海鳴のお姫様!!   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回の番外編はバレンタインでー番外編「乙女の聖戦」のホワイトデーバージョンです
モードレッド・ギルガメッシュ・兄ズ・士郎・の視点で進めて行こうと思います

それでは今回の更新もどうか宜しくお願いします



ホワイトデー番外編

 

海鳴のお姫様番外編「男達の苦労」

 

 

3月13日の土曜日。少年達はある難題を抱えていた、ホワイトデーは3倍返しが基本だ。だが彼らにチョコレートをくれた少女を一言で言うのなら

「欲のない子」である。何を贈れば喜ばれるのか? 何を贈ったら駄目なのか? それすら判らず、少年達は頭を抱えていた

だが何時までも悩んでいても仕方ない、少年達は考えるよりも行動の精神で各々動き出した。

これはホワイトデーを目前にした、少年達の戦いの記録である(嘘)

 

 

苦労人の挑戦

 

「どうすればいい? どうしたら良いんだ? ランスロット」

 

「あのですね? モードレッド。私は今夕食の準備をしているんです、判りますか? これをしくじれば私達の命が無いんですよ?」

 

冷静にそう諭してくるランスロットに

 

「まだ1時だ、少しくらい時間あるだろう?」

 

ランスロットの怯えは理解できる。我が家の暴君にして我が実姉アルトリア・セイバー。食に対する執着は人一倍で、雑な料理をすれば命は無い。その事は俺も重々承知している。だが俺だって引き下がれない

 

「頼むって! ホワイトデーのお返しって何をすればいいんだ!? 教えてくれ!」

 

リューカからチョコを貰った。そのお返しをしなければならない。だが俺はチョコを貰ったのはリューカが初めてだ、どうすれば良いかなんて丸で判らない。必死にランスロットにしがみ付き助力を請う

 

「はー仕方ないですね。少しだけですよ」

 

大きく溜め息を吐くランスロットはフライパンに岩塩を入れて弱火にしてから。キッチンから出てくる

 

「何を作ってたんだ?」

 

「ローストビーフです。あとは海鮮サラダとコーンポタージュです」

 

「なんか雑くない? 姉貴怒るぞ?」

 

こんな話をしてる場合ではないが、それが気になり尋ねると

 

「単純な料理にこそ、料理の真髄があります。このローストビーフに使用した牛肉はキロ1万の高級肉です。調味料やタレに拘っています、きっとお嬢様も気に入るでしょう」

 

淡々と言うランスロット。キロ1万? 見たところ5キロくらい用意してるように見えるが? 金は足りたのだろうか?

 

「多少自腹を切りました。 今朝の惨劇を覚えているでしょう?」

 

「ああ……」

 

ガウェインが今朝作ったマッシュポテトとベーコンのぶつ切り、そして焼いただけのパンと丸のままの野菜の盛り合わせ。姉貴は当然の如く怒り狂い、ガウェインを竹刀で滅多打ちにした挙句。口に猿轡を噛ませ何時もの気に逆さ吊りにしていた。今は気分転換と称して士郎の家に出かけている

 

「まぁそれは置いておいて。リューカ嬢にですよね?」

 

「ああ」

 

俺がそう返事を返すとランスロットは眉を顰め

 

「確かに彼女相手では何を贈るかが重要ですよね……ふーむ」

 

顎に手を置いて考え込むランスロットは、ぽんっと手を叩いて

 

「お菓子を作りましょう」

 

お菓子? いやいや

 

「無理だろ? リューカのほうが数段上だぞ?」

 

リューカの料理スキルを10としたら俺はよくて2程度だろう。戦力差が天と地ほどある……

 

「良いですか? 下手に物を買うよりも、真心の篭った贈り物です。夕食のデザートも作りますし、私の隣でどうぞ」

 

「うー判った。やってみるか……」

 

確かにランスロットの言うとおりだ、金も無いしな、ここは手作りのお菓子で行こうと思い。使い慣れたエプロンを身に着けキッチンに足を踏み入れた

 

~1時間後~

 

「お、俺には無理だったんだ……」

 

