海鳴のお姫様!!   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回は遅れましたがバレンタインの番外編をしようと思います。ただ「夜天の守護者」では難しい(龍也さんの誕生日の設定が3月14日なので)ので海鳴のお姫様でやろうと思います。それでは今回もどうか宜しくお願いします


バレンタイン番外編

 

 

 

海鳴のお姫様番外編 乙女の聖戦

 

2月14日……それは恋する乙女が意中の人物を射止めようと、手作りのチョコを作り想いを告げる日なのだが……

 

「バレンタインってなんですか?」

 

私立聖祥大附属高等学校1年 お姫様やお嬢様と渾名をつけられている八神家の秘蔵っ子はその行事を知らなかった

 

「あはは。龍花ナイスジョーク」

 

「ええ。リューカにしては珍しいですね」

 

「ほんとほんと」

 

まさかと思った。遠坂凛・アルトリア・セイバー・イリヤスフィール・フォン・アインツベルンがくすくすと笑うが……

 

「ジョーク? いえ本当に知らないんです。バレンタインって何ですか?」

 

「「「……」」」

 

真剣な顔でそう尋ねる龍花に凛とアルトリアが

 

「あのシスコンども……」

 

「いえ。待ってください。あのシスコンがバレンタインを教えないわけが……」

 

腑に落ちないと言う顔をしながら、ブツブツ呟いているのを見ながらイリヤが

 

「あっ……2月。そっか、そういうことねリューカ」

 

1人だけ納得言う表情のイリヤに

 

「どういうことなのですか?」

 

「1人だけ納得ってどういうことよ?」

 

アルトリアと凛の問いかけに龍花が

 

「私は今まで2月は殆ど入院してまして……そういう行事とかは知らないんですよ」

 

あっ……と呟く凛とアルトリアににこにこと龍花は笑いながら

 

「いえ。別に気にしてないんですよ? そういうことで私はそういうのを知らないので、教えていただけると嬉しいです」

 

全く邪気の無い顔で笑う龍花に凛は

 

「え。ああ……判ったわ。バレンタインって言うのはね……」

 

 

要所を纏めて説明しようとした凛だったが……ここでちょっとした悪戯心が涌いた。龍花の行動に一喜一憂するシスコンに金ぴかを思い出し

 

(ちょっと歪めて教えましょう。その方が面白い)

 

ニヤーと紅い悪魔の笑みで微笑んだ凛は

 

「良いバレンタインって言うのはね……」

 

その説明にイリヤとアルトリアはえっ? と言う顔をしていたが龍花は手帳にメモを取りながら頷いていた

 

「と言うことよ、判った?」

 

「はい。お世話になった人にチョコレートを上げる日なんですね」

 

「そうそう、それで形は三角・四角・丸・ハートって感謝の気持ち順で形を変えるのよ」

 

「なるほどな~それで2月14日なんですよね? えーと……あ、月曜日ですね。それじゃあ日曜日に作ろうっと」

 

手帳にぐりぐりと二重丸をつけている龍花にイリヤが

 

「ねぇ? 私も一緒にいい?」

 

「うん。いーよ。凛さんとアルトリアさんも一緒にどうですか?」

 

その問いかけに2人は即座に頷き。様々な思惑が交わりながらバレンタインに向けて乙女達は準備を始めた……

 

 

 

 

 

 

2月13日 朝

 

「さみぃ……」

 

「我慢しろ。ヴィータ」

 

2月13日の日曜日。家でのんびりと休んでいた私達だったのだが、10時ごろにやってきた凛達にでていけーと家から蹴りだされてしまった。コートこそ着て来たが寒い

 

「そもそも。なんだ? なぜ私達は家から蹴りだされたんだ

 

シグナムがしきりに首を傾げる中。

 

「おや? はやて達じゃないか、何をしているんだい?」

 

「エルキドゥ……だよな?」

 

目の前のエルキドゥは初めて見る。ロングスカートにコートを着てその手に紙袋を抱えていた

 

「失礼な。どこからどう見ても僕じゃないか」

 

「……いや。女子の服を着てる所ははじめて見たからな」

 

シグナムとヴィータは何度も目を擦っている。男物の服を着ていれば端整な顔付きの美青年に見えるエルキドゥだが、女子の服を着ていると人形の様に整った顔の美少女にし

か見えない。知り合いが見てもこの雰囲気の違いは気づかないのでは

 

「その反応。ギルと一緒だね……おや。ギルに似てると言われるのは不快かい?」

 

「ああ。とんでもない嫌な気分だ」

 

