本家で暮らしている子だ
「いや。前に会ったときにアドレスを……ガブッ!!!! ッギャーッ!!! 痛い痛い!!」
全力のイリヤの噛み付きで骨が軋んでいる。イリヤとクロエは非常に仲が悪い。会ううたびに取っ組み合いの喧嘩をするくらい仲が悪い
「何でそんなに怒ってるんだよ! 従姉妹だろ!?」
「うー! クロは駄目! お兄ちゃんはクロと仲良くしちゃ駄目なの!!」
うーと唸るイリヤはぼそぼそと
「クロはイリヤからお兄ちゃんを取ろうとするから嫌い」
そう呟いているイリヤに
「大丈夫だって。俺はずっとイリヤのお兄ちゃんだからさ」
前に1度、ドイツの本家で俺を引き取っても良いと言う話があった。無論じーさんは断ったが、その切っ掛けを作ったのはクロエらしく。それ以来犬猿の仲となっている
「うし、行くぞ」
イリヤを抱っこしながら立ち上がり
「早く朝飯食わないと遅れるからな。そうだ、今日は一緒に行くか?」
「うん……」
ぎゅーと抱きついてくるイリヤを抱っこしたまま。居間に向かい、朝食を食べて準備をして家を出ると
「おはようございます、先輩」
「おはよ。士郎」
「おはよございます。シロウ」
いつもの面子が門の外にいて。それを見たイリヤは
「ガブーッ!!」
「あだー!!!」
また噛み付きモードになり。暫くの間俺の頭に噛み付いたままだった……
(あれ? そういえばクロのメールってなんだったのかな?)
確認していないメールが気になりポケットを探ったが携帯は無い
(忘れたか? まっいっか帰ってから確認すれば)
だが後に俺は後悔する事になる。このときにメールを確認しておくべきだったと……
ヤンキーは色々と葛藤しているようです
「おはよう。父さん」
「おお! セッテおはよう!! 最近はちゃんとおはようと言ってくれるんだな!」
にこにこと笑う父さんの横を通り。自分の椅子に座ろうとすると
「セッテはあれなんだよ。父さん。最近気になる子がいるみたい……「黙れ」 ごぶっ!?」
セインが余計な事を言ったので。後ろから後頭部を殴りつける。だが
「ほう……セッテが恋か。うん、いい傾向だとは思わないか? クアットロ」
「そうだね。荒れていたセッテが落ち着くようになるのなら良いんじゃないかい?」
「今日の夜はセッテの好きな物を用意しましょう」
兄貴のトーレとクアットロの2人が良かった良かったと笑い。ウーノ姉はあらあらと言って嬉しそうに笑っている
「それは良い! 今度家に招待しておいで! セッテの彼女を見てみたい」
「ちがうわ!! 馬鹿親父!!」
何で急にクラスメイトから彼女にランクアップして。しまいには家に連れて来いと言い出した。父さんにそう怒鳴ると
「……あ、ああ……ウーノ。セッテが、セッテがぐれてしまった……私の可愛い可愛いセッテはどこへ」
「ドクター。落ち着いてください。あれは照れ隠しですから」
ウーノ姉に抱きついて泣いている父さん。自分が孤児で育った父さんこと。ジェイル・スカリエッティは自分と同じ境遇の子供を養子として引き取ったり。里親を探したりと非常に良い人で。俺自身もこの人が父親で良いなと思っているのだが。この人は基本
的に頭も良くて、良い人なんだが……変に子供っぽいところがあるから困る。しかも
「そうなんだね! じゃあ、今のはそんなに気にする事でもないのか。良かった良かった」
超前向きだから。へこんだとしてもすぐに元気になる。ウーノ姉の隣で朝食を食べる父さんを見ながら
「ごちそーさん。じゃあ行くわ」
家で兄弟といるのは楽しいが、どうも気疲れがあるから困る。俺はそんな事を考えながら鞄を肩に担ぎ家を後にした……
行って来ますも無しで出て行った。セッテを見ていたスカリエッティ家の面々は
「うーん。セッテが素直に学校に行ってくれるなんて嬉しいな」
「だな。前のセッテは学校なんてくだらないって言って。部屋に閉じ篭ってたからなー」