ぺっちゃんこのチョコケーキを前に蹲る。その隣のランスロットのケーキはふかふかと柔らかそうで見るからに美味しそうだ。そのせいで余計に惨めに思えてくる

 

「まぁ初めてではこんな物ですかね……ごふっ!? も、モードレッド……これ、砂糖じゃなくて塩入っています」

 

「え? マジ? ごぶっ!? から!? 塩辛い!?」

 

その余りの辛さに悶絶する。なんと言う凡ミス、普段はこんな事はしないのに……

 

「ふーもっと簡単なのにしましょう」

 

ランスロットが目の前に置いたのは拳大のナチュラルチーズの塊

 

「あの? これで何をしろと?」

 

「ボールに入れて混ぜなさい。ひたすら混ぜてトロトロニしてください、そしたら次の工程を教えますから」

 

目の前に鎮座しているチーズの塊を見る、かっちかっちで超固そうなんだが

 

「まぁ頑張ってください。私は夕食の準備を進めるので」

 

夕食の準備をするランスロットを見ながら、俺はチーズの塊との戦いを始めた

 

 

 

~1時間後~

 

「おお……すげえ」

 

焼きあがったチーズケーキを前に俺はそう呟いた、売り物と比べると大分不恰好だが……多分味のほうは大丈夫なはず

 

「ふむ……悪くないですね」

 

切れ端を食べてそう呟いたランスロットはそれを冷蔵庫にしまってから、俺の前に野菜をどんどん積み上げる

 

「あの? これは?」

 

「教えるのに手間が掛かりました。夕食の準備を手伝ってください」

 

にっこりと微笑むランスロットに頷き、ランスロットの手伝いを始めた

 

その日の夕食

 

「……ランスロット? これはなんですか? 焼いただけの肉じゃないですか?」

 

ローストビーフを見てそう呟く姉貴にランスロットは

 

「まずは召し上がってみてください。文句はその後で」

 

タレと慣れた手際で切り分けたローストビーフを姉貴の前に置く。姉貴は若干怒った表情のままタレにつけたローストビーフを口にした

 

「こ、これは!?」

 

「美味しいでしょう? もう少しどうですか?」

 

「ええ、これは実に美味ですね。もっと下さい」

 

姉貴が気に入った事に安堵しながら、自分の分のローストビーフを食べようとした所で

 

「そう言えば、モードレッド。リューカへのお返しは準備したんですか?」

 

「ん? ああ。チーズケーキを作ったよ」

 

「ほう。ちゃんと考えていたようですね。もしも買ってきた物だったら私は」

 

「私は何だよ。姉貴」

 

黙り込んだ姉貴にそう尋ねると、姉貴はにっこりと怖い笑みで微笑み

 

「殴り倒すつもりでした。リューカが手作りしてくれたのに、売り物と言うのはあまりに失礼ですからね」

 

手作りでよかった。あの目は本気だ、本気で俺を殴り倒す気だったに違いない。俺は手作りしてよかったと心から安堵した

 

「あれ? ガウェインは?」

 

姿の見えないガウェインの事を尋ねると

 

「モードレッド言い事を教えてあげましょう、人は1日くらい飲み食いしなくても平気なんですよ?」

 

怖い笑みの姉貴にこれ以上聞かないほうが良いと即座に悟った……その頃ガウェインは

 

「もがもが(お腹空きました)」

 

逆さ吊り+猿轡のままで空腹に耐えていた……

 

 

 

 

 

金ぴかと天の鎖

 

その日珍しく友は起こしに行く前に起きて来た。せっかくバケツとタオルを用意していたのだが無駄になってしまったようだ。僕はそんな事を考えながら

 

朝食を机の上に並べ椅子に腰掛けた。今日のメニューはハムエッグと焼いたトーストとフルーツサラダと簡単な物にした

 

「「頂きます」」

 

手を合わせてから気付いた

 

(あれ? 文句を言わないなんて珍しい)

 

何時もはこんな簡単な物を作れば怒り出すのだが、今日は何も言わず黙々と食べている。その事に疑問を一瞬抱いたが次の言葉でその疑問は解決した

 

「友よ。ホワイトデーにリューカに何を贈れば喜ぶと思う?」

 

真剣な表情で尋ねてくる友に

 

「逆に聞くが君は今何を贈るつもりなんだい?」

 

僕がそう尋ねると友は着ていたジャケットから

 

「これだ」

 

その手から落ちたのは純金のペンダントとブレスレット

 

「純金だ」

 

「見れば判る。そして君は馬鹿だ」

 

「何故だ!?」

 

本気で驚いている友は机の上のペンダントとブレスレットを手に

 

「純金だぞ!? そして見ろこの美しい装飾を!? 大概の女なら喜ぶぞ!?」

 

「その考え方から間違っているよ」

 

そういった物欲的なタイプの女性なら、間違いなくそのブレスレットやペンダントを喜ぶだろう。だがリューカはそういった物は好きではないし、僕自身もそういうものは好きではない。と丁寧に説明すると友は

 

「そうか。ではこれはどうだ?」

 

「君は僕の話を聞いてのかい?」

 

今度机の上に置かれたのは宝石が真ん中についた見るからに高そうなブローチが3個だった

 

「ルビー、サファイヤ、そしてオニキスだ……「馬鹿」はぐっ!?」

 

どーだと胸を張る友の頬にグーパンチを叩き込む。なんでも金任せで考えるから……

 

「何故駄目なんだ!?」

 

「それで良いと考えれる君が怖いよ」

 

もっと他の物は思いつかなかったのだろうか? 呆れずには居られない

 

「ではどうしろと?」

 

「普通の物を贈るとは思いつかないのかい?」

 

「これが普通だ。「馬鹿」ぐあっ!? フルスイングのビンタは無いだろう!?」

 

頬を押さえている友に

 

「あのね? 同じ女として言わせて貰うけど、高級品が良いって訳じゃないんだよ?」

 

僕がそう言うと友は驚いた顔をしながら

 

「忘れていた。お前は女だった「死ね馬鹿!」ぐああああッ!?!? 濡れたタオルで強打はひどいぞ!?」

 

幾ら男装してるからって人の性別を忘れるのは酷いと思わずには居られない。いくらリューカにしか興味が無いとは言えあんまりだ

 

「で、どうすればいい?」

 

「リューカが喜びそうな物を考えるんだ」

 

うーんと2人で考え、次の瞬間口にした言葉は意図した訳では無いが、同じ言葉だった

 

「「リューカが喜ぶものって何だ?」」

 

何を贈れば喜ぶのかさっぱり判らない。暫く考え

 

「はやてと仲良くするのは? きっと喜ぶ」

 

「NOッ!!!!」

 

腕を×にして叫ぶ友に呆れながら

 

「じゃあ何を贈るんだい?」

 

「我?」

 

「ド馬鹿!!」

 

思いっきり濡れたタオルを叩き付ける。背中を押さえてごろごろとのた打ち回る友、暫くすると友が背中を押さえゆっくりと立ち上がる

 

「冗談だったのが?」

 

「君が言うと冗談に聞こえない」

 

我が道を行く性格ゆえに冗談とは思えなかった……

 

「普通にクッキーを作ったらどうだい?」

 

「我はカップラーメンしか作れん!」

 

「偉そうに言わないでくれ……」

 

頭痛が……僕は額を押さえながら、スペアのエプロンを取り出し

 

「ほら。教えてあげるからおいで」

 

「……うん」

 

のろのろとジャケットを椅子にかけて、エプロンをつけてキッチン入って来た友にクッキーの作り方を説明し作らせ始めたのだが

 

バキャン

 

「……友。我はどうしたら良い?」

 

「僕は卵を割れと言ったんだ。何故握り潰したんだい?」

 

握り潰され惨めな姿になった卵を見ながら

 

(これは相当苦労しそうだ)

 

なんでもそつなくこなせる友だが、料理は今までした事が無い。これを教えるのは苦労しそうだ、僕はそんな事を考えながら冷蔵庫から卵のパックを取り出した

 

 

なお僕が友に料理を教え始めたのは8時30分。それから僅か15分後、卵が全滅し近くのスーパーに買いに走り、友が卵を割れるようになったのはそれから1時間後。

クッキーの生地を引っ繰り返す事4回。完成したのは6時を回っていた……友の不器用さを初めて知った1日だった……

 

 

 

 

兄ズの深刻な悩み

 

土曜日龍花はイリヤと凛に誘われて遊びに行った間に、私達は兄弟会議を開催していた

 

「さて、バレンタインのお返しだが……どうする?」

 

同じ家に住んでいるが、龍花は基本的に欲が無い。何を贈っても喜ぶのは間違いない。だがどうせなら喜ばれる物が良い

 

「龍花はぬいぐるみが好きだぞ」

 

シグナムの呟きにアインスが

 

「ザッフィー2世を買うか?」

 

「いや。それは駄目だろ? 龍花はザッフィーが気に入ってるんだ、2世とかは駄目だろう」

 

ヴィータの意見は正しい。ずっと前に買った青い犬のぬいぐるみ(名称ザッフィー)を酷く気に入っている、買い直すとかは駄目だろう

 

「じゃあ。あれはどうだ?」

 

シャマルが手を上げてから

 

「1日だけでもギルガメッシュと仲良くするのは?」

 

「「「NOッ!!!」」」

 

私、ヴィータ、シグナムが両手を×にして叫ぶ。丁度その頃ギルガメッシュも同じ様に手を×にして叫んでいたりする

 

「ふうー。じゃあどうする?」

 

うーんと唸りあう……

 

「本でも買うか?」

 

「いや駄目だろ?」

 

あーだこーだと話し合ってる中。アインスが真顔で

 

「人身御供を捧げよう」

 

残念なあれを見る目が集中する中アインスは

 

「龍花は1人で寝るのを嫌がるので、ヴィータ・はやて・シグナムを「「「却下だ!!!」」」 残念だ」

 

色々とそれは問題がある。龍花の無警戒さや私達に理性と言った深刻な問題が……

 

「遊園地・温泉・海・キャンプ・ピクニック・映画」

 

淡々と呟き始めるシャマルを見る。シャマルは指折りしながら

 

「今言ったのは龍花が入院中に言っていた物だ。ホワイトデーには間に合わないが……春休みや今度の夏休みに出掛けるのはどうかな?」

 

確かに良さそうだが、問題が1つ

 

「予算は?」

 

私がそう尋ねるとシャマルとアインスは

 

「問題ない。アースラの給料はかなり良いんだぞ?」

 

「私も最近はアースラで短期バイトしてるしな。懐は大分暖かい」

 

性格にこそ難があるが、流石は我が家の家計を助けているだけはある。

 

「じゃあ、今度旅行に行くとして、明日は簡単なパーティでもするか?」

 

「だな。色々買いに行くか」

 

そうしようと頷きあい。私達は街に出掛けた……

 

 

 

こういうときに思うのは一緒に居るからこそ判らないもどかしさがある。でも出来る限り想い出に残る物をしてやりたいと思う

 

 

 

 

 

ブラウニーの悲劇

 

その日。俺は机に突っ伏し頭をフル回転させていた

 

(遠坂はアーモンドチョコレート。セイバーは普通のチョコ。桜は馬鹿でかいハートチョコ。イリヤは色々なチョコの詰め合わせ……でこれの3倍返しって、俺に何をしろって言うんだよ……)

 

と言うか日常的にフルボッコされてる思いでしかないのが、非常に悲しい……

 

「あーと、遠坂はノートPC買いたいとか言ってたな、あとインターネットの接続。桜は弓を買い直したいっていってたよな。あと壊れたオーブンの修理だっけ……セイバーはお弁当のおかずのグレードを……いや駄目だな、すぐに返せる物……駄目だ、食べ物しか思いつかない。イリヤは言う事を何でも……いや、何でもは駄目だ。何を要求されるか考えるだけで恐ろしい」

 

最近クロと張り合って色々と不味い方向に行ってるイリヤの要求を聞くのは恐ろしい。それ以前にクロからチョコを貰わなくて良かったと思っている、自分が居る。

 

「とりあえず、金が足りない」

 

今の持ち金では桜の弓と弦を買って、オーブンの修理のパーツを買うだけで限界だ。

 

「じーさんか、アーチャーかな」

 

手伝いでもして小遣いを貰わないと不味い

 

「と言うわけで小遣いが欲しいんだ、じーさん」

 

縁側でお茶を飲みながら新聞を読んでいたじーさんに事情を説明すると

 

「うーん。僕としてはお小遣いを上げたいだけどね? 僕の財布ってアイリに預けてるから、アイリに交渉してくれるかい? 今手持ちは煙草代くらいしかないんだ」

 

からからと笑うじーさんはちゃりちゃりと乾いた音を出す、がまぐちを振りながらそう笑った

 

「うん……そっか。ごめんじーさん」

 

「こっちこそごめんよ。士郎、今度は少しくらい手持ちを用意しておくよ。ああ、勿論セイバーの分は用意する気なんか無いけどね!」

 

にっこりと笑うじーさん。なんでか知らないけどじーさんはセイバーが嫌いらしい

 

「所で。じーさん、じーさんは何でセイバーが嫌いなんだ?」

 

俺がそう尋ねるとじーさんは遠い目をして、何かを思い出す素振りを見せながら

 

「……実はね、昔海外でボディーガードをしてる時にだね、ウーサー。ああセイバーのお父さんなんだけどね? アイリを連れてドイツを脱出する時に襲われてね、それから半年間何度も殺し合いをしてね、そのせいかセイバー家の人間は嫌いなんだ」

 

じーさんが昔、世界中の要人のボディーガードをしていたのは知っていた。そして最後の仕事のボディーガードの対象だった、アイリさんと駆け落ちしたのも聞いていたが……まさか映画になってもおかしくないだけの行動をしているとは思わなかった

 

「あの堅物め。今度会ったら撃ち殺してくれる」

 

「じーさん。冗談だよな?」

 

「ふふ、どうかな?」

 

悪戯っぽく笑うじーさんに俺は

 

「頼むから冗談って言ってくれ!!!」

 

だがじーさんは俺の言葉に返事を返さず、お茶を啜り始めた……長い事一緒に居る養父だが、初めて養父の考えている事が判らないと思った瞬間だった

 

「なに? 金だと? どうした急に」

 

洗濯物を畳んでいたアーチャーに事情を説明すると、アーチャーは

 

「なるほど。弓と弦は新品で無いと不味いな、貴様の弓では固すぎるから」

 

「ああ、あれをプレゼントしても良いかなと思ったんだけど、俺のじゃ弦が固いからな」

 

俺のは特注品でしかも固い。桜では弦を引くのも難しいだろう……だから新品を買う事にしたのだ

 

「そして凛のPCはジャンク品を組み合わせて特注品にしてやれば良かろう。私がよく行く店を教えてやろう、私の名を出せばツケにしてくれるはずだ」

 

「良いのか?」

 

「たわけ、私の名は貸してやるが、ツケの代金は貴様で払え」

 

まぁそこまで都合よく行くとは思っていない。今のただの冗談だ

 

「となると、問題はセイバーだな。食べ物か?」

 

「食べ物だろうか」

 

セイバー=食べ物。それ以外の答えを俺は知らない、だがただの食べ物で納得してくれるとは思えない

 

「まぁ、何かセイバーが納得してくれそうな物を後で考えるとしよう。私も協力してやろう、これで大体問題解決だろう。出かけて来い、私は忙しいんだアイリスフィールが料理をしようとするのを止めながら夕食を作るなければならないのだからな」

 

シッシと手を振るアーチャーに

 

「待ってくれ、イリヤはどうすれば良いんだ?」

 

「貴様が抱き枕にでもなってやれ。それだけでイリヤは喜ぶ」

 

そうだろう? と笑うアーチャーに

 

「まて。最近のイリヤの行動を知った上で言っているのか?」

 

「ああ、そうだ。あとはお前が兄妹の一線を越えないように気を付ければ良い。まぁアイリスフィールはそれを諸手を上げて喜ぶだろうがな?」

 

「お願いします。そんな事を言わないで下さい」

 

もうあの肉食獣の目で見られるのは精神衛生上良くない。それがクロも加わって2人になったから心労も2倍だ

 

「私は知らん。自分の身は自分で護れ、私は家族の胃を守る事で手一杯なんだ。これ以上苦労させないでくれ」

 

それを言われると俺は何もいえない。俺はキッチンに向かうアーチャーの背中を見送り、アーチャーに教わったPCショップでパーツを買い揃ろえ、家に戻った……

 

 

 

 

 

日曜日の昼前

 

 

ピンポーン

 

「はーい」

 

玄関を開けるとそこにはギー君とエンちゃんが居た

 

「もしかして、遊びに来てくれたんですか?」

 

日曜日だから遊びに来てくれたのかなと思って尋ねると

 

「あーいや違うんだよね。ほら友よ、ちゃんと言うんだ。練習しただろう?」

 

何の話をしてるのかな? 練習? 私が首を傾げていると

 

「ん!」

 

「何ですか? これ」

 

ギー君がそっぽを向きながら差し出してきた、袋を受け取りながら尋ねると

 

「バレンタインのお返しだ。リューカのくれた、チョコレートよりかは劣ると思うが、我が作った! で、ではな!!!」

 

「あ、ギー君。エンちゃんギー君行っちゃいました」

 

エンちゃんは微笑ましい物でも見たかのような顔をして

 

「まぁ彼は見た目よりかなりシャイなんだよ。じゃあ、僕は彼を回収しないといけないから」

 

手を振って歩いていくエンちゃんを見送り。扉を閉めて2階の自室に戻ろうとすると

 

ピンポーン

 

「はーい」

 

エンちゃんとギー君かなと思いながら扉を開けると

 

「あれ? モードレッドさん?」

 

そこにいたのは私服姿のモードレッドさんだった。ジーンズと紅いジャケット姿に帽子を被ったモードレッドさんは

 

「前のバレンタイン。ありがとう、これそのお返しだから」

 

渡されたのは私が両手で持つくらいの大きさの箱。それを受け取りながら

 

「これは?」

 

「チーズケーキ! んじゃな!!」

 

背を向けて走り出すモードレッドさんを見ながら

 

「お返し? どういうこと?」

 

渡されたケーキとクッキーを抱えて私は首を傾げた。バレンタインにはお返しがあるものなのだろうか? 凛さんはそんな事をいってなかったと思うけど……

 

「誰だった?」

 

はやておにーちゃんが顔を見せて尋ねてくるので

 

「モードレッドさんとギー君。なんかお返しってお菓子くれたよ」

 

私がそう言うとはやておにーちゃんはそうかと言ってリビングに戻るのを見ながら、2階の自室に戻る

 

「んーまだリビングに行ったら駄目なのかな?」

 

今日はリビングに来たら駄目だといわれたので自室でザッフィーの破けた所などを縫っていると

 

「おーい。龍花もういいぞ~!」

 

下からヴィータ兄の呼び声がする、塗っていたザッフィーを机の上においてリビングに下りる

 

「あれ? 今日何か記念日でしたっけ?」

 

ケーキとかが一杯置いてあってそう尋ねると

 

「バレンタインデーのお返しだ」

 

またお返し? バレンタインはあげるだけじゃないのかな? と首を傾げていると

 

「もしかして龍花、ホワイトデー知らない?」

 

「だろうな」

 

小声でひそひそ話をするおにーちゃん達を見ながら。1つ判ったのはこれをおにーちゃん達が私の為に準備してくれたことだった

 

「へへ。ありがとう。おにーちゃん♪」

 

ホワイトデーが何かは判らないが、私の為に準備してくれたという事が嬉しくて、私は笑いながらそう言った……

 

 

 

今までずっと病院暮らしだったから知らないことも多いけど、私の為に色々してくれるおにーちゃん達がいてくれる。それがとても嬉しかった

 

 

海鳴のお姫様番外編「男達の苦労」 終わり

 

 




な、難産でした。自分が思うよりもホワイトデーの話は難しいようです。来年はもうちょっと考えてからやろうと思います
それでは次回の更新もどうか宜しくお願いしたします
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