あの金ぴかと同列扱いなど耐え切れない。自分で判るほど不快な顔をしているだろう

 

「ところでどこ行くんだ?」

 

「リューカの家でチョコレートを作るんだよ。聞いてなかったかい?」

 

チョコ? なんで……暫く私達は首を傾げていたが

 

「あ。バレンタイン」

 

「「それか!?」」

 

ヴィータの呟きに思わず振り返る。今までバレンタインなんて気にも留めてなかったので完全に忘れていた

 

「そうそう、リンがね。リューカに何かちょっと違ったバレンタインの情報を吹き込んだらしいんだよ」

 

あの紅い悪魔何をしてくれてたんだ。私達の妹をおもちゃか何かと勘違いして無いか?

 

「なんでも感謝の気持ち順に形を変えてチョコレートを作るとか言ってたよ。ハートが貰えると良いねえ?」

 

にこにこと笑うエルキドゥはじゃ、時間に遅れるからと笑って歩いて行った……その後ろ背を見ながら

 

「感謝の気持ち順?」

 

となるとハートが最高になる訳だが……

 

「「「なんか。急に怖くなった……」」」

 

もしハートが貰えないかもと判ると凄く怖くなった……

 

「……とりあえず、行こうぜ?」

 

このままここにいても何の意味も無い。私達は先程より重い足取りでボーリング場に向かったのだが……その途中で

 

「……大丈夫。我きっと貰える……うん。我は歩ける……あっ、やっぱ駄目かもしれない」

 

「なぁ? あの馬鹿は……「見るな。言うな。視界に入れるな。存在を無視しろ」

 

項垂れて全く動かないレザージャッケットの馬鹿を意図的に視界に入れず。私達はボーリング場に向かって行った

 

 

 

 

 

 

「ふっふーん♪」

 

鮮やかな手際でチョコレートを刻んでいる龍花を見ながら

 

(うわ……なんか格の違いを見せ付けられてるみたい)

 

三角・四角・丸・ハート型のチョコレートを作ると教えたのだが。どこのパティシエだと言いたくなるほど素早く次々とチョコを作っている

 

「リューカ。湯煎とはこうで良いんですか?」

 

「はい。焦らないでゆっくりやってくださいね」

 

しかしそれでいてセイバーの面倒までも見ている。やはり日常的に料理をしている龍花の料理のスキルはかなり高いようだ

 

ぴんぽーん

 

「あれ? 龍花。誰か来たわよ」

 

「はい、今開けてきますね」

 

火を止めて玄関に向かう龍花の後ろ背を見ながら

 

「なんかさ……格の違いを見せ付けられてる気がするんだけど?」

 

「言ったら駄目よ。リン、リューカの料理スキルは私達の倍以上よ、差が出るのは当然だわ」

 

チョコを溶かして型に入れているだけの私達と、生クリームや色んな材料を加えて味や風味を変えている龍花のチョコと比べるとかなり劣っているように見える

 

「おや? いつもの賑やかさはどうしたんだい?」

 

「エルキドゥ……?」

 

「そんなに不思議そうな顔をしないでくれるかい?」

 

いつものジーンズではなくスカート姿のエルキドゥは同性から見ても可愛いく見えた。もっと日常的に女物の服を着れば良いのに……私がそんな事を考えているとエルキドゥは明らかに使い慣れた感じのエプロンを着こんでキッチンに入ってきた

 

「僕はここら辺を使わせてもらうよ」

 

「どーぞ、どーぞ。材料は好きなのを使ってくださいね」

 

龍花はにこにこ笑いながらまた私とセイバーの隣に入る

 

「えーと次はこれっと」

 

龍花は戸棚から明らかに高級そうな酒ビンを取り出す

 

「り、リューカ? それは?」

 

「これですか? アインスが貰ってきたお酒です。アルコールを飛ばしてチョコに混ぜようかなって」

 

……だ、駄目だ……戦力差は私達が思うよりあった。そんな技法は思いつきもしなかった

 

「生チョコだと駄目だね。リューカ。ケーキの方はあるかい?」

 

「上の戸棚にありますよ?」

 

「ありがとう。僕はチョコケーキにでもするよ。チョコレートだと色々と勘違いされても困るからね」

 

「あ、それなら冷蔵庫に私が作ったチョコソースがありますよ?」

 

「ああ、それはいい、中に入れようかな」

 

「焼き加減を気をつければなかにしっとりとした食感を出せると思いますよ?」

 

「そうだね。折角だから炒ったピーナッツとかアーモンドを砕いて混ぜようかな?」

 

「良いですねー私も焼こうかな~おにーちゃん達が喜んでくれそう」

 

……なにあの高度なお菓子作りの会話。私達には理解できないわ……

 

 

私はどこか卑屈な気分になりながら。高度なお菓子作りの会話を繰り広げている龍花とエルキドゥを見ながら自分のチョコレートに、砕いたピーナツを入れ始めた……

 

 

 

 

 

苦労人な学級委員

 

2月14日。男子にとってはチョコを貰えるかどうかを競う日だが、俺に何の興味の無い日の筈だったのだが……

 

「え? マジ? くれるの?」

 

「要らないんですか? それならそれでも良いですが……」

 

コテンと首を傾げるリューカの手には綺麗に梱包された小さな箱がある。どう見てもチョコレートだよな?

 

「いや。何でくれるのかなって?」

 

周りのさっきを感じながらそう尋ねるとリューカは

 

「凛さんに聞いたんです。2月14日って何時もお世話になってる人にチョコを上げる日だと。モードレッドさんには色々助けてもらってますから♪」

 

あ、うん。それね……うん、期待なんかもしてないし落胆もしてない。

 

「ありがとう。貰っておくよ」

 

「はい。お口に合うと良いんですけど」

 

にこにこと笑い。今度はスバルにチョコを渡しているリューカを見ながら

 

(は、はは……だよな。うん……義理チョコだよな)

 

手元の赤い箱を机の中に突っ込んだ。今日の昼休みでも食おうと思って

 

「結局チョコを貰ったのは男子では俺達だけか」

 

あのあとリューカは女子では陽花と王花にチョコを渡し。そのまま廊下に出て行った。恐らく他のクラスの友人に渡しに行ったのだろう。1組でチョコを貰ったのは俺とスバルとティアナのコンビに以外や以外セッテの4人だけだった。昼休みに弁当を食べ終え、スバル達と

 

「やっぱ義理だよな……」

 

「俺もそう思う」

 

「僅かながらに期待してしまった自分が恥かしい」

 

100%義理チョコだろう。リューカの本命を貰えそうなのって

 

「先輩とギルガメッシュ?」

 

「だろ? 片方は幼馴染だし、俺達に本命はくれないだろ?」

 

とは言いつつ落胆しているのが判る。スバルを見ながら3人でチョコの箱を開けて

 

「あ、あれ?」

 

「形が違う?」

 

「ハート型はモードレッドだけだと?」

 

スバルとティアナの四角と丸型が2個ずつで計4個。それと違って俺はハート型のチョコが6個。数も形も違う

 

「お前……ちょっとそのハート型寄越せ」

 

「やだね!」

 

伸ばされたスバルの手を弾き、そのまま1個ハートチョコを取り口にほり込む

 

「う、ウマ!? ええ? これ売り物と良い勝負だぞ」

 

売ってる物とそんなに差が無いほど美味く、丁寧に作られている。

 

「そんなにか? どれ」

 

若干不機嫌そうに四角のチョコを食べたティアナは

 

「む? ピーナッツか。美味いな」

 

「俺のはうーんなんだろ? まろやかな味がするんだけど……生チョコっぽいな?」

 

どうもどれも味も中身も違うようだ。しかし

 

(俺だけハート型ってことはそこまで望み薄じゃないのかも……)

 

俺はそんな事を考えながらリューカに貰ったチョコレートを頬張った……それはひどく優しい味がした……

 

 

 

 

 

 

金ぴかの歓喜

 

昼休みに弁当を食べ終え。屋上でごろ寝をしながら

 

(いらんな、こんな物)

 

朝から女子どもに色々と貰ったが、こんな物は我の欲しい物ではない……

 

(リューカは我にはくれんのだろうか?)

 

朝は教室で待っていたが、リューカは来なかった。若干気落ちした気持ちで授業を受けていた

 

(少し寒いが……まぁ良いか)

 

帰りにでももらえるだろうと考え、目を閉じると

 

「あ。やーと見つけましたよ。ギー君」

 

待ちに待ったリューカの声に目を開けると。手に小さな小下げ袋を提げたリューカが我を見下ろしていた。距離的にスカートの中は見えないが、気恥ずかしい気持ちになり身体を起こす

 

「何のようだ?」

 

判ってはいるがそう尋ねるとリューカはにこにこと笑いながら

 

「はい、いっつもお世話になっているのでチョコレートを持って来たんです♪」

 

どうも正しくバレンタインの意味を理解してないようだが。それでこそという気もする。我は差し出された赤い箱を受け取る。箱自体は小さいがずっしりとした手ごたえを感じる

 

「開けても?」

 

「どうぞ、どうぞ。お弁当を食べ終わった頃だと思ってきたので」

 

デザートという訳か……まぁ悪くは無いが勿体無い気もするなと思いながら箱を開ける。

 

(ハート型か……ふっ。悪くは無いか)

 

チョコは8個。その内4個はハート残りの4個は四角・三角がそれぞれ1つと丸が2つ

 

「色々と味を変えてみたのできっと美味しいと思います」

 

リューカの説明を聞きながらハート型を取り頬張る

 

(ふむ……ん? これは……酒か?)

 

酒のアルコールを飛ばして風味だけを上手く生かしている。さすがという味だ

 

「悪くないな。これはウィスキーか?」

 

「お酒の種類はわかんないです。アインスガ呑んでるのを使っただけなので」

 

ふむ。アインスと言えばバーテンダーだったか? となればそこそこ良い酒であるのは間違いないだろう

 

そのころ八神家では

 

「ぬお!? 一瓶3万のウィスキーが半分になってる!? 何故だ!?」

 

休みの度にちびちび飲んでいた。ウィスキーが半分以下になってることに気付いたリインフォースが絶叫しているのだが、それはまた別の話である

 

 

 

 

お兄ちゃんズ

 

リビングの片隅で体育座りをし絶望している3人の姿があった。言うまでもなくはやて・ヴィータ・シグナムだ。その周りには袋に入れられたチョコの山、だがその中に龍花の物は無いそれが絶望の理由だった

 

「おい。いい加減にウツオーラを撒き散らすのをやめろ」

 

「「「……」」」

 

「重症だな」

 

「ああ。そうだな」

 

アインスとシャマルはそんな3人を見ながら。酒を煽っている、この2人も午前中な嘆き続け色々と吹っ切れているだけである

 

「ただいまー」

 

龍花が帰宅する。その声に一瞬顔を上げたはやて達だったが

 

「今ご飯作るね」

 

チョコレートではなくご飯の準備始める龍花に更に絶望した表情になる

 

そしてそのまま夕食の時間になったのだが……

 

「ねぇ? おにーちゃん達が絶望って顔してるけど何で?」

 

皿を並べながら尋ねてくる龍花に

 

「龍花がチョコをくれないっていじけてるんだよ」

 

「え? そうなの? 夕ご飯の後に出そうと思ってたんだけど……今だした方が良い?」

 

龍花のその声を聞いたはやて達は

 

「いや。夕飯の後で良い」

 

「おう。待ってるから」

 

「ああ、夕飯の後に出してくれ」

 

さっきまでの表情から一転、笑顔で椅子に座るはやて達を見て。子供かとは思ったが

 

(まぁ私も似たような物か)

 

さっきまでのうつうつとした気分がなくなっていることに気付き。私も似たような物かと思った……

 

「じゃあね~チョコ持ってくるねー」

 

夕食のクリームパスタを食べ終えた所で龍花がキッチンに戻るのを見ていると

 

「どんなチョコなのか楽しいだな」

 

「龍花のことだからきっと凝ってるだろうな」

 

各々にどんなチョコなのかを想像していると龍花が居間に戻ってくる。その手には巨大なトレーが

 

(あれ? チョコレートじゃないのか?)

 

チョコの割には大きい事に疑問を覚えていると龍花は

 

「じゃーん♪ チョコケーキにしてみたんだ」

 

チョコが練りこんでいるあろう生地に、チョコクリームがたっぷりと塗られたケーキの上に板チョコが載せられ。そのチョコには

 

『何時もありがとう。大好きだよおにーちゃん♪』

 

とホワイトクリームで描かれていた。思わず笑みが零れるほど嬉しかった

 

「今切り分けるね」

 

ケーキを切ろうとする龍花に

 

「いやちょっと待ってくれ。もうちょっとだけこのままで見ていたい」

 

「? へんなの? 別にいいけど……」

 

首を傾げる龍花。折角大切な妹が作ってくれたケーキだ。もうちょっとだけこのままで見て居たかった……

 

 

 

八神家の面々がほっこりとした気分でいる中。士郎はと言うと

 

「3倍返しだよな? 俺どうしよう」

 

机の上に置かれた大きい4個のチョコレートに頭を抱えていたりするのだが、それはまた別の機会に語るとしよう

 

 

乙女の聖戦 終り

 

 




こういうイベントはあんまりやってないですが。今回は初めて挑戦してみました。どうでしたか?
面白かったのなら良いのですが、それでは次回の更新もどうか宜しくお願いします
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