最近まで家族と一緒に朝食を食べる事のなかった。セッテが朝に家族の団欒の場に出てきて、おはようと言う。徐々に良い方向に変わって来ているセッテの変化を喜ばしいと話しながら。チンクは
「まぁあの子は大分可愛いとは思うしな。な? セイン。オットー」
「だね。ちょっと天然入ってて可愛いと思う」
「いや、でもあの子は超頭良いぞ?」
と龍花を知る面々がそんな話をしているのを聞いた。ジェイルは
「今度会ってみたいね。そうだ。セイン、オットー今度その子を家に呼んでくれないかい?」
笑顔のジェイルにそう言われた2人は
「いや。無理。龍花のお兄さん達は超過保護だから。絶対無理」
「家に呼んでるなんて知られたら俺ら殺されるよ」
「そんなになのかい? なら運動会を見に行くしかないね」
どうも自分の息子の想い人が気になるのか。悪巧みを始めていた……
金ぴかと天の鎖
「ギルー。ギルー。起きろー」
外国で会社を興したギルの両親は殆ど家に帰ってくることも無い、そしてギルは朝が凄く弱い。小学校の時から彼を起こすのは僕の仕事だ。
まぁ僕自身の親も滅多にかえってくることは無く、両親同士が友人であった事もあり。僕はギルの家で一緒に暮らしている
「ぐうう」
「声を掛けた程度じゃ駄目か」
やれやれと溜め息を吐きながら、バケツに水を入れながら
(まぁ長い付き合いだしねー)
小学生の時は声を掛ければすぐに起きたが。中学校の高学年になると自分で起きる事は無くなった。水で濡らしたタオルを絞り
「はい、おきよーね」
顔にタオルを乗せて数分後……
「げぼっ!? ごほっ!?」
激しき咳き込みながら身体を起こしたギルは枕元の僕を見て
「死ぬ! 我死ぬぞ!! エルキドゥ!!」
「大丈夫さ。ギル、君は丈夫だから」
そう簡単に死ぬような人間じゃないのは良く知ってる。だって普通の人間は顔に塗れタオルを置かれて。3分も平気でいれないからね
「ほら。早く着替えて。ご飯食べにおいでよ? 冷めるからね」
「む? すまんな」
ギルの部屋を後にして。コーンスープを温めながらパンをトースターに入れる。もう随分長い事こんな感じで過ごしてきた。夫婦だと言われ、からかわれた事もあったが
(まぁ、僕とギルはそういう仲じゃないしね)
僕がギルを異性と見ることがないように。ギルも僕を異性と見ることはない。あくまで対等な立場の友人なんだ
「何時もすまんな」
「気にしなくて良いさ。それより早く食べよう」
何時もの事で、怒ることはない。それにギルに料理をさせると後片付けのほうが大変なので、僕が料理するほうが効率が良い
「よしっ! じゃあ行こうか」
「うむ。そうだな」
朝食を終え、すぐに食器を片付け終え。家を出て2人で学校に向かう。これが僕とギルの毎日だ
「あ。ギー君、エンちゃん。おはようございます」
「「「チッ」」」
学校の近くでリューカと会う。リューカはにこにこと笑っているが。はやて達はギルを見てあからさまに舌打ちしている、これ以上天敵と言う言葉が似合う人達はいないだろう
「やぁ。おはようリューカ」
「はい。おはようございます」
明らかに不機嫌顔のギル達は無視する事にする。それが平穏無事に過ごすコツだ。
「さぁ行こうリューカ」
「あのーおにーちゃん達は?」
一触即発と言う感じのギル達を見るリューカに
「ああ、あれは気にしなくても良い何時もの事さ」
そう笑ってリューカの手を引く。はやて達の喧嘩はリューカが見るべき物じゃないからね。
これがリューカを取巻く日常。
少し平和とは違うかもしれないが……それでもきっと平和と呼べる物だと僕は思う
第23話に続く
どうでしたでしょうか? 八神家を除くと海鳴の街はこんな風になっていると言う感じにしたつもりです。
あとプリズマ・イリヤで登場するクロエを名前だけですが出してみました。と言うかプリズマイリヤで知ってるのがクロエだけなんですけどね
もしかすると本格的に出すときが来るかもしれませんね。それでは次回の更新もどうか宜しくお願いします