第41話
「おにーちゃん。お友達が遊びに来るんだけど良い?」
朝食を食べ終えたところでそう尋ねてくる
「友達?凜か?それともセイバー?」
ヴィータの問い掛けに龍花はううんと首を振ってから
「藍越学園で出来たお友達です」
その言葉に私達は内心舌打ちした。凜とかセイバーならまだ良い。私もシグナムも交流があるから、だけど藍越学園の生徒となるとどんな奴が遊びに来るか不安だ。
「龍花遊びに来るのは男子か?」
私達の知らない男子なら絶対却下。それは私たちの中で決まっているルールだ。それを知らない龍花はほにゃっと笑いながら
「のほほんさんって言う女の子です」
のほほん?変わった名前だな。でもまあ女子なら良いかとシグナム達とアイコンタクトしていると
「あと王花ちゃんたちも遊びに来ます」
良し決定。王花がいるのなら何の問題もない。龍花に害があると判断すれば龍花の知らない所で処刑するような奴だ。何の心配もない。ちなみに王花の処刑とは体育の授業や放課後にイイエガオで徹底的に叩きのめす事である。王花は運動も得意なのでバレーボールで相手の顔だけを打ち抜くという行為も楽勝だ。偶に私とかも狙ってくるが弾き返せるので無問題だ
「良い?」
首をかしげながら尋ねてくる龍花に私は笑いかけながら
「ああ、良いぞ。たまには友達を呼んで遊ぶと良い」
「はい!じゃあ良いですって連絡しますね!」
そう笑って出て行く龍花を見ながら
「さて。食器を片付けるぞ」
「あいよー」
龍花だけに家事をさせるのはやはり駄目だと言う話になり。私達も順番に家事をすることにしている。当然ながら龍花の洗濯物は龍花の担当だ
「じゃ、行ってきまーす」
楽しそうな龍花の声を聞きながら私は掃除機を取り出しリビングの掃除を始めた……
「と言うわけだ。龍花の友達をやらを見極めるぞ」
「了解です。王花」
我が星花と龍花のことに関して大事な話をしている中
「あ、みて陽花猫だよ」
「ほんとだー」
アホの子と陽花は野良猫と戯れていた。我は溜息を吐きながら鞄を振りかぶり
「おい、アホの子」
「僕はアホ……ぶべっ!?」
顔面を鞄で強打され悶えている雷花を無視し、恐る恐る猫に手を伸ばそうとしている陽花に
「そろそろ行こう。龍花が待っている」
近くのバス停で10時に待ち合わせだ。そこで龍花が藍越学園で友達になったという女子と合流し龍花の家に行く予定だ。
時刻は今9時45分、バス停までは5分弱なのでそろそろ移動しないと龍花を待たせることになると思いながら言うと
「あ。うん。そーだね。じゃあね猫ちゃん」
「うにゃー♪」
三毛猫にそう笑いかけ立ち上がろうとした陽花だったが
「ふべっ!!」
思いっきり何もないところで転んで顔面を強打していた
「大丈夫ですか?」
「いひゃい……」
涙を流す陽花を我と星花で立ち上がらせ服についた埃を払ってやってからバス停に向かった
「王花ちゃん。おはようございます」
バス停の椅子に座り日傘を差している龍花におはようと返事を返してから
「それで藍越学園で出来た友達と言うのはどんな奴なんだ?」
我がそう尋ねると龍花はにこにこと笑いながら
「もう直ぐ来ると思うのであってみたら判ると思いますよ」
そう言われると無理に聞きにくいので素直に待っているとバスが停まり。そこから現れたのはダボダボの袖をぶんぶんと振るうほにゃっとした女子だった。バスのステップから龍花を見つけ
「りゅーちゃん♪来た……ぶべっ!?」
強烈なデジャブを感じさせる転びっぷりだった。背中には狐の顔を模したバッグを背負っている
「大丈夫ですか!?のほほんさん」
「大丈夫だよ~」
よいしょっと良いながら立ち上がった女子は我たちを見て笑いながら
「布仏本音だよ~よろしく~」
ダボダボの袖をぶんぶん振る本音に陽花が
「こんにちわ。本音さん?「のほほんで良いよ~」はい。のほほんさん?」
陽花はなにかシンパシーを感じたのかにこにこと笑いながらのほほんに話しかけていた。我はその光景を見ながら
(心配するだけ無駄だったか)
龍花を利用しようと考えているタイプではないと判った。むしろこいつがそんなに計算高かったら逆に驚く
「ではそろそろ行こう。外は暑いしな」
龍花も陽花も身体が強いタイプではない。早く日陰に連れて行ったほうが良い、我はそんな事を考えながら龍花の家に向かって歩き出した
「りゅーちゃんのお部屋凄いねー」
先日迷って藍越学園に来た龍花ちゃんの家に遊びに行って良い?とメールしたら「良いですよ」と来たので直ぐに準備を整えて(のほほんの急いでは30分以上)バスに乗って来てりゅーちゃんとりゅーちゃんの従姉妹に案内されてりゅーちゃんの家に行ったら
「いらっしゃい」
りゅーちゃんが言っていたおにーちゃんにあった。温和そうな顔に長身で、でも痩せているわけではなくがっしりとした体格の男子だった
「おじゃまします~布仏本音です~」
「あいたっ!?」
ぶんぶんといつものように袖を振ったら雷花ちゃんに命中してしまった。
「ごめんね~大丈夫?」
「え?うん。大丈夫だよ!」
にっこりと笑い返してくれる雷花ちゃんに安堵しながら靴を脱ぎ家に上がる
「私の部屋はこっちです」
