第25話
「いやーいい天気だねえ。ウーノ」
「そうですねぇ。ドクター」
時刻は丁度12時。お昼休みのタイミングで到着した。私とウーノの手にはお弁当の包みが2つずつ
「ふっふっふ……きっと驚くぞ」
「驚くと言うか絶叫しそうですけどね。チンクとか」
昼はコンビニの弁当でも買うとチンク達は言っていたが、当然そんな事は認められず私とウーノで昼食を作ってきた。尚この時私とウーノの調理過程を見ていたクアットロとトーレは口を揃えて「「何かの実験中に見える」」とコメントしていた。やはりエプロンでは無く白衣で作ったのが原因だろうか
「はー着いたわね。キリツグ」
「ああ、丁度いい時間だね。アイリ」
楽しそうな声が聞こえてきて振り返ると、そこには死んだ眼をしたぼさぼさ頭の男と日傘を差した銀髪の女性。そして
「へーここが日本の学校なのね」
褐色の肌をした少女が楽しそうに学校を見ていた
「士郎君。驚くかなー♪」
「ああ、きっと驚くよ。なんせクロちゃんもいるからね」
「ふふふ。士郎兄様がどんな顔をするのか楽しみ♪」
楽しそうに歩いて行く3人の姿を見ながら
「ウーノ。チンク達はどこかな?」
「チンクは3年、セイン・オットー・セッテ・ウェンディは1年なので、新校舎のほうですかね?」
ウーノの話を聞きながら校門をくぐり、グランドの方に向かって歩いていると。制服姿に銀髪と目立つ容姿の女生徒の姿が目に止まる
「彼女に聞いたら判るかな?」
「リボンの色は1年ですし……判るかもしれませんね」
ウーノにも賛同してもらったのでその少女に近寄り
「こんにちわ。少しいいかな?」
「はい? 何ですか?」
ふわふわとした雰囲気の少女はにこにこと笑いながら。どうしましたか? と尋ねてくる
「セッテ・スカリエッティを探しているんだが、どこにいるか知らないかな?」
「セッテさんですか? 同じクラスなのでご案内しますよ」
おや? セッテの知り合い……しかも同じクラス。もしかして……
(ウーノ。この子がもしかしてセッテが気にしてるって言う女の子なんじゃ?)
ふわふわとした雰囲気をしている。彼女はひどく愛らしく可愛らしい。もしかしてと思いながら尋ねると
(そうかもしれませんね。ドクター)
やっぱりウーノもそう思ったか……10年若かったら充分守備……
「ドクター? 死にますか?」
「……ふむ。冗談だ、それと心を読むのは止めてくれたまえウーノ」
1番最初に引き取った私の養女。ウーノは少々ファザコンのけがあり、女性とかに見惚れるとひどく怒る。だから怒り始める前に謝り
「では近くまでお願い出来るかな?」
「はい♪ こっちです」
にこにこと笑う少女に案内され。私とウーノはグランドの方に向かって歩き出した……
「んじゃ。弁当買いに行くか」
「俺。カルビ弁当よろしく♪」
「着いて来いよ。セイン」
「えー行って来てくれよ~セッテ」
いいじゃんいいじゃんと笑うセインがムカつき殴ろうとした瞬間
「へー。セッテさんのお姉さんとお父さんなんですか」
「ええ、コンビニのお弁当を食べると言ってましたからね。身体に良くないと思ってこうしてお弁当を作ってきたんですよ」
「はっはは。コンビニの弁当なんて身体に悪いからね! 龍花君」
……すっごい聞き覚えのある声だ。具体的に言うと今朝にも会ってる
「……お父さんとお姉ちゃん?」
「言うな。認めたくないんだ」
オットーが声のしたほうを見ようとするのを止める。高校の体育大会だぞ? 保護者が来るなんて事は……
「じーさんッ!?!? なんで!? どうして!?」
「暇だからね。見に来たんだよ。士郎」
「お母様、見に来てくれたの?」
「ええ。イリヤ」
……案外いるのかもしれない……
「あっ。スカリエッティさん、セッテさん。あそこにいますよ」
「おお! 本当だ、おーいセッテー」
ぶんぶんと手を振る父さんから目をそらす
「セイン。父さん呼んでるっすよ?」
「知らん」
返事なんてしない。と言うかなんで来たんだよ……恥かしい
「りゅ、龍花君。ウーノ……セッテが……セッテがぐれてしまった……」
よよよっと崩れ落ちる父さんに
「あーもう!! いい加減にしてくれ!!!」
周りからの好奇の視線に耐え切れず父さんの傍に駆け寄り。首根っこを掴んで引き摺りながら
「ウーノ姉! 行こうぜ!」
「はいはい。行きましょうね」
ウーノ姉の手の弁当箱を受け取り。父さんを引き摺り木陰に向かって行った……
「切嗣さん……それにアイリさんも。何してるんですか?」
龍花の所に弁当を取りに行こうとグランドを横切っていると、切嗣さんとアイリさんがいて驚きながら尋ねると
「なにって。見に来たんだよ。はやて君」
「そうよ。暇だったからね」
にこにこと笑う切嗣さんとアイリさんに溜め息を吐こうとして
「あ、おにーちゃん♪」
「り、龍花……お前もか」
ちゃっかり切嗣さんとアイリさんの後ろでお弁当の準備をしている龍花がいた。しかも私達の弁当も準備済みだ……
「おにーちゃん達も座って。座って♪ もう準備してるんだよ」
「……その用だな」
もう拒否権の無い状態になっている。ちらほらと保護者が来ている生徒もいるが、まさか私までこんなことになるなんて思っても見なかった。少々気恥ずかしい思いをしながらブルーシートの上に座って気付いた
「……何があったんだ士郎」
頭に噛み跡のついた士郎がぐったりと横たわっていた……
「は……はは。イリヤの従姉妹が来てて……出会い頭に抱きつかれて頬にキスされて。イリヤが怒って噛み付いてきただけだ……」
「凛とか桜に殺されるぞ。お前」
一方通行な恋路を貫く2人の名前を言うと
「俺も……それが怖いんだ……」
よっと言いながらブルーシートに士郎が座る。明らかに消耗した表情をしている。私が士郎を観察していると
「あ、どうも。切嗣さん、アイリさん」
「……ここに座っても?」
ヴィータとシグナムも来て。気恥ずかしそうにブルーシートに座る。前を通る生徒が不思議そうな顔をして行くのを見ていると
「馬鹿じゃないの? なんで士郎兄様を噛んだりしたのよ?」
「ううーシロウが悪いんだもん。イリヤは悪くない」
イリヤとイリヤとよく似た顔立ちの少女が歩いてくる。と言うかイリヤがただの駄々っ子になっているが……一体何が
「あちら。イリヤちゃんの従姉妹のクロエちゃんです」
「紹介ありがとう。龍花」
クロエと紹介された少女は士郎に近寄り
「大丈夫ですか? これを」
「ああ、ありがとう。クロ」
濡らして来たであろうハンカチを手渡そうとする。士郎もそれを受け取ろうと手を伸ばした瞬間
「ガブッ!!!!!」
「っぎゃあああああ!? 痛い! イリヤ痛い!!!」
その手に思いっきり噛み付くイリヤ……ええ~どういう状況?
「あら。美味しい、リューカちゃんは料理上手ね」
「えへへ。そうですか?」
龍花とアイリさんはのんびりとそんな話をしてるし。シグナムとヴィータは触らぬ神に祟りなしと言いたげに弁当を食ってるし……もうどういう状況だこれ
「この馬鹿イリヤ!」
クロエがイリヤ目掛け、大きく振りかぶりビンタを放つが
「シロウバリヤー」
ぐったりしていた士郎を持ち上げる盾にするイリヤ。クロエが止めようするとがもう遅く
バッチ-ンッ!!!!!
イリヤに盾にされた士郎の頬からとんでもない良い音がする。会心の一撃だな
「へぶう!?」
全力ビンタにひっくり返る士郎、あーあ。なんだあいつばかりあんな目に会ってるんだろうな
「ああ、士郎兄様。すいません……イリヤ!! このっ! このっ!!」
「むひぇへへ……くぬっ! くぬっ!!!」
互いの頬を引っ張り合うごろごろと転がるイリヤとクロエを見ていると。龍花が無言で立ち上がり
「喧嘩は良い加減にしてください♪」
ごつん!!×2
可愛らしい声とは対照的に重い音を立てて命中する龍花チョップ
「「!!!」」
額を押さえ悶絶するイリヤとクロエに
「ご飯を食べるときは喧嘩しないで下さい」
「いや。ほら……クロが」
「イリヤが……」
互いに互いを指差すイリヤとクロエにニッコリと龍花が微笑み
「喧嘩。しないでください」
「「はひっ!」」
笑顔ゆえの圧迫感。龍花の怒った時の笑顔の威圧感ははんぱない。流石のイリヤとクロエも沈黙した
「じゃ、皆でご飯にしましょう♪」
にこにこと笑う龍花を見ながら私も割り箸を取り。玉子焼きに手を伸ばしながら
(これでゆっくり昼食だな)
周りに視線はまだ続いているが、なんとかゆっくり昼食タイムに入る事が出来た……
これが終れば午後の部だ、早く終らせてゆっくり休みたいものだ……
第26話に続く
うーん。今回はかなり短めになってしまいましたね。ネタが無かったんです、なんとなくプリズマのクロエを出してみました
イラストしか知りませんが。結構好きなキャラなので。次回は龍花さんも協議に参戦します。どうなるかお楽しみに!!