2階に上っていくりゅーちゃんの後を追って階段を上り。「龍花の部屋」と書かれたプレートがかけられている部屋の中に入ると
「おお~すごい~」
りゅーちゃんのお部屋はぬいぐるみで溢れ返っていた。ドラゴンとか犬とか猫とかのぬいぐるみがこれでもかと置かれていた
「龍花。また随分と増やしたな?」
「えへへ。可愛いでしょ?」
王花ちゃんの呆れたような口調ににへらと笑い返したりゅーちゃんはぬいぐるみを抱えて
「ぬいぐるみ大好きなんですよ♪」
大きな青い犬のぬいぐるみを抱えて幸せそうに笑った
「龍花。何して遊ぶの?」
暫くりゅーちゃんのぬいぐるみこれくしょんを見て。話していたんだけど雷花ちゃんがぬいぐるみに飽きてきたのかそう尋ねる
「んー下にはゲームとかありますよ?」
「龍花。この部屋に何か遊ぶものはないのですか?」
星花ちゃんが即座にそう言う。別に下で遊んでも良いのにと思っていると、私の隣の陽花ちゃんがこそこそと
(龍花ちゃんのお兄ちゃん達すごい過保護なの。ちょっと行き過ぎてる感があるって王花ちゃんたちが何時も言ってるんだけど)
そこで言葉を切り溜息を吐きながら。王花ちゃんを指さす、押入れから何かを取り出そうとしているりゅーちゃんに
「ああ。荷物が崩れてきたら危ない。我がやろう」
そういってりゅーちゃんをどけて荷物を取り出そうとする王花ちゃん
(王花ちゃんとかも良い勝負だよね?)
(うん~そう思うよ~)
あってからそんなに時間は経っていないが、私も王花ちゃんも過保護と言う点では何も変わらないのではと思った
「はい。上がりです♪」
私の部屋の押入れから出した遊び道具はすごろくとかのボードゲームトランプ一式だった。
「龍花の幸運は凄いな」
「うん……悪いマス全部回避してるよ」
「それところか4~6しか出てないんですけど」
信じられないという顔で呟く王花ちゃん。私も不思議なのだがサイコロやルーレットを回すと大体が4以上の数字しか出ない。たまに低い数字も出るときがあるがその場合は進みすぎると悪いマスに止まってしまう時だけだ
「りゅーちゃん幸運MAXなんだね~じゃあつぎ私~えいっ!3だよ~」
「何もないマスだね。じゃあ次僕!えい……また2しかも1回休み……」
雷花ちゃんはさっきからそんなマスばかりだ。ザッフィーを抱えながら観戦していると
「良し。我も上がりだ」
「うきーッ!!!また休みーッ!!!」
「あ~+1000とカード1枚~ラッキー」
「私はカード2枚です」
「カード没収……ふふふ……またどべですか?」
段々みんなの反応が怖くなってきた。良い目に止まる人とそうじゃない人の差が激しくなってきたからだ
(んーすごろくは失敗だったかな)
とは言え私は今まであんまり友達と遊ぶということはあんまりしたことが無かったので何をすれば良いのか全く判らない。入院を繰り返していたのだから無理もないが、折角遊びに来てくれたのにこのままでは余りに申し訳ない
(困ったときの凜さんですね)
頼もしい先輩の凜さんに助けを求めることにして、私はこっそりと携帯で凜さんに今の状況を説明してどうすれば良いのか?と言うメールを送った。暫くすると返信が来て
《昼過ぎにあたし暇になるから家に行くわ。その後買い物にでも行きましょう》
さすが凜さん頼りになります。やはり困ったときの紅い悪魔様ですね
(でも紅い悪魔ってどういう意味なんでしょうか?)
凜さんといえば紅い悪魔らしいが、私的には頼れるお姉さんって感じなんだけど……とそんな事を考えながら
「そろそろお昼ですし何か作りましょう。のほほんさん何か食べたいものはありますか?」
「んーなんでもいーよ!」
んーじゃあオムライスでも作ろうかなと思いクローゼットからエプロンを取り出して
「それとお昼からは外に出るので片付けておいてくださいね」
「外?どこ行くの!ボーリング?バッティングセンター?」
身体を動かすのが好きな雷花ちゃんが嬉しそうに尋ねてくるが
「いえ。服とかを見に行こうと思いまして。凜さんがお昼から来てくれるんですよ」
私がそう言うと王花ちゃんが
「ふむ。凜か……まぁ良い奴だし、我も嫌いではないな」
「先輩ですから敬語の方が良いですよ?」
「まぁ考えておこうか」
そう笑う王花ちゃん。まぁ仲良くしてるみたいだから良いかなと思いながら
「じゃあ。出来たら呼びますので遊んででくださいね」
私はそう声を掛けて部屋を出た
《むきー!!!!また休みー!!!なんでー!!!!」
《わーいあがり~》
《のほほんちゃんおめでとー》
《加速を使います。サイコロを2個振って合計分だけ進みます。いけっ……5……くう》
楽しそうな皆の声を聞きながら私はキッチンに向かい料理を始めのだった……
第42話に続く
女子回ってどんな感じなんだろうか?今まで男主人公ばかりだったからどういう感じなのか判らない。困ったときの紅い悪魔様に助けてもらう結果となりました。さてと士郎とかの話も入れることを考えようと40話を過ぎて気付きました。やっぱり龍花さんだけでは話に詰まりますからね!